LD(学習障害)ニュース登録は こちら から。

前号 | 目次 | 次号

□ LD・発達障害等関連図書 → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/books/ □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LD(学習障害)ニュース #665 2006/08/07 発行 登録(配信)読者数 3,488 ■ ■ LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997/09/10創刊 ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼ LD親の会「けやき」の正会員・通信会員・賛助会員・ボラ会員募集中! ▼ ▲ 入会方法等はこちら → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/join.html ▲ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 第164国会 衆議院文部科学委員会 議事録(抜粋)(3) 2006/06/13 ■ □ 編集後記 ------------------------------------ 21:19 2006/08/07 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□■ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください ■□■□■ ■ LDニュースへ講演会等のイベント情報の掲載を希望される方へ・・・ ■ ■ 詳細は下記サイトをご覧下さい。原稿は適宜編集する場合があります。 ■ ■□■□■ http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/sample.html ■□■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 第164国会 衆議院文部科学委員会 議事録(抜粋)(3) 2006/06/13 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009616420060613019.htm −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ○遠藤委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸井田とおる君。 ○戸井田委員 自由民主党の戸井田とおるです。  きょう、ここの委員に所属はしていないんですけれども、どうですかと言われ て、ある意味で簡単に受けてしまったんですけれども、勉強すればするほど頭が 混乱してきて、しかし、ここに来て、今それぞれ四人の参考人のお話を聞いてい たら、非常にある意味でよくわかってきた。  また同時に、高原参考人も、本当にお母さんというのはやはり強いんだなと改 めて思いました。自分のことに置きかえてみると、そういうことに耐えられるの かな、日々のそういう生活の中で、まして自分の子供がということになると、本 当にこれは厳しいなと。まして、だれも周りに理解者がいないという状況でそれ に対応していくというものは、まさにスーパーお母さんと言えるような感じがす るんですね。  しかし、我々はそれでおさまっていたら仕方ないわけであって、少しでもそれ に近づいていこう、そういう体制を整えていこうということで今回の法改正にな ったんだと思います。  また、私自身も子供は三人おりますけれども、三人とも全部成人してしまいま した。しかし、その子供が成長する過程の中でもって、小学校、中学校の、特に 義務教育の時代にPTAでかかわることになって、その場で実はいろいろなこと を勉強させていただきました。障害者との関連、また、障害のある子供を持った 親御さんが、何としても普通の学校で教育を受けさせたいということでもって、 学校サイドも一生懸命それを受けようとして努力はするんですけれども、しかし、 なかなかなれないもので、逆に手をとられてしまう。  そのことを振り返ってみて、かつて、そのときにいた校長先生のところに実は 電話をしまして、当時のことを、簡単にしか聞いておりませんでしたので、もう 一度いろいろ確認しながら電話でお話ししていたんですね。そうしたら、大変長 い時間になってしまったんですが、その当時の受け入れていたお子さんが、もう 成人になっているわけですね。中学校でも、特に肢体不自由児でしたら、見たら わかるわけですけれども、松葉づえをついて、運動会でもやはり参加するんです ね。マラソンがあって、それには参加するのかしないのかといったら、やはり本 人は参加したい、非常に前向きな子でしたから、みんなと一緒にスタートするわ けです。  ところが、松葉づえをついてのマラソンですから、なかなか帰ってこない。し かし、子供に聞くと、みんな、じゃ、その子が帰ってくるまで待とうということ で、運動会でも会場全体で待つんですね。そこに本人が一生懸命帰ってくるわけ です。今思い出しても感動的な場面だったんだなと改めて痛感しますけれども、 その話をするだけでも込み上げてくる部分があります。その努力というものを、 やはり本人も大変だし、家族も大変だけれども、逆にその姿を見ていて、子供た ちに何よりもましての教育になったんじゃないかなというふうに思うんですね。  同時に、そこにかかわっている子供たちが一番だれよりも理解している。身近 にいて、そばにいて生活を一緒にしている子供たちが、その障害を乗り越えてと いうか、障害を障害と見ていないというか、自然にそれを受け入れて、クラスメ ートとしていく。  ほかにも、重度の障害、重度といっても学校に通えるぐらいでしたが、その女 の子がいて、先生は何とか、養護学校へ行った方がいいんじゃないかとかいう話 があったらしいんです。親が何としてもということで、卒業して、よかったわけ なんですけれども、後で養護学校の先生から、やはり今養護学校に通わせておい た方がよかった、それはなぜかというと、生活の基本的な、排尿の訓練だとかそ ういうことができていなかった、そう言われて、その先生もやはりまずかったの かなと思いながらも、今大人になって訪ねていくと、学校時代の友達でできたネ ットワークというか友達の関係というか、そういうものがやはりその人の財産に なっているなということを思ったら、そのとき、本当に養護学校へ行ってしまっ た方がよかったのか、それともこっちでみんなと一緒にしていたのがよかったの か、実は正直言ってわからないところもあるんですというようなことも言われて おりました。  