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_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ _/ ■ ■■▲ Learning Disabilities NEWS → Since 1997.9.10 _/ _/ ■ ■ ▼ LD(学習障害)ニュース ----------------------_/ _/ ■ ■ ◆ ■ ■ ■■■ ■ ■ ▲▼▲ 1998.11.04 発行_/ _/ ■  ■ ▲ ■▲ ■ ■ ■  ■ ■    # 070   _/ _/ ■■■ ■■▼ ■ ■ ■ ■■ ■ ▲ ■ ▼■▲ ━━━━━━━_/ _/━━━━━━━━ ■ ▼■ ■ ▼▲▲▼ ■ LD親の会 _/ _/ 登録読者数 982 ■ ■ ■■■ ▼ ▼ ▼▲▼ 「けやき」編集 _/ _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■■■ この LD NEWS は「等幅」フォントでお読みください■■■■■ LDニュース読者用「掲示板」→ http://gb.jh.net/gb3/usr/keyaki.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ********* HEAD LINE ******************* ★ 日本LD学会第7回大会/筑波大学/に参加しました。【投稿】 ★ 日本LD学会第6回教育研修会/筑波大学/1998.11.3  ★ LDニュース読者用「掲示板」を設置しました。 1998年10月13日 ★ 編集後記 −−−−−−−− 19:51 98/11/04 ********************************** ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ 日本LD学会第7回大会/筑波大学/に参加しました。【投稿】 ---------------------------------------  LDニュース読者あんくるトム氏の投稿です。感謝いたします。 −−−−−−−−− 初めにお断り! いつも申しておりますが、以下の体験記は、あんくるトムが参加して自分で 感じた事を述べています。従って、発表をされた方や意見を申されたかたの 真意を、必ずしも理解していない面が有る事をあらかじめご理解の上、お読 み願います。 ----------------------------------------------  11月1日〜11月2日にかけて筑波で行われた、日本LD学会第7回大会に行 ってきました。  この大会への参加は、初めてだったので、期待はふくらまして「LDがっ かり」に参加した気分で帰ってきました。  教育関係者の研究発表には、身近なだけに関心が持てましたが、学者さん 方の姿勢には、戸惑いを感じました。  また、全国各地の親の会の方々が参加されていて、日ごろネットワークの 会議室でお世話になっている面々とも意見交換が出来て、有意義な時間も持 てました。  以下に、あんくるトムが受講した範囲での感想や、思った事を記述してみ ました。 <教育講演> --------------------------------------------  この講演では、特に目新しい内容は、ありませんでした。  検討中の課題として、次ぎのような事を話していましたが、これは、決定 事項でなく議題の一つとして、受け取ってほしいと協調していました。 ・小中学校に校内委員会の設置を検討する。  LD児を対象とした、専門化チームによる。  後は、スライドによる、日本のLD通級指導実験校の様子や、海外のLD 指導の様子を紹介したに過ぎませんでした。  まあ、文部省の動向が無ければ、こちらの進展も無いのでしょうが。。。 <LD児親の会企画シンポジウム> ----------------------- 「就労を目指す高等養護学校の教育」  高等養護は、知的障害児を対象とした、ほとんどが中学の特殊学級出身者 で占められ、一学級8名から9名で、一学年50数名程度で、全体で150名 程度です。  中学の特殊学級から入って来ると、大きな集団の中には言って来ると言う 感じとなり、社会への適応の訓練となる。  高等養護では、先生が生徒の就職準備のための作業学習の製品の注文のた めの活動中に、得られた企業からの障害児に改善を期待することとして指摘 された点を、生徒の指導に生かしている。  生徒の作った製品の売上は、横浜市の財源に計上されている。  タイムカードを使ったり、実際の生産ラインを再現したり、擬似的な職場 環境に近いものを経験させている。  高校の卒業資格は認定されるので、卒業後就職しないで、大学に進学する 道は残されているが、実際に大学の試験に受かるかどうかは、別の問題があ る。 