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==================================================================== LD(学習障害)ニュース #209 2000.11.14 発行 登録読者数 2,838 LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997.9.10創刊 ==================================================================== ▼ LD親の会「けやき」の会員(正・通信・賛助)になってください! ▼ ▲ 詳細はこちら → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/join.html ▲ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 21世紀の特殊教育の在り方について(中間報告)全文掲載 その6 ■ □ 第4章 特殊教育の改善・充実のための条件整備について その1 □ □ 編集後記 ------------------------------- 23:15 2000/11/13 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください □■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 21世紀の特殊教育の在り方について(中間報告)全文掲載 その6 ■ --------------------------------------------------------------------    http://www.monbu.go.jp/singi/chosa/00000471/ から転載 21世紀の特殊教育の在り方について(中間報告) 〜 一人一人のニーズに応じた特別な支援の在り方について 〜  文部省 21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議 2000/11/06 発表 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 第4章 特殊教育の改善・充実のための条件整備について その1 1 盲・聾・養護学校や特殊学級等における 学級編制及び教職員配置について +-------------------------------------------------------------------+ | 1.都道府県教育委員会においては、各学校で児童生徒の実態等に応じた特|   色ある教育活動を積極的に展開するため、地域や盲・聾・養護学校の実|   態や規模、児童生徒の実態に応じて、機動的、弾力的に教職員配置を行|   うこと。 | | 2.都道府県教育委員会においては、指導の充実等を図るために必要がある|   と判断する場合には、義務標準法に基づく教職員定数を活用して、義務|   標準法で定められている学級編制の標準を下回る学級編制の基準を定め|   ることが可能となるよう法改正の準備が進められている点を考慮して、|   盲・聾・養護学校の児童生徒の実態等を踏まえ、必要の応じ適切な学級|   編制を基準を定めることについてを検討すること。 | | 3.盲・聾・養護学校は、その自主性、自律性を確立し、児童生徒の障害の|   状態等に応じた特色ある教育課程を編成することが求められているため、   学級という概念にとらわれず、より柔軟に工夫を凝らして多様な学習指|   導の場を設定するなど指導形態、指導方法を工夫すること。 | | 4.盲・聾・養護学校や特殊学級においては、総合的な学習の時間をはじめ|   とする多様な教育活動の展開や、自立活動や職業教育の指導の必要性に|   対応するため、非常勤講師や高齢者再任用制度等の制度を活用したり、|   地域社会の多様な人材を特別非常勤講師やボランティアとして活用する|   ことにより、幅広い指導スタッフを整備すること。 | | 5.小・中学校の特殊学級については、特殊学級の教育を教職員全体で支援|   するとともに、通級による指導については、対象児童生徒に対し適切な|   教育ができるよう教員の配置に努めること。 | |   また、盲・聾・養護学校の教員が通級による指導を実施したり、小・中|   学校を支援すること。 | | +-------------------------------------------------------------------+ (1) 障害のある児童生徒の教育については、自己のもつ能力や可能性を最大   限に伸ばし、自立し、社会参加するために必要な力を培うため、盲・聾   ・養護学校や特殊学級等において、障害に応じた特別な教育課程を編成   したり、専門性ある教職員を配置し、比較的少人数による指導を行って   いる。   