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□ LD・発達障害等関連図書 → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/books/ □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LD(学習障害)ニュース #590 2005/08/27 発行 登録(配信)読者数 3,531 ■ ■ LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997/09/10創刊 ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼ LD親の会「けやき」の正会員・通信会員・賛助会員・ボラ会員募集中! ▼ ▲ 入会方法等はこちら → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/join.html ▲ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申素案)抜粋 ■ □ 編集後記 ------------------------------------ 18:00 2005/08/27 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□■ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください ■□■□■ ■ LDニュースへ講演会等のイベント情報の掲載を希望される方へ・・・ ■ ■ 詳細は下記サイトをご覧下さい。原稿は適宜編集する場合があります。 ■ ■□■□■ http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/sample.html ■□■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申素案)抜粋 ■ ------------------------------------------------------------------------ 中央教育審議会 初等中等教育分科会 特別支援教育特別委員会(第18回)議事録・配付資料 特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申素案) 平成17年 月 日 中央教育審議会 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/016/05081901/002.htm http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/016/05081901/002/005.htm −−−−−−−−−−−−−−−− 第4章 小・中学校における制度的見直しについて 1. 基本的な考え方  近年、小・中学校において、通常の学級に在籍しているLD・ADHD・高機 能自閉症等の児童生徒に対する適切な指導及び必要な支援が喫緊の課題となって いる。また、特殊学級に在籍する児童生徒や通級による指導の対象となっている 児童生徒についても、関係機関と連携した適切な対応が求められている。  さらに、平成16年6月4日に公布された障害者基本法の一部改正により、障 害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流及び共同学習を積極的に進める ことによって、その相互理解を促進しなければならない旨(第14条第3項)が 規定された。  これまで、小・中学校における障害のある児童生徒の教育は、主として特殊学 級等において行われてきたが、今後は、これらの課題を含め、学校全体の課題と して取り組んでいくことが求められる。その際、特別支援学校(仮称)のセンタ ー的機能が発揮されることを踏まえれば、小・中学校においては特別支援学校 (仮称)との連携協力を積極的に推進すべきである。  このため、小・中学校における特別支援教育の推進に関して、通常の学級も含 めた教育活動全体での適切な推進が図られるよう、関係法令等における位置付け について検討するとともに、教育委員会や学校における推進体制の整備を促進す ることが必要である。  また、小・中学校における特別支援教育の推進に当たっては、障害のある児童 生徒の保護者はもとより、通常の学級を担当する教員や、障害のない児童生徒及 びその保護者の理解と協力が不可欠となるため、国及び各教育委員会においては、 研修や広報活動等を通じた普及啓発を積極的に推進することが重要である。 2.LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒に対する指導    及び支援の必要性  協力者会議最終報告においては、通常の学級に在籍しているLD・ADHD・ 高機能自閉症等の児童生徒について、これらの定義と判断基準(試案)等を示し つつ、適切な指導及び必要な支援を行うための小・中学校の体制整備の具体的在 り方が提言された。  これを受け、文部科学省においては、平成16年1月に教育支援体制の整備の ためのガイドライン(試案)を作成し、すべての教育委員会及び小・中学校に配 布するとともに、平成15年度から開始された全都道府県教育委員会に対する委 嘱事業などを通じ、教育委員会に「専門家チーム」を設置することや、すべての 小・中学校において「特別支援教育コーディネーター」(後述)を指名すること 等を内容とする推進体制整備が行われることを目指している。  通常の学級に在籍しているこれらの児童生徒への指導及び支援は、学校教育に おける喫緊の課題となっており、引き続き小・中学校の体制整備を推進すること が必要である。その際、厚生労働省における発達障害者支援施策との連携を図る とともに、小・中学校の教職員や保護者に対する理解と啓発を一層推進すること が重要である。また、医師をはじめとする専門家の絶対数が不足していることか ら、その養成・確保の方策についても検討されることを期待したい。  LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒の状態像は様々であり、周囲の環 境によって変化することも多いため、個別的かつ弾力的な指導及び支援が必要と なる。