「障害者雇用の現実」  電気神奈川福祉センターは、神奈川県内の電気情報関連機器産業の労働組 合が母体となって設置された社会福祉法人で、主に知的障害者の一般雇用の 支援を目的とした事業運営を行っています。  基本的な指導に関しては、高等養護と変わりませんが、大きな違いは、製 品の生産に伴う給金が支払われる事です。  神奈川県内に3箇所の地域就労援助センターを持っていて、主に学校を卒 業後、就職をしていない、あるいは離職した、あるいは離職の危機にあり就 労を継続しているかたを対象に、就労支援をすることを目的にしている。  また、雇用促進センターもあり、企業に対しての障害者の雇用を促進して いる。  企業のOBを採用して、作業室の環境を実際の現場により近い状態で再現 している。 「ありのままのあなたを支えるには」  見晴台学園は、愛知県にある(5年制の高等学校程度の)フリースクール です。  最近は、卒業後の相談が増えてきている。  子どもたちが豊かに自立して行くために、次ぎの事を考えて行きたい。 ありのままの自分で 自分の人生を自分で決めて行く 人生80年、自分らしく、ゆっくりと 親たちや、労働援助や企業の関係者、福祉関係者、そして学校関係者など幅 広い立場の人たちによる支援体制  シンポジウムを聞いて、気になったのは高等養護でも既に就労自立にター ゲットを絞っている事。  自分の子どもが小さいせいも有りますが、今の時点から将来の選択肢が限 定される事への寂しさを感じました。  この点に関しては、いっしょに受講した養護学校の教員の方が、今後の動 向によっては、将来的にもっと視野の広がった展開になる事も考えられるの で、逆に今お子さんが小さいのであれば、期待できる面も有ると言われて、 安心しました。  次ぎに、高等養護も電気神奈川福祉センターも、障害者手帳の取得を前提 においていることです。  題目にも「LDの就労を考える」とあり、LDの場合障害者手帳の取得者 が少ないと言う現実と合っていない面があり、質問が出ましたが、双方とも 知的障害者の雇用と言う視野で話をされている様で、LDに限定されている 様では無い様に受け取れました。  障害者手帳を武器にした就労を目指しているが、手帳を使った場合のデメ リットに関しての質問に対し、大企業ほど障害者雇用に力を入れるし、知的 障害者のほうが新たな設備の設置が必要無い場合も多く、受け入れられやす い反面、そう言った大企業は数が限定されており、近い将来的にパイがいっ ぱいになる事が、予想されている。  また、中小企業では、障害者雇用の助成金目当ての採用をする場合もあり、 助成が打ちきられる3年後に、解雇されてしまうケースも、見られるそうで す。  また、自立を前提とした場合、20歳になると障害者基礎年金というのが支 給されるので、賃金と組み合わせた場合、生活設計がしやすくなる面もある。  また、手帳の取得に関しては、本人の意思と言う問題も含まれます。子ど もが手帳の取得に関して、同意が有るのか、また、取得時に小さかった場合 には、その後納得する説明をされたのかということです。  障害者手帳を使って雇用がされた場合、通常賃金より安く雇用される場合 があったり、職場でのいじめやねたみがあったり、悪い面も有る訳ですから、 その辺を十分理解しておく必要がありそうです。  最後に、障害者が社会に自立して行く為に、日ごろから家庭でも自立に向 けての指導や支援を、子どもに対して行っていく必要が有る事を、再認識し ました。 <ワークショップ> -------------------------------------  ここでも、特に目新しい話しはありませんでした。  LDとADHDの関連に触れていた点があったぐらいです。  印象としては、LD児に見られると言うよりは、ADHDを併発している LD児の情緒・行動面の障害をテーマにしている様に、感じました。  それと、お医者さん同士で、親から見ると些細な事で、質問時間に重箱の 端を突つき合っている様な面が見られ、不快な感じを受けました。  親の立場からすれば、医者がこだわっている、テーマのLDと実際の症例 が違うんじゃないかと言う観点よりも、二次障害そのものに興味の対象が有 り、最も知りたい事である点である事のギャップをすごく感じました。  突っ込むポイントが、親とは全く違う視点だったと思います。 <ポスター発表> --------------------------------------  研究発表として、Aグループ16テーマ、Bグループ15テーマのポスターに、 各々1時間ずつ解説者が付き、発表テーマに関して、説明されていました。  関心を持ったテーマは、次ぎのものでした。 「LD児のインフォーマル算数」 「算数に問題を持つLD児への指導」 「ソーシャルスキルトレーニング活動における新しい試み−作業療法と音楽 療法の融合−」 「表現力の乏しさからストレスを感じるLDサスペクト児の事例」 「LDと思われる児童・生徒への学級担任の教育的対応に関する実態調 −その1−」 「高槻市LD指導支援ネットワーク」 <口頭発表> ------------------------------------------  3つのセッションに分け各々3テーマずつ口頭での研究発表がありました。  