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■ LD(学習障害)ニュース #519 2004/11/20 発行 登録(配信)読者数 3,390 ■
■ LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997/09/10創刊 ■
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■ 発達障害者支援法案与野党共同で衆院提出条文一部修正? 2004/11/19 ■
■ 特別支援教育を推進するための制度の在り方 (中間報告案) 提出予定 ■
■ LDとその周辺の子どもたちへの理解と支援を求めて/横浜 2004/11/28 ■
■ 第11回 奈良YMCA軽度発達障害理解講座/奈良県文化会館 2005/01/23 ■
■ 社会保障審議会障害者部会 資料 発達障害支援に関する勉強会について ■
□ 編集後記 ------------------------------------ 00:21 2004/11/20 □
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■ LDニュースへ講演会等のイベント情報の掲載を希望される方へ・・・ ■
■ 詳細は下記サイトをご覧下さい。原稿は適宜編集する場合があります。 ■
■□■□■ http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/sample.html ■□■□■
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■ 発達障害者支援法案与野党共同で衆院提出条文一部修正? 2004/11/19 ■
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http://www.kobe-np.co.jp/kyodonews/news/4111901004290.html
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自民、公明、民主、共産、社民の各党は19日、自閉症や学習障害(LD)、
注意欠陥多動性障害(ADHD)といった発達障害のある子供を早期発見し、適
切な教育、医療などにつなげる体制を整備するための「発達障害者支援法案」を
衆院に共同提出した。
各党は法案の早期成立を目指すことで一致しているが、民主党は条文の一部修
正を求めており、24日の衆院内閣委員会で審議を始め、内容をさらに調整する。
【参考】発達障害者支援法案 http://shibuya.cool.ne.jp/pic0608/dev_2004/
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■ 特別支援教育を推進するための制度の在り方 (中間報告案) 提出予定 ■
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日本教育新聞 2004/11/12
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中央教育審議会の特別支理数育特別委員会は十一月二十六日、中教審総会に「特
別支援教育を推進するための制度の在り方について」中間報告案を提出する。従
来の特殊学級から特別支援教室(仮称)への転換など、大きな改編を伴うものだ
けに議論が続いたが、中間報告案では一定の方向性を出すところまでこぎつけた。
−−−−−中略−−−−−
小・中学校における制度的見直しについて
特殊学級等の見直しについては、協力者会議最終報告で提言された特別支援教
室(仮称)の構想について、「『特別支援教室(仮称)』の構想が目指している
システムを実現する方向で、制度的見直しを行うことが適当である」と述べてい
る。しかし、現行の特殊学級等を直ちに廃止する方向性は示されず、次のように
小・中学校における制度的見直しについて提言(要旨)している。
1研究開発学校やモデル校などによる先導的な取り組みを早急に開始するととも
に、固定式の学級が有する機能を堆持できるような制度の在り方や、教職員配
置および教員の専門性の確保の在り方について、具体的に検討を進めることが
適当である。
2通級による指導については、特別支援教育の観点から弾力的な運用が可能とな
る方向で見直しを行う必要がある。
3「巡回による指導」について、その制度的な位置付けを明確化する必要がある。
関係者の関心が高かった特別支援教室(仮称)については、特殊学級の現状や
長所、特殊学級が有する機能の維持を望む意見があること、などに配慮する必