このため、各学校における教育課程の実施の形態についても、通常の学級 における教員の適切な配慮、ティーム・ティーチングの活用、個別指導や学習内 容の習熟の程度に応じた指導等の工夫などに加え、必要に応じて、通常の学級を 離れた特別の場での指導及び支援を受けられるようにすることが有効である。  このため、後述のとおり、LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒に対す る特別の場での指導及び支援を制度的に位置付けることを含めて、現行制度の見 直しを行うことが必要である。その際、特別の教育課程を編成して指導すること が適当な者の範囲・要件や、その具体的な指導内容・方法について国立特殊教育 総合研究所における研究等を推進しつつ、検討を進める必要がある。 3. 特殊学級等の見直し  全国の小・中学校の特殊学級の平均在籍者数は約2.8人(平成15年5月1 日現在)となっているが、障害種別あるいは都道府県別の平均在籍者数には幅が あり、その運用実態は様々となっている。  特殊学級には、すべての時間を当該特殊学級で過ごし、教育を受ける必要のあ る児童生徒がいる一方で、相当の時間を通常の学級との交流教育という形で障害 のない児童生徒とともに過ごすことが可能な児童生徒もみられ、その実態は、児 童生徒の障害の種類や程度、学校の実情等に応じて様々である。  また、特殊学級を担当する教員については、当該学級に在籍する児童生徒への 指導に加え、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒に対する通級による指導 と類似した支援やいわゆる「巡回による指導」を行ったり、通常の学級を担当す る教員に対する相談支援を行ったりしている例もみられる一方で、十分な専門性 を有しない教員が配置されるなど、必ずしも効果的に活用されていない例もみら れる。  さらに、通級による指導については、指導時間数及び対象となる障害が限定さ れており、特別支援教育を推進する観点から、より弾力的な対応ができるように する必要がある。  協力者会議最終報告においては、「特殊学級や通級指導教室について、その学 級編制や指導の実態を踏まえ必要な見直しを行いつつ、障害の多様化を踏まえ柔 軟かつ弾力的な対応が可能となるような制度の在り方について具体的に検討して いく必要がある」とともに、「制度として全授業時間固定式の学級を維持するの ではなく、通常の学級に在籍した上で障害に応じた教科指導や障害に起因する困 難の改善・克服のための指導を必要な時間のみ特別の場で行う形態(例えば「特 別支援教室(仮称)」)とすることについて具体的な検討が必要」との提言が行 われた。  「特別支援教室(仮称)」の構想が目指すものは、各学校に、障害のある児童 生徒の実態に応じて特別支援教育を担当する教員が柔軟に配置されるとともに、 LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒も含め、障害のある児童生徒が、原 則として通常の学級に在籍しながら、特別の場で適切な指導及び必要な支援を受 けることができるような弾力的なシステムを構築することであると考えられる。  この考え方は、小・中学校における特別支援教育を推進する上で、極めて重要 であり、また、すでに特殊学級と通常の学級との交流教育という形で弾力的な運 用が行われている例があることも踏まえれば、「特別支援教室(仮称)」の構想 が目指しているシステムを実現する方向で、制度的見直しを行うことが適当であ る。 具体的な「特別支援教室(仮称)」のイメージとしては、以下の3つのタイプ が想定される。その配置に際しては、地域の実情に応じ、柔軟かつ適切に対応す ることが重要である。 ○ 特別支援教室(教室中心タイプ) 現在特殊学級に在籍している比較的重度の障害のある児童生徒を対象とするもの。 ほとんどの時間をこの特別支援教室で過ごすタイプ ○ 特別支援教室(交流中心タイプ) 現在特殊学級に在籍しており、過ごす時間の割合は障害の状態等によるものの、 相当程度の時間を通常の学級で交流している児童生徒を対象とするもの。 ○ 特別支援教室(通級タイプ) 現在通級による指導を受けている児童生徒を対象とするものであり、一部の時間 のみ特別な場での指導を行うもの。  その際、地域において障害のある児童生徒の教育を行うという視点に立ち、自 校の「特別支援教室(仮称)」が有する専門性を前提にしながら、特別支援教育 のセンター的機能を有する特別支援学校(仮称)、他の障害種別に対応した地域 の小・中学校及び関係機関との連携協力を進めるなど、各地域におけるニーズに 応じた総合的な支援体制を地域全体で構築することが重要である。  一方、「特別支援教室(仮称)」の構想が目指しているシステムの実現に向け ては、現行の特殊学級等を直ちに廃止することに関して、障害の種類によっては 固定式の学級の方が教育上の効果が高いとの意見があることや、重度の障害のあ る児童生徒が在籍している場合もあること、さらには特殊学級に在籍する児童生 徒の保護者の中には固定式の学級が有する機能の維持を望む意見があることなど に配慮する必要がある。  また、特殊学級等の各都道府県等における運用や在籍する児童生徒の実態に幅 がある中で、場や空間を指して用いられることが多い「教室」の制度化について は、現行の「学級」編制を基本とする公立学校の教職員配置システムとの関連を 検討することが必要である。  さらに、特殊学級や通級による指導を担当する教員には障害のある児童生徒の 教育に係る専門性が求められているところであるが、今後、LD・ADHD・高 機能自閉症等の児童生徒への指導及び支援を含め、「特別支援教室(仮称)」の 構想が目指しているシステムを実現するためには、担当教員のより高い専門性が 確保されることが必要である。  以上を踏まえ、「特別支援教室(仮称)」の実現に向けた第一段階として、ま ず、小・中学校における総合的な体制整備(後述)を着実に進めつつ、以下のよ うな現行制度等の見直しを行うことが適当である。これにより、小・中学校の通 常の学級に在籍するLD等の児童生徒に対する特別の場での指導及び支援が可能 となる。また、引き続き研究開発学校やモデル校などを活用し、その優れた実践 を全国に発信することも重要である。  「特別支援教室(仮称)」の構想が目指しているシステムの法令上の位置付け の明確化等のさらなる制度改正については、これらの取組の実施状況も踏まえ、 検討することが適当である。 ア. 