ここで、興味を持ったのは、 「通常学級でのLD児の支援−保護者と手を結ぶ中で−」 具体例を元に、学校現場と保護者との連携に付いての発表でした。 「通級指導教室における学習障害児などの個別教育計画に関する実践的研究 2」  これは、「注意集中力に問題の有る児童」の例をもとに発表されたもので す。 IEPの本来の名称は、「個別指導計画」ですが、これではIEP作成者が 孤立する事を憂慮して、あえて学校のバックアップ、親の参加を目的として、 名前を変えるなどの努力をしながら作成して、研究成果として発表している 点に共感が持てました。  ところが、昨日より不快な思いをしている、そんな事はどうでも良いじゃ ないかという質問がまた出ました。  「WISCの結果からすると、LDでなくて高機能自閉ではないかとか、IEPは、 個別指導計画ではないかとか。。」そんな事突っ込まないで、もっと実質的 な質問をして欲しい気がします。 「LD児の教科学習上のつまずきへの支援−体積課題をとおして−」  立体を認知する為に、自分の位置と支店を明示する為に、基準線とシール を用いた手法に感心しました。 <自主シンポジウム> ------------------------------------- 4つのテーマに分けて、4つの会場で行われましたなかの一つに参加しまし た。 「地域社会におけるLD児への援助体制」  宇都宮市の実例を踏まえて、発表と意見交換が行われました。  このシンポジウムの司会は、とても分かりやすく面白く、今回の学会の中 では、一番楽しい時間でした。  宇都宮市で、LDの対象を目的とした、通級指導教室を作った例でした。 現状では、LDの通級指導教室は認められていませんが、情緒指導教室は認 められています。  弾力的運用の具体的な実例と言えます。  また、通級指導教室を持った学校と、市の教育研究所との連携、親の会と の連携などで、実現した例として発表されました。  このテーマは、結構身近な問題なので、各地の親の会の関係者や、教育関 係者から意見が沢山出ました。  なかでも、面白かったのは、私塾の関係者の方が、世の中には進学塾だけ ではなく、障害を持った子どもたちにも個別に指導ができる塾も存在してい る。 親の会でそういう塾を乗っ取っちゃうぐらいのことをしても、良いんじゃな いかと言う意見でした。  特に学者の方達は、私塾の進学塾的な面しか見ずに批判的であるが、昔か らの個別指導が出きる塾だって有る事を、忘れては行けないんじゃないかと 言う、盲点を突かれたような感じでした。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ 日本LD学会第6回教育研修会/筑波大学/1998.11.3  --------------------------  LD学会大会終了後、第6回教育研修会が開催されました。概要のみお知 らせします。なお、Aコースについては次号で。  【Aコース】学習障害と心理検査(WISC-IIIを中心に)詳細は次号  【Bコース】学習障害児者の社会参加にむけて ●社会参加におけるつまずきを考える    −学校から職業の世界への移行をめざして−    「学習障害」を主訴とする青年の就労経験が教えてくれること     障害者職業総合センター 望月 葉子  専門学校卒業後就職したが離職。その後職業リハビリのサービスを受ける 中で、紆余曲折・様々な葛藤ののち療育手帳を取得し再就職した例。  大学卒業後、過去の体験基づく教育に対する思い入れにより、教育関連の 職につくが、職務遂行上の問題が生じ離職を考えたが、配置転換により職場 適応ができた例。  以上二例を参考にして、就労・社会的自立のための要件を考察。 http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/KEYAKI/MOCHI/MO_913.html 上記内容を参照して下さい。   ●トランジッション・プランとは何か?     筑波大学 山中 克夫  トランジッションとは日本語の適訳がないが、「移行」とされる。人生の 「節目」といった意味合いを持つ。  米国では障害がともなった(特別なニーズを持つ)児童の個別トランジッ ション・プラン(ITP)を作成することが、1990年の連邦法で義務づけら れている。  主に14〜22歳の児童・生徒を対象にして、就労・社会的自立を個別に支援 している。  ITPは本人・両親・教師・職業カウンセラー・職場監督他によって、チ ームを組んで作成されていく。 ●学習障害を持つ生徒のITP(個別移行計画)事例     筑波大学(院)水谷 由美  米国の中・高校生のITPの事例を3例紹介した。また、ITPの内容と しては、職業・高等教育、余暇・社交、自立生活の3項目について、本人の 現在のレベルを評価し、短期・長期の目標を設定。