要があるとし、研究開発学校やモデル校などによる先導的試行、特殊学級の長
所を生かす制度の在り方や教職員配置等の在り方についての具体的な検討を経
てから、特別支援教室(仮称)制度が実施される見通しとなった。
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【参考】特別支援教育を推進するための制度の在り方について(中間報告・案)に
ついては、文部科学省の公式サイトではまだ公開されていませんが、下
記サイト等で公開されています。
http://www.nginet.jp/box/monka20041020.pdf [ 2.73 MB ]
http://shibuya.cool.ne.jp/pic0608/[ 画像ファイル(gif)へのリンク ]
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■ LDとその周辺の子どもたちへの理解と支援を求めて/横浜 2004/11/28 ■
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主催者からの案内です。
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非行の奥に見えてきたこと
LD及びその周辺の子どもたちへの理解と支援を求めて
講 師 大阪少年鑑別所首席専門官 小栗正幸さん
子ども達の非行や、子ども達が起こす事件に対して、大人が理解に苦しむこと
が多いように思われます。大人は、なぜ?とかどうすれば良いのか?など問いま
すが、その答えを得ることは容易ではありません。
そこで、長年少年院や鑑別所で子ども達と真剣に向き合ってきた小栗正幸さん
にお話を伺います。小栗さんは、ご自身もLDの子をもつ親であり、LD教育士スー
パーバイザーでもあります。実際に少年院でも学習・運動・食事などはもちろん
多方面な関わりにLD教育の指導を実践し、目覚しい成果を上げられています。そ
の指導について小栗さんは、「軽度発達障害をもつ子達へのLD教育の実践は大き
な成果をもたらした。しかし、そうでない子にはもっと大きな成果があった。」
と話されています。
小栗さんがされてきた指導には、日常の家庭・学校・地域社会の中で活かして
いくヒントがたくさんあると思います。是非お悩みの保護者・学校関係・地域関
係の方にお聞きいただき、苦しみ悩んでいる子ども達と共に生きていく力になれ
たらと思います。
日 時 2004年11月28日(日) 午前10:00〜12:30 (9:30開場)
会 場 青少年サポートプラザ
〒220-0044横浜市西区紅葉ケ丘9―1 045-241-3131
(JR・市営地下鉄線桜木町駅・みなとみらい線みなとみらい駅下車
徒歩10分 もみじ坂青少年センター分館)
資料代 500円(会員 無料)
予定人員 200名
主 催 神奈川LD親の会「にじの会」
後 援 神奈川県教育委員会 横浜市教育委員会 川崎市教育委員会
横浜市 神奈川新聞厚生文化事業団
この講演会は神奈川新聞厚生文化事業団の助成金を頂いています。
参加申し込み 参加希望の方は、e-mailでお申し込み下さい。当日参加は定員に
なり次第締め切らせて頂きます。なお、会場には駐車場がありませんので、
公共交通機関をご利用ください。
e−mail rabbithashimoto@yahoo.co.jp
e−mail e-fukuda@khaki.plala.or.jp
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■ 第11回 奈良YMCA軽度発達障害理解講座/奈良県文化会館 2005/01/23 ■
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主催者からの案内です。
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日 時:2005年1月23日(日) 10:30〜15:30
会 場:奈良県文化会館小ホール(近鉄奈良駅東へ徒歩5分)
講 師:竹田契一先生(大阪教育大学名誉教授、大阪医科大学客員教授)
花熊暁先生(愛媛大学教授)
プログラム: 10:30〜12:00
講演『本年から始まる特別支援教育の最新情報』軽度発達障害への関わり方
竹田契一先生
13:00〜14:30
講演『ADHD、アスペルガー、高機能自閉への具体的な対応』
花熊暁先生
14:30〜15:30ーまとめ、質問への回答
竹田先生、花熊先生
定 員:250名(託児はありません。)
参加費:1000円(午前の部または午後の部だけに参加の場合も同額です。)