盲・聾・養護学校では、従来から義務標準法で定められている学級編制   とは別に個別指導やグループ別の指導等を行ってきたが、近年、児童生   徒の障害の重度・重複化や多様化、社会の変化により児童生徒一人一人   に対する指導の内容、方法等の実態が大きく異なっているため、児童生   徒の特別な教育的ニーズに対応したきめ細かな指導が行えるよう指導方   法や指導体制の工夫や改善がますます必要となっている。   また、教科指導に加え、障害に基づく種々の困難を改善・克服するため   の自立活動の担当教員や教育相談担当の教職員、養護教諭等児童生徒が   学校生活を送る上で必要な教職員の充実が求められており、このような   教職員の定数の改善を図る必要がある。   各都道府県教育委員会においては、各学校で児童生徒の実態等に応じた   特色ある教育活動を積極的に展開するため、義務標準法に示されている   学校の学級数に応じた係数は、都道府県全体の教職員の総定数を算定す   るものであり、各学校への配置数を決めているものではないことを踏ま   え、地域や盲・聾・養護学校の実態や規模、児童生徒の実態に応じて、   機動的、弾力的に教職員配置を行うことが必要である。   (2) また、指導の充実等を図るために必要があると判断する場合に、義務標   準法に基づく教職員定数を活用して、義務標準法で定められている学級   編制の標準を下回る学級編制の基準を定めることが可能となるよう法改   正の準備が進められている点を考慮し、各都道府県教育委員会において   は、盲・聾・養護学校の児童生徒の実態等を踏まえ、必要に応じ、適切   な学級編制基準を定めることについて検討する必要がある。   なお、盲・聾・養護学校の指導の充実や地域の特殊教育センターとして   の機能の充実を図るため、盲・聾・養護学校間や盲・聾・養護学校と小   ・中学校間で交流教育や共同の授業研究などの取組を進めることが期待   される。 (3) 実際の指導に際しては、盲・聾・養護学校は、その自主性、自律性を確   立し、児童生徒の障害の状態等に応じた特色ある教育課程を編成するこ   とが求められているため、学級という概念にとらわれず、より柔軟に工   夫を凝らして多様な学習指導の場を設定するなど指導形態、指導方法を   工夫する必要がある。このため、各学校においては、このような多様な   指導形態、指導方法について教職員が適切な指導組織を構成したり、校   務を分掌するなど学校全体で取組む必要がある。   (4) 盲・聾・養護学校や特殊学級においては、今後、総合的な学習の時間を   はじめとする多様な教育活動の展開や、自立活動や職業教育の指導の必   要性に対応するために、非常勤講師や高齢者再任用制度等の制度を活用   して、自立活動、外国語教育、情報教育等に専門分野、得意分野を異に   する幅広い指導スタッフを整備することが求められる。また、地域社会   の多様な人材を特別非常勤講師やボランティアとして活用することによ   り学校の指導体制の充実を図ることも重要である。   また、近年、児童生徒の障害の重度・重複化や多様化に対応するため、   都道府県の中には、独自で福祉、医療と連携して理学療法士、作業療法   士等を特別非常勤講師として雇用する、看護婦等を非常勤職員として活   用したり他機関から派遣する、労働省所管の緊急地域雇用特別交付金制   度において情報技術の専門家を特別非常勤講師として雇用するなどの取   組が見られるが、こうした人材活用例を参考にして、今後、各都道府県   において、地域や学校の実態等に応じてこのような取組が進むことを期   待したい。 (5) 小・中学校の特殊学級については、特殊学級の児童生徒の障害の状態が   多様化しているため、それに応じて様々な教育課程の編成、実施が求め   られている。また、近年、通常の学級との交流が積極的に行われるよう   になっているが、特殊学級の児童生徒に対する指導は特殊学級担任教員   だけに任される場合も多く、ともすれば孤立しがちであるとの声が聞か   れる。このため、特殊学級を教職員全体で支援するとともに、通常の学   級の児童生徒への理解・啓発に努めるなど、学校全体で特殊学級におけ   る教育の充実を図っていくことが必要である。   通級による指導の導入に伴う教員配置については、平成5年度から実施   してきた第6次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画を、毎年度計画   的に推進し、平成12年度で完成したところである。今後とも、通級に   よる指導をうける児童生徒に対し適切な教育ができるような教員の配置   に努めることが必要である。   また、例えば、聾学校の幼稚部等において早期からの教育的対応によっ   て十分な言語習得を図り、小・中学校へ就学した難聴の児童生徒につい   ては、引き続き聾学校の教員が支援する必要があるとの指摘がある。