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□ LD・発達障害等関連図書 → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/books/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LD(学習障害)ニュース #806 2008/07/11 発行 登録(配信)読者数 3,329 ■ ■ LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997/09/10創刊 ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼ LD親の会「けやき」の正会員・通信会員・賛助会員・ボラ会員募集中! ▼ ▲ 入会方法等はこちら → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/join.html ▲ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 親の会「けやき」 2008年7月例会ご案内/東京しごと財団 2008/07/19 ■ ■ 教科書デジタルデータ提供促進ワーキンググループ(第1回) 議事概要 ■ ■ 高校における弱視生徒への教育方法教材のあり方WG(第1回) 議事概要 ■ ■ 教科書課 拡大教科書標準規格ワーキンググループ(第1回) 議事概要 ■ ■ 教科書バリアフリー法が成立、文化庁は無力 中山主査、忸怩たる思い ■ ■ マルチメディアで誰もが読みやすい本や新聞を紹介トロンバッケ氏講演 ■ ■ [教育動向]「特別支援学校」に免許のない先生、なぜ? 2008/07/10 ■ ■ わが子の自立に悩む親にどのような支援が出来るのか?  2008/08/31 ■ ■ 第8回障害児支援の見直しに関する検討会(議事概要)  2008/06/24 ■ □ 編集後記 ------------------------------------ 00:45 2008/07/11 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□■ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください ■□■□■ ■ LDニュースへ講演会等のイベント情報の掲載を希望される方へ・・・ ■ ■ 詳細は下記サイトをご覧下さい。原稿は適宜編集する場合があります。 ■ ■□■□■ http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/sample.html ■□■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 親の会「けやき」 2008年7月例会ご案内/東京しごと財団 2008/07/19 ■ ------------------------------------------------------------------------ 親の会「けやき」2008年7月例会ご案内(転載・転送自由) ★ 会員外の方の参加を歓迎いたします。 ● 入会等に関する相談会を開催します。13:00〜 日々、我が子と向き合い奮闘努力の私たちにも、子どもの進学や就職などの大き な節目には、何時にも増してしっかり向き合うことが求められます。本人の気持 ちをくみ取って希望を最大限叶えてやりたいと願い、何かを決断しなければなら ない時には、正しい知識や情報が、重要なポイントになります。 田中先生に、現場からの情報やアドバイスをいただきながら、事例検討の例会に したいと思います。多くの皆様のご参加をお願いします。   * 日 時 2008年7月19日(土) 13:00 〜 17:00   * 場 所 東京しごと財団 5F セミナー室    http://www.shigotozaidan.jp/   * 交 通 JR中央線 飯田橋駅 東口7分   * 内 容 「発達障害に向き合う時を考える」          〜学齢期・就労期それぞれの立場の親の事例と          教育相談の現場からのアドバイス〜   * 講 師 田中 容子 先生       (三鷹市教育委員会・教育部学務課主査         /総合教育相談窓口・三鷹市教育支援コーディネーター)   * 日 程(予定)           13:00〜      受付開始           13:30〜14:00 連絡・報告           14:00〜14:20 親の事例報告           14:20〜14:40 親の事例報告           14:40〜15:40 田中容子先生講演           15:40〜15:50 休憩           15:50〜16:50 ディスカッション           16:50〜      片付け・終了   * お問い合わせは、下記までお願いします。    電子メール keyaki@box.club.ne.jp ★ 会員外の方は資料代として、当日1000円を申し受けます。 ※ 閉会後、懇親会を予定しております。詳細は当日ご案内いたします。 ※ 会場(しごと財団)への直接の問い合わせはご遠慮ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発達障害のある子とお母さん・先生のための思いっきり支援ツール ―ポジティブにいこう!武蔵 博文 価格:¥ 1,890(定価:¥ 1,890) http://www.amazon.co.jp/dp/4887205147/ref=nosim/?tag=ldns-22 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 教科書デジタルデータ提供促進ワーキンググループ(第1回) 議事概要 ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/048/gaiyou/004/08070708.htm −−−−−−−−−−−−−−−−− 1.日時 平成20年5月26日(月曜日)15時30分〜17時 5.議事 (2)拡大教科書の現状等について  「拡大教科書普及推進会議(第1回)議事要旨(案)」について、事務局によ る説明。これまでの取組みについて、嶋本委員及び田中主査による発表。「教科 書デジタルデータ提供促進ワーキンググループにおける検討事項(案)」につい て、事務局による説明の後、意見交換が行われた。 ア 嶋本委員の発表 【委員】平成18年度は「拡大教科書発行に関する調査検討ワーキンググループ」、 平成19年度からは「拡大教科書普及充実のための小委員会」を設置し、拡大教科 書の普及充実のための方策について調査・研究を実施。