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■ LD(学習障害)ニュース #669 2006/08/07 発行 登録(配信)読者数 3,488 ■
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■ 第164国会 衆議院文部科学委員会 議事録(抜粋)(7) 2006/06/13 ■
□ 編集後記 ------------------------------------ 21:19 2006/08/07 □
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■ 第164国会 衆議院文部科学委員会 議事録(抜粋)(7) 2006/06/13 ■
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http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009616420060613019.htm
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○遠藤委員長 横山北斗君。
○横山委員 民主党の横山北斗です。
私は、法案に示された柱の中の特別支援教育について主に質問をしていきたい
と思います。既に参議院の方での質問、また、本日も各委員との質問が重なり合
う部分もあろうかと思います。また、午前中の参考人への質疑を通して、ああ、
そういうことだったのかなということで後々、この質問をつくった後で理解でき
てきた部分というのも自分なりにはありますけれども、まだ私の不勉強もありま
すので、改めての質問も多くなるかと思いますが、何とぞよろしくお願いいたし
ます。
まず最初は、本法案の第七十五条におきまして、「その他教育上特別の支援を
必要とする児童、生徒及び幼児に対し、文部科学大臣の定めるところにより、障
害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする。」と
いうものがありますが、具体的にどのような児童生徒が対象になるのかを改めて
お聞かせ願いたいと思います。その際、例えば心的外傷後ストレス障害と言われ
ているPTSDなども対象になるのかどうか、このあたりを知りたいので、よろ
しくお願いいたします。
○銭谷政府参考人 特別支援教育の対象につきましては、まず特別支援学校で学
んでいる児童生徒、それから特別支援学級で学んでいる児童生徒、こういう方が
対象になるわけでございますが、それ以外で特別支援教育の対象となります者は、
障害だけ申し上げて大変恐縮でございますが、いわゆる視覚障害、聴覚障害、知
的障害、肢体不自由、病弱、それから七十五条の第二項第六号に当たります言語
障害、情緒障害のお子様、それ以外に、学習障害いわゆるLD、注意欠陥多動性
障害ADHD、高機能自閉症等の発達障害、あるいは言語障害などによりまして
教育上特別の支援が必要となり得る者、こういう方々がその対象となるものと考
えておりまして、いずれも継続的に障害による生活上及び学習上の困難が伴う方
というふうに認識をいたしております。
先ほど例に出されましたPTSD、心的外傷後ストレス障害の方は対象になる
のかどうかということでございますが、実は、これは大変難しいお尋ねでござい
まして、御案内のように、PTSDは、事件とか事故等に遭遇をいたしまして、
恐怖や喪失体験などによりまして心に傷を受けるものでございます。そのときの
ことを繰り返し思い出す情緒不安定、睡眠障害があらわれ、生活に支障を来すこ
ともございます。時間の経過とともにそういうことは薄れていくわけでございま
すが、状態が長引いているという方もいるわけでございます。
したがって、PTSDは、特別支援教育の対象というよりはむしろ心のケアの
対象と考えられるわけでございまして、スクールカウンセラーあるいは養護教諭
の方々による対応が求められるものと考えられているところでございます。
ただ、PTSDの症状の長期化によりまして入院などの医療を必要とする場合
とか、あるいは症状が悪化していわゆる情緒障害となる場合もございまして、そ
ういう場合には特別支援教育の対象となるというふうにも考えられる場合もあろ
うかと思います。
○横山委員 どうもありがとうございました。
今幾つか列挙していただいたのを聞いておりますと、先天的なものを対象にし
ているのかなという気はいたしますので、それは理解できました。
そのような障害を対象として対象者を選ぶといいますか、なるわけですけれど
も、その基準について、入学時に心理テストのようなものを実施するということ
も伺っておりますけれども、その試験というのがどういうものなのか、いま一つ
まだ理解できないところがありますので、わかる範囲で教えていただければと思
いますが、よろしくお願いいたします。
○銭谷政府参考人 お子さんの障害の判断というのは、これは大変難しい側面が
あるわけでございます。
通常、いわゆる健康診断、三歳児健診とか、こういった就学前の診断等、ある
いは、いろいろな教育相談、医療相談などを通じまして、医学的あるいは教育的
な観点から、このお子さんはもしかしたらこういう障害をお持ちかもしれないと
いったような御相談を親御さんとお医者さんあるいは教育関係者の間でしていく
という中で、どういう障害をお持ちかということがだんだんわかってくるという
のが通例だと思います。
学校に入る場合には就学時の健康診断ということがございまして、そこで、い
わゆる身体的な健康診断、それから簡単な幾つかの問いと答えとか、そういった
ようなことをやりまして、そういう中から、専門家の御意見を聞いたり、親御さ
んと日ごろの生活の様子をお聞きしたり話し合いしながら、その子の障害がどの
程度のものであるかということをだんだん判断していく。
したがって、当該障害がどの程度のものが特別支援教育の対象になるかという
ことにつきましては、やはり個々の児童生徒の障害の状況や程度に応じまして、
専門家の意見を聞きながら、適切に判断をしていくということになるのかなと思
っております。
○横山委員 ありがとうございました。
では、もう一つ、確認なんですが、そのテストみたいなものというのは来年の
四月の入学生から行うということでよろしいんですか。ちょっとその点、お聞か
せ願えればと思います。
○銭谷政府参考人 ちょっと話は長くなりますけれども、出生をしましたら、通
常一歳半の健診がございまして、さらに三歳児健診というのがございます。そし