ましてや、今お話のありましたLD、ADHDという障害になってくると、一 般の人にはなかなか理解できない部分があるということになると、専門家をやは りたくさん養成していくということが大事なんだろうというふうに思いますし、 また同時に、一般の人にそのことを知ってもらうことが大切だということを、今 お話を聞いていてもよくわかりました。  しかし、では、どういう方法でということになってくると、私は、最終的には やはり学校なんじゃないかなという気がするんですね。学校の中でそういう体制 をつくっていって、大人が理解できなくても、子供が、今のその先生の話を聞い ていたら、非常に理解が早い、また、それに対応できるということを考えてみる と、小学校の教育、中学校の教育というものをしっかりとこうした制度の中に立 ち上げていって、多くの理解者をつくり上げていくということなんだろう。また、 そんな子供たちが将来ボランティアで参加してみたり、そういう中でより理解を 深めていくことにつながっていくんだろうというふうに思います。  ノーマライゼーションという言葉を聞いてからかなり時間がたつわけでありま すけれども、その後にインクルージョンというような話も出てくる。最初は何な のかなと思いながらも、やはり少しずつ理解が進んでいくということ、そのこと の大切さというものを改めて痛感いたしております。  そこでお伺いしたいんです。  今回のこの体制をつくっていって、実際に今の状況の中に十分対応できるだけ の体制がとれるんだろうか、その辺のところをそれぞれのお立場からコメントし ていただけたらありがたいと思うんです。 ○市川参考人 先生の御質問は、教育の中においてという御質問。  基本的に、きょう高原参考人がお話しになりました軽度発達障害の方というの は、今までと同じような指示をしても、指示がうまく入らないところがございま す。そうすると、これまでの対応ですと、指示が入らない、困った子供だ、もっ と指示を強くしていってやらなきゃいけないだろうというふうになるかもしれま せんが、これは逆でありまして、指示の仕方を変えればいいという発想にもし先 生方が立っていただくと、うまい指示の仕方ができるはずなんですね。ですから、 こういうような発想を先生方が持っていただけるかどうかが非常に重要な問題だ と思います。  先生御心配のように、そういう人材というか、そういうのがあるかということ でございますが、私自身は、年間、昨年五、六十回講演をやっておりますけれど も、そのうちの四分の三は教育関係です。ということは、教育の現場の先生方が、 実はクラスの中にそういう子供さんを抱えて困っていらっしゃるという現実もご ざいます、これは保護者の方も当然困っているわけでございますが。  してみますと、そういう先生方が非常に今ふえてきておりますので、私は、今 すぐにというわけにはいかないかもしれませんけれども、こういうような改正を 行って、さらに人材の養成の速度を上げていただくということで、少しずついい 方向に行くというふうに考えております。 ○上野参考人 こういったことが学校での理解からスタートしていくというのは そのとおりだと思います。その場合に、子供たち自身がそういったさまざまな人 たちがいるということを理解することはもちろんですが、やはり教員養成という 立場からも、教師もそうでなきゃいけない。そうしますと、一般の通常の免許で あっても、そのことについての新しい知識をどんどん入れなきゃいけないし、今 度の特別支援学校の総合的なところ、そこでもそのことが必要になると思います。  私は、その場合に、よい教育というのは、非常に多様なサービスが準備されて いて、それが選べるということ。今私たちは、そういう観点からいいますと、サ イズにしてもデザインにしても、わずかな靴を無理やり履かせようとしている、 そこがもっと多様になることだと思います。  ただし、このことが、先ほど私が申し上げた中で、聖域化といいますか、確か にこういった領域というのは、アメリカでも数倍のお金がかかるようです。しか し、聖域的にどれだけかかってもそれを実現するのかというと、私はやはり全体 的な調和の中で、多くの方たちがそのことを、その意義を認めた中で進めていく ということが大事ではないかと思います。そういう形の中で、必ず学校というと ころを中心にしてこのことは促進していくと思います。 ○姜参考人 私の居住しております大阪の現状を考えますと、現在の状況で、数 値的には、養護学校へ行く子供さん、あるいは特殊学級へ入学する子供さんが少 しずつでもふえているわけです。この少しずつふえているという理由が、少し考 えないといけない部分があると思っております。  といいますのは、子供の数が少なくなっていく状況の中で、実は地域の学校に 入ってくる障害児の数が多くなってきているんですね。そして、それに対して学 校の体制がどうとられているのかといえば、毎年毎年新学期を迎えるごとに、校 長先生が、ああ、来年うちにはこれだけの障害を持つ子供たちが来るんだ、教育 に関しては、何とか教員の数をふやしてくださいというふうにお願いをして回ら ないといけない状況が続いているわけです。そしてその中で、もし教員の方々の 確保が難しい状況になれば、補助教員という形でアルバイト的な人たちを入れて 補うという状況になっていると思います。  そういった現状を考えたときに、今回の法改正の中で、法文の中にそこまでは 触れられておりませんけれども、いかに人的配置を適正にして学校で受け入れる 体制をつくれるのかという部分がどうもまだ見えてこないというところは、私と しては懸念されるところです。もし、今のこの法改正の状況でやっていただくと すれば、その部分、今現に地域の学校に行っている人たちはいるわけですから、 そういった人たちをどう、ちゃんと支援していくのかという枠組みも同時になけ れば、これからまた軽度発達障害の子供たちに対する支援も学校側に求められて くるとなれば、余計に学校現場での重荷が非常に大きくなってくるのではないか と思われますので、ぜひとも国の方でも、こういった体制づくりを明確にしてい ただきたいと思っております。 ○高原参考人 先ほども申し上げたとおり、四十人一クラスという中に今いるわ けですから、国で出たのが六%、埼玉県は、実を言うと一〇・五%、一割なんで すね。というと、一クラス大体三人から四人いる計算になります。  