平成19年度には、文部科 学省の「拡大教科書の普及充実のための調査研究」事業を受託し、拡大教科書製 作ボランティア団体等へのデジタルデータの提供について研究を実施。 【委員】デジタルデータの全面的提供にはさまざまな解決すべき問題が多く、19 年度は、データの仕様、作成、費用、配付等における諸問題を検証するための試 験的提供を目的として、作成対象を限定した(平成19年度に作成・提供したデジ タルデータは小学校教科書全427点中42点)。 【委員】デジタルデータの内容は、テキストデータとして本文やタイトル、写真 やイラストの解説、脚注、側中、ふきだし、著者紹介等をテキストデータに変換 し、ボランティア団体に提供。画像データについては、頻出する記号、国語の筆 順表示等を提供。 【委員】作成したデータをボランティア団体に試験的に使用してもらった上で、 使い勝手等についての意見交換を行った。デジタルデータの仕様を改訂して、さ らに20年度の下巻本のデータを作成した。現在、教科書協会では、この仕様書に 基づいてデジタルデータを提供したいと考えている。 【委員】デジタルデータを提供するために必要な作業については、現在、教科書 会社が教科書を印刷する際に使用しているDTP(DeskTop Publishing)ソフトで 作成されたデジタルデータが使用されているが、このDTPソフトには、代表的な ものとして、クォークやインテザインなどがある。さらにハードはマッキントッ シュ用とウィンドウズ用のものがある。 【委員】現在使用されている17年度版、18年度版の小学校と中学校の教科書で使 用されている割合は、マッキントッシュのクォークというソフトを使ったものが 一番多い。 【委員】新しい教育課程の23年度版小学校と24年度版中学校については、各社と も予定ではあるが、マッキントッシュのインデザインというソフトを使ったもの が一番多い見込み。他に、若干アナログというものも残っている。 【委員】教科書会社が使用しているソフトをボランティアの団体の方々が使用す るための方法を3つ検討した。DTPソフト上でのまとまりごとにテキストデータへ の変換作業を一つ一つ行う方法。PDFデータに変換し、それをテキストデータに 変換する方法。すべて最初から打ち込むという方法。 【委員】教科書会社では、一太郎やワードでの原稿を、クォークやインデザイン のソフトで変換して教科書を作り上げるが、相当な修正が必要。また、検定意見 を踏まえた修正も必要。したがって、最初に取り扱った原稿はほとんどそのまま 役に立たない。最終的には、供給本として作られたソフトから変換する方が効率 がよい。その結果、DTPソフト上でのまとまりごとにテキストデータへの変換作 業を一つ一つ行うという方法が、ベストではないかと考え、この方法を採用して いる。ただし、小学校低学年では、最初から打ち込んだほうが早いものもあり、 そういった場合は打ち込んでいるところもある。 【委員】画像データについては、EPSデータからボランティア団体が使いやすい ようにJPGデータへの変換作業を一つ一つ行っている。人手に頼るような作業を しているので、大変時間がかかる。 【委員】デジタルデータ提供の問題点としては、著作権の問題がある。著作権に ついては、文化庁著作権課から拡大教科書向けであればデジタルデータの作成・ 提供は可能との見解をいただいているが、この点について、著作権管理団体等の 意見調整が十分とは言えず、今後のルールづくりに向けて交渉が必要。 【委員】著作権に関しては、イラストや写真について各教科書会社から写真のエ ージェントの方に写真を貸していただくようお願いして契約をしているが、権利 書の問題がある。これは、単に著作権の利用にとどまらず、多くは原版の所有者 からの有形的提供を伴うものであり、その利用については所有者との契約に基づ くものが現状。最初の契約というのは、教科書を作り始めた頃に行うため、途中 から契約内容を変更するのはなかなか難しい。 【委員】教科書本文等のデジタルデータ提供が現状では困難な教科がある。算数、 数学は、数式が多いため、そのまま変換してもほとんどデジタルデータにはでき ない。英語については、中学校1年生の場合は、ブロック体に似せた各社独自に 作成したフォントを用いているが、これをそのまま変換しても使用できないとい う問題がある。2年、3年生には発音記号が掲載されているが、これもテキストデ ータに変換することはできないため、今後、画像処理をするなどの検討が必要。 【委員】今後検討すべき方策としては、著作権については、教科書発行会社から のボランティア等に対するデジタルデータの提供を円滑に進めるために、その提 供を著作権制限規定に明確に規定することが考えられる。  図版の所有者に対しては、検定教科書に利用するための貸借契約締結時におい て、「拡大教科書等の製作のために第三者の提供することを認める」旨の条項を 含めることを教科書発行会社から所有者に求めていくこと。その際、国が主たる 所有者団体等にその周知を図るための支援策を講じることが有効ではないかと考 える。  また、デジタルデータの作成については、現在は大変な時間と費用がかかるた め、例えばPDFに変換したものをそのまま提供し、必要なところだけをコピーペ ーストして作成するなど、作成に手間がかからない簡便な方法を模索する必要が ある。 イ 田中主査の発表 【委員】アメリカ合衆国における障害児教育にかかわる教科書デジタルデータの 取り扱いについては、個別障害者教育法(IDEA)、全国教材アクセスビリティ標 準規格(NIMAS)、全国教材アクセスセンター(NIMAC)を中心に説明。 【委員】デジタルデータに関しては、障害のある児童生徒がアクセス可能な教科 書を作成して提供する国立機関を設けることがIDEAの中でも触れられている。こ れを受け、ファイルの共通フォーマットであるNIMASという規格が共通に設けら れており、このファイルからいろいろな形で拡大教科書、点字本の作成や音声ソ フトに活用するなどされている。適用の範囲は、小学校、中学校、高等学校であ り、障害の適用範囲は、盲の他にプリントディサビリティ(普通の活字媒体の印 刷物に対する障害。弱視の児童生徒の場合は視力が0.1以下の子どもたちが対象。 身体的な制限により読むこと、あるいは標準の印刷された教科書が使えない者、 それから、器質性の機能障害によって通常の方法で印刷されたものを読むことが 妨げられている読み障害を有する者)が対象となっている。具体的には、例えば 肢体不自由のある児童生徒が自分の手で教科書をめくることができないといった ような児童生徒、いわゆる学習障害、知覚に課題があるため、見ることについて は問題ないが文字を認知して理解することに課題を抱えている児童生徒にも適用 される。 