て、入学をする前の年の十一月末日までに就学時健康診断というのを受けるとい
うことになっておりまして、こういったいろいろな健診とかあるいはいろいろな
教育相談とか医療相談とか、こういうものを通じてそのお子さんの状態について
専門家の方がいろいろと判断をしていくということになるわけでございます。
○横山委員 わかりました。ありがとうございます。
それでは、次の質問です。
今現在、障害を持ちながら通常学級に所属している児童や生徒、幼児は特別支
援を受ける対象になるのかどうか。この点、参議院の方でも審議されましたが、
改めて特別支援学校に転校するということではなく、今通っている学校において
新たに支援を受けることが可能なのかどうかについてお尋ねいたしたいと思いま
す。
○馳副大臣 この法律ができたからといって、特別支援学校へ行けとか特別支援
学級に行きなさいと、そういう強制するような筋合いのものではなくて、今現在
も通常学級において受けられている障害のあるお子さんに対する支援は行われる
ものであります。
○横山委員 それでは、先ほどの奥村委員の質問とも重なり合いますが、いま一
度、大臣に、特別支援の対象になる児童生徒が通常学級に在籍するか否かの判断
はどこが行うのか。それから、いま一度、学校の判断で強制的に特別支援学級に
在籍させられることがあるのかどうか。そして、これまでどおり通常学級で学ぶ
ことのできる保証についてお伺いしたいと思うのですけれども、大臣でも副大臣
でもどちらでもお答えいただければと思います。
○馳副大臣 小中学校に学ぶ障害のある子供が通常の学級で学ぶか、通常の学級
に在籍し通級による指導を受けるか、特別支援学級で学ぶかは学校長が判断する
ところであります。その場合でも、保護者や専門家の意見を聞きながら、その子
供の教育的ニーズに合った教育の場がどこかを総合的に判断することになります。
したがって、現在、通常の学級で学んでいる子供が強制的に特別支援学級に在
籍させられることはないと考えられます。
○横山委員 どうもありがとうございます。
では、次の質問に移らせていただきます。
この法案をつくるに際して、各県で特別支援教育のモデル事業というものを行
ってきました。それは、LDやADHDなどの発達障害のみを対象に行った地域
が多いと私は聞いておりますけれども、この点、実際のところ、どうであったの
か。また、そういうLDやADHDのみを対象に行った地域というのは全体の何
%ぐらいあったのか。このモデル事業がどういうものであったかみたいなことも
含めて御説明願えればと思います。よろしくお願いします。
○銭谷政府参考人 多少経緯的な御説明になって恐縮でございますが、文部科学
省では、平成十一年に「学習障害児に対する指導について」という報告書を出し
ております。その報告書を踏まえまして、平成十二年度から十四年度にかけまし
て、LDの児童生徒に対する指導体制の充実事業というものを全国展開し、支援
体制の整備を図ってまいりました。
その後、十五年に「今後の特別支援教育の在り方について」という報告書を出
しておりまして、それを踏まえまして、十五年度からは、それまでのLD児に対
する支援事業を拡充いたしまして、ADHD、高機能自閉症の児童生徒もその対
象といたしまして、発達障害の児童生徒に焦点を当てた特別支援教育推進体制モ
デル事業を全都道府県に委嘱して実施いたしました。そして、翌十六年度からは、
この事業の対象をLD、ADHD等の発達障害児から障害のあるすべての児童生
徒を対象として本事業を推進しているところでございます。
ですから、十六年度、十七年度、そして本年度は、障害のあるすべての児童生
徒を対象とした事業として実施しているところでございます。
○横山委員 そういたしますと、十六年度、十七年度、二年間ではすべてを対象
にしているということであれば、私の方では、このモデル事業の対象者と、七十
五条の一項で規定する、先ほど幾つか挙げていただいたさまざまな対象となる障
害を持った方々との間に調査のギャップがあるんじゃないか、十一年からずっと
見てきているのであれば。それで、LD、ADHDのみを対象としているのでは
問題があるのではないかなと思ったんです。
そうすると、十六年度、十七年度は全部のものを対象にしたということであれ
ば、そのモデル事業というものは信用性を持ってやっているというふうに大臣も
お考えでありましたでしょうか。どうでしょうか。
○馳副大臣 今局長が答弁したとおり、十六年度、十七年度で第七十五条第一項
で規定する特別支援教育の対象者としてすべてを対象としておりますので、この
モデル事業でやってきたことは十分に整合性を持って対応してきている、こうい
うふうに考えていただいて結構です。
○横山委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。
今回の改正で、LD、ADHDは通常学級の中で学習支援員の支援を受けるこ
とができる、しかし、同じ障害でも、知的障害の場合ですと、自治体によって支
援するところとしないところがあるということも話を聞いておりますが、このあ
たり、実際のところどうなのでしょうか。よろしくお願いいたします。
○銭谷政府参考人 小中学校におけるいわゆる学習支援員や介助員など教員や児
童生徒の支援を行う職員の配置につきましては、基本的には各市町村の教育委員
会の判断に基づいてなされておりまして、率直に申し上げまして、自治体により
差があるということは承知をしているところでございます。
一方、盲・聾・養護学校におきましては、介助員など教員や児童生徒の支援を
行う職員を配置するための経費が地方財政措置として措置されているという状況
にございます。
したがいまして、小中学校におけるこういう学習指導員や介助員などの職員の
配置について、私ども、国としてどういう支援が可能かということについては検
討課題だと思っておりまして、先ほど副大臣の方からも御答弁がございましたけ
れども、今後、よく検討していかなければならない課題だと思っております。
○横山委員 知的発達障害に関しては今後の検討課題だということですね。今言
われたとおりですね。わかりました。
では、次の質問に移らせていただきます。
学習障害にはさまざまな症状がありまして、もちろん、落ちついて座れないと
か左右の認知、平衡感覚、聞き取り、そういうさまざまな症状があって、そうい
う子供たちを受け入れて、朝礼から昼休みから含めて、一日の学校生活というの
が送られていくわけですが、それを行う学習指導員に対しての今現在の活動の指
針といいますか、研修といいますか、そういうようなことについては何かあるん
ですか。