申込み方法:奈良YMCA教育センター(TEL0742−44−2291)へお電話
でご予約いただき、当日会場にて参加費をお支払い下さい。
主 催:奈良YMCA(E‐mail nrbunkyo@ymcajapan.org )
後 援:日本LD学会 奈良県教育委員会 奈良市 奈良市教育委員会
国際ソロプチミスト奈良
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■ 社会保障審議会障害者部会 資料 発達障害支援に関する勉強会について ■
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http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/03/s0330-8e.html
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発達障害支援に関する勉強会について
1. 趣旨
自閉症スペクトラム、注意欠陥多動性障害等の発達障害に対する適切な支援策
のあり方を検討するため、各方面の有識者、行政担当者による勉強会を開催し、
施策の方向性を検討する。
2. 参加メンバー
発達障害支援に関する有識者(別紙) 発達障害の診断、治療、教育、生活支援、
就労支援等に従事する実務家及び保護者
行政担当者(補佐・専門官クラス) 厚生労働省 障害保健福祉部企画課、障害
福祉課、精神保健福祉課 雇用均等・児童家庭局 母子保健課 高齢・障害者雇
用対策部障害者雇用対策課 文部科学省 初等中等教育局 特別支援教育課
* 公開の、勉強会形式とする。
3.開催状況とスケジュール
第1回 平成16年2月3日(火)行政施策説明とフリーディスカッション
第2回 平成16年2月17日(火)早期発見と診断について検討
第3回 平成16年3月2日(火)日常生活の中での支援、地域生活支援について検討
第4回 平成16年3月16日(火)専門的支援(相談、医療、療育、就労支援等)に
ついて検討
今後、4月中に2回程度開催し、施策の方向性を検討し、提案する予定。
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(別紙)
発達障害支援に関する勉強会有識者メンバー
明石 洋子 (社福)あおぞら共生会副理事長
市川 宏伸 東京都梅ヶ丘病院院長
井上 雅彦 兵庫教育大学助教授
氏田 照子 日本自閉症協会副会長
内山 登紀夫 大妻女子大学教授
緒方 明子 明治学院大学文学部教授
小川 浩 仲町台発達障害センター次長
小塩 允護 (独法)国立特殊教育総合研究所知的障害教育研究部長
加我 牧子 国立精神・神経センター精神保健研究所知的障害部長
小枝 達也 鳥取大学教育地域科学部教授
杉山 登志郎 あいち小児保健医療総合センター心療科部長
辻井 正次 中京大学社会学部助教授
野沢 和弘 毎日新聞環境科学部副部長
服巻 智子 NPO法人 それいゆ相談センター長
藤村 出 (社福)あおぞら施設長
宮崎 英憲 東洋大学文学部教授
(五十音順)
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<参考> 発達障害に含まれる主な障害について
○ 自閉症スペクトラム
以下の、自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群等を、一連の障害として
とらえた総称。脳の発達障害が原因とされており、広汎性発達障害ともいう。
(1)他者との関係づくりが困難、(2)コミュニケーションの障害、(3)特定の物
へのこだわりや、ごっこ遊びができないなどの想像力の障害、を共通の特徴とす
る。有病率は、英国で、8歳以下の0.6%とされている。
・ 自閉症
3歳位までに生じ、(1)他者との関係づくり (2)コミュニケーション (3)こ
だわり のすべての領域で障害がみられるものをいう。
知的障害を併うことが多い。
・ 高機能自閉症
自閉症のうち、知的障害を伴わないものをいう。
・ アスペルガー症候群
自閉症と同様の、他者との関係の障害やこだわりがみられるが、知的障害を伴
わず、言語的発達も良好であるものをいう。
○ 注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
多動性・衝動性、不注意・集中困難等により、社会的活動や学業に支障をきた
す障害。
有病率は、北米で、学齢期の3〜7%とされている。
○ 学習障害(LD)
知的発達に遅れはないものの、読字、書字、計算などの学習に特異的困難があ
る障害。
有病率は、米国で、生徒の5%程度とされている。
*なお、日本については、文部科学省が2002年に実施した「通常の学級に在
籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」により、
「知的発達に遅れはないものの、学習面や行動面で著しい困難を持っていると担
任教師が回答した児童生徒の割合は6.3%」とされている。
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発達障害支援に関する勉強会(第1回〜第4回)の主な意見等
1. 基本的な認識と考え方
● 広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)、注意欠陥・多動性障害、学習障害
等の発達障害を有する児は、児童人口の5%程度ないしそれ以上と推定され、頻
度が高い。
● 発達障害は脳の器質的又は機能的な異常によるものであり、障害そのものを
取り除くことは困難な場合が多いが、早期発見と適切な診断を行い、適切な療育
と環境調整を行うことにより、社会的機能を高め、改善する効果が期待できる。
● 発達障害児・者に対する保健福祉施策は、現状では、知的障害者施策の一部
として、部分的に行われているにとどまる。しかし、知的障害と自閉症等では障
害像も支援ニーズも異なるため、知的障害を伴うか否かに関わらず、自閉症等の
特性を踏まえた支援方策を考えることが必要。
● 知的障害を伴わない群では、知的障害がない故の深刻な課題もあるので、一
概に「障害が軽い」と捉えるのは適当ではない。
● 発達障害児・者への支援に当たっては、
> 幼児期から成人までの各ライフステージを考慮した連続的な支援
> 地域生活の中での支援
を基本とすることが必要。
● 発達障害の診断や訓練の手法は未だ確立していない。現時点で科学的にもっ
とも妥当な手法をとり、施策の実施と平行して研究等を進め、適宜見直しをする
ことが必要。
2. 障害の早期発見と診断
1) 早期発見、診断、早期療育の意義
● 自閉症については、早期療育により障害程度や適応の改善がみられるとのエ
ビデンスが出ている。
● 脳の神経ネットワークの形成に関する最近の知見からも、5歳までの介入が
有効と思われる。
● 早期に診断をつけることで、保護者が子どもを理解し、適切な育て方をする
ことができる。
● 典型的自閉症であれば3歳までに診断可能だが、高機能自閉症、ADHDではも
っと後にならないと明らかにならないこともあり、発見すべき時期は一律に決め
られない。しかし高機能群でも、1〜2歳時に保護者が「育てにくい」と感じて
いたケースがかなりある。
● 幼児期には、正確な診断を付けることより、育てにくい子に上手に対応でき
るよう、保護者を支援する視点が重要。
2) 早期発見につながる機会の確保
● 乳幼児健診の役割
> 乳幼児健診は早期発見の機会の一つとして重要であり、これに関わる小児科
医や保健師等の発達障害に気づく力の向上も必要。
> しかし、1回の健診で障害の有無を明らかにする「スクリーニング」と位置
付けるには、発達障害が短時間の限定された場面の観察では必ずしも明らかにな
らない、評価手法が未確立、過剰診断すれば保護者の不安につながり、様子を見
ましょうといった対応では療育が遅れる等の問題があり、慎重に対応すべき。
> むしろ乳幼児健診は、「スクリーニング」として病気や障害を発見・診断す
ることを強調するより、子育てに関わるさまざまな問題を拾い上げ、支援につな
げる機会と考えるのが適当。
> 健診結果をその後の支援につなげるためには、いきなり療育サービスに紹介
するだけではなく、ゆるやかなフォローのシステムも必要になる。このようなシ
ステムは地域特性や自治体の規模により異なる。
> フォローが必要だということを告げる人は、発達障害児の育ちの過程につい
て、豊かな見通しを持っていることが必要。「障害=不幸」という思い込みは払
拭し、段階に応じた対応方法や支援サービスの存在を知らせてほしい。
> 鳥取で試みられている5歳児健診は、注目すべき方法。
● 市町村等における母子保健相談等
> 子育てに困っている保護者はたくさんおり、その中に、グレーゾーンの子が
含まれている。このような相談ニーズに上手に応えることが必要。
> 特別な仕組みを用意しなくても、家庭や、保育所での接し方等を助言するこ
とで、対応できることも多い。
> 保育所の地域子育て支援機能も、活用すべき資源。
● 就学時健診との関係
> 就学時健診や相談は、学校教育の中で適切な支援を受けるために重要な機会
であり、幼児期の地域でのフォローとリンクさせるべき。特に、療育システムに
乗っていないグレーゾーンの子が、支援の対象として認識されないままにならな
いように。
> 幼児期から成年期までの一貫した支援という特別支援教育の理念の中で、就
学時健診を生かすべき。