その中で、例えばこの子たちが何らかの原因でパニックを起こしてしまった場 合に、先生がその子にかかわっている間、ほか三十何名というのは待ったを食ら っている状態です。そうなると、ほかの保護者から、先生、うちの子だっている わけです、そういう苦情がやはり来るんですね。果ては、おたくのお子さんがと いうようなこともじかに来ることもあるわけです。  ですから、そういう点にいきますと、確かに発達障害に関して言えば、先生方 がそれぞれ知識というのを持っていただくのはもちろんのことですけれども、や はりそれだけでは足りないものがあると思います。現に環境に応じてというのも 先ほど申し上げたとおりで、例えば、多動のお子さんであれば、大体集中力は十 五分と言われています。ですから、理解をされる先生であれば、四十五分を一回 の授業ではないんですね、この子たちは四十五分が三回ですと。そういう区切り の中で十五分単位で軽く場を転換するような、そういう指導をされる先生方もい らっしゃいます。これはやはり理解をされている先生方なんですね。  ところが、それが何人もいて、ましてこの障害というのは、ではADHDだか ら一律同じかというと、全部違います。そのお子さんによって全部症状の出方が 違いますから、それぞれに対応していくということであれば、私は人的な配置も もちろん必要だと思います。それと全体的な教育のカリキュラム、そういったも のもこの子たちに適したものというのが必要だと思います。 ○戸井田委員 どうもありがとうございました。  先ほどの私の小学校のときの先生が、やはり同じように、多分発達障害の子供 だと思うのですけれども、教室に入ってくるなりいきなりドアで寝転がって、そ れからすると、ふっとしたら、後、わあっと走り回るらしいんですね。教室じゅ う走り回って、それから自分の席にぽんと座ると、今度は人に絵本のあるページ を読んでもらって、それを読み終わると後は普通に授業に入っていけるというこ とで、最後、私はずっと絵本を読む役でしたということで言っていたんですけれ ども、その子の場合にはそれで何とか学校を卒業できたということでありました。  ケース・バイ・ケースで一つ一つに対応していくということは、教育に携わる 人の、まさに人材の内容というか、その知識があるだけでなくて、知識がなくて も、またそういうことを勉強しよう、またそういうことを理解しようとする、そ ういう姿勢が大事なんだなというふうに思うのですね。画一的なものであってす べてが理解できるものであればいいのかもわかりませんけれども、ましてやそう でないというお話を聞いてくると、やはりそれに対応する人間の質によって随分 変わってくるのかな。そういう中で子供をある期間育てなければならない。また、 将来にわたってその責任、責任というか子どもを自分が育てていかなきゃならな い、大人になったときはどうなっていくんだろうか、そういう不安感というのは 当然つきまとうんだろうと思います。  それを親だけに押しつけるというのは大変なことだろうと思いますし、また、 その理解を社会全体でもって深めていくということの意義、今回のこの法案を提 出し、そして成立させると同時に、そういったことを改めて広めていく責任が当 委員会にもあるんじゃないかな、私はそういうふうに思っております。  国民の中にも、多くの方は前向きにそれをとらえようとすることがある、だけ れども、個人的に自分の子供が例えば同じ教室でということになると拒否反応が 出てきたりするという実情がある、そういうものをどう解決していくのか。まさ にそれに携わる人によって随分大きな差が出てくるんだろうと思います。それを いかに普遍化してどう積み上げていくかというのが、やはり行政に課せられた大 きな責任だと思っております。  そのためにも、ぜひ今回のこの機会に、発達障害、また、新たに出てくる、障 害名だけを理解するのではなくて、そういう感覚よりも、もうちょっと広く、ど んな人間にもいろいろなプラス面もあればマイナス面もある、それを自分で背負 いながら生きていく、それを自分一人でなく、周りの人が知らず知らずのうちに サポートできる、そんな社会をつくっていく責任があるんだろうと思います。  きょうは参考人の四人の方々には、それぞれ大変お忙しい中、大変いい話を聞 かせていただきまして、本当にありがとうございました。姜参考人、そして高原 参考人も、また大変でしょうけれども、頑張って、御活躍を祈念しております。  以上で質問を終わります。 ○遠藤委員長 奥村展三君。 ○奥村委員 おはようございます。どうも、四人の参考人の皆さん、お忙しいと ころありがとうございます。民主党・無所属クラブの奥村展三でございます。  それぞれの立場で、いろいろ御体験なり、また、姜さんのようにみずから障害 をお持ちで、いろいろな御苦労をされてきたお話を聞かせていただきました。き ょうこうしておいでをいただいたわけですから、私がしゃべるよりも皆さんにい ろいろなお話をお聞かせいただきたいと思っておるところであります。  まず、市川先生、お話の中に、やはり教育だけではなく、福祉だとか医療だと か、あらゆる分野の連携といいますか、専門チームという言い方をされたかもわ かりませんが、特別支援教育という中にはいろいろあるんだよという意味のこと をおっしゃったと思うんですが、それをもう少し具体的にお聞かせいただきたい と思います。 ○市川参考人 先ほども申し上げましたけれども、私は、軽度発達障害の方は、 通常教育の中にも特別支援教育の中にも、両方に関係してくるということと、そ れから、他職種でございますね、これは、教育の中でコーディネーターが校内の 問題を、そして、さらにその場合、難しい場合は専門家チームの意見を求めると いう格好になっておりまして、これにつきましては、医療あるいは福祉、心理、 労働等の関係者というふうに理解しておりますが、やはりその中で、先ほどもち ょっと出ておりましたけれども、その子供さんの状態をどうとらえるか、どうし たらいいかということについて、やはり教育の観点から見るだけではなくて、ほ かの観点から見ていく、あるいはどうしたらいいかということを一緒に考えてい くという点で意味があると思います。  これとともに、昨年の四月から、議員の先生方がつくってくださいました発達 障害者支援法というのもございまして、これは文部科学省と厚生労働省が一緒に やっておりますので、この延長上にさらに広域的な支援体制をつくるということ も含まれておりまして、子供さんは学校に行っているだけではございません、そ の後学童クラブに行ったりする方も当然いらっしゃるわけですし、そういうよう な、広域的に考えていかなきゃいけないという意味で、ぜひ他職種の方も入って いただくということに意味があるというふうに私は考えております。 ○奥村委員 ありがとうございました。  先生のおっしゃるとおり、本当に広域的にこれに取り組んでいかなければ。お 子さんお一人お一人の症状もまた違うわけですから。  特に義務教育のいろいろな問題を今我々も議論してきたわけなんですけれども、 教育の現場だけにそれを任せていく、教育が悪いんだから教育の現場だなんぞと、 そうじゃなくて、やはりあらゆる皆さんとの連携をとりながら、先生のように医 療の方でいろいろと、先ほどおっしゃったように、高原さんとのいろいろな御指 導もしておられるようですけれども、そういうようにしてやはりセンター的な流 れでみんなが連携をとってやっていただくというのが一番大事だというように思 います。本当にありがとうございました。  次に、上野先生、長年の御経験でいろいろきめ細かくお話しをいただいたわけ です。特に、この改革が歴史に残る改革だとも先ほどおっしゃいましたけれども、 一番、私は、人間尊重の教育のモデル、教育システムをしっかりと構築していか なければならないというお話をいただきました。  そうなりますと、先ほど来いろいろお話を聞いていますと、小学校、中学校、 その段階の話は非常に我々も国等を挙げてやっているんですが、就学前の保育所 あるいは幼稚園、こことの連携といいますか、生まれて、お母さんの手、御家族 の手から離れて集団生活に入るわけですから、そこは保育所でありあるいは幼稚 園であるわけですね。そこからスタートなんですから、小学校、中学校に行った としても、その環境を、ある意味では、お子さんがどれだけ持っておられるかと いうことも大きなウエートがかかってくるのではないかなというように思うんで す。  ですから、先ほど上野先生がおっしゃったそういう流れの中にも、小学校、中 学校だけではなくて、私は、保育所だとか幼稚園、そういうものが連携をとりな がら、それがまた高校へ行かれても、あるいは社会人になられても、一体化した ものの連携がなければいけないと思うんですが、たっての私の思いですが、上野 先生、ひとつまた御意見を賜りたいと思います。 ○上野参考人 おっしゃるとおりだと思います。  ただ、これまであらゆる障害というものが、まずは学校教育、特に義務教育段 階からその制度を整えていくという、これは平成十七年から小中学校のところが 大体体制が整ってきましたので、この領域に関しては、幼児と、それから高等学 校にウイングを広げておられるようです。それは大変正しい方向ではないかと思 います。特に幼児は、早期発見と早期対応ということ、それからまた保護者の方 の本当に最終的な子供さんに対する責任やその重さを考えるときに、やはり早く からきちんとした専門家との情報の交換とか相談をしなきゃいけないので、そう いう意味ではまず幼児教育が子供の発達の中で大変大事な時期であるというふう に思います。  広域の問題もそうですけれども、時間的にも幼児からずっと始まってきますし、 それからまた、横にも、教育だけではなくて、さまざまな子供さんの生活に横に 広い連携システムということが大変大事だろうと思っております。 ○奥村委員 ありがとうございました。  それと、やはり環境整備といいますか、先ほども先生がおっしゃったように、 閉じこもったような形じゃなくて、高原さん、お名前出してあれですが、御経験 談を今お聞かせいただきましたが、やはり保護者の方々がオープンで、地域なり あるいは学校なり保育所なり幼稚園なりにそういうものを出していけるような環 境をまずつくってあげなければ、結局、義務教育なんだから教育だというふうな ことで、教育の現場も戸惑われる。そういうことを考えますと、ハンディがあっ てどうのというのじゃなくて、共存している人だ、ともに生きているんだという、 そこに着目しながら、社会がそのように変わっていかなければならない。それは、 教育の問題だけではなくて、あらゆる環境を整えていくというのは大事であろう と思います。  私は滋賀県なんですが、御承知のとおり、第一びわこ学園と第二びわこ学園。 第二びわこ学園はもう私の地元なんですが、あそこなり、近江学園等もあるんで すが、一麦寮だとか全部あるんですが、糸賀先生が大変全国的、世界的にも有名 ですが、本当に御苦労いただいて、私もいろいろお出会いさせてもらって御指導 を仰いできたわけなんですが、これを見てやってくれ、本当に汗してみんな頑張 っている、子供も一生懸命努力している、しかし、これをみんなが支えないかぬ のや、一部の職員だけが支える、保護者が支えるんじゃないんだ、地域の人なり、 みんながこうしてやってくれなかったらあかんのだということを、よく、行くた びに糸賀先生、私にも御指導くださいました。  そういうことを思いますと、大変皆さんそれぞれのところで御苦労があろうと 思うんですが、きょうは姜さん、遠いところからありがとうございます。わざわ ざ大阪から来ていただきました。厳しい社会の中で、本当に、こうして頑張って こられた。今の改正案についても、もっともっとこういうようにしてほしい、あ あいうようにしてほしいという思いがあろうと思います。どうぞ時間の許す限り ゆっくりやってください。 ○姜参考人 いろいろとあって、全部言い切ると時間がなくなってしまいますの で、重要な点、二、三申し述べたいと思います。  一つは、やはり先ほど来私申し上げさせていただいているように、地域でとも に生きてきた生活というのが、今どういうふうに生かされているのかということ を、本当に考えていただきたいということです。  例えば、この間、大阪では、知的障害を持つ子供たち、これまで学力検査のた めに高校へ入学することはなかなか果たせませんでした。ぎりぎり、定員割れを した高校に入学が認められるというようなレベルでとどまっていたものです。そ れがやはり、地域の中学校あるいは小学校時代からともに一緒に過ごしてきた仲 間と一緒に高校に行きたいという思いがずっと続いてきて、それが制度的に押し 上げられ、今般、大阪府の方で特別コースというものがつくられ、知的障害の生 徒さんを、まだまだ制度的には不十分ですし、入学定員も数が限られておりまし て、希望する知的障害の方々がすべて入れるということにはなっておりませんけ れども、やっと制度的に発足したということがあります。  これはやはり、地域でともに育ってきた子供たちが、高校でも一緒に、高等教 育機関でも一緒に過ごしたいんだ、そしてその中で生きていくためのいろいろな 努力をしていきたいんだということのあらわれだと思っております。それがまず 第一点です。  