○小坂国務大臣 横山さんはよく研究をされていますのであれなんですが、LD
やADHDの児童生徒に対する支援のために、現在、御指摘のような学習指導員
やアシスタント等の名称で学校外の人材を活用している状況があるわけですね。
ただ、これらの取り組みやその職員に対する研修等は、各市町村などの工夫と
判断によっているわけでございまして、統一的な指導指針は定めておりません。
一方、文部科学省では、全都道府県に委嘱して実施している特別支援教育体制
推進事業におきまして、特別支援教育体制の一層の充実を図るために、今年度か
ら新たにボランティア等の地域人材を活用した支援体制のあり方についての優良
事例を収集しておるんですね。この中で、研修のよい事例などを含めて、普及を
図ることにいたしております。
こういったことを市町村の方でも活用していただきまして、今後とも、このよ
うな取り組みを通じて、障害のある児童生徒に対する適切な支援体制の整備に私
どもも努めてまいりたいと存じます。
○横山委員 そういたしますと、もちろん、この法律が成立してから取り組むべ
きものもあるでしょうし、それから、それを実施してからさらに見直すというか
整備していく部分もあるだろうと。
今の大臣のお話を聞きますと、今は各自治体ごとで工夫、判断を持ってやって
いく、その中でとりわけ先進的な試みとか、これはいいなと思う試みを取りまと
めて、すぐにでなくても、何年か先ぐらいにそういうガイドラインをつくってい
くという方向性だということで、改めて、そういうことでよろしいのでしょうか。
お願いいたします。
○銭谷政府参考人 いい事例の紹介等は、何年も先ということではなくて、本年
度の事業でやっているわけでございますので、速やかにやっていきたいなという
ふうに思っております。
○横山委員 私は、別に何年か先というのは遅いとかいうことを言いたかったわ
けではなくて、データの収集にはそういう時間も必要だろうという意味で申し上
げましたので、どうぞお気になさらないでください。
それでは、次の質問に行きます。
現在、通常学級に所属している児童生徒の中に、教師が今はLDとは認識して
いないが実はLDであるというケースがあるかもしれません。先ほど、一歳児、
三歳児そして就学時ということですが、今三歳以上の子供というのは、もう既に
ここら辺の対象者から外れているわけですね。現在在籍中の人が、将来的にそう
いうことがわかったときに、そういう状況に直面したとき、いかなる対応を考え
ておられるのかについてお聞かせ願えればと思いますけれども。
○馳副大臣 一昨年、発達障害者支援法という法律ができた。昨年の四月一日か
ら支援が各都道府県で始まって、また、発達障害相談支援センター、これが徐々
に徐々に整備されてきて、ことし、来年のうちにも全都道府県でこのセンターが
整備されるということになっておりますが、委員御指摘のように、まだ始まった
ばかりということを考えると、残念ながら、やはり十分な支援体制が整っている
わけではないという認識をまず持つべきだと思うんですね。
その上で、当然、今現在、小中学校、高等学校においても、在籍している児童
生徒で、LDではないかと。ADHDは、何となく、多分すぐわかりそうな気が
するんですけれども。つまり、現状、十分な教師や保護者の認識、理解が深くな
ければやはり見過ごしてしまう可能性もあるわけですよ。
そういったことを考えると、まずは基本的には、教職員の研修を通じて気づき、
しっかりと把握していただくということ、それから、そういう症状をお持ちのお
子さんの保護者も、お持ちでないお子さんの保護者も、いずれも、こういった理
解を深めていただくことが必要であるというふうに考えておりますし、これはL
Dではないかなというふうな、こういう発見があった場合には、当然専門的なお
医者さんによって十分診断を受けて対応をお願いするということも必要になって
くると思っています。
それで、平成十六年にLD、ADHDの児童生徒の支援体制を整備するための
ガイドラインというものを作成して、この中で、行政機関や学校における保護者
への理解推進や相談の必要性、保護者における子供の障害の理解や子供とのかか
わり方など、必要な配慮事項等を示しておりまして、LDの判断に際しても役立
つものと考えております。このガイドラインの活用を促しながら、現場で適切な
対応ができるようにしていきたいと考えています。
○横山委員 ありがとうございました。
では、それとまた関連する質問になるかと思いますけれども、自分の子供がL
Dである、ADHDである、これは、保護者がそういう認識をしていない中で宣
告されるということは、親にとりましてはやはり大きな戸惑いになろうかと思い
ます。
こうしたケースで、学校側と子供、保護者との連携、信頼関係というようなこ
とがこれから非常に重要になってくると思いますけれども、この点についてのお
考えをお聞かせ願えればと思います。
○馳副大臣 今申し上げたガイドラインに沿ってやはり対応していただきたいと
思っております。
実は、私も発達障害者支援法の立法に携わり、三年ほど前から勉強会にも出さ
せていただいておる中で、保護者、とりわけお母さん方の相談は非常に深刻なん
ですね。つまり、障害のないお子さんとうちの子はどのように関係性を持ってい
ったらいいのだろうか、こういう点が一つ。次に、この子を今後どういうふうに、
義務教育、高等学校、そして就労まで含めて、総合的に人生を支えていったらい
いのだろうかという不安。
さらには、ほかの障害のないお母さん方との壁というのは出てくるんですね。
こういうところにお父さんというのはなかなかかかわってきづらいのか、かかわ
ってこないのかわかりませんが、お母さん同士に壁ができてしまうことが一番保
護者にとって不安の大きいことなんですよ。ましてや、ここまで言うとあれです
けれども、嫁という立場になると、私の育て方が悪かったのかしらとか、あるい
はおしゅうとめさんとの人間関係がまずくなったりとか、非常に不安が不安を増
幅させる可能性が極めて大きいんですね。
そういうことを考えると、ガイドラインの中にはいろいろと保護者に対する相
談のあり方というのもありますが、ここは教職員にも十分に理解を深めていただ
きたいんです。また、発達障害者支援センターを通じて、そういう保護者の集ま
り等もございますし、また専門的なNPO等の方もいらっしゃいますし、そうい
う意味では小児精神科の専門的な方も育成していくことを通じて、安心して相談
に乗れる体制をとるということも必要です。いわゆる総合的な対応ができるよう
な体制が必要であると考えていますし、やっていきたいと思っています。