3) 診断する医療機関等
● 児童精神科、小児神経科の専門別ではなく、両者が協力して発達障害を診る
ことが重要。国レベルの中核的医療機関で専門家を育てることも必要。
● 医師の卒前教育や、臨床研修で、発達障害を教える必要がある。
● 診断できる医療機関を増やすためには、経済的裏づけも必要(診断時、成育
歴聴取、行動観察等に相当の時間とスタッフを要する。再診でも、長時間の面接
を要する。ペアレントトレーニング、学校など関係者との調整等も、経済的裏付
けがない。)
● 診断した医療機関では、当面の育て方のアドバイスと、地域資源へのつなぎ
を行う。診断結果を告げる者に求められることは、健診の場合と同様。
4) 診断・評価の手法、道具類の開発
● 自閉症と知的障害はIQの構造が異なることから、別の評価システムが必要。
● 言語機能に偏らない、対人関係を評価できるツールが必要。
3. 日常生活・地域における支援
1) 日常生活や地域における支援を進める意義
● 地域の中で家族や友人とともに生き、働くという、誰にとっても当たり前の
暮らしを実現できるように支援するのが基本。
● 乳幼児期には子育て支援、児童期には教育や地域生活の支援、青年期には自
立の準備、就学・就労の支援、成人では就労、住まい、余暇、自立生活、結婚・
育児等も含めた支援が望ましい。
● 将来にわたって地域で暮らしていくためには、地域の中で生活のスキルを身
に付け、地域の中に支援者を育てていくことが必要。専門家はそれを援助する役
割。
● 本人の教育・訓練・治療という視点だけでなく、本人の周囲の環境を本人が
暮らしやすいように変えていくという発想が必要(自閉症バリアフリー)。
2) 日常生活の中での療育支援
● 家庭における支援
> 保護者が、障害の特性を理解し、適切な対応を行うことで、生活のスキルを
身に付け、社会生活への適応を良くすることができる。
> 保護者への支援では、保護者が身近に相談できる場や、保護者どうしのピア
カウンセリングが求められており、特に診断直後の支援が重要。また、ペアレン
トトレーニングも有効。
> きょうだいへの支援は、きょうだい自身のためにも、「親亡き後」の支援の
キーパーソンを育てるという意味でも重要。
● 保育所等における支援
> 「障害児保育」の範疇に入らない子どもに対する支援はまだ少ない。
> 保育士が、発達障害児の育ちの過程について理解を深めるよう、養成課程で
の教育や、その後の研修が必要。
> 保育所においても、特別支援教育が目指している支援と、連動する対応が行
われることが必要。「特別支援学校」が巡回相談で保育所をサポートするなど。
● 小学校・中学校における支援
> 発達障害児の育ちの過程で、小学校、中学校時代は特に重要。いじめにあい
やすく、いじめ体験が社会生活への不適応や精神症状につながる。
> 特別支援教育の理念の実現を期待している。
> 学校に対しては、間接支援(教員への研修等)、直接支援(専門家による巡
回指導)を組み合わせたサポートが必要。
3) 地域で支える
● 地域福祉サービス等による支援
> 家族支援としての、ショートステイ、レスパイトは必要。送迎、外出時の案
内のため、ガイドヘルプが必要な人もいる。
> 独立後の住まいとして、グループホームが適する人もいるし、集団が苦手で
もっと個別的な支援(フラットシェアなど)が適する人もいる。
> 独立後は、買い物、炊事、掃除などを援助してくれるホームヘルパーが必要
な場合もある(援助対象者をよく知っていることが必要。生活技術が身について
くれば、援助頻度を減らし、見守りに移行)。
> 権利擁護のシステムが必要。
> 日中の活動の場としての作業所が必要な人もいる。
● その他のネットワーク
> 地域の中で、ふつうの人々のネットワークによって支援してほしい。
> 公的支援以外の、NPOや当事者グループの活動も重要。
> 発達障害児・者は、さまざまな事件・事故に巻き込まれやく、また巻き込ま
れた場合にきちんと対応してもらえないことが多い。警察、消防、公共交通機関、
消費生活相談機関、地域の商店やコンビニ等、福祉専門家ではないさまざま機関
の人々に、発達障害を理解してもらうことが必要。
> 発達障害について、広く国民全体の理解を得る努力を、行政、専門家、団体
で行うべき。
> 発達障害は頻度の高い障害なので、身近なものであることが理解されやすい
はず。
> 自立した生活を送るためには、年齢に応じた余暇活動の場や、仲間、指導者
が必要。
● 当事者活動
> 与えられる支援から、当事者が主体的に関われるよう、エンパワメントの視
点が重要。
> 自閉症の認知の特性による「自閉症文化」というべきものがあり、それを安
心して共有できる場として当事者活動が重要。