こ   のような事例を踏まえ、小・中学校に就学した軽度の障害のある児童生   徒の更なる指導の充実を図るために、盲・聾・養護学校の教員がもって   いる専門的な指導力を活かして通級による指導を実施するなど、小・中   学校を支援することが必要である。   (6) なお、今後、就学指導の在り方の改善に伴い、特別な場合に小・中学校   に就学する児童生徒に対し教育上の配慮が必要になることが想定される。   今後、こうした障害のある児童生徒に対して適切な指導を行うために特   殊教育で培った指導方法等の知見を生かすことがますます必要になる。   このため、小・中学校においては、教職員全体が障害のある児童生徒に   対する理解・啓発に努めるなど学校全体で指導体制の充実に努めるとと   もに、日頃から盲・聾・養護学校との連絡を密にとり、障害のある児童   生徒への教育的対応についての情報を常に交換できるようにしておくこ   とが重要である。 2 特殊教育関係教職員の専門性の向上  2−1 特殊教育教諭免許状の保有率の向上及び今後の免許状の在り方に      ついて +-------------------------------------------------------------------+ | 1.可能な限り早期にすべての盲・聾・養護学校の教員が特殊教育教諭免許|   状を保有することが必要であり、設置者である各都道府県教育委員会等|   の積極的な取組が求められる。このため、各都道府県等においては、特|   殊教育教諭免許状の保有率等を踏まえ、特殊教育教諭免許状の保有率向|   上の目標と計画を策定し、次のような取組を進めること。 | |  1) 教員採用に当たって特殊教育教諭免許を有する者の採用を基本とする|    こと。 | |  2) 教員配置に当たって免許保有等の要件を明確にしたり、配置後一定期|    間に免許を取得するよう促すなどの工夫をすること。 | |  3) 認定講習の充実や情報提供などに努め、教員が計画的に単位を修得す|    る機会が得られ、免許が取得できるようにすること。 | | 2.国は、各都道府県における特殊教育教諭免許状保有率の状況を踏まえ、|   全国的に必要となる保有者数を把握するとともに、各都道府県教育委員|   会等の免許状保有率の向上のための目標と計画及び改善状況等を調査し、   教育委員会等における取組を支援すること。国立特殊教育総合研究所に|   おいて、情報通信技術を活用し、講義を配信するなど引き続き認定講習|   の充実に寄与すること。 | |   また、学校種ごとに定められている免許のほかに盲・聾・養護学校のす|   べての校種において教授することを可能とする「総合免許状」について|   は、関係者の意見を 聴取しながら検討すること。 | | +-------------------------------------------------------------------+ (1) 盲・聾・養護学校の教員については、児童生徒の障害の状態に応じて、   特別な教育的ニーズに応じた教育を行う必要があることから、小・中学   校等に比べて特別な専門性が要求される。このため、盲・聾・養護学校   の教員は、小・中学校等の教員のいわゆる基礎免許状に加えて、盲・聾   ・養護学校の学校種ごとの特殊教育教諭免許状の所有が必要とされてい   る。   しかし、現状では盲・聾・養護学校の教員の特殊教育教諭免許状の保有   率は、盲学校21%、聾学校31%、養護学校52%となっている。   各都道府県ごとの特殊教育教諭免許状の保有状況をみると、例えば養護   学校でおよそ9割から3割までかなりのばらつきがみられるが、保有率   の高い県では、特殊教育における専門性の重要性を十分認識した上で様   々な取組によって保有率の向上に努力し成果を挙げている。   具体的な取組としては、例えば、採用について、特殊教育諸学校の試験   区分を設け当該免許の保有を条件とするとともに、やむなく当該免許を   有しない者を採用せざるを得ない事情がある場合でも、できるだけ早期   に免許取得を求めているところがみられる。   また、小・中・高等学校との間で人事交流を行う場合には、特殊教育に   意欲があり、実践的な指導力を有する教員を配置するよう努めており、   当該教員が特殊教育教諭免許状を有していない場合には、免許状を取得   するよう促しているところもみられる。   さらに、特殊教育教諭免許のための認定講習について、例えば盲・聾・   養護学校を講習会場とするなど、教員が受講しやすくなるよう配慮する   とともに、近隣の県との間で認定講習の開設情報を交換し教員に提供し   たり、受講希望者を相互に受け入れるなどの工夫をしているところもみ   られる。 (2) このような実情を踏まえ、可能な限り早期にすべての盲・聾・養護学校   の教員が特殊教育教諭免許状を保有することが必要であり、設置者であ   る各都道府県教育委員会等の積極的な取組が求められる。