この制度の意義をぜひとも知っていただきたいということが一つと、あと一つ は、就学時健診というものが小学校に入る段階でありますけれども、そこで、や はりお母さんたちは、いわば専門家と言われる就学時健診の担当の方々にかなり 振り回されてしまっている部分が多い。  先ほど来、ほかの参考人の方々が、的確な情報が必要なんだということをおっ しゃっておりますけれども、その情報が何分にも、私、今大阪の地元で障害を持 たれた方の相談活動をやっておりますけれども、やはり相談に来られる方の心理 状況というのは、弱い立場に置かれているわけですね。何もわからない、どうし たらいいのかわからない。それに対して、僕なんかまだ素人の方ですから、なる べく同じ目線で話をしようとするんですけれども、やはり相手にとっては、相談 に乗る方は大きく見えてしまう。そうすると、やはり就学時健診で、そこで何か 言われてしまうと、もうそれに従わないといけないとか、あるいはどうしたらい いのか、ますます困惑に浸されてしまうということだと思います。  先生先ほどおっしゃったように、幼児期からの連携が必要ではないかというこ とでありますけれども、まだまだ大阪の地でも、保育所には行けても、小学校に 入る段階で壁になり、そういった健診の中で問題にされたりして、保育所でせっ かく一緒に学んできた成果がそのまま小学校にストレートに伝わらない、あるい は小学校で培ってきたその子をめぐる人間関係や教育的なノウハウも、やはり中 学校に行くときにちゃんと伝わらないという現状があります。  入学するたびに、親が、学校やそういった周りの関係機関に流されてしまいか ねない状況がまだまだあるということで、やはり親へのサポート、それも地域を 含めたサポートをどう打ち立てるのかということが必要なんではないかな。  その際、やはり就学時健診というものが強制であってはならないと思います。 一部の地域では、ちゃんと広報に、これは障害児の行き先を決めるものではあり ませんということで、受診の義務はないということが知らされておりますけれど も、そういった専門的な判断ということが、時に、当事者や親を逆にしんどくさ せる、あるいは苦しめてしまうことが多々あるということをわかっていただきた いし、その仕組みをもう少し、本人や親の意思をもっと酌み上げる形にしていた だければなと思っております。  以上です。 ○奥村委員 ありがとうございました。いろいろと、本当に頑張ってこられたお 話も聞かせていただいたです。  先ほど、私は、お話を聞いているときに、同級生との触れ合いがなかったとお っしゃっていましたね。どうですか、今はそういうことはありますか。 ○姜参考人 おかげさまで、高校で初めていわば現実社会の冷たさも知り、でも、 その中で、ようやく高校を卒業する時分には一緒に映画を見に行く友達もでき、 今でもその同級生たちとは連絡は時たまあります。  ですから、私にとっては、ある意味、高校というのは現実社会を知る現場であ りましたし、その中で、いかに自分が周りとのかかわりをつくって生きていくの かということを初めて身にしみて体得したところでもあります。その結果、今こ うしてこのような場で、お呼びいただいて、お話をするまでの人間関係をやはり 私自身がつくれてきたのだと思います。  そういった意味で、決してつらいことばかりではなかったけれども、それをき っかけにして、障害を持つ人たちは決して弱い力を持っていない、みずから生き るためのいろいろなすべを、周りとの関係の中でつくり出せるんだということを 今実感しているところです。 ○奥村委員 ありがとうございました。頑張ってください。  高原さん、いろいろ御経験のお話をいただきました。実は私も幼稚園を経営し ているんです。それで、保育所に入れるか私の幼稚園に入れるかということで、 結局、行政側が振り回すんですよ。これは私もじかに毎日毎日出会っているわけ じゃないんですが、職員なり園長から聞きますと、保育所がとらないから、うち でどうしてもとりなさいというように行政指導があると。しかし、それには職員 なり、環境整備、私立ですからしなければなりませんね。ですから、そういうよ うなことを現実に私も体験しています。  それと、先ほど申し上げたように、保護者の皆さんがなかなかオープンにしよ うとされないんです。これはやはり地域で、特に私なんか田舎ですから、隣近所、 本当に何百年という歴史のあるところですから、そういうところの人の、本当に ハンディをお持ちになっているということになると、萎縮されるんですよ。だか ら、オープンにされて、もっと保育所や幼稚園へ連れてきて、あれさしと言う、 気張って努力しなさいと言ってあげるんですが、やはりそこらは難しいところで すね。  ちょっといろいろ御経験の、御苦労いただいているお話を聞かせていただきま した。時間、もうわずかしかありませんが、どうぞひとつお聞かせいただきたい と思います。 ○高原参考人 確かに、以前、十年前です、以前の親御さんはやはりどちらかと いうと、わかってください、何でわかってくれないのというパターンだったと思 います。でも、最近は、今言われたとおり、診断が下っていても、例えば、先生 黙っていてください、絶対隠してとか、学校に言わないとか、何とかやり過ごせ ば大丈夫じゃないかなという方も非常にふえています。ですから、そういう中で、 もっともっと親子関係も悪化してしまったりとか、学校または幼稚園ですね。  最近、私、本当に保護者から反感を買うような発言をよくしてしまうんですが、 最近は、保護者の立場で、子供さんたちをきちんと見据えていない、障害を受容 できていないということが非常に強いかと思います。それにはやはり、これを言 ってしまったら何と思われるかなとか、よく言われるのが、いじめられてしまう んではないかとか、あと、言ってもわかってもらえないだろうというお母さん方 もいらっしゃるんですね。それと、成長すれば何とかなるんじゃないの、だった らば、今、何も無理をして言わなくても済むんじゃないかとか、そういったのが あると思います。  ですから、そうではないんだというのを、特に学校ですとか園ですとか、そう いった集団の場の中で、他のお母さん方から逆に指摘をされてしまって、それも いい指摘ではなくて、どうもあなたのお子さん違うんじゃないの、何かこうじゃ ないのと言われてしまうと、すごく親というのは閉ざしてしまうんですね。そう なってしまうと、非常に悪化してしまいます。  ですから、そうではなくて、まだお母さん方も真っさらな状態、先ほど就学時 健診とおっしゃいましたが、私の場合、乳児健診、こういう場できちんと、担当 している保健婦さんですとか小児科の先生方ですとか、そういった方がやはり早 期に発達障害等を見定めて、専門的にきちんとした指導をしていく。