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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LD(学習障害)ニュース #520 2004/11/24 発行 登録(配信)読者数 3,397 ■ ■ LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997/09/10創刊 ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 発達障害者支援法案 衆議院・内閣委員会での審議を終了  2004/11/24 ■ ■ 第161国会 衆議院 厚生労働委員会 議事録    平成16年11月05日 ■ ■ 第161国会 参議院 文教科学委員会 議事録    平成16年11月02日 ■ ■ 第160国会 衆議院 文部科学委員会 議事録    平成16年08月04日 ■ □ 編集後記 ------------------------------------ 22:25 2004/11/24 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□■ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください ■□■□■ ■ LDニュースへ講演会等のイベント情報の掲載を希望される方へ・・・ ■ ■ 詳細は下記サイトをご覧下さい。原稿は適宜編集する場合があります。 ■ ■□■□■ http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/sample.html ■□■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 発達障害者支援法案 衆議院・内閣委員会での審議を終了  2004/11/24 ■ ------------------------------------------------------------------------ 発達障害者支援法案は、本日(11月24日)午後4時過ぎに衆議院・内閣委員会で の審議を終了し、本院へ送付されることとなりました。 審議の様子を衆議院ビデオライブラリで閲覧できます。下記サイトからリンクを 設定しておきました。ウィンドウズ・メディアプレーヤー対応です。 http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/2004/0082.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 第161国会 衆議院 厚生労働委員会 議事録    平成16年11月05日 ■ ------------------------------------------------------------------------ ビデオライブラリは下記で閲覧可能。 http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/2004/0074.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ○泉(健)委員 では、実際、具体的な、この児童福祉法の中身について話をさ せていただきたいというふうに思います。  今回、改正点が幾つかあるわけですが、まず私、冒頭申し上げたいのは、児童 虐待防止法を、以前、私もさきの通常国会では青少年の特別委員会の方で審議を させていただきました。あるいは、主務大臣というのが当時の小野大臣だったと いうこともありまして、私も内閣委員会に入っておりましたので、そこでも議論 をさせていただいたわけですけれども、この児童虐待防止法と児童福祉法の役割 分担をどういうふうに御認識をされているかについて、大臣からの御所見をお伺 いしたいと思います。 ○尾辻国務大臣 まず、今般改正をお願いしております児童福祉法でございます けれども、こちらは、児童福祉全般に関する一般法、こういうふうに認識をいた しております。そこで、今回の改正につきましては、児童虐待防止対策の充実強 化を図るため、児童相談所や児童福祉施設に関する体制などの児童福祉に関する 基本的事項の見直しをお願いしておるということでございます。今申し上げたこ とで、児童福祉法に対する、どういうふうに考えておるかということは御理解い ただけるだろうと思います。  一方、今度は児童虐待防止法でございますが、これは、そうした大きな児童福 祉の中の児童虐待に着目をいたしました特別法である、こういうふうに認識をい たしておるところでございます。  いずれにいたしましても、児童虐待防止という観点から見ますと、この二つの 法律は車の両輪でございます。一体のものとして児童虐待防止対策を私どもは総 合的に推進してまいりたい、こう考えております。 ○泉(健)委員 全くそのとおりのお話かと思います。  