このため、各   都道府県教育委員会等においては、特殊教育教諭免許状の保有状況や学   校の状況等を踏まえ、具体的な改善の目標及び計画を策定し、その実現   に向け、人事管理、教職員研修、教育指導など総合的な観点から次のよ   うな採用、配置、研修等を通じた取組を積極的に進めることによって、   特殊教育教諭免許状の保有率を向上させる必要がある。   第一に、盲・聾・養護学校の教員の採用に当たって、教員養成課程で特   殊教育を修め、当該免許を有する者の採用を基本とする必要がある。   第二に、教員の盲・聾・養護学校への配置に当たっては、当該免許の保   有その他の要件を明確にしたり、当該免許を保有していない教員を継続   的に配置する場合には、3年間など一定期間に当該教員が免許を取得す   るよう促すなどの工夫をする必要がある。   第三に、現職教員の当該免許の取得については、地元の大学や近隣の都   道府県等との一層の連携を進め、認定講習の充実や情報提供などに努め   ることにより、教員が計画的に単位を修得する機会が得られ、免許が取   得できるようにする必要がある。   なお、特殊学級や通級による指導担当の教員についても、児童生徒の障   害の種類、程度に応じた教育の専門性が必要であり、特殊教育教諭免許   状の保有者を充てたり、特殊学級や通級による指導担当の教員が特殊教   育教諭免許を取得するよう促すことにより専門性を高める必要がある。 (3) 国は、各都道府県における特殊教育教諭免許状保有率の状況を踏まえ、   全国的に必要となる保有者数を把握するとともに、各都道府県教育委員   会等が策定する特殊教育教諭免許状の保有率の向上のための目標と計画   及びそれに基づく毎年の改善状況等を調査し、教育委員会等における取   組を支援する必要がある。また、国立特殊教育総合研究所は、情報通信   技術を活用し、教育委員会と連携を図って講義を配信するなど引き続き   認定講習の充実に寄与する必要がある。   また、児童生徒の障害の重度・重複化や多様化が進んでいる中で、特殊   教育教諭免許状が、盲・聾・養護学校に分かれていることが現実に合わ   ない状況が生じている。こうしたことを踏まえ、今後、複数の障害に対   応した専門性と実践的指導力を有する教員を養成するため、学校種ごと   に定められている免許のほかに盲・聾・養護学校のすべての校種におい   て教授することを可能とする「総合免許状」について関係者の意見を聴   取しながらその創設について検討する必要がある。  2−2 研修の充実 +-------------------------------------------------------------------+ | 1.障害のある児童生徒の教育を支えるすべての教員が職務や役割などに応|   じて力を発揮できるよう研修の在り方を見直し、国と都道府県等が協力|   して教員の資質の向上に努めること。 | | 2.盲・聾・養護学校の教員の専門的な指導力の向上を図るため、研修目的|   や研修者の特性に応じて適切な研修プログラムを策定すること。また、|   インターネットや衛星通信など情報通信手段の活用を工夫し、研修事業|   の成果を効果的に普及し、活用すること 。 | | 3.特殊学級担当教員及び通級指導担当教員については、都道府県教育委員|   会等において免許状を保有する教員を配置したり、特殊学級や通級指導|   教室を設置する小・中学校に、特殊教育の理解の深い校長や教頭を配置|   するなど人事上配慮するとともに、研修の全体計画に位置づけ、経験年|   数やニーズに応じて計画的、体系的な研修プログラムの提供に努めるこ|   と。 | | 4.小・中学校の教員についても特殊教育に関する知識を身に付ける必要が|   あり、都道府県教育委員会等においては、小・中学校の教員の初任者研|   修等の中で、盲・聾・養護学校において研修を実施することを検討する|   こと。また、通級による指導を受けている児童生徒の学級担任に対する|   研修の機会を設けること。 | |   学習障害等の児童生徒への教育的対応について、国立特殊教育総合研究|   所において専門的な研修を実施するとともに、都道府県において専門家|   の巡回相談事業を活用し事例研究などを進めること。 | | +-------------------------------------------------------------------+ (1) 児童生徒の障害の状態等に応じたきめ細かな指導を行うためには、特殊   教育担当教員の資質の向上が必要である。このため、これまで、文部省   及び国立特殊教育総合研究所においては、種々の特殊教育に係る指導者   講習会や喫緊の課題に関する研修を行い、都道府県教育委員会等は職務   経験に応じた研修や専門教科等に係る基本的な研修を行うなど、それぞ   れが役割分担して研修体系の整備に努めてきた。   盲・聾・養護学校の教員については、各都道府県の特殊教育センター等   において、初任者研修、中堅職員研修、新任校長・教頭研修、自立活動、   専門教科、訪問教育、通級による指導など、経験、職能等に応じた研修   が行われている。   