そこで第一 歩の、幼稚園ですとか保育園ですとか、そこできちんとした対応をされていく。 そして、お母さんたちもまだその状態ですから、真っさらなんですね。いろいろ 言われていませんから、ああそうかなと素直に受け入れていただけるような場が 多いと思います。  そして、乳児健診というのは大体一〇〇%の方が受けますから、まず、ここの 機会を逃さないでいてほしいなと思います。そして、身近に相談できる場、そう いったものがあったらもう少しお母さん方も変わってくるかなと思います。 ○奥村委員 ありがとうございました。  四人の先生方、お忙しいところ、どうもありがとうございます。終わります。 ○遠藤委員長 池坊保子さん。 ○池坊委員 公明党の池坊保子でございます。  四人の参考人の方には、お忙しい中、当委員会に御出席いただき、そして大変 有意義なお話を伺うことができまして、心よりお礼申し上げます。  四人の参考人のお話を伺って強く思いましたことは、障害児に対する知識が少 ないのではないか。特に、知的障害に対しては、このごろ、ようやっとこういう ものだ、こういうことなのですよということが知れ渡るようになりましたけれど も、まだまだ知識がないからどう対応したらいいかがわかっていない人が多いん だと思います。私の友人も、車いすの方がいらっしゃる場合、道を譲ったり、車 を押したりしようと思う、でも、知的障害の人にはどう対処していいかわからな いんだよ、だから、これをもっと、きちんとした知識をみんなに広めなければい けないんだという思いをいたしました。  それからまた、地域、社会、共同体の中でさまざまな人が一緒に生活している のが当たり前だという社会をつくっていかなければいけない。同世代の友人との 交流がない、地域の人との交流がないというのは、やはり私は問題だと思うんで すね。  豊中市の教育のお話をなさいました。私も大阪に属している政治家ですけれど も、ごく自然の中で、豊中市の方は、一般の人も、それから、将来教員になる方 も、障害を持っていらっしゃる方への知識とか対応がきちんとできるのではない か、そういうことが必要なのではないか。  それからまた、教育というのは何のためにあるのか。それは、社会人になるた めの基礎なんだと思うんですね。だから、社会人になったときにどういう生活が できるか、それを考えなければいけないんだというようなことなどを今伺って、 考えさせられました。  市川参考人にお伺いしたいんですけれども、市川参考人は梅ヶ丘病院、そして 青鳥養護学校分教室というのを併設されていて、医療と指導というのをきちんと やっていらっしゃると思います。先ほど、高原参考人のお子様が市川参考人のと ころにいらして、最初は嫌がっていた、でも、そのうちに、楽しいんだよと。私 はすべてはこれに尽きるのではないかと思うんですね。つまり、楽しいというこ とが大切なんだと思いますけれども、こういう指導、連携の中でどのような困難 がおありになるのか。それからまた、成果をたくさん上げていらっしゃいますけ れども、単純に、何で楽しいと子供が思えるのか、それを伺いたいと思います。 ○市川参考人 一言で言いますと、やはり自分のことをわかってくれているとい う気持ちではないかと思います。  基本的には、これは保護者の方にも通じるものだと思いますけれども、その子 供さんの状況をきちんと把握して、その子供さんの考え方を理解してあげられる かどうかだろうと思います。それができると、次にどういういい対応ができるか わかってきますので、そういう状況になりますと、子供さんの方でも、自分を受 け入れてくれる、これは楽しい環境だというふうに感じるのではないかと思いま す。  先ほどからの質疑の中で聞かせていただいておりますと、保護者の方について も全く同じことが言えるんだろうと思います。私は医療という立場におりますけ れども、基本的にはそういう人間関係というものが非常に重要だと思っておりま すので、一つ挙げるとすればその点かなというふうに考えております。 ○池坊委員 知識とともに、それの上に立った理解、そして愛情なんだというこ とだと思います。  上野参考人にお伺いしたいと思います。  先ほど、国の意思が大切だというふうにおっしゃいました。手段やプロセスに よって理念がゆがめられてはいけない、このことはしっかりと受けとめていかな くてはならないと思います。  国際的水準からいっても、日本はインクルージョン教育が低いのではないかと 思います。先ほど、アメリカやイギリスの例をペーパーの中に出していらっしゃ いました。また、教員の免許法についても、必ずしもグローバルスタンダードと は合致していないんだ、特別支援教育全体を視野に入れた障害種の考え方への転 換がまだ不十分だというお話をなさいました。  アメリカやイギリスの例を拝見したら、確かにきめ細やかにいろいろな種別に 分かれている。日本の場合にはまだ、何か、全部一くくりみたいな感じがするん ですけれども、その点についてちょっとお伺いしたいと思います。国際的水準も あわせて伺いたいと思います。 ○上野参考人 姜参考人も申されましたけれども、やはり、世界の流れというの がインクルーシブな教育ということですね。このことは、知らないということ、 あるいは一緒でない、分離するということの中でたくさんの差別が生まれる可能 性があるということですね。ですから、お互いに、場をなるべく近くして、知る ということが大事だと私は思っております。  ただ、そのことを、特に視覚障害、聴覚障害あるいは肢体不自由というような 障害種の方と、それから知的障害の方と、必ずしも同じ障害理解ではないんだろ うと思っております。つまり、いろいろなIT機器とかさまざまなものによって、 今、身体や感覚や、そういうところの障害の方というのは、一般の方たちととも にやる条件がどんどん整ってきております。ただ、知的障害の方の場合にはそう いう点が必ずしも同じではないので、やはりその障害の特性というものをきちん と理解した上で、何が一緒にできて、何をその子のために、その社会自立に向け てした方がよいのかということ、そういう中身をきちっと考えたインクルーシブ な教育が大事だというふうに基本的には思っております。  さて、免許のことになりますが、これは、例えばアメリカあたりを一つの例に とりますと、全就学児童生徒の大体一一%、そのうちの約半数がLDだと言われ ております。ですから、LDが最も多くて、それから言語障害、知的障害という ふうな順序で。もちろん、どんなに数が少なくても、それぞれの障害というのは 大事なんですけれども。