【委員】点字、拡大文字、音声ファイル、DAISYという規格が共通になったファ イルフォーマットがNIMASという形で作られている。 【委員】NIMASファイルを管理する場所は、オンラインのデータベース上にカタ ログ化して保存をしており、管理している場所がNIMACと呼ばれる全国教材アク セスセンター。 【委員】全国教材アクセスセンターでは全国から集まってくるNIMASフォーマッ トのファイルを集約し、カタログ化して管理をするデータベースセンターとなっ ている。そのファイルを活用できる人が管理ユーザーであり、アクセス権のある 登録者。そのような人たちにIDとパスワードを配り、その人たちのみがそのファ イルにアクセスして、必要なファイルをダウンロードすることができる。 【委員】地方の教育機関が全国教材アクセスセンターに対して、特定の教科書の ファイルをNIMASファイルで作成するための申請を行う。教育機関が独自でNIMAS のフォーマットにしてもよいが、それを専門に請け負う会社も存在しており、地 方レベルにおいてはファイルの変換は点字出版関係の会社であるということが多 い。 【委員】著作権の保護の問題については、このNIMASのファイルをダウンロード できる者は限られている。事前にNIMASとの使用制限承諾書に同意して署名した 認定ユーザーがデータベースにアクセスでき、誰がどのようなファイルにアクセ スしたかという記録を残す仕組みによって管理されている。もし、その当該のフ ァイルが使用目的以外に流用された場合は、版権者から訴えられ、処罰が適用さ れることになる。 【委員】もともとデジタルデータは、点字化をする、点字本を作ることに重きが 置かれていたが、盲の他に弱視を含めたいわゆるprint disabilitiesというよう な子どもたちにそのようなファイルを適用するようになった。現在の運用は、 2006年ごろから始まったばかりであるが、まだ十分に機能しているわけではない ようだ。 【委員】韓国における拡大教科書については、デジタル教科書というものを国の 施策として試行しており、2011年からすべての教科書をデジタル化することにな っていると把握している。しかし、この場合のデジタル教科書は、コンピュータ 画面上において見ることができる教科書のことであり、いわゆる紙媒体として出 版されるか否かについては現在のところ把握できていない。 ウ 自由討議 【委員】教科書発行者から提供するデータのあり方という点については、昨年、 教科書協会で検討を行い、限られた教科書、学年ではあるが提供されている。今 回、すべてのデータを提供しようとするのか、あるいは、限られたデータからの 数を増やしていこうとするのか。また、教科書デジタルデータを管理する組織に ついては、アメリカのNIMASやNIMACのような、一元管理の方法を模索しようとす ることをこのワーキングの議題とされているのか。 【事務局】昨年12月、一部の教科用図書について教科書本文デジタルデータを提 供していく方法が試行的に行われた。そのやり方の是非も含め、効率的なデータ 変換方法、データ変換をする場合に必要な事項、発行者の作業負担、ボランティ ア団体等が使い勝手のよいデータの提供等についてご議論をいただきたいという のが検討事項を提案した趣旨。 【委員】デジタルデータの一つの大きな目的・キーワードは、ボランティアの使 い勝手がよいということ。我々はそれを期待している。私一人で作る拡大教科書 は、13種類、140〜150冊。特に中学校の地理は画像をスキャンし、背景処理ある いはコピーをとりコントラストを上げるなどして、約1年かかる。さらに年度が 変わると375のデータを更新した。平成24年になると新しく作らなければならな いが、今は、昨年までのデータの蓄積があるからできている。すべての教科書に ついてデジタルデータの提供をするというところをこのデジタルデータワーキン グの帰結点として、是非議論していただきたい。 【委員】次期の改訂までに新しい形態のデジタルデータの提供についてしっかり した体制を作っていく必要があるが、現行のものについてどうしていくかという ことも、併せて話を詰めていかなければならないと考える。 【委員】ボランティアにデジタルデータを渡すということを当面は並行して考え ざるを得ない。それをベースに考えた場合、ボランティアが一太郎、花子、ワー ドなどのソフトを使っており、片や出版社がクォークエクスプレス、インデザイ ン等々を使用しているので、テキストファイル、JPEGという結論になる。クォー クエクスプレスやインデザインのデータをそのまま渡す方が楽だと思うが、ボラ ンティアに今からその使用法を勉強してもらうのは現実的ではない。ボランティ アが作りやすいということを考えれば、テキスト、JPEGであり、小学校から高校 まで掲載情報を別に打ち込むのでなく、レイアウト編集のみに専念していただけ るようなデータを提供をするという結論は見えていると思う。 【委員】もっと先に考えるべきなのは、1つのソースをいろいろな形で利用でき る「ワンソース・マルチユース」ということ。拡大教科書もそうだが、点字、音 声、電子媒体と、いろいろな形での利用が想定される。元のデータを効率よく、 いろいろな形に変換しやすいものにしておけば、拡大教科書も1種類のみならず、 数種類作りやすくなるということが言える。  同じく、点訳する時にも、テキストだけを抜き出すことが容易になるとともに、 音声にもしやすくなる。もしくは、発達障害のお子さんを中心として、電子教科 書として提供してほしいという声も聞かれる。そう考えると、拡大教科書でボラ ンティアにお手伝いしてもらうという側面も当面は大事だが、もっと先を考える と教科書のユニバーサル・デザインということが検討されるべきだと思う。 【委員】インデザインをベースとした時に、どのような図画の処理をしたらいい か、マルチユースに対応できるのかということについて早い段階で指針を作るこ とが求められていると思う。 【委員】著作権の改正や写真のレンタルエージェンシーとの兼ね合いについて解 決しなくてはならないと思うが、教科書協会の懸念に対して著作権課はどのよう に解決を見込まれているのか。 【事務局】著作権の問題については、ご承知のように著作権法33条の2という規 定がある。これは拡大教科書を作成することそのものについて、検定済教科書を 拡大教科書を作成するために拡大して複製することができるという規定。著作権 法を改正した時には紙ベースの処理を念頭に置いていたが、拡大教科書を作成す るプロセスの中で、デジタルデータのやりとりが行われるということについては、 あり得ることだろう。例えば、スキャナで画像をコピーし、それをパソコンに取 り込んで使うということもデジタルデータの一種であり、そういう意味では同じ ことだと思う。