特殊学級担当の教員及び通級指導担当の教員についても、都道府県教育   委員会等では、特殊学級担任等を対象とした研修を行っているところが   多いが、特殊学級担任が他の教員に任せて学校外で研修を受けることが   難しかったり、研修の内容も、受講者の経験や力量などの幅が大きく、   多様なニーズに十分応じたものになっていないなどの問題がある。   また、小・中学校の教員については、障害のある児童生徒や基本的な指   導上の配慮事項などへの理解が求められており、都道府県の特殊教育セ   ンター等において、特殊教育に関する情報を広く提供するための公開講   座を実施したり、学校において、校内研修に特殊学級の研究授業を盛り   込むなど理解・啓発に努めているところもある。しかし、通常の学級の   教員が特殊教育に関する研修を受ける体制は、必ずしも十分ではない。   このような状況を踏まえ、今後、障害のある児童生徒の教育を支えるす   べての教員がそれぞれの職務や役割などに応じて十分力を発揮できるよ   う、研修の在り方を見直し、国と都道府県等が協力して教員の資質の向   上が図られるようにすることが必要である。 (2) 盲・聾・養護学校の教員を対象とした研修については、児童生徒一人一   人の障害の状態に応じた専門的な指導や障害の重複化に対応した一層き   め細かな指導ができる力の向上を図るため、それぞれの地域や学校の実   態を踏まえ、特殊教育に関する最新の情報や、必要に応じ福祉、医療、   労働などの関連分野と連携を図った研修の機会などを提供することが求   められる。平成13年度から実施される大学院修学休業制度を活用して   専門性を高めることも検討すべきである。   また、盲・聾・養護学校において専門性の高い教育の充実を図るために   は、特殊教育に対する十分な知識と深い理解を有する者を校長や教頭に   配置するよう配慮するとともに、校長や教頭に対する研修の充実を図る   ことが求められる。   さらに、他校種から盲・聾・養護学校への転任を希望する教員に対して   も計画的な研修が望まれる。   このため、都道府県の特殊教育センター等において、研修の目的や特殊   教育の経験年数などの対象者の特性に応じて一層適切な研修プログラム   を策定することが必要である。   また、インターネットや衛星通信など情報通信手段を活用したり、都道   府県主催の研修の受講修了者が市町村主催の研修の講師になったり、各   学校の校内研修において他の教員を指導するなどの工夫により、研修事   業の成果が効果的に普及し、活用されるようにすることが重要である。 (3) 特殊学級担当教員及び通級指導担当教員については、特殊教育に対する   基本的な理解、障害を改善・克服するための指導方法、子どもとのかか   わりや保護者への教育相談の心構えなどの知識・技能等の専門性が不可   欠である。しかし、一般的に、通級指導担当教員は、経験豊富な指導力   のある教員が配置されることが比較的多いが、特殊学級担当の教員につ   いては、地域によっては、経験の少ない若手の教員が配置されたり、学   校内の教員が交替で担当していることから、特殊教育に関する専門性が   必ずしも十分でない場合もあるとの指摘もある。   地域によっては、研修を行うに当たって、研修希望のある学校に指導者   を派遣し特殊学級における校内研修会を行ったり、特殊学級の担任が養   護学校の授業に参加して実践的な指導力を身につけるようにするなどの   工夫をしているところもある。   都道府県教育委員会等においては、特殊教育教諭の免許状を保有する教   員を特殊学級担当教員等に配置したり、盲・聾・養護学校との人事交流   を推進するなど、人事上の配慮を積極的に行うとともに、教職員研修担   当者と特殊教育担当者が連携を図り、特殊学級担当教員等に対する研修   を全体の研修の中に位置づけ、特殊学級担当教員等の経験年数やニーズ   に応じて計画的、体系的な研修プログラムを提供できるよう努める必要   がある。また、特殊学級や通級指導教室を設置する小・中学校には、特   殊教育に理解が深い者を校長や教頭として配置することや、新任の校長   や教頭に対する研修の充実を図ることについて配慮することが求められ   ている。   市町村教育委員会においても、都道府県教育委員会等と役割分担しなが   ら、特殊学級担当教員等の研修の機会の充実を図ることが期待される。   また、小・中学校の校長は、特殊学級担当教員等の専門性の重要性を認   識し、学校全体で協力して特殊学級担当教員等の研修の機会の充実に取   組むことが必要である。 (4) 小・中学校における通級による指導を受ける児童生徒の増加や学習障害   等への対応が求められていることや、盲・聾・養護学校と小・中学校等   との交流を進め、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流を   積極的に推進する上で、今後、通常の学級を担当するすべての教員が障   害のある児童生徒とその教育に関する理解と認識を深めることが必要と   なっている。   