ではありますけれども、そういう中でどう対応していこ うかということが全体的に考えられる。  ただ、日本の場合には、やはり歴史的な経緯で、これはもう昭和二十三年から、 盲・聾の義務化から始まりまして、三十年おくれで知的障害。そして、知的障害 が中重度の養護学校をつくるということに物すごくエネルギーがかけられたため に、そこに軽度の問題が少し時間的に、空白の時間があったのではないかと思い ます。したがって、重い軽いにかかわらず、どの子供たちも支援が必要なわけで すから、やはり全体的な視野ということから、また免許法についても考えていか なければならないんだろう。  今回の免許法については、盲・聾・養護学校の三特殊免許を一本化したという こと、総合性を持たせたということ、それから、それぞれの専門的なところに関 しては、それをまた積み上げていくような形でいくというような方向は、一つの 改善として大変よいと思うわけです。  諸外国を見ておりますと、例えばスペシャルエデュケーションという言葉を使 った方がいいと思いますけれども、そういう場合にも、必要な子供さんに対する 免許を、大学院レベルも含めて、どんどん習得していくという形で指導力をきち っと持った教員を育てていく。  こんなふうに考えますと、一気に変えていくことはなかなか難しいし、現実の 特殊教育諸学校を特別支援学校に変えます、それから現在持っている免許も新し い免許に切りかえていきますね。ですから、時間は多少かかると思うんですけれ ども、私は、こういう改革において一番大事なのは、最終ゴールという、これは 理念につながるものですけれども、そういうものをしっかり持って、そしてその 間、移行の間に、移行という名前のもとに子供さんを犠牲にしてはいけないので、 そこのところを大事にしながら変化させていくということが大事だと思っており ます。  そういう意味で、今回はやや、これまでの現状に少し配慮していて、その先の、 数からいったら軽度の方が絶対多いわけですよね。だから、一体、こういうふう な新しい次の体制に向かってどういうふうにプログラムしていくかというところ がちょっと見えにくいのではないかなという点で、免許についても、少し言い過 ぎたかもしれませんけれども、そういう意見を述べさせていただきました。 ○池坊委員 私も勉強会を重ね、さまざまなところに視察に行ってまいりました ので、まず教員のあり方は現状のままで移行するだけでは絶対だめだということ は深く感じております。今の体制では、なかなかこれは難しいのではないかと思 うところがございます。  姜参考人にお伺いしたいと思います。  インクルージョン教育は障害教育の理想であると思います。でも、現実には、 今の財政、今度第八次定数改善は見送られました。単年度として二百八十二人が 配置されただけなんですね。それで、また指導内容といったら、なかなかまだみ んな指導の仕方がわかっていないというのが現状ではないかと思っております。  その中にあって、参考人はどういうようなインクルージョン教育が理想という ふうに思われるか、お伺いしたいと思います。 ○姜参考人 まず、私自身は、学校でできることはまだたくさんあるのではない かと思っております。先ほど人的配置のことで御要望させていただきましたけれ ども、それだけではなくて、学校の先生方の工夫、それも学校全体での工夫がま だまだ足りないのではないかなというところは感じるところです。  それと、これは発達障害の方々も推進されようとしているところですけれども、 やはり地域で私たち障害を持つ者自身が、今同じ障害を持つ仲間を支えようとし ております。その社会的資源をぜひとも学校で使っていただきたいという思いが あります。  今現在、私どもも、時々学校へお伺いするなり、あるいは学校から呼ばれてお 話をさせていただくことがあるんですけれども、単に、障害者はこうやって生き てきているんだよ、こんなに困っているんだよというだけではなくて、どのよう なものを一緒に学んでいけば効果的に有効な教育がなされるのかというカリキュ ラムづくりも、先生たちだけで考えるのではなくて、私たち地域で生きる障害を 持つ仲間と一緒に工夫して考えていただきたいなと思います。  一つだけ例を申し上げさせていただきますけれども、実は一昨年、文部科学省 の事業の一環として、学校からの要請に基づいてNPOとの協調で進める事業と いうのがありまして、私もその一員として参加した経過があります。  その中で、学校の生徒さんが障害を持つ方々を調理実習に招待してくれるとい うカリキュラムを先生と一緒につくりました。ただ、やはり私たちがここは学校 の限界かなと思ったのは、障害を持った方五名、視覚障害やその他、言語障害も 含めて、多種多様な障害の方と一緒に行ったわけですけれども、生徒さんが駅ま で迎えに来てくださいよと。近くなんです。本当に学校の近くの駅です。そこで 自分たち障害者がどんなふうに乗り物に乗ってくるのかとかいうところも知って もらおうと思って提案させていただいたんですけれども、やはり学校の側は壁が 厚くて、駅まではちょっと無理です、校門のところまでしか行けませんというこ とで、少し残念に思ったわけですけれども。  でも、それでも、やはり私たちはその事業で改めて実感したのは、先生と私た ち障害を持つ者が一緒にこういったものをやれば、生徒さんたちはいろいろなこ とを考えてくれるんじゃないかな、いろいろなことを自分たちで考えてくれるん じゃないかということで、カリキュラムづくりを進めていったこと、その成果は やはり今後も生かしていきたいし、なかなか学校というものは外部の人たちとの つながりを持ってくれようとはしないわけですけれども、そういった取り組みを 進められるようなことがあれば、よりインクルージョンの教育というのは幅広く 取り組むことができるのではないかと思う次第です。 ○池坊委員 確かにそのとおりで、健常者の視点でいろいろなカリキュラムがつ くられるわけですよね。だけれども、そうでなくて、障害者の側、視点から、指 導ということも見直されていかなければいけないんだというふうに思います。  高原参考人にお伺いしたいと思います。  サポートというのは、サポーターは私は大変大切だと思うんですね。例えば知 的障害を持っていらっしゃる方も、信頼しているアドバイザーが幼稚園について 来てくれると、そこにいるだけで安心してみんなと溶け込むことができる。でも、 なかなか現状では幼稚園もそれを阻む、それから小学校も阻むということなんで すけれども、私はきめ細やかな対応は教員だけではもうできないと思うんですね。 