○横山委員 ありがとうございます。
そうすると、いわゆるコミュニティーの形成というような部分がこれからます
ます教育の分野で必要になってくるんだなということを認識いたしました。
では、その上で、今もう一つ関連する質問ですけれども、学校側が特別支援が
必要であるという判断を示したときに、保護者の方がそれは要らないと言ってき
たときに、今ガイドラインということもありましたけれども、どういう説明、対
応、説得等を考えておられるのか、大臣でもどちらでも、皆さんのお考えをお聞
かせ願えればと思います。
○馳副大臣 実は、これが一番深刻な問題なんですよ。認めたくないんですね、
保護者からすれば。うちの子に限って、うちの子は違う。
ところが、適切な指導とか助言とか教育プログラムを受けることができなけれ
ば、一番悲しい、つらい思いをするのはその児童生徒であり、また保護者でもあ
る。このことを理解してもらうために、先ほど申し上げたように、ガイドライン
の中では、保護者の心を開いていただくということ。それから、社会的な認知を
我々は求めて、法律もつくられて昨年から支援が始まっているわけでありますが、
その情報も的確にお伝えしながら、まさしく保護者の理解を求めるための作業を
続けるべきであるというふうに考えております。
○横山委員 ほかに文科省の方で技術的な何か作成マニュアルみたいなもの、も
しございましたらお聞かせ願いたいのですけれども、今の質問に関連して。
○銭谷政府参考人 私ども、平成十六年にLD、ADHDの児童生徒の支援体制
を整備するためのガイドラインというものを作成いたしまして、これは全国の教
育委員会、学校に配付をして、これに基づいて、学習障害、注意欠陥多動性障害、
高機能自閉症の生徒への教育支援を、各学校、教育委員会に御理解をいただいた
上で取り組んでいただいているわけでございます。
本年度から省令改正をいたしまして、LD、ADHD等の発達障害のお子さん
も通級指導の対象にしたわけでございます。今まで、通級指導というのは最低週
一回以上という枠があったわけでございますが、月一回でも、本当にその障害に
かかわる指導が有効だという場合もあるということで、今回は、合わせて月一回
以上であれば通級の指導の対象にするということで措置をしたところでございま
す。
そういう意味でことしから通級指導も始まったわけでございますので、私ども
としては、こういう発達障害のお子さんに対する指導事例、こういうものをいろ
いろとこれからも御紹介していくということ。
それから、先ほど来副大臣の方からお話がございましたように、やはりその保
護者の方がなかなか、自分自身お子さんのことで、こういう発達障害ということ
で納得できないということがあるわけでございますので、そういった保護者との
関係づくり、あるいは、今度、特別支援学校がいわば地域のセンターの役割もす
るわけでございますので、そういう特別支援学校のセンター的機能の強化といっ
たようなことをこれから取り組んでいきたいというふうに思っております。
○横山委員 どうもありがとうございました。
それでは、また次の質問に移らせていただきます。
今回、先ほど厚生労働省の協力とか、いろいろな指導員とかいう言葉も出てお
りますが、小中学校の教員免許の取得に際して、障害に関する知識、技能の修得
に関しましては、既に平成十年に、障害のある児童等の心理発達、学習過程にか
かわる内容を必修化するという措置をとっているということなんですが、正直、
大学教育の現実は必ずしもそうなっていない部分があります。
例えば、そういう科目を一つ設けた場合に、新しい先生を採用するということ
も財政上困難であるということから、何かそれに近い科目を教えている先生が担
当をする。しかし、半期十五回の授業で二単位にせよ、一年間三十回の授業で四
単位にせよ、それを一人で担当し切れないので、いろいろな先生方が自分の話せ
る範囲で、それこそ体験談を含めて九十分間の授業をやる中でそういった授業を
一つ構成するとか、あるいは、もっと別の広い総合講座みたいな中で、障害のあ
る児童に対する授業を専門の先生が非常勤で一こまなり二こまなりやって、それ
をこの授業科目として履修したという形で読みかえているようなケースというの
もあると私は思っております。
それからまた、教員採用試験にあっても、したがって、LDについても、参考
書等を見て、みずからその学習した知識の範囲内で試験を受けて合格できている
という現実があります。きちんと履修して、そこまでやらずとも、今はまだ本当
に参考書の知識、受験参考書だけから得た知識で合格できて教員になっていると
いう現状もあるわけです。
ですから、今回の改正で教職員の一層の認識、理解を図るために、今後、こう
いう特殊教育の対象となる障害についての単位取得の厳格化ということを含めて、
どうお考えなのかなということについてお尋ねしたいのですけれども、よろしい
でしょうか。
○馳副大臣 どう考えているかと言われれば、これはしっかりやっていかなきゃ
いけないというのは、それに尽きると思います。
大学教育の現状は、横山委員は現場におられましたので、社会的要請のある新
しい分野の教員、こういう講座を開けと言っても、教員の配置がなかなか難しい
ということもあって、教育関係の先生方に、これやってあれやってということに
なるんだと思います。
そういう懸念も持っておりますが、やはり、去年から発達障害者支援法が施行
されたと。その法律の中においても、各国公私立大学において教員の養成につい
ての努力義務を課しておるわけでありますから、これは、去年のことし、ことし
の来年と徐々に徐々にやはり充実していかなければならないというふうに考えて
おります。
ましてや、今回この法律によって、十分、小中学校においても、特別支援学校
においても、また通常の学級、特別支援学級においても支援することが明確化さ
れたわけでありますから、教職員の十分な資質向上がなされないで法案の趣旨と
いうものは徹底されないということは、もう重々承知しております。
そういったことを踏まえて、今後の教員の養成の段階でも、採用の段階でも、
研修の段階においても、また、モデル的な研修については横須賀の特殊研におい
てもしっかりとやっていくように督励したいと思いますので、ある意味でいえば、
横山委員も大学教育の現状をよく御存じなので、折に触れてまた叱咤激励、御指
導もいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○横山委員 どうもありがとうございました。
確かに、文部科学省が新しい制度をやるたびに、教える現場というのは混乱を
するんですね。それで、この程度でいいだろうかということで書類申請して、認