片一方が一般法であり、片一方が特別法であり、そして車の両輪という表現を なされたと思いますが、私はいい意味で、今児童虐待防止法も改正をなされ、そ して各党派の議員の力でこうした形の改正がなされたということで、ある意味、 新しいタイヤにかわった時期だというふうに思っております。  そういう中で、この児童福祉法もタイヤを今かえようというふうにしているわ けですけれども、そこでやはりバランスというものもしっかりととっていかなけ ればならないし、バランスのとり方というのは、小さい方のタイヤに合わせるの ではなく、やはり大きいタイヤに合わせなければならないと思うんですね。しっ かりとカバーできる、せっかく児童虐待防止法がつくった部分というものを有効 に生かせるような児童福祉法でなければならない、そういう認識を最初に持って いただきたいというふうに思っております。  そういうところの観点で考えますと、実は今、児童相談所が大変多忙な業務を 抱えていられるのではないのかな。私も幾つも児童相談所を回らせていただきま したが、我々は大体切り口としては、これまで、この数年間は、やはり児童虐待 という観点で児童相談所に訪問をするわけですね。しかし、そこには、当たり前 のことですが、養護相談もある、保健相談もある、非行相談や育成相談もある。 大変さまざまな、たくさんの業務を担っていられる。それで、やはり、実情を聞 いてみたら、虐待担当は二人だったり三人だったり、所長が兼任をしていたり、 大変厳しい状況で各児童相談所が行っているという状況がございます。  児童虐待防止法が今こうして改正をされたという中で、児童虐待のウエートが 児童相談所の中で随分と大きくなってきているわけです。電話一つとっても、二 十四時間のサポートも含めて、今、この児童虐待の問題で児童相談所は本当にご った返しているという状況です。  そういう中で、これまで児童相談所そのものには、今言ったような幾つもの相 談の項目があったわけですけれども、例えば、今もう一方で、この国会では、議 員立法で発達障害者支援法というのが審議をされることになっていますね。そう しますと、この発達障害に関してもさまざま相談に乗っていこう、そして発達障 害支援センターというところでは、相談に乗り、また判定をし、そして自立を促 していくためのプログラムというものも行っていこうという話になっているわけ です。  しかし、現段階の児童相談所における相談の種類及び主な内容というところを 見ますと、例えば自閉症相談というのが入っています。あるいは性格行動相談と いうのが入っている。適性相談、言語発達障害等相談というものが入っておりま す。  ここら辺の仕切りについて、例えば、今回発達障害者支援法ができるというこ とであって、そしてまた支援センターが各地に配置をされているということから 考えると、今後、この児童相談所の業務をこういったところに移していく、そし て児童相談所の業務を虐待の方に重点化をしていくというおつもりがあるのかど うか、これについてお伺いをしたいと思います。 ○尾辻国務大臣 まず、大きくお答えをいたしたいと思います。  今私どもが考えておりますのは、市町村の福祉事務所が大体最前線に立ってい ただいておるわけでありますが、福祉事務所がまず対応していただく。いわば一 次医療みたいなものかなと思っております。そして、それから深刻な事態が生じ ておるケースについて児童相談所が扱う。ですから、今の例えで言うと二次医療 を引き受けてもらう。こういう大きな役割の中でこの仕組みを考えたいと思って おるところでございます。  そこまで、大きくはお答えできるんですが、その先の細かな、具体的な話にな りましたら、よろしければ局長にでも答えさせますけれども、答えさせた方がよ ろしいでしょうか。 ○衛藤副大臣 児童相談所では、先生御指摘のとおり、児童にかかわる自閉症、 それから知的障害、発達障害、また生活のいろいろな問題等について相談にあず かっているところでございますけれども、虐待につきましてずっとふえておりま すので、児童相談所を全部虐待専門にということではなくて、専門員を補強する ということを明確に考えているところでございます。それが今回の体制整備の主 たる問題だというように認識をいたしております。 ○泉(健)委員 いや、そこの部分は非常にありがたい、評価をできるお話だと 思うんですが、実は、我々が回った児童相談所どこもそうなんですが、もう机自 身もいっぱい、あるいは施設が大変狭いというところがたくさんあるんですね。 そういう中で、では、総定員を本当にふやしたいということで予算をつけても、 ふやせるかという問題が一方であるわけです。ふやせないところというのもたく さんあるんですね。  そういうところから考えると、もちろん私は、今こうした虐待問題というのが クローズアップされていますので、あるいは以前であれば、非行の子供たちの相 談というのが非常に多かった時代もあったと思うんです。そういう、要は、時代 に対応して児童相談所というところが柔軟に組織がえをできるような状況になっ ていけないのかなというふうに思うわけです。  