小・中学校の教員については、普通免許状の授与を受ける場合の教職に   関する科目として障害のある児童生徒の心身の発達及び学習の過程が含   まれることとなり、また、小・中学校の普通免許状取得希望者は、盲・   聾・養護学校や福祉施設における介護等体験を必ず行うこととされたと   ころであり、今後は、普通免許状取得者の特殊教育に関する理解が深ま   ることが考えられる。   また、教員養成大学等においては、障害のある児童生徒の発達や学習の   過程などに関する科目の開発を行ったり、授業の内容や方法の改善を図   るための組織的な研修や研究の充実に努めている。採用後も、都道府県   教育委員会等において、小・中学校の教員の初任者研修等の中で、盲・   聾・養護学校において研修を実施することを検討することが望まれる。   なお、身体に障害のある者が教員になることは、児童生徒の障害者に対   する理解を深めるとともに他の教員の特殊教育に対する関心を深め、学   校全体として障害のある児童生徒への指導体制の充実が図られるという   観点から極めて重要であり、各都道府県教育委員会は、教員免許状を保   有する障害者を積極的に公立学校教員に採用することが望まれる。   また、通級による指導を受けている児童生徒の学級担任が、通級指導担   当教員と連絡を密にしながら児童生徒の特別な教育的ニーズに配慮した   指導を行うことができるよう、通級による指導に関する理解や障害のあ   る児童生徒への指導上の配慮事項などについて研修の機会を設けること   が必要である。   特に、学習障害等の児童生徒への教育的対応について、関心が高まって   おり、こうした新たな課題に関する教員の理解と指導力の向上を図るこ   とが必要となっている。   学習障害等については、まだ実態が十分明らかになっておらず、指導方   法等についての調査研究を行っている段階にあり、必ずしも指導方法が   確立しているとはいえない状況である。また、地域によっては、専門の   指導者も確保できない場合もある。   このような状況から、ほとんどの都道府県等において学習障害等に関す   る研修が行われているが、研修日数が短く、研修内容は理解・啓発や実   態把握が中心になっている。   このため、今後、国立特殊教育総合研究所においては、学習障害等に関   する専門的な研修を実施する必要がある。また、都道府県においては、   文部省が各都道府県教育委員会に委嘱して行っている学習障害に関する   専門家の巡回相談事業を活用し、事例研究などを進めることが期待され   る。 (5) なお、今後、国立特殊教育総合研究所を中心に、全国の特殊教育センタ   ー等が一層の連携を図り、研修事業等に関する情報交換や研究協議等を   通じて教員研修の充実に寄与することが期待される。   国立特殊教育総合研究所においては、その総合的、実践的な研究の成果   を生かし、全国の特殊教育の指導者を対象とした講習会や喫緊の課題に   関する研修を一層充実するとともに、全国の特殊教育に関する研修事業   の情報をインターネット等を通じて提供したり、情報通信ネットワーク   を活用して研修の講義を配信するなど、各都道府県における研修の充実   を支援することが期待されている。   都道府県の特殊教育センター等では、研修事業の充実を図るとともに、   その成果を効果的に普及し、校内研修や自主的な研修を支援するため、   インターネット等により研修情報や公開講座の要旨などの情報提供をし   たり、マンツーマンで教員の相談に当たるなどの取組を行うことが望ま   しい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ------------------------------- 23:15 2000/11/13 □ --------------------------------------------------------------------  長文のため第4章を2つに分割して配信いたします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュース記載内容を転載される場合は必ず下記までご連絡下さい ■ 「けやき」連絡先 E-mail: keyaki@box.club.ne.jp [1999.03.12 更新] 「けやき」URL: http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/ [1998.07.31 更新] i-mode URL: http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/i/ [2000.05.10 更新] 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