めてもらうと、もうそこから先は自分の研究の方を重視するということになって
しまいます。
しかし、今回のこの法案は、先ほど来、大臣からのお話もいただきましたよう
に、本当に地域ぐるみで、みんなで解決していかなきゃいけない。国立大学も、
本当に地域に対し、世界に発信することはもちろん、地域に貢献するということ
をやっていかないと生き残れない時代ですので、そういう意味でも、きちんとし
た単位として認定すると、教員の確保、もちろんそのためには予算の確保も必要
になってくると思うんですけれども、含めまして、号令を出していただければな
と思っております。
では、最後になりますが、この法案について、私は先ほど来の質問の中で、一
番、例えば親にとって、自分の子供がそうだと宣告されることのショックと戸惑
いというようなこともあろうかと思います。そして、本人だけじゃなくて、クラ
スの中の児童、子供たち、それから子供がいることによってその周りの保護者含
めて、そういった、これからの教育というのはこうなっていくんだよということ
を広く社会に認知させていく必要性を私は感じております。もちろん教員の指導
を含めまして、総合的にどのようにお考えか、今のところのでき上がっている部
分だけでも結構ですので、その周知徹底策ということをお聞かせ願えればと思っ
ております。
○馳副大臣 横山委員にも、数々御質問いただいて答弁させていただいた中で、
今後の文部科学省の姿勢も御理解いただけたと思いますが、ただ、法律をつくっ
て予算をつくれば事足れりというものではありませんので、当然、今後法改正を
させていただいた後には、各都道府県の教育委員会、また特別支援教育の担当主
事など、そういった方々に法律の趣旨を周知徹底して、また、現場において取り
組んでいただく。当然、各都道府県においての教員研修もやっていただく。そう
いったことで、この法改正の趣旨と、今後進めていくべき特別支援教育の充実を
図っていきたいと考えております。
○横山委員 どうもありがとうございました。
私はあしたもまた質問時間がありますので、もう一回よく勉強して、質問した
いと思っております。ちょっと早いですが、これで終わります。失礼いたします。
ありがとうございました。
○遠藤委員長 石井郁子さん。
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
きょう最後の質疑者でございますので、長時間にわたっておりますけれども、
どうかよろしくお願いいたします。
教育上特別な支援を必要とする子供たちの問題で審議が続いているわけでござ
いますけれども、私は、そういう子供たちと高校での教育について、まずお尋ね
したいと思っております。
高校などへの進学はもう既に全国的には一〇〇%近いという状況かと思います
けれども、定時制、通信制だけでなくて、一部の学校では希望者全員を入学させ
ているというところも少なくないかと思うんですね。そういう状況では、障害を
抱える子供、発達障害を抱える子供も高校へ進学していると、当然そこでの成長
できるような体制、保障ということが求められているというふうに思います。ま
た現実に、もう既にそういう子供たちを受け入れているという学校も多くござい
ます。そういう高校への支援というのは本当に急がれているというふうに私は感
じております。
そこで、まず確認させていただきたいのでございますけれども、今回の法改正
では、高校でも特別支援教育を実施する義務が生じたという理解でよろしいです
か。
○馳副大臣 今回の法律案では、学校教育法第七十五条第一項において、小学校、
中学校、高等学校、中等教育学校及び幼稚園においては、教育上特別の支援を必
要とする児童生徒及び幼児に対し、障害による学習上または生活上の困難を克服
するための教育を行うものとするという旨の規定を新設したところでありますか
ら、高等学校を含め、障害のある子供が学校に通う場合には、これまでも小中高
等学校に通う場合には必要な支援が行われてきたところでありますけれども、今
回、こうした取り組みについて法律上も明確化することを意図したものであり、
各学校における取り組みがより一層充実することを期待しております。
○石井(郁)委員 そういう法改正になったわけでございますが、既にこの法律
以前にも受け入れて、いろいろな実践や取り組みをしておられるということがあ
るかと思いますが、そういうことも含めて、LD、ADHDの発達障害を抱えて
いるこの子供たちを受け入れて、高校では一体どのような支援を現実に受けるこ
とができるのか。その点ではいかがですか。
○馳副大臣 現状では十分ではないと考えております。
実は、私も高等学校の教員としておりました。あれっと思ったお子さんが大学
に進学し、一流企業に就職した後に、十数年たって授産施設で会ったという、大
変私はショックでありました。そういうことを思えば、まだまだ高等学校の方は
そういう意味では、小学校の先生あるいは幼稚園の先生ほどは認識が強くない現
状であるというふうに思っておりまして、ここはやはり大きな課題であると思っ
ております。
○石井(郁)委員 そのとおりかと思うんですけれども、まずどういう支援を必
要とするか、また、していかなくちゃいけないか、そのことを考える上でも、や
はり障害を抱えている生徒たちがどのくらい普通高校、あるいは定時制、通信制
などに進学しているのか、あるいは現に在籍しているのか、その辺もつかむ必要
があると思うんですね。それは文科省としてはどのように把握されているんでし
ょうか。
○小坂国務大臣 障害のある生徒の高等学校への入学につきましては、それぞれ
の高等学校長が生徒の障害の程度等を考慮して、入学後に当該高等学校の教育を
履修できるか、また、それに足りる能力、適性があるかどうかという観点から判
断をしているわけでありまして、発達障害のある生徒が在籍している可能性はあ
るわけでありますけれども、現時点では、その在籍状況について把握ができてお
りません。
一方、十七年十二月の中央教育審議会答申におきましては、高等学校に在籍し
ているLD、ADHD、高機能自閉症等の生徒に対する指導及び支援のあり方に
ついての早急な検討が必要である旨を指摘されているところでございます。本提
言を受けまして、文部科学省としては、平成十七年度から高等学校も対象として
実施をいたしております特別支援教育体制推進事業の実施を通じまして、高等学
校における実態把握についてその方法を検討するなど、調査について、今後とも
よく検討をしてまいりたい、そして、そのような形で対応してまいりたいと思っ
ております。