ただ、データ提供の方法もいろいろあり、例えば、教科書出版社 のホームページに常にデジタルデータがアップロードされ、誰でもダウンロード できるという形でデータ提供を行うとすれば、これは今の規定から難しいと言わ ざるを得ない。やり方の問題ではないかと思っている。 【事務局】著作権の権利者団体の方々というのは、今、非常にデータのデジタル 化ということについてはナーバスになっている。例えば、障害者支援の面でも放 送番組や映画に字幕を挿入するという作業を社会福祉法人の方々がされている。 厚生労働省のお金が出ており、今は契約ベースで、個々の権利者団体にお金が払 われて処理されているが、こうしたものについて、著作権法の権利制限規定を置 いてくれという話が出ている。これは、いちいち許諾をとる手間暇がかかるため 大変であることから無許諾でできるように考えており、この際、一定程度補償金 は払うという方向で検討している。 【事務局】放送事業者あるいは映画制作者連盟などから話を聞いても、障害者の 方のために使うということについて、反対する人はいない。ただ、一番懸念され ているのは、例えばインターネットを通した流出やファイル交換で海賊版が広が るということ。その点は、同じ権利制限規定を設けるにしても、例えばその社会 福祉法人がDVDのコピーガードを外して字幕を挿入する処理をパソコンで行い、 その後はもう一回コピーガードをかけるという話が出ている。 【事務局】権利制限規定を置くかどうかというよりも、むしろどういうようなや り方でこれを教科書出版社に渡されるのかということをある程度ご検討いただい た上で、今の規定の解釈で読むのは難しいという懸念があるのであれば、著作権 法の改正ということを検討することについては十分あり得ることだと思う。この 会議でそのようなことも含め、具体的に検討が進むということを期待している。 【委員】音楽だけの教科書を出版しているが、楽譜は画像の形でデータ処理され る。それをPDFでボランティアに渡すことは可能だが、実際にそれをどのように 使うのか。例えば、楽譜であれば一段に4小節、1ページに3段か4段入っている。 これを拡大した場合には、当然1ページに入らない場合、画像の形でお渡しした のであれば作り直しは非常に難しく、むしろ切り貼りしてしまった方が早いとい うことも起こり得る。最終的に、どのような形でボランティアの方で使うのかと いう情報をいただいておかなければ、適正にお渡しすることは難しい。今後は、 どういう形で楽譜の画像データというものを提供するのがよいのかという情報も いただきたい。 【委員】写真であれば、登録された著作物の利用というよりも、原盤をいただく という形が多い。イラストであれば、書いていただけない、貸していただけない という事例があると聞いている。そのような形の提供も含めて許諾してくれない かというお願いに対して、それはちょっと別事じゃないかという話がある。 【委員】ボランティアや民間業者がスキャンしたデータを拡大教科書を作る者で シェアできるのであれば、救われる方がいるのではないかと思う。その際、教科 書協会のPDFデータがもし出せるのであれば、より効果的であると思う。 【委員】将来的には、視覚障害の方に限定するのではなく、発達障害の方をサポ ートする非営利団体が幾つか存在しているので、そこへの提供ということも検討 していただければありがたい。 【委員】アメリカでの事例を発表していただいたが、文部科学省が、データの流 出などに反する者は罰するというしっかりした態度でやっていただければと思う。 ぜひ、4年も先にならないで、早く子供たちに拡大教科書を提供していただくよ うこのグループで考えていただきたい。 【委員】図や写真を含め編集可能なPDFを教科書会社は本当に出せるのか。画像 等がすべて入っているデータが出せるのであれば、相当状況は変わってくると思 う。また、全国のボランティアの団体の方々とデータを流出しないということが 義務づけられる契約をすることが考えられるのではないか。また、もしデータが 流出した場合の責任等に関して考えなければならない。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ LD教授(パパ)の贈り物−ふつうであるよりも個性的に生きたいあなたへ 上野 一彦 価格:¥ 1,365 http://www.amazon.co.jp/dp/4062139812/ref=nosim/?tag=ldns-22 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 高校における弱視生徒への教育方法教材のあり方WG(第1回) 議事概要 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/048/gaiyou/003/08070709.htm −−−−−−−−−−−−−−−−−− 1.日時 平成20年5月27日(火曜日)10時〜11時30分 5.議事 (2)事務局から資料についての説明の後、4名の委員から高校及び特別支援学校   (視覚障害)におけるこれまでの取組について説明があった。説明の概要は   以下のとおり。 ア A高等学校  2学年に1名の弱視生徒が在籍している。座席を窓際の前列にしたり、大きな机 にするなどの配慮を行っている。拡大教科書については、ボランティアの方によ り、昨年度は5教科作成したが、今年度は現時点で2〜3教科作成したところであ る。拡大教科書が作成されていない教科については、ルーペ・単眼鏡・拡大読書 器を使用している。拡大教科書にかかる費用は、昨年度は保護者負担であったが、 今年度は一定額までは公費で措置している。学校では年度当初に職員会議で、教 材制作の際の文字の拡大や板書時のチョークの色など、当該生徒を指導する際の 配慮事項について確認を行った。 イ B高等学校  1学年に1名の弱視生徒が在籍している。世界史、化学、英語の3教科について、 それぞれ別のボランティアが拡大教科書を作成している。この3教科以外につい ては、ルーペ・単眼鏡を使用している。また、教科書の拡大コピーや試験問題用 紙の拡大などを行っている。 ウ C高等学校  2学年に1名の弱視生徒が在籍している。拡大教科書は使用していない。生徒の 希望を踏まえ、座席を1番前にしているほかは、特別な配慮を行っておらず、日 常生活は他の生徒と変わらない。 エ D特別支援学校(視覚障害)  特別支援学校高等部(本科)在籍生徒25名のうち、12名が弱視の生徒である。 そのうち8名が高校と同じ科目を学習しており、1名が教科書の文字を16〜22ポイ ントに拡大した拡大教科書を使用し、7名が部分拡大した検定教科書とルーペ・ 単眼鏡・拡大読書器を活用している。専攻科では理療科教科書が16ポイントで作 成されていることから、この教科書とルーペ等で学習している。高等部段階にお ける膨大な知識量を、拡大教科書として活用することは困難と思われる。 (3)議題について自由討議が行われた。主な発言は以下のとおり。 【委員】特別支援学校(視覚障害)高等部と高校に弱視生徒はどのくらいいるの か。 【事務局】高校の弱視生徒数については把握していない。また、特別支援学校 (視覚障害)については、弱視と全盲の生徒を併せた数は把握しているが、それ ぞれの数は把握していない。 【委員】特別支援学校(視覚障害)全生徒の約6割が弱視の生徒と言われている。 【委員】本県の公立高校についてみれば、視覚障害に関して入試時に何らかの配 慮が必要となった生徒が各学年2名ずついる。 【委員】公立高校では、弱視生徒であっても、入試の成績が一定以上であれば、 障害という点は考慮せずに合格という取扱いをしているのか。 【事務局】各都道府県では、障害のある生徒の高校入試に当たっては、中学校と 協議しつつ必要な配慮をしていると聞いている。 【委員】高校の拡大教科書については、小中学校の拡大教科書のノウハウを生か した上で、高校の特性も踏まえて作成をしてはどうか。多様な種類の教科のすべ てに対応することは困難なため、教科に応じた基本的な原則を明示してはどうか。 生徒一人一人のニーズに対応するためには、通常の教材をいかに効果的に活用す るかが大切であり、そのための配慮事項を整理してはどうか。 【委員】高校の教科書は種類が多く、拡大教科書として紙で対応するのには限界 がある。このため、デジタルデータやPDFなどによる措置について検討してはど うか。 【委員】教科書の内容のデジタル化も一つの考え方だと思う。 【委員】高校の普通教科の教科書指導書には、ほぼデジタルデータ(本文のテキ ストデータ)が添付されており、これをボランティアが購入して活用することも 考えられる。テキストデータ提供の仕組みはあるが、あまり活用されていないの が実情である。高校は小中学校に比べて多様化しており、一つのシステムだけで は対応が難しいことから、どのように高校の支援をしていけばよいか、この会で 検討していただきたい。 【委員】高校の教科書は種類が多いので、ボランティアだけで対応するのは困難 である。小中学校の教科書であればボランティアでも内容を理解することができ るが、高校になると理解できない場合も考えられる。高校の教科書の内容の量が 多いので、短期間で拡大教科書を作成することは困難である。デジタルデータの 提供だけでは、どこまでカバーできるか疑問である。 【委員】特別支援学校(視覚障害)高等部と高校では、拡大教科書の使用につい て、生徒の考え方や支援の仕方など条件が異なってくると思う。そのため、生徒 が必要とするものは何か、デジタルデータはなぜ使われないのかなどの情報を集 める必要がある。 【委員】日本の大学・短大における障害者の占める割合は米国に比べてかなり少 ない状況にある。東京大学の先端科学技術研究センターでは、障害のある学生に 対して、コンピュータや支援機器を提供するプログラムがある。こういったもの を参考にして、今後はパソコンを使った学習もあり得るのではないか。 【委員】高校での拡大教科書の実物を見て、その上でどこまで対応できるのか検 討してはどうか。拡大教科書などの印刷物でなくてはいけないのか、データを提 供し、パソコンを使った学習をすることはどうかといったことについて検討して はどうか。 【委員】単純拡大であれば授業に差し支えないが、レイアウトが変わった場合に はどうするのか。PDFのデータをパソコン上に表示すれば必要な大きさに拡大で き、レイアウトも変わらないので、その方が良いと思うが、生徒の使い勝手はど うか。社会に出た時のことも考慮すれば、PDFの活用について検討してはどうか。 (4)事務局より今後の日程について説明があり、閉会となった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発達障がいを持つ子の「いいところ」応援計画 阿部 利彦 価格:¥ 1,785 http://www.amazon.co.jp/dp/4892401862/ref=nosim/?tag=ldns-22 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 教科書課 拡大教科書標準規格ワーキンググループ(第1回) 議事概要 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/048/gaiyou/002/08062703.htm −−−−−−−−−−−− 1.日時 平成20年5月27日(火曜日)16時〜17時30分 5.議事 (2)拡大教科書の現状等について ア 宇野委員の発表 【委員】来年4月に向け、今年度の概算要求において拡大教科書の普及推進につ いて文部科学省にはしっかり対応をお願いしたい。来年4月から100点というのは 事実上あり得ないので、まずは70点の合格点に達するところからスタートし、80 点、90点を目指していく考え方でスタートさせていくべき。 【委員】通常の学級で他の子どもと違う表紙の拡大教科書を使用していた子ども が、他の子どもから指摘をされたという例があったので、表紙、裏表紙について は、原本のものを生かしていただきたい。分冊の場合も子どもが混乱しないよう に分冊数を明記しておく必要がある。 【委員】従来、字体については基本的にゴシック体が基本的な考え方であったが、 平仮名の「き」「さ」「ふ」「り」等が、本来の教科書体の字形と異なることや 新出漢字については、「はね」や「はらい」がわかりにくいということで、教科 書体を使うという配慮がある場合がある。国語についてはどうあるべきかという ことについては議論の余地がある。 【委員】版と文字の大きさについては、B5判でまず22ポイントを作り、それをオ ンデマンド印刷すれば、A4にすれば26ポイント、またA5に小さくすれば18ポイン トが簡単に作ることができる。当面は1つの版を作り、18、22、26ポイントでス タートさせるのが現実的に可能なのではないか。一方、ボランティアがこれまで 作ってきたものの中では、28ポイントが非常に多いという声を聞く。全国的に実 現可能なのはその2つではないか。理想を言えば、もう1つ30ポイントのB5判を作 り、それをA4にすれば36ポイントになる。そうすれば、18、22、26、30、36ポイ ントの文字を作ることができ、99.9パーセントの弱視のニーズはカバーできるの ではないか。ただ、当面はまず第1種類スタートが現実的なのではないかと思う。 【委員】文字間をあまり開けてしまうと判読の速度に影響するため、ある程度文 字を詰めることが大切。行間については、あまり詰めすぎてしまうと、同じ字を 読んでしまったり、縦書きの文章なのか横書きの文章なのかがわからないため、 ほどよく開けるということが基本的な考え方ではないか。具体的には、行間は33、 35ポイントぐらいに拡げたほうがよい。 