各項目とも支援の責任者 が設定されている。この責任者には本人・両親も含まれ、責任者が複数設定 されている場合は連帯責任と見なされる。 1)通常学級在籍の高校生・学外の職業体験プログラムにも参加。全般的な知  的レベルはやや高め。 2)LD児のためのリソース(通級)クラスに在籍の高校生。全般的な知的レ  ベルは中。 3)情緒、低学力の問題をかかえる中学生(16歳)。養父母が養育。自己評価  が低い生徒。全般的な知的レベルは低め。 ●トランジッションを考えるために    −具体的に分析し、想像してみよう−     筑波大学 熊谷 恵子  トランジッションを考えるために、当該児を次の3領域から具体的に分析 してみる。チェックリストの提案。 1)仕事や役割  将来の仕事(職業)や年少の場合は遠足・運動会等の場面での役割活動に ついて具体的に分析してみる。 2)余暇・社交活動  余暇活動を通じてストレスを発散し、社交活動を通じて社会的スキルを身 につけたりする。きわめて大切な意味を持つ。  当該児が適切に余暇・社交活動を過ごすために具体的に分析してみる。 3)自立生活  当該児の自立生活の要素をいくつか指摘し、具体的に分析してみる。例え ば、「身支度を自分で整えられるか」「買い物の仕方はどうか」など。  ●学習障害者の職業的自立のために     明星大学 梅永 雄二 学習障害児者の家庭教育と学校教育の考え方としては、ボトムアップ(底 上げ)ではなく、トップダウン(目的志向型)を意識して指導・訓練を行う べきである。  例えば、お釣りの計算が出来るようになるまで積み上げてから、買い物に 行かせるのではなく、必要なものが確実に購入できることを目的としてあら かじめ設定し、実際に買い物に行って、本人の能力・スキルを駆使しその具 体的場面・体験のなかで習得していく。  職業適性についても、本人を仕事に合わせるのではなく、本人に合った、 仕事・作業・環境を探していく。そのためには、本人の職業評価も机上のも のではなく実際の職場内評価(Situational Assesment)で実施していく。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ LDニュース読者用「掲示板」を設置しました。 1998.10.13  ===========================================    このたび、LDニュース読者の皆さまのために、GUEST BOOK(書き込   み式掲示板)を設置いたしました。個人情報の書き込みはしないようお   願いします。   http://gb.jh.net/gb3/usr/keyaki.html   ※ 一旦投稿した投稿文を削除したい場合は、LDニュース編集人まで     御連絡下さい。     LDニュース編集人 ******@dec.email.ne.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ 編集後記 −−−−−−−− 19:51 98/11/04 ---------------------//  日本LD学会第7回大会・第6回教育研修会/筑波大学/の全日程に参加 しました。大会では、全国の親の会の皆さん、学校の先生方、療育や就労支 援に従事されている方々、研究者の方たちとお話をすることができました。  また、親の会の展示発表や交流会、宿泊手配等では、地元の「星の子」の 皆様に大変お世話になりました。この場をお借りし、お礼申し上げます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& LD (Learning Disabilities) NEWS &&&&&&&&  発行:LD(学習障害)親の会「けやき」広報担当   1997.9.10 創刊 ご意見・ご感想・投稿文など、どしどしお寄せ下さい..... LDニュース記載の内容を転載される場合は下記まで御連絡下さい  E-mail : ******@dec.email.ne.jp HP URL = http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/ [ 1998.7.31 変更 ] -------------------------------------------------------------------- LDに関する情報交換・意見交流は、「LDフォーラム」をご利用下さい http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/LD-FRM/INDEX.html &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& LD NEWSは「まぐまぐ」http://www.mag2.com/ を利用して発行しています

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