○石井(郁)委員 きょうは、午前中の参考人質疑の中でも、高校で普通高校に
進学された、楽しいことも、いろいろなこともあって、高校を終えることができ
たという話もありました。
それから、参考人のお一人の市川先生からは、病院を開設していらっしゃるわ
けですから、その初診者の中で見ますと、やはり思春期では約一〇%が不登校の
子供たちだと。思春期の問題というのは、私、大変注目をしていまして、そこで
は、青年期になって解決するというケースもあるけれども、より問題が深刻化す
るというケースもあるわけですから、そういうことを全体としてつかむのが、高
校での在籍の実態等々かというふうに思うんですね。
今、文科大臣は、現状はつかまれていないけれども、今後そういう方向で進め
ていきたいというようなことかとお聞きしたんですけれども、高校でどういう支
援が必要か、高校ももう今度は特別支援教育を義務として行うということがある
以上、今、現状がどうなっているかということについて、やはり正確な調査なり
把握が必要かというふうに思うんですが、それをきちんとされるおつもりがある
かどうか、その必要性を感じていらっしゃるかどうかについて、もう一度お答え
いただければと思います。
○小坂国務大臣 高校における不登校生徒の数は、平成十六年度のことでござい
ますが、六万七千五百人であり、不登校は教育上の課題であると認識をいたして
おります。不登校となった直接のきっかけとしては、文部科学省の調査によれば、
友人関係や学業不振などの、学校生活に起因するものが三九%、直接のきっかけ
になるような事柄は見当たらないけれども、極度の不安や無気力であるなど、本
人の問題に起因するものが三九%を占めておるわけでありまして、なお、発達障
害とのかかわりについては、この調査単体では明らかではございません。
高校における不登校の対応につきましては、わかる授業を行うなど、楽しい学
校の実現が一つ。それから、スクールカウンセラーの配置等によります教育相談
体制の充実が二番目。そして三番目に、教育委員会が設置をする教育支援センタ
ー等を中心とした関係機関が連携して、不登校生徒の状況に応じた支援の実施を
行うことなど、こういった事柄が必要と思って取り組んでいるところでございま
す。
今後とも、発達障害を抱えている場合なども含めて、不登校生徒の状況に応じ
て必要な支援が行われるよう、関係機関と連携をしつつ、支援の一層の充実に努
めてまいりたいと考えておりますが、いずれにしても、御指摘のような、実態を
しっかりつかまえてやっていくということは必要だという認識を持っております。
○石井(郁)委員 大臣の方から、不登校の高校での実態を既にお示しいただき
ましたけれども、私の最初の質問は、今法改正で、いわゆるLD、ADHDの子
供たち、高機能自閉症の子供たちも対象にするということですから、そういう子
供たちが高校に現にどのぐらい入っていらっしゃるのか、また入る要求などがあ
るのかということについてきちっと把握していただきたいということが一つだっ
たんです。その関連で不登校の問題もあるわけですが、不登校の子供たちの中に
は発達障害を抱えている子供たちがいるだろうというのは当然考えられるわけで
すね。それは大臣がおっしゃったとおりだというふうに思っております。
それで、昨年九月文科省が発表した、児童生徒の問題行動等の状況というのが
ありましたけれども、これは高校での不登校生の実態を初めて文科省として明ら
かにされたと私は承知しております。大変大事なことをしていただいたというふ
うに思っているんですね。
これまで高校では、毎年毎年高校中退者が約十万人だ、この数はよく聞いてい
ましたけれども、同時に、こういう不登校の子供たちもおられるだろうと。この
調査によりますと、今大臣もお示しいただきましたけれども、トータルで長期欠
席が十一万人ですよね。これは高校生の約三%にも上るんですよ。そのうち不登
校の子供というのは六万七千五百人で、これは一・八二%、なかなかの大きい数
だというふうに思うんですね。
不登校の子供はなぜそういうふうになっているのかということについて、大臣
もこれからもしっかりとつかんでいきたいということでしたけれども、この問題
は私にとっても、これは青少年の特別委員会だったと思うんですけれども、やは
り思春期の問題というのは今社会的な問題、青年期の問題になっていますから、
高校のこういう実態というのは本当につかんでほしい、文科省はやってほしいと
いうことをずっと言っておりまして、こういう結果がようやく出たということを
大変歓迎というか評価しているところなんです。
だから、引き続いてもっと実態をよく把握されて、そしてこれに対してどうい
う対応をするのか、調査で終わらないわけですから、その対応が非常に求められ
ているというふうに思います。
それで、もう大臣の御答弁をいただきましたので、先に行きます。
高校の場合は、小中以上に教職員の間での理解がまだ進んでいないというのは
馳副大臣からもお話がありましたけれども、先ほどの参考人の話でも、小学校で
たくさんの、いわば多動性とかいろいろな問題が見える形であるわけですから。
それでもなお、先ほどの学校の実態で伺いますと、教職員の間の連携とか継続性
というのは非常に弱い、親から見たら本当にたくさん解決してほしいことがある
という話でしたけれども、私は高校の場合は本当にこれからだという気がするん
ですよね。一部の高校では一生懸命取り組んでいらっしゃるところがあると思い
ますけれども、全体としては本当にこれからだというふうに思います。
それで、先ほどもお触れになりましたけれども、やはり高校でも特別支援教育
をやるんだ、これはもう義務づけられているということになりますと、文科省と
しては、教職員の間の理解や、あるいは教員の専門性を高める問題だとか、その
支援をどういうふうに制度化、充実していくのか。子供にとっての選択肢という
のは、結局、障害を持った子供たちは、高校に入って教育を受ける、その選択肢
というのは一体どのぐらい準備されているのかというような問題でもう少しお聞
かせいただければと思います。
○馳副大臣 石井委員、私、これは重要な御指摘だと思っています。
法改正をお認めいただければ、やはり都道府県の教育委員会を通じて、高校の
教員、これは恐らく生徒指導とか養護の教員とか、こういった形が中心になるか
もしれませんが、理解を深める十分な研修をしなければいけないと思っておりま
すし、先ほど大臣が申し上げましたように、やはり実態を十分把握して、現在高
等学校に在籍している生徒さん、また不登校の原因としてこういった発達障害と
いう問題を抱えているのかどうかということの把握も含めて、その上で次の対応