【委員】図版については、小さいものはある程度大きくできる。それほど重要で はない線や情報は取り除き、シンプルでわかりやすく、しかも線を太くして、強 調すべきところは強調するという描き換えをしなければ、弱視児に理解しやすい 図版は作ることができない。一方で、多くの児童生徒が通常の学級に在籍してお り、隣の人と絵が違うのは困るというような声も聞かれる。図版の描き換えのノ ウハウは非常に専門性が高く、そう簡単なものではない。まずは原図をある程度 大きく、認識しやすい大きさにする必要がある。 【委員】写真を加工することは、技術的に非常に難しい。わかりにくい写真につ いては、脚注の文章で補足することが、現実的な対応として可能ではないか。 【委員】色については、教科書の一部がフルカラーになっていないものは、あま り評判がよくなく、原稿どおりのフルカラーにする必要がある。その際、色覚特 性の問題もあり、微妙な色分けが妥当かどうかという問題もあるため、コントラ ストをはっきりさせる、境界線を入れる、もしくは、デザインパターンを組み込 む等々の工夫が必要ではないか。 【委員】ページレイアウトについては、弱視者はページを開いて1ページの情報 量、全体をすぐに理解することが難しい。例えば、右上に本文があり、右下に写 真があり、左の方に図があり、その上に何かキャラクターのイラストが描かれて いるというような複雑な情報というのは、理解をしがたい。情報を極力シンプル にパターン化して、面の情報をできる限り、左上から読んでいく時に線上に読ん でいけるような情報の流れとなるような整理が必要。レイアウトのノウハウは非 常に大事なところであるため、指針を出す際、わかりやすく丁寧な提言をまとめ る必要がある。 【委員】ページ表記については、文字のポイントによって1ページが何ページに またがるのかは変わってくるが、1/25、2/25、3/25と、原本ページとの対比がわ かるようにする必要がある。 【委員】ページ数と分冊については、現在出されている出版ベースの拡大教科書 はページ数が多すぎて重いため、5冊も6冊もランドセルに入れることは無理があ る。極力ページ数を限って分冊にしていくという基本的な考え方が必要。 イ 高柳委員及び柴崎委員の発表 【委員】5月12日に第4回拡大教科書に関わる情報提供の会を開催し、柴崎准教授 が自社出版法について詳細な提示をしたが、自社出版可能な拡大教科書試作につ いて、多くの出版社が柴崎提案に賛同された。不可能な部分はボランティアが用 意するしかないと考えている。自社で拡大教科書を製作した場合、著作権料は無 料。 【委員】出版社のDTPデータを使って拡大教科書を効率よく作る方法を模索し、 サンプルの提示もしている。 【委員】試しに文字の打ち込みはすべてパソコンで行ったが、文字データの打ち 込みで時間がかかった。効率があまりよくないのではないかということで、DTP データから打っていく方法を考えた。 【委員】拡大教科書Aタイプは、B5判の教科書の配置をあまり変えず、文字の大 きさを変えるもの。拡大というよりも、少しポイントを上げる形で、現行の教科 書が12ポイントに対して、16ポイントまで拡大している。インデザインなどの DTPデータを使うところであれば、素材を変えるなどして比較的スムースに作る ことができ、線の太さやコントラストを加工できるもので便利だと思う。  B1タイプについては、元の教科書のイメージぐらいにとらえている。B5の場合 は24ポイント、A4の場合は27.5ポイント、27ポイントと表示しているが、そのよ うな感じのバリエーションとして作ることができた。  B2タイプについては、3ページ分ぐらいに拡大している。30ポイント近くにな る。AタイプとBタイプで、16ポイントぐらいから30ポイントぐらいのところをカ バーできれば、拡大教科書のユーザーのほぼ半分以上は使えるのではないかと考 えている。 【委員】フォントについては、書体を太い書体とか若干細い書体などのバリエー ションも作ること。今までは、ポイント数はいいが、ゴシック体の書体が太すぎ て使えなかったというユーザーには細い書体で提供する。できるだけたくさんの ユーザーが使えることが条件になるため、普及率を上げていくというか、選択し てもらえる率を上げていくということに取り組んだ。 【委員】弱視の児童生徒が16ポイントから30ポイントぐらいの間で選べる教科書 を作ることやヒューマンエラーを避けるために、編集責任をとることができる教 科書発行者がチェックをすることが必要。 【委員】作成のモデルについては、教科書発行者から大学や研究所、外部の委託 業者に対してデータを提供し、DTPでそのまま教科書発行者に返し、それをオン デマンド印刷する。オンデマンド印刷は必要な分だけを刷ってコストを下げるこ とができる。 【委員】書体については、MSゴシックとMS明朝がある。ゴシック体、明朝体はデ ザイン書体だが、学参ゴシックという教科書用に変形されたゴシック体がある。 学参ゴシックは若干デザイン化されているが、非常に教科書体に近い書体をゴシ ック体で実現している書体。明朝体はまだまだ弱視の教科書等にも使われている が、明朝体は、画像がかすれていくため、あえて使う意味はないのではないか。 ウ 千田主査の発表 【委員】視認できる最小視力(分離閾)がわかれば、その線分で構成されている 最も多い線分が視認できる。16線分割の漢字が視認できる場合は、30センチメー トルの近見視標の0.1の線幅が0.89ミリメートル、0.9ミリメートルであり、それ を16倍すると14.4ミリメートルの大きさが必要になり、40ポイントの大きさに相 当するということが計算上わかっている。 【委員】弱視の児童生徒が文字を読む際、どれくらいの距離(視距離)で読んで いるのかということが課題となっていたが、弱視学級在籍の児童生徒を対象に、 遠見視力、近見視力、最小可読視標、視認距離、最小分離閾(視力の基になって いるのは最小分離閾11.7分)の調査が行われた。 【委員】文字を読む読書距離については、弱視の児童生徒の多くは、自分たちが 見る距離の中では比較的視距離が短く、視距離が狭いということがわかっている。 【委員】視力0.1程度の児童生徒は、分離閾が10分。読書距離を15センチメート ルの距離で視認できる文字の大きさについて7倍から17倍ということで計算した 場合、17倍の最大に大きくした値が約7.65ミリメートル角、22ポイントいう結果 になった。視力0.1程度の弱視の児童生徒を対象にして拡大教科書で用いる場合、 この最大値22ポイントをベースに、文字の大きさを選定してきたという経緯があ る。 【委員】弱視の見え方は十人十色であり、標準的にどう考えていくのかというこ とを、まずは、このワーキンググループでいろいろ話をしていただきたい。 エ 自由討議 【委員】標準規格を作る前提として、誰を対象にした標準規格かということが問 題。