特殊学級における交流及び共同学習の促進と担当教員の活用  小・中学校の学習指導要領では、「特殊学級又は通級による指導については、 教師間の連携に努め、効果的な指導を行うこと」や、障害のない児童生徒と障害 のある児童生徒との「交流の機会を設けること」が定められているが、その趣旨 が徹底されていない場合もみられる。  障害者基本法において、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流及 び共同学習を積極的に進める旨が規定されたことも踏まえ、特殊学級を担当する 教員と通常の学級を担当する教員の連携の下で、特殊学級に在籍する児童生徒が 通常の学級で学ぶ機会が適切に設けられることを一層促進すべきである。  また、交流及び共同学習の機会が充実されるとともに、特別支援学校(仮称) のセンター的機能が発揮されることを前提とすれば、特殊学級を担当する教員が、 通常の学級に在籍するLD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒への指導及び 支援も含め、これまで以上に特別支援教育に関する多様な役割を担うことも可能 となると考えられる。  以上を踏まえ、小・中学校において障害のある児童生徒一人一人の教育的ニー ズに応じて適切な指導及び必要な支援が効果的に行われるようにするため、特殊 学級を担当する教員の一層の活用を進めることが必要である。  また、特殊学級や通級による指導を担当する教員について、高い専門性を有す る者が適切に養成・配置されることが必要であり、任命権者である各都道府県教 育委員会等において、人事上の配慮が望まれる。 イ. 通級による指導の見直し  通級による指導については、現在でも、必要に応じ、高機能自閉症等を対象と することが可能であるが、これに加え、LD・ADHDもその対象とすべきであ る。このほか、指導時間数の制限を緩和することについても特別支援教育の観点 から弾力的な運用が可能となる方向で見直しを行う必要がある。  通級による指導の形態には、学校内での実施だけでなく、児童生徒が他の小・ 中学校や盲・聾・養護学校に出向く形態や、教員が他の学校を巡回訪問する形態 もみられる。今後、特別支援学校(仮称)のセンター的機能が発揮されるととも に、特殊学級担当教員の活用が促進されることによって、各地域の実情に応じて、 こうした多様な形態による運用が広がることが期待される。 ウ. いわゆる「巡回による指導」について  障害のある児童生徒に対する指導及び支援の一つとして、小・中学校や盲・聾 ・養護学校の教員が複数の学校を巡回訪問して指導を行う形態がみられる。この いわゆる「巡回による指導」については、LD・ADHD・高機能自閉症等の児 童生徒に対する教育課程外の個別指導として、週に1回未満の頻度で行われてい る例がある。  いわゆる「巡回による指導」のうち、定期的に実施されており、かつ、教育課 程の一部として位置付けることができる内容であるものについては、その制度的 な位置付けを明確化する必要がある。その際、いわゆる「巡回による指導」を受 け入れる学校における授業時間の調整、指導に当たる教員の身分、円滑な実施を 確保するための仕組みについても併せて検討を行う必要がある。  また、実施形態については、通級による指導と同様に、特別支援学校(仮称) のセンター的機能や特殊学級担当教員の活用も含め、多様な形態による弾力的運 用を可能とすることが適当である。 エ. その他  いわゆる院内学級については、現行制度の維持を前提としつつ、短期間の在籍 であっても学籍移動の手続が必要となることや、児童生徒数の変動を適切に反映 した学級編制を行うことが困難であるなどの課題が指摘されていることから、制 度の運用実態を見きわめつつ、その在り方について調査研究を行う必要がある。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ------------------------------------ 18:00 2005/08/27 □ ------------------------------------------------------------------------ 特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申素案)が公開されて います。LD (学習障害)ニュース #585 2005/08/04 でも既報のとおり、「特別支 援教室」(仮称)導入に向けたステップとして、通級指導の対象にLD、注意欠 陥・多動性障害(ADHD)児らを加えるよう提言しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュースの記載内容に関する質問には原則として回答いたしかねます ■ ■ 編集に際し正確を期していますが最終保証責任は免責とさせて頂きます ■ ■ LDニュースの記載内容を転載される場合には必ず下記までご連絡下さい ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 親の会「けやき」連絡先 E-mail: keyaki@box.club.ne.jp [1999/03/12 から] ホームページ URL : http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/ [1998/07/31 から] LD 関連の情報交換・意見交流・質問は下記の「LDフォーラム」をご利用下さい LD-FRM URL: http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/LD-FRM/ [2000/08/17 から] ★ 挿入された広告内容や広告主と親の会「けやき」は一切関係ありません ★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ LD・発達障害等関連図書 → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/books/ □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  LDニュースは「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ を利用して発行してます 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