今回、例えばその一つの例として発達障害支援センターができるという中で、 こういった自閉症関係の子供たちが親とともに相談に行けるような、これは箇所 によりますけれども、そういったところもふえてくるということで、例えば、そ ういう地域においては、そういった相談業務をこちら側に移すという考え方もあ っていいと思うんですね。  要は、その辺の柔軟性を持たせていただければ、あとは地方で何とでもなる話 でして、そこはぜひ国の方が、柔軟にやってもいいというようなお話を地方に対 してしていただきたいというふうに思うわけです。  その辺は、例えばほかの問題でいっても、皆さん意外に思われるかもしれませ んが、鑑別所、あれは何だか、例えば非行、問題行動を起こした子供たちが行く ところだと思っているかもしれませんが、鑑別所によっては、地域に窓口を開い て、子供たちの鑑別をしますよと。鑑別という言葉はもともと何も悪い言葉では なくして、教育的に、例えばその能力を判断しますよということもできる機能を 持っていられるんですね。  例えばそういう機関もあるという中で、児童相談所がすべてここに盛り込んで いるのは、窓口としては非常に広くていいことではあるけれども、相談所業務と しては今いっぱいいっぱいになっているという現状の中で、そういったいろいろ な相談業務の切り離しというものも今後御検討いただけるかということについて、 いかがでしょうか。 ○尾辻国務大臣 今のお話を伺いながら思いまして、確かにそういう状況にある だろうと思います。  そこで、例えば、保育所の中にも地域子育て支援センターもお願いしておりま す。こういう事態でありますから、もうそうしたものをすべて、今の先生のお言 葉をかりると、柔軟に連携してもらって事に当たらないと大変な事態だと思いま すから、ぜひそういうことを考えて、また必要な指示はさせていただきたい、こ ういうふうに思います。 ○泉(健)委員 本当に大臣の御答弁というのは、私以外の質問のときにも非常 に明確で、必ず私の責任で指示をします、私が行いますと。本当に、そういった お言葉をいただけるというのは非常に勇気が出ます。それをしていただけるとい うふうにももちろん信じて、これからまた質問させていただくわけです。  もちろん、私たちは、第一義的には、この児童相談所そのものも、また大変古 い施設も多いわけですから、その改修にも手を伸ばしていただきたいですし、そ ういう中で、職員がたくさん入っていけるような環境もつくっていただきたいと いうふうに思っているわけです。もしそれができないのであれば、とにかく児童 相談所がパンクしないようにという心がけを持っていただきたいというふうに思 います。  次に、今回、市町村の役割が法律上明確化されるということと、児童相談所が 後方支援に回るということがあるわけです。  本当は皆さんに大きなパネルでも持ってきてと思ったんですが、私が懸念をす るのは、その市町村と児童相談所の連携、情報の共有化、一元化というものが本 当になされるような改革でなければならないというふうに思うわけです。  もちろん、各市町村での窓口で子供たちの相談をしっかり受けとめられるとい うことは大変すばらしいことだというふうに思っておりますが、少しその姿、イ メージをお伺いしたいのは、今回、相談業務が市町村になるというふうに考えて おります。専門的なものは児童相談所というふうにお伺いをしておりますが、先 ほど言ったような幾つも項目が分かれている相談の中で、すべての相談について これを市町村というふうに扱うのか、それとも、虐待についてだけ、軽いものと 重いものみたいな形で割り振りをするという話なのか、そこについてお答えをい ただきたいと思います。 ○衛藤副大臣 現在、児童相談所で扱っておりますのは虐待も含めてでございま して、市町村には、そういう意味では、今まで各地におきましても、障害者に対 する療育等においても非常に困っておった部分がございます。より身近な形に、 市町村にお願いをしよう、行きやすい、訪問しやすい形をとろうと。  ですから、できるだけ窓口を広げながら、その情報を早く得ていこう、そして 相談に応じながら、そこでどう振り分けるか。都道府県、児童相談所の方はそれ を後方支援したり、あるいは重篤な部分はすぐこちらにという形でやらせていた だこうというところを意図するものでございますので、先生がおっしゃいますよ うに、とりわけこの連携というものは非常に重要になってくるというぐあいに認 識をいたしております。 ○泉(健)委員 先ほど大臣が、福祉事務所がまず各市町村の窓口だというお話 をされましたが、今回、この児童相談に関して市町村にお渡しをしていくという のは、福祉事務所ということでよろしいですか。 ○衛藤副大臣 市町村はいろいろな形で努力をしてくれるものと思いますが、福 祉事務所であったり、あるいは児童家庭課みたいな形であったり、いろいろな町 村の窓口がございますので、どういうぐあいにやっていくかということについて、 これは協議をさせていただくというぐあいに思っています。