教科書発行者が自社版拡大教科書を作ることが期待されており、これがまず 第一の対象になると思う。教科書発行者がつくる場合は、DTPのデータを活用し ながらDTPソフトを使ってということになると思うが、一方で、ボランティアの ことを考えると、DTPソフトを前提にした規格では使えない。 【委員】学参ゴシックは、DTP用のフォントとして最近できたものであり、DTP用 のフォントは、他にもユニバーサルデザインとして出されているフォントもたく さんある。推奨フォントのリストを作るところまで可能なのか。 【委員】文字規格ができても、実際に拡大教科書を作る際には弱視のことをよく 知っているアドバイザーが必要になると思うが、このワーキンググループでそこ まで考えていくことができるか。 【委員】教科書発行者が拡大教科書を作る場合、研究機関や編集プロダクション 等の業者に委託するなど、いろいろな方法があると思うが、いずれにしても企業 活動として成り立つことは必要。 【委員】特別支援教育総合研究所において、千田先生や香川先生が研究された拡 大教科書作成マニュアルが、フルカラーで無償でダウンロードできる形で掲載さ れている。また、宇野先生、高柳先生、柴崎先生の発表で重複している部分や、 色やフォントに関して個別に研究されている方などの英知が集約できればと思う。 【委員】このワーキンググループの日程的な見通しについて教えいただきたい。 【事務局】我々はお願いをしている立場であり、あまり時間を限定できないが、 これは急ぐべき話であり新教育課程の教科書の編集も始まってくる。現行教育課 程の教科書についてもさらにこの取組みを普及していくためには、今年の秋ぐら いを一つの目標にしてこの作業を進めていただくようお願いしたい。 【委員】拡大教科書を必要とする児童生徒をどのように選ぶかということについ ては、学校の視力検査でD判定(0.3未満)の場合も、適正な眼鏡をかければ、ほ ぼA(1.0前後)になるということがある。また、そうではない場合も近視の子で あれば、近づければ見えるということがあり、学校での視力検査だけでは拡大教 科書が必要かどうかということはなかなかわからない。何種類かの拡大教科書の サンプルを地域の教育委員会に置いておき、授業中に教科書が見にくそうな児童 生徒がいる場合、教育委員会から借りて、見え方を見極めた上で眼科を受診させ るという形がよいのではないか。 【委員】平成18年度の実績の内訳では、ボランティア団体は81パーセント、民間 企業は14パーセントを作っている。1冊の値段は、ボランティアが3,000円、民間 発行者は3万1,700円とあり、10倍の値段。ボランティアが高齢化してなかなか作 れない中、文部科学省は民間業者に3万1,700円という金額を出しているが、予算 のことも一緒に考えていただきたい。 【委員】このワーキングでそこまで検討することは難しいのではないか。文部科 学省とともに今後の検討という形で進めていければと思う。 【委員】ボランティアが作った拡大教科書が1冊3,000円ということについては、 富士ゼロックスのカラーコピーを無料で使っており、1年間に5,000万円くらい使 用している。19年度の使用枚数は75万枚余りであり、今年はもっと増えている。 ボランティアが3,000円で作っているのではないということを知っていただきた い。 【委員】ボランティアの方々の作業代、製作代の中には、企業の方々の大きな社 会貢献事業の援助があることを我々の共通理解にしていかなければならない。 【委員】実際に学校で拡大教科書を使っている様子を見た時に一番気になること は、指導している先生は弱視についての専門性がない場合が圧倒的に多いという こと。通級指導教室に通っている児童生徒も通常の学級に在籍している場合がほ とんどであり、その対応は先生の指導力にもよる。弱視特別支援学級に在籍して いるといっても、指導者には専門性があるとは言いがたい状況にあることから、 教科拡大教科書の使い方の手引き的なものが必要ではないかと思う。 【委員】大きい字の方が勉強しやすいという、弱視ではない児童生徒が非常に多 いという状況がある。当面は弱視の児童生徒が対象であるが、将来的には、例え ばLDの児童生徒に対しても給付できる可能性があるのかどうかということも検討 する必要もあるのではないかと思う。 【委員】採択地区によって使用している教科書発行者がバラバラであり、弱視の 児童生徒がせっかく作られている拡大教科書を利用できないという現状もあるの で、採択との関係についてもいずれかの機会に検討いただければと思う。 【委員】拡大教科書の対象については、もう少し意見を聞きながらと思っている。 点字と普通文字の境界線については、以前は0.02から0.04ぐらいであったが、 0.01ぐらいにまでなってきているという現状もある。 【委員】「はらい」や「はね」がわからないため、学校のテストで間違いになる 事例もあると聞いている。拡大教科書の文字については、国語だけはぜひ教科書 体で作ってもらいたい。 【委員】保護者の中には拡大教科書の金額を子どもの目に触れさせたくないと考 えている方もいる。教科書の奥付のところに金額が書いてあるが、隣の子どもの 検定本と余りにも格差があり、子どもがとても違和感を覚え、肩身の狭い思いを していると聞いている。 【委員】拡大教科書の製作については、無償給与がスタートした平成16年からボ ランティア団体が悲鳴を上げてパンクしている。平成16年で依頼の6割、7割、平 成17年で4割しか応えられていないというデータもあり、その後も次から次にく る依頼に大変ご苦労されている。3年も4年も放置していい問題ではない。したが って、次回までに各教科書発行社でぜひご検討いただき、来年4月であればどこ までできるのかという具体的な見当を示していただきたい。 【委員】教員、教育委員会ともに、拡大教科書を知らないところがまだ多く、 1,200名の取り残されている児童生徒の中には、拡大教科書の存在すら知らない 場合が多いという現状がある。例えば、特別支援教育コーディネーター研修等で の行政側からの説明等もぜひ充実させていただきたい。 【委員】点字教科書は、主要教科は文部科学省が作っているが、同時に編集資料 を発行している。拡大教科書を実際に作った時に、工夫や意図を編集資料として まとめ、関係者に見てもらうことも必要なことなのではないか。 【委員】ボランティア団体の中には国が拡大教科書を作るべきという声が多くあ るが、実際にたくさんある教科書を作ることは国では難しいので、教科書発行者 が作ると考えることが妥当ではないかと思う。 【委員】教科書発行者が編集を行う際に、盲学校の教員や視覚障害教育の専門家 がアドバイザー的な立場で監修し、作成したものを盲学校等においてヒアリング をすることや、弱視当事者で客観的な意見が言える人を監修者に入れるなどとい うことが考えられるのではないか。 