> 当事者活動を、支援の受け皿の一つとして考えるのであれば、要するコスト
にも配慮が必要。
4. 専門的な療育支援 1) 専門的な支援の役割
● 生涯を通じてその人らしい当たり前の暮らしを実現するために、障害の状況
やライフステージに応じて、専門的な助言や支援が必要となる場合がある。
2) 相談支援
● 乳幼児期から成人までの長期的な視点、生活支援の視点から、諸サービスが
コーディネートされる必要。
● 自閉症・発達障害支援センターを少なくとも各都道府県に一つおいてほしい。
● 自閉症・発達障害支援センターの機能は、地域にある他の資源により変わり
うる。子どもの支援中心、就労支援中心など、いくつかの機能モデル提示があっ
てもよい。
● 児童生徒期の支援は、学校(特別支援教育)中心となるが、それを自閉症・
発達障害支援センターが側面サポートする。
3) 医療
● 思春期は、精神的に不安定になり、体力的にも親を超える。行動障害や精神
症状に対して、児童精神科での短期の入院医療は有効。
● このようなニーズに対して、自閉症児施設(医療型)は十分機能していない。
増やす必要はない。
● むしろ、県に1ヶ所、総合病院に専門の病床があると良い。
● 成人の発達障害者の行動障害に、一般の精神病院では対応できず、適切な医
療が受けられない。
● 偶発合併症で受診する際、医療機関が対応できない。発達障害がある子も、
同等の医療が受けられなければならない。
4) 専門的療育
● 入所施設はなくす方向にすべき。しかし、現在、入所施設や病院内で長期化
している者は、行動障害や、家族の受け入れ等の問題を抱えている。
5) 就労支援
● 自閉症では、作業効率が不安定、対人関係の障害、パニックやこだわりのた
め、就労や就労継続が難しい。高機能群でも、サポートをしないと困難。また職
場の環境はすぐ変わるので、継続支援が必要。ジョブコーチの活用などが有効と
思われる。
● 養護学校からの就労には、特別支援教育の移行期支援(高等部〜卒後概ね3
年間)と、労働関係機関との連携が重要。
● 就労支援の一つの形として、例えば自閉症・発達障害支援センターで、就労
支援担当者に加え、協力機関型のジョブコーチを積極的に活用するなどにより、
年間新規10〜15人を就労させ、常時50人を継続支援することができれば、通所授
産などより効率的で自立につながる。
5. 基盤整備
1) 専門的人材の確保
● 医師、保健師、臨床心理技術者、リハビリテーション関連職種、保育士、教
諭等、発達障害に関連する職種の養成過程での教育の充実が必要
● 現任者の研修として、知識の伝達のみならず実地の経験を通して、発達障害
児のみかた、支援と育ちの過程、地域での生活の姿等を理解する機会が必要。
2) 普及啓発、広報
● 一般国民、行政職員、公共サービス職員等を対象とし、発達障害についての
正しい知識を啓発することが必要。
3) ツール開発
● 診断・評価の手法、支援手法等を確立することが必要。
4) 研究
● 発達障害の疫学、脳科学に基づく病態解明、療育効果の評価等の研究を進め
ることが必要。
5) 国レベルの拠点機能
● 国立等の中核的病院で、医師の研修などを進めることが必要。
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□ 編集後記 ------------------------------------ 00:21 2004/11/20 □
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いよいよ、「発達障害者支援法案」が衆議院で審議されることになります。ただ、
今の臨時国会会期内での成立は難しく、来年1月開会の通常国会での成立を目指
す、との観測もあるようです。
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ホームページ URL : http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/ [1998.07.31 から]
i-mode 版 URL : http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/i/ [2000.05.10 から]
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LD-FRM URL: http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/LD-FRM/ [2000.08.17 から]
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