として考えられるのは、各科目、各教科を学ぶときに、そういう発達障害の問題
を抱えている生徒にどういう個別の指導ができるのかとか、当然これは、高等学
校ということになると、就労支援との連携がなされなければ、絶対に意味をなさ
ないんですよね。
その場でこういう教育プログラムをしましたというだけではなくて、私の先ほ
ど申し上げた例もありますように、大学に進学もしているんですよ、また社会に
も出ていく、また、高等学校を卒業した後に社会人となるという選択肢の中で、
ここは連携が十分なされなければ、その子の生い立ちの中で、どのような教育的
な支援を受けてきて、どこまで十分対応できるのかということがわかっていなけ
れば、それは恐らくジョブコーチにしたところで、十分に予備知識がなければ、
また十分に高等学校においてもそういう生徒に教育の支援がなされていなければ、
就労先にもどう紹介していいか、どう間を取り持っていいかわからないんですね。
この辺はきょう非常にいい御指摘をいただきましたが、高等学校における実態
の把握と支援のあり方というものと教員の研修というものは当然一体として、総
合的になされなければいけないと考えておりますので、今後さらに進めていかな
ければいけないと思っています。
○石井(郁)委員 就労の問題も在学中の教育プログラムとも関係があるのはそ
のとおりなんですが、それはもう少し先の話でお聞きしようと思っていたんです。
まず、在籍している、そういう障害を抱えた子供さんが高校へ入った、では、
そこでどんな支援というか教育を受けられるのかというのがありますよね。現状
はどうなんですか。通常学級に入る、あるいは特殊学級的なもの、特殊支援学級
というのをつくるのか、あるいは通級だと思うんですが、高校では通級というの
は現実にどのぐらい実施されているんでしょうか。あるいは、今後それを充実し
ていくというお考えはございますか。通級指導についてはいかがですか。
○銭谷政府参考人 現在のところ、高等学校においては通級指導ということは行
われておらないわけでございます。
高等学校においては、障害のある生徒などの指導に当たりましては、結局、各
教科、科目等の選択とか内容の取り扱いについて必要な配慮を行って、指導内容
や指導方法を工夫するということを中心に配慮をするということになっているわ
けでございます。
ただ、先ほど来、大臣、副大臣の方からずっとお話がございましたように、や
はり高校における発達障害に関する指導という点ではまだまだ不十分だという認
識を私どもは持っております。大臣からもお答えがございましたけれども、実態
についてどういう把握が可能か、そういう点も含めてよく検討していきたいとい
うふうに思っているところでございます。
○石井(郁)委員 現状はそういう状況だということですけれども、知的障害、
発達障害を抱える生徒たちを受け入れて、しかし支援体制がないという学校は少
なくありません。
私は、埼玉で発達障害を抱えている生徒たちを指導している教員の話を伺った
んですね。その学校ではこう言っていました。
ここでは、学校全体で生徒一人一人の障害、生徒の特性を理解して、日々の学
習から卒業後の就労まで支援している。本当に大変だ。他校では生徒に何かあっ
たときの対応とか生徒のフォローなどを一緒に登校してくる母親がしている。先
ほど小学校でもありましたよね、結局、母親に一緒に来てくださいということで
お願いをしているという例になるわけです。しかし、そうではなくて、教職員が
力を合わせて、母親に頼るんじゃなくて、教職員でやっている、乗り切ってきて
いる、こういう学校をつくっているんですね。しかし、生徒に何かあったときに
すぐ相談できたり対応してくれる経験や知識を持った教員が必要だし、また医療
面からのサポートをしてくれる専門家の存在が必要だと常々感じている。教職員
で非常に頑張ってこういう対応をしているところもあるけれども、それでも及ば
ないというか、もっとサポートが必要だというのが現場の声だというふうに思い
ます。
そういう意味で、私は、通級についてもこれからだという話ですけれども、ぜ
ひ高校でも通級というのは早く実施に道を開いてほしいなというふうに強く思い
ます。
同時に、今申し上げたように、専門性を持った教員の配置、それから必要な条
件の整備、それからいろいろな関係の専門家との連携等々もあるんでしょうけれ
ども、そういう配置についても、今後文科省としてお考えになるかどうかという
ことを伺っておきたいと思います。
○馳副大臣 考えます。
ただ、発達障害児、十八歳以前はそうですけれども、加齢に従って徐々に徐々
に状況がよくなるということもまたございますし、さはされども、実際に高等学
校の教員が研修会に、何も指示はないけれども、自分のクラスにいるからやって
きたということもよくあるんですよね。
そういうことを考えると、委員も指摘されたとおり、まず最初に実態を把握し
て、どの程度の支援をどのようにしたらいいのか、ここが私は一番大事なところ
だと思うんですよ。そして、高等学校に入学した以上は卒業まで面倒を見るとい
うのが学校としても当然の仕事でありますから、この辺を軸に、今後支援体制を
考えていきたいと思います。
○石井(郁)委員 馳副大臣から大変前向きな御答弁をいただいておりますけれ
ども、私申し上げたように、日本の高等教育、ほぼ一〇〇%近い子供たちを受け
入れているというのはあったとしても、中退者が十万人も毎年いるとか、長期欠
席者が十一万人もいるだとか、不登校の子供たちが六万七千人もいるだとか、こ
れは本当に日本の教育の解決しなきゃいけない課題だ、このまま放置しておくこ
とはできないというふうに思うんですね。そういう意味でも、ぜひ一つ一つ取り
組んでいただきたい。
きょうはもう一点、先ほども馳副大臣から言われました就労、卒業後の進路の
問題がもう一つありますよね。高校は何とか入った、問題は、後は出る段階の話
にすぐに突き当たってくるわけでしょう、高校の場合は。自立、社会参加をどう
するのか、あるいは就職をどうするのか、それを考えなくちゃいけない、それが
高校でもあるわけですね。そういう意味で、この点でも、盲・聾・養護学校には
高等部などがあって、就職問題というのは長年の経験がかなりあるというふうに
伺っているんですね、就職担当者の方がいらっしゃったりして。
そういう点のノウハウなんかもしっかり受けとめる必要があるというふうに思
いますけれども、先ほど御紹介した教員はこのように言っていました。就職先に
は生徒が抱えている障害や特性をきちんと伝えた上で雇用してもらっているけれ
ども、職場で人間関係が築けずに一、二年で解雇されてしまうとか、進路指導を