だから、やはりサポーターがどんなふうに学校と連携をとっていくかが大切にな っていくと思うんですけれども、どういうサポーター体制がいいというふうにお 考えでしょうか。 ○高原参考人 今、学校現場におけるサポーターということでよろしいでしょう か。  確かに今、私どものいる埼玉県でも、私が住んでいるのは志木市というところ なんです。志木市では、確かに支援員という制度はあります。必要に応じて派遣 をします。ただ、発達障害に関しては、やはり知識としてないんです。ですから、 逆に対応を悪化させてしまうというケースもあります。  逆に今度は、支援員さんが学んでいらっしゃる方もいらっしゃるんですね。と ころが、まず先生との連携が図れないというのが一つの問題にあります。なぜか というと、先生が非常に忙しいということで、例えば支援員さんといっても、一 日二時間、週二回ですとか、一日フルにいるわけではないんですね。規定があり ますから、その時間の中でいるという状態です。その中で同じ教室にいても、先 生と支援員さん同士が連絡を図れないというのがあります。そこで、中には、先 生の側からは、では連絡ノートで、というようなやりとりをするとか、それもあ ります。  それと同時に、あともう一つは、志木の制度の場合でいきますと、支援員とい うよりも、何かその場の応急の処置をするというような担当の中に置かれてしま っているように思います。そして、先生の指示に従ってくださいというのがまず 限定でついてくるんですね。そうであるなら、先生がきちんと適宜の配置をして 適切な指示を出される先生であればいいんですが、そうでない場合は多分、支援 員さん、もしきちんとした知識をお持ちの方であっても、生かされないと思いま す。ですから、そういうのを超えられるような場というのは必要だと思います。  そして、その子にはもちろん、時には他の教室等でも適宜指導できるような、 そして、できれば私は、本来でいけば確かにサポーター、もちろんそれが必要で もありますし、実を言いますともう一点、副担任というような制度がもしあった ならばというふうに思うんですね。なぜかといいますと、サポーターということ では授業ができないんですね。ですから、先生の補助という形ではつけますけれ ども、やはり学校現場としては副担任制ですとか、子供さん一人に先生がかかっ た場合、もう一人先生がいれば、他のお子さんたちの授業もスムーズにいきます。  その点で、学校現場では、まず副担。そして、サポーターというのは、あくま でも補助というような形で。どうしてもいられない場合に、そのサポーターさん が別の、別室ですね、学校の場においてはできれば避難場所を、よく避難場所と いう言い方をしてしまうんですけれども、そういう場が余りにもなくて、例えば 要求すると、先生方はちょっと用意できませんというのが今の現状ですから、そ ういった点、サポーターとあわせて、場所ですね、その点もぜひ配置していただ きたいなと思います。 ○池坊委員 確かに、学級のクラスの人数ばかりを言われるんですけれども、私 は副担任というのは必要じゃないかなと思うんですね。つまり、人数が少なくて も、そこで動き回る子供がいたときに一人の担任じゃ対処ができないから、その 担任をサポートする人があったら、私は四十人学級でもきちんと対応できること もあるのではないかというふうに思いますので、これは、それぞれが英知を出し 合いながら、画一的ではなくて、この場所においてはどういう体制がいいのかと いうことも考えていかなければいけない問題だと思います。  これから地方格差が出てくると思うんですね。志木市は進んでいる方だったと いうふうに私は思っているんですけれども、いろいろな問題をそれぞれが抱えて いる。これをどうやって私たちが解決することができ、そして、子供たちに、二 十一世紀を担う子供たちですから、この国に生まれてよかった思えるような教育 ができるか、あるいはコミュニティーをつくっていけるか、それは私たちの責務 でもあると思いますから、連携をしながらこれから頑張っていきたいと思います。 どうぞ、皆様方、また力をかしていただきたいと思います。  ありがとうございました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ------------------------------------ 21:19 2006/08/07 □ ------------------------------------------------------------------------ 台風が三つも発生し、本土を狙っています。ご用心下さい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュースの記載内容に関する質問には原則として回答いたしかねます ■ ■ 編集に際し正確を期していますが最終保証責任は免責とさせて頂きます ■ ■ LDニュースの記載内容を転載される場合には必ず下記までご連絡下さい ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 親の会「けやき」連絡先 E-mail: keyaki@box.club.ne.jp [1999/03/12 から] ホームページ URL : http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/ [1998/07/31 から] LD 関連の情報交換・意見交流・質問は下記の「LDフォーラム」をご利用下さい LD-FRM URL: http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/LD-FRM/ [2000/08/17 から] ★ 挿入された広告内容や広告主と親の会「けやき」は一切関係ありません ★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ LD・発達障害等関連図書 → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/books/ □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  LDニュースは「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ を利用して発行してます ------------------------------------------------------------------------

「けやき」ホームページ | 目次


inserted by FC2 system