市町村の独自性もち ゃんと認めていきたいと思っております。  また、各町村では、そういう窓口もちゃんとしていないところがありますので、 それをちゃんとつくってもらえるようにしようというぐあいに検討しております。 ○泉(健)委員 もう一つ懸念というか思うのは、今回のこの市町村への相談業 務、どれだけ移行されるのかというのがいまいちまだはっきりつかめない部分も あるわけですが、それに伴って、児童相談所の体制、配置、こういったものに変 更があるという認識でよろしいんでしょうか。 ○伍藤政府参考人 今回、通告の対象に市町村を加えるということで、通告する 国民から見ればどこへ通告してもいいわけでありますから、児童相談所に通告す る場合もありますし、それから福祉事務所に通告する場合もある。  ただ、市町村もその窓口に加わったということで、先ほど言いました虐待も含 めて、市町村にまずいろいろな相談が来るということは十分考えられるわけで、 その中から、非常に専門性を有するようなもの、難しい、困難な事例については、 市町村から児童相談所に送付していただいて児童相談所で扱っていただく、こう いうことになるわけで、これが事務的にいって具体的にどういうふうな配分にな るかというのは、なかなか現実を踏まえてみないとわからない部分がございます が、できるだけ軽度なものの前さばきは市町村にやっていただく、こういうこと でありますから、児童相談所の体制がこれによって相当軽減されるかというと、 そういうことはないんだろうと。  引き続き、やはり困難な事例、虐待相談の多くは児童相談所に送られてくる可 能性が高いわけでありますし、それから、市町村でやるそういう前さばきといい ますか、最初の段階の対応についても、具体的なやり方等について児童相談所が 後方から支援をしたり相談に乗ったり、こういう新たな事務も生じてくるわけで ありますから、事務量としては、今回の改正を機に児童相談所がかなり事務量が 大幅に軽減されるとか、これによって体制をかなりスリム化してもいい、こうい う実態にはないと思います。むしろ、全体として社会的に急増しておる虐待問題 に総力を挙げて、市町村も加わっていただいて、何とか対応していくというのが 実情ではないかなというふうに、感覚的な表現で申しわけないんですが、そうい うふうに思っております。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 第161国会 参議院 文教科学委員会 議事録    平成16年11月02日 ■ ------------------------------------------------------------------------ ビデオライブラリは下記で閲覧可能。 http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/2004/0073.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ○那谷屋正義君 次に、発達障害者支援法案提出の動きに関連して文科大臣にお 尋ねをいたします。  議員立法としての発達障害者支援法の国会提出に向けた取組が進行中でありま すけれども、同法案と密接に関連せざるを得ないと思われる小中学校におけるL D、ADHD、高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイド ラインが今年一月に文科省から発表されています。これはあくまでも試案である というふうに認識していますが、この試案に対しては、新たな障害を作り出し、 特化しようとする危険な一面があるとの懸念は依然払拭し切れていないところで ございます。  教育現場においては、さきの通常国会で成立した障害者基本法の附帯決議に盛 り込まれた、ともに生き、ともに学ぶという理念こそが基本となるべきことは論 をまつところではございません。特別支援教育の創意に満ちた進展を図るために も、ガイドラインが、あたかも法的拘束力を持つかのような強制、強圧的なもの であってはなりません。このことをまず大臣にしっかり確認したいというふうに 思います。  同時に、発達障害者支援法案があるべき特別支援教育構築の阻害要因にならな いように、どのような共鳴効果、いわゆるシナジー効果を発揮させていくおつも りか、併せて端的な答弁をお願いいたします。 ○国務大臣(中山成彬君) 発達障害者支援法案につきましては、議員立法によ りまして今次国会で法案提出、成立を目指す予定であるというふうに承知してお りまして、文部科学省といたしましても、その法案の動向を注視してまいりたい と、このように考えております。  なお、小中学校の通常の学級に在籍します学習障害、注意欠陥多動性障害、高 機能自閉症の児童生徒に対する教育的対応につきましては、ただいま御指摘もあ りましたように極めて重要な課題であると、このように認識しておりまして、こ れにつきましては、平成十五年三月の今後の特別支援教育の在り方についてとい う最終報告をいただいておりますけれども、これを踏まえまして、平成十六年一 月に小中学校におけるLD、ADHD等の児童生徒への支援体制の整備のための ガイドラインを作成し、各教育委員会や小中学校等に配布したところでございま す。  