していく上で、地域でそうした生徒と職場をつなぐなど、サポートしてくれる人
がいなくて困っているということをおっしゃっていました。
ですから、地域の支援体制もあるんでしょうけれども、社会的に就労先の皆さ
ん方との理解を深めていただいたりして、学校との連携を本当に強めていくこと
が一人一人にとっては必要なんだろうなというふうに思うんですね。
この点では、私も、就職というとすぐ厚生労働省みたいなことになっちゃって
ニート対策、何対策という話がよくありますけれども、高校にそういう子供たち
を受け入れている、その子供たちの進路あるいは就職先ということについて、文
科省としてでき得る対策というのは何なのか、そういうことを当然お考えになる
べきじゃないかと思いますけれども、その辺について、馳副大臣、いかがですか。
○馳副大臣 高等学校ということになると、各都道府県の教育委員会が指導的な
一つの役割を果たすことと、今、法律によっていよいよ全国に発達障害者支援セ
ンターというのができておりまして、ここが福祉関係との連携役になっておりま
す。そして、就労ということを考えると、産業界との連携ということになってお
ります。そして、現実にそういう発達障害の症状をお持ちの方と職場をつなぐと
きに補佐をしてくれるのがジョブコーチ。
こういう労働機関との連携が必要になってきますから、ここはやはりネットワ
ークを活用しながら、まず高等学校の進路指導の先生方には、発達障害のそうい
う症状をお持ちの生徒に対する個別の指導、それから的確なマッチングができま
すように、就労先を探してくるということに当たってはまた発達障害者支援セン
ターとの連携をしていただく、そして現場に入るに当たっては、産業界の方に、
こういう症状で、こういう作業はできるけれども、こういうふうな人間関係はち
ょっと難しいですよとか、こういうことを伝えていただくということによって、
生徒一人一人に責任をすべて負わせるのではなくて、うまくサポートできる体制
をつくっていくことが必要と考えております。
これに関しましても、センターについても、去年がまだ全国で十六ほどしかな
かった、ことしで三十ぐらいになったのかな。徐々に徐々に全国でもセンターが
設置されて、そしてその機能を拡充していこう、充実していこうという段階であ
りますから、石井委員御指摘のことを踏まえて、教育関係者にもそのことは促し
ていきたいと思っています。
○石井(郁)委員 最後に、寄宿舎の問題で、一点伺っておきたいと思っていま
す。
今回、法案の七十三条の二に、「特別支援学校には、寄宿舎を設けなければな
らない。」ということがありますけれども、この寄宿舎について、教育的意義と
役割、特別支援学校になっても本当にその充実ということは変わらないというふ
うに受けとめていいですか。いかがですか。
○銭谷政府参考人 特別支援学校の寄宿舎につきましては、改正法案におきまし
ても、これまでと同様に、設置を原則としつつ、特別な事情がある場合には設置
しなくてもよいとしているところでございます。
それで、寄宿舎自体につきましては、やはりそこに寄宿する児童生徒の日常生
活の世話と生徒指導の場として非常に重要な役割を担っているというふうに考え
ております。
○石井(郁)委員 やはり寄宿舎は大変重要な役割をしているんですね。
それで、少し具体的なことで一、二点ですけれども、やはり今度、特別支援学
校として障害種などがふえたりしていくわけでしょう。それで、入寮する子供た
ちの障害種もふえてくるということを考えなければいけないということになりま
すね。
そうすると、指導員の配置というのはどうなんでしょうか。また、指導体制と
か居住空間も障害種ごとに配慮が必要だということを考えられると思うんですけ
れども、そういう場合の財政的な保障などがどうされるのかという点はいかがで
すか。
○銭谷政府参考人 寄宿舎の指導員は、児童生徒の日常生活の世話と生活指導で
ある養育に従事する役割を担っておりまして、盲・聾・養護学校が特別支援学校
に一本化された後においても引き続きその重要性は変わらないわけでございます。
寄宿舎指導員の配置につきましては、現行の配置水準を維持するという方針の
もとに、標準法に基づきまして、現行と同等の寄宿舎指導員の定数を算定するこ
とといたしております。その上で、特別支援学校の寄宿舎の運営が円滑に進むよ
うにしているところでございます。
具体的には、寄宿舎に寄宿する肢体不自由者を除く児童生徒数掛ける五分の一、
それから、それにプラスをして、寄宿舎に寄宿する肢体不自由者の児童生徒数掛
ける三分の一という数の合計数が定数ということになるわけでございます。
寄宿舎指導員の定数につきましては、こういった児童生徒数の数に着目し算定
しつつも、肢体不自由者など手厚い支援の必要な児童生徒についてはこういう手
厚い算定方法を今後とも維持していくということにいたしております。
○石井(郁)委員 この問題を質問いたしましたのは、お聞きしますと、全国的
には寄宿舎の統廃合だとか、あるいは職員の非常勤化だとか、あるいは入寮の条
件を遠距離に限定する、実質的に入寮規制をしていくということが伝わっており
ますので、やはりそれはうまくないんじゃないかというふうに思います。
この寄宿舎については、文科省も、毎日の生活を営みながら、生活のリズムを
つくるなど生活基盤を整えるという役割、また、自立し社会参加する力を培う重
要な場だということは認めておられるわけですから、また調査協力者会議の最終
答申にもそのように書かれていたと思いますけれども、ぜひ寄宿舎も充実させて
いただきたいということも最後に申し添えまして、きょうの質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○遠藤委員長 次回は、明十四日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分
委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時二十四分散会
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□ 編集後記 ------------------------------------ 17:08 2006/08/05 □
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台風が三つも発生し、本土を狙っています。ご用心下さい。
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