【委員】普及啓発については、秋ぐらいに意見がまとまれば、セミナー等を開き、 編集に携わる出版社の方に来ていただき、指針や配慮事項を伝えることや、アド バイザー的なフォローもするというような体制が望ましいのではないか。 【委員】現場の先生は教科書センターに行って教科書選定をするため、教科書セ ンター等に拡大教科書を置くことも必要な政策になるのではないか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 輝きMAX!すべての子どもが伸びる特別支援教育―LD・ADHD・アスペルガー症候群 から、いじめ・不登校・非行まで品川 裕香 価格:¥ 1,365(定価:¥ 1,365) http://www.amazon.co.jp/dp/4760823379/ref=nosim/?tag=ldns-22 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 教科書バリアフリー法が成立、文化庁は無力 中山主査、忸怩たる思い ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.mainichi.co.jp/universalon/report/2008/0609.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−− 略−−「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関 する法律」(通称教科書バリアフリー法)について、従来弱視の児童生徒のみに 限られていた拡大教科書を、発達障害など他の障害のある児童生徒にも複製提供 すること、検定教科書出版社に必要に応じて教科書のデジタルデータの提供を義 務付けることなど概要が事務局から紹介された。 これについて、同小委主査の中山信弘氏は「(議員立法ということで、日本の著 作権法について立法の中心的役割を担うべき当審議会が事実上何もしなかったわ けで)忸怩たる思いだ。いい教訓になった」とコメントした。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ LD・ADHD・アスペルガー症候群 気になる子がぐんぐん伸びる授業 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シンポジスト   信田 さよ子 氏          石川 京子 氏(NPO法人キャリア倶楽部) コーデイネーター 橋本 光生(NPO法人学生キャリア支援ネットワーク) 主催 NPO法人育て上げネット/NPO法人学生キャリア支援ネットワーク    http://www.hoshikuzuclub.jp/career/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 教室でできる特別支援教育のアイデア172 小学校編 (シリーズ教室で行う特別支援教育)価格:¥ 2,520(定価:¥ 2,520) http://www.amazon.co.jp/dp/4810054578/ref=nosim/?tag=ldns-22 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 第8回障害児支援の見直しに関する検討会(議事概要)  2008/06/24 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/06/s0624-8.html −−−−−−−−−−−−−−−−− 1.日時:平成20年6月24日(火)10:00〜12:00 5.主な意見 ・「グレーゾーン」は表現を変えるべき。 ・「グレーゾーン」ではなく「気になる子ども」などが良い。 −−略 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 脳科学と発達障害―ここまでわかったそのメカニズム (シリーズCura)榊原 洋一 価格:¥ 1,260(定価:¥ 1,260) http://www.amazon.co.jp/dp/4805830085/ref=nosim/?tag=ldns-22 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ------------------------------------ 00:45 2008/07/11 □ ------------------------------------------------------------------------ 梅雨前線が消えてしまいました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュースの記載内容に関する質問には原則として回答いたしかねます ■ ■ 編集に際し正確を期していますが最終保証責任は免責とさせて頂きます ■ ■ LDニュースの記載内容を転載される場合には必ず下記までご連絡下さい ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 親の会「けやき」連絡先 E-mail: keyaki@box.club.ne.jp [1999/03/12 から] ホームページ URL : http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/ [1998/07/31 から] LD 関連の情報交換・意見交流・質問は下記の「LDフォーラム」をご利用下さい LD-FRM URL: http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/LD-FRM/ [2000/08/17 から] ★ 挿入された広告内容や広告主と親の会「けやき」は一切関係ありません ★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ LD・発達障害等関連図書 → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/books/ □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  LDニュースは「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ を利用して発行してます ------------------------------------------------------------------------

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