この本ガイドラインは、小中学校におきますLD、ADHD等の児童生徒への 支援体制の整備に当たり参考として活用されることを目的としたものでございま して、今後、このようなガイドライン等を参考にしながら、地域や学校等の実情 を十分踏まえた上で適宜工夫を加えて活用することが前提でございまして、各教 育委員会や小中学校に強制しようという性格のものではないと。今後、その活用 の成果や課題等を踏まえましてより良いものに改善してまいりたいと、このよう に考えております。 ○那谷屋正義君 先ほど鈴木議員の方の教育基本法の部分でも今の障害者教育の 部分についてお話がございましたが、是非よろしくお願いしたいというふうに思 います。  さて、三位一体改革にかかわって義教費の見直しというものが今出てきている わけでありますけれども、どなたが裏で糸を引いたのか、何の脈絡もなしに総理 が三位一体改革における税源移譲額として三兆円をぶち上げたことが、望まれる 教育改革の姿そっちのけで財政的見地のみが先行するという、教育現場で汗を流 してまいりました私からすれば容認し難い混乱を生む火種になっています。諸悪 の根源は、国民の真の声に背を向け続ける小泉総理自身の見識に帰するべきであ りますけれども、財政論の立場から検証しても、当事者たる財務省、総務省の間 においてさえ越え難い溝がございます。  ともあれ、あるべき教育改革を断行するためには、縦割り行政の弊害を乗り越 えて、関係省庁、地方六団体の英知を集めることが必要で、すべてが仲間、応援 者であるという確信を抱いての質疑であることを受け止めていただければ幸いで あります。  三位一体改革が目指そうとする全体像が全く見えてこないところに、場当たり 的な小泉改革の正体は明らかでございます。小泉総理は、就任に当たって米百俵 の精神を持ち出し、国家百年の大計は教育にありとの決意を表明されたはずです。 つまり、小泉内閣のよって立つ基盤そのものである大命題、米百俵の精神の具体 化と、今進もうとしている三位一体改革の整合はどこで図られているというので しょうか。透けて見えるのは、財政の帳じり合わせのために、やりやすいものか ら、取りやすいものからといった安易な発想でしかないのです。米百俵の精神を 投げ捨てるならいざ知らず、路線変更がないとするなら、国民的な議論を徹底的 に尽くした上で合意形成を図ることこそが小泉内閣としての最低限の責任の果た し方ではないでしょうか。この要諦をしっかり腹に据えた見識等を示していただ くことを強く求め、質問に移りたいというふうに思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 第160国会 衆議院 文部科学委員会 議事録    平成16年08月04日 ■ ------------------------------------------------------------------------ ビデオライブラリは下記で閲覧可能。 http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/2004/0080.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ○平野委員 ---(前略)---  実は、もう一つ大事なところで、これはぜひ大臣に深い御理解をいただいて対 処してもらいたいということなんですが、学習障害という、学習障害児に対する 教育現場でのあり方なんでございます。  我が国においても、非常に自閉症的になるとか、こういうような課題があった と思うのでありますが、今日まで、学校教育の閉鎖性といいましょうか、特殊教 育、養護教育あるいは一般教育、こういう格好できっちり垣根をつくって分けて いたものですから、こういう方々の状況というのが非常に把握が難しかったんだ ろうと思うんですね。文科省としては、今私申し上げましたように、LDである とかあるいは多動性障害であるとか、こういう方々が今どれぐらいおられるか、 今掌握しておられますか。 ○銭谷政府参考人 お答え申し上げます。  いわゆるLD児、ADHD等の発達障害を抱えるお子さんについて、平成十四 年に文部科学省が実態調査を行いました。これは判断が大変難しいわけでござい ますけれども、LD、ADHDの可能性のある児童生徒というのが、子供たちの 約六%程度の割合で通常の学級に在籍しているのではないかというふうに思って おります。 ○平野委員 通常の学級に約六%の方々がおられる。ということは、これは世界 的水準から見たら多いのですか、少ないのですか。 ○銭谷政府参考人 これも、先ほど申し上げましたように、判断基準が大変難し い軽度の障害の子供たちでございますので、どのようにその子供たちをとらえる のかということで、私は数字は大分違ってくるのではないかとは思っております。  ただ、一例を挙げますと、これはアメリカの精神医学会の、ちょっと古いので ございますが、一九九四年の報告によれば、いわゆるLD児が、学習障害児が公 立学校の生徒の約五%程度ではないかというふうな報告があるというのは承知を いたしております。 ○平野委員 私は、こういう子供さんも、非常に認定というんでしょうか判断が 難しいということで、ややもすると見過ごされてきた、こういう経過なんだと思 うんですね。  しかし、今までの教育というのは分離教育をしてきておりますから、知的障害 児、これは養護学校へ行く、あるいは聾学校へ行く、こういうことで、そういう 明らかに障害を持っている方々については、はっきりとした基準に基づいて分離 をしてきた、一般教室から外れていた。  私は、しかし、この社会においては、障害を持っている方々と健常児の人と一 緒に構成をする、そういう中での教育体系が好ましいと思うんですね。というの は、特殊学級に入れて、あるいは特殊学校に入れて、社会に出たときに、どうし てもその方々が社会になじめない、こういうことにもなりますから、私は、やは り通常学級の中に、学校の中にこういう障害児の方々も一緒に勉学をさせる、ま た、その中でもその方々に対して支援をしていくという制度設計に本来あるべき だ、こう考えています。  そういう中にあって、この今言われた学習障害児に対して今日まで逆に何もや っていない、こういうことであります。私は、早期発見をすればするほど回復が でき得る児童でありますから、そういう意味で、この問題について、今どういう 認識で、あるいは今後どういうふうに対応しようとしておられるのか、ぜひ御所 見をお聞きしたいと思います。 ○銭谷政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、例えばLD児につきま しては、聞く、話す、読む、書く、計算するなどの能力のうち、特定のものの習 得と使用に困難を生ずるというふうに一般に定義をされているわけでございます けれども、これの判定というのが大変難しいということがございました。  それで、文部科学省では、平成四年に調査研究協力者会議を設置いたしまして、 LDの児童生徒の指導方法に関する検討を開始したのでございますけれども、平 成七年に一度中間報告を出したところでありますけれども、これについていろい ろ御意見もございまして、さらに検討を進めて、平成十一年の七月にLDの定義、 判断基準、指導方法等を示した報告書を取りまとめた。それから、ADHDの子 供さんについて言いますと、平成十三年からこういう調査研究協力者会議を設置 して、教育的な対応について検討を開始いたしまして、平成十五年の三月に報告 書を取りまとめたところでございます。  それぞれについて現在、こういう特別な支援を必要とする子供たちに対して特 別支援教育推進体制モデル事業というものを実施いたしておりまして、例えば専 門家によるアドバイスでございますとか、あるいは、何よりも子供たちの実態を 把握するための校内委員会の設置でございますとか、それから巡回指導とか、一 体的な特別支援を行うように現在心がけているところでございます。  さらに、ことしの一月でございますけれども、こういう子供たちの指導に当た ってのガイドラインの試案を作成して、その指導の充実に取り組んでいるところ でございます ○平野委員 今、局長おっしゃいましたけれども、まだまだこれは緒についたば かりであります。  先ほども義務教云々という話もありました、財源が非常に不足していると言っ ておりましたけれども、こういう方々の対応の仕方をもっと積極的にやっていた だきますと、必ず回復するんです。健常者に戻るんです、もともと健常者と見過 ごしてきたんだから。ただし、何かの状態で学習障害が起こったために、その状 態で成人になってしまうということですから、早期にやはり発見をしていただい て、それに対する特別支援体制を組んでいただいたらもとに戻るわけです。そう いう対応は、将来的にはこの社会を構成する中に、より健常な人間として社会構 成をしていくわけですから、私は、これはぜひ通常の学校教育の中に、モデル云 々ということじゃなくて、早急に特別の支援学級、教室をつくっていただきたい と非常に思います。  複雑でわかりにくい、こういうことがあるんですが、私は、それ以上に、これ は厚生労働省の所管と、医療的な問題なのかどうかということと学校教育上の問 題なのかという、いわゆる縦割りの弊害によって谷間にあった課題だと思うんで すね。これをやはりぜひ教育的観点、教育的な中にもしっかりと取り入れていた だく、こんな体制をまずつくっていただきたい。モデルでつくりましたからそれ を順番にやっていきますなんて悠長なことを言わずに、すぐやれば治る話ですか ら、そういう体制をおつくりいただきたい。  大臣、どうでございますか。 ○河村国務大臣 御指摘の点、確かに、日本の教育の中でこの部分がおくれてお ったといいますか、対応が十分でなかったことも事実でございまして、これにつ いてはことしの一月にガイドラインも出したところでございますが、これも確か に、厚生労働省が、医学的な見地、いわゆる先天的な見方というのも一部ある。 しかし、今おっしゃるように、教育的な立場できちっとやることによってこれを 和らげ、また戻すこともできるんじゃないかということもある。これも含めて、 やはり特別支援教育の中に入れて、個々に対応するということが必要でございま す。専門的な治療的なものも必要な者は場合によってはそこへ行くということも あるかもしれませんが、これは原則普通学級で一緒に対応できる課題ではないか というふうに考えております。  今、現実に、六%とか言われる子供たちは普通の学級にいて、実際に、今まで と様子が違うということで、先生方もなかなか苦労されている。またこれに対す る専門家、また先生方の知見も少ないということでありますから、そういう方々 にもきちっとLD、ADHDに対する知識というものをもっとふやしてもらわな きゃいかぬ、そういう課題もございますけれども、方向としては、この子たちも みんな能力を持っております、それを活用できる方向というのは考えていく必要 がある、まさにそれが特別支援教育であろう、こういうふうに考えております。 ○平野委員 大臣、そこまで言っていただきましたから、ぜひ早期実現に向けて 取り組んでいただきたいと思いますし、特に家庭教育の中で、親御さんが自分の 子供を育児をしていく中で、やはり何らかの格好で気づいていくと思うんですね。 ところが、これは何かちょっと調子が悪いのかなという感覚で見過ごすケースも ある。一方、これは問題だと思っているんだけれども、学校に言いに行っても聞 いてもらえない。その学校がわからないんだから、これは何だろうという。した がって、相談に行くそういうツールがしっかりできていないところにやはり元凶、 問題がある。  一方、カウンセラー的な指導する人の育成、養成ができていない、こういう側 面もあるということですから、これはやはり家庭教育の中で、将来大事な日本の 宝ですから、その宝をしっかり育てていくための、こういう視点で見ていただか なきゃ、親御も責任あると思います、学校にもある、医学的な立場での見地も必 要だ。こういう三位一体の中で、少子という、少なくなっている子供さんを大切 にしっかりと、何かあったらすぐ回復できるような措置が現行の教育施設の中に 取り入れられるようにぜひ強く要望しておきたいと思います。  私は、養護学級であるとかそういう特別学級に分離をすることに対しては真っ 向から反対であります、将来社会復帰するときに物すごく壁があるように思いま すから。こういう社会が当たり前の社会なんだという国民的認知がやはり必要な んだろうと思っていますので、普通学級の中にこういう特別な支援教室の設立、 あるいはそういう教育の推進を切に願うところでございます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ------------------------------------ 22:25 2004/11/24 □ ------------------------------------------------------------------------ 発達障害者支援法案は、本日(11月24日)午後4時過ぎに衆議院・内閣委員会で の審議を終了し、本院へ送付されることとなりました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュースの記載内容に関する質問には原則として回答いたしかねます ■ ■ LDニュースの記載内容を転載される場合には必ず下記までご連絡下さい ■ ■ 編集に際し正確を期していますが最終保証責任は免責とさせて頂きます ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 親の会「けやき」連絡先 E-mail: keyaki@box.club.ne.jp [1999.03.12 から] ホームページ URL : http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/ [1998.07.31 から] LD 関連の情報交換・意見交流・質問は下記の「LDフォーラム」をご利用下さい LD-FRM URL: http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/LD-FRM/ [2000.08.17 から] ★ 挿入されている広告内容や広告主と親の会「けやき」は一切無関係です ★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ LDニュースは「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ を利用して発行してます

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