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□ LD・発達障害等関連図書 → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/books/ □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LD(学習障害)ニュース #659 2006/07/22 発行 登録(配信)読者数 3,526 ■ ■ LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997/09/10創刊 ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼ LD親の会「けやき」の正会員・通信会員・賛助会員・ボラ会員募集中! ▼ ▲ 入会方法等はこちら → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/join.html ▲ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 第164国会 衆議院文部科学委員会 議事録(抜粋)(1) 2006/06/13 ■ □ 編集後記 ------------------------------------ 13:27 2006/07/22 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□■ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください ■□■□■ ■ LDニュースへ講演会等のイベント情報の掲載を希望される方へ・・・ ■ ■ 詳細は下記サイトをご覧下さい。原稿は適宜編集する場合があります。 ■ ■□■□■ http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/sample.html ■□■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 第164国会 衆議院文部科学委員会 議事録(抜粋)(1) 2006/06/13 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009616420060613019.htm −−−−−−−−−−−−−−−−−−−  学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)(参議院送付) ○遠藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、参議院送付、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたし ます。  本日は、本案審査のため、参考人として、東京都立梅ヶ丘病院院長市川宏伸君、 東京学芸大学教授・日本LD学会会長上野一彦君、DPI日本会議常任委員姜博 久君及びNPO法人発達障害支援センターひまわり代表理事高原孝恵さん、以上 四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありが とうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のな い御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人各位からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、 委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。  なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願 いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことに なっておりますので、あらかじめ御了承願います。  それでは、まず市川参考人にお願いいたします。 ○市川参考人 きょうは、このような場にお招きいただきまして、ありがとうご ざいます。私は、ふだん子供の精神科の医療に携わっている者として、本日お話 を少しさせていただきたいと思います。  私たちの分野というのは、必ずしも医療だけで解決する分野ではございません ので、他分野、特に教育等についても常に連携を図らなきゃいけないという立場 でございます。私がふだん勤務している病院の中にも学校がございますし、ある いは、教育関係の方に連携ということで呼ばれることも多いという立場でござい ます。  皆さんのところにございますレジュメに従ってお話しさせていただきたいと思 います。  今回の特別支援教育と法令の改正につきまして、私が中教審の専門委員として お手伝いさせていただいた立場等から考えてみますと、やはり大きく分けると三 点、もう少し細かく言いますと四点あるのだろうと思います。  一点は、盲・聾・養護学校を特別支援学校に変えまして、小中学校等に助言、 援助をするということでございます。それから、現在ございます特殊学級を特別 支援学級としまして、小中学校等におけるLD、ADHD、高機能自閉症等を含 めた障害のある児童生徒に適切な教育を行うということ。それから、教育職員免 許状の一部改正ということで、これは大学で修得するべき単位数の変更も含まれ ているというふうに理解しております。もう一つは、久里浜にございます研究所 を国立特別支援教育総合研究所と変える、こういうことと理解しております。  この学校教育法改正の背景にあるものは、我々の分野とも関係しますが、やは り軽度発達障害と言われる方の増加ということが一つ大きくございます。LD、 ADHD、高機能自閉症というふうに一括されておりますが、多くの方々の場合 は、知的水準は高いのに友達関係をつくりにくい、あるいは知的水準は高いのに 学校の成績がそれに伴わない、あるいは周りから見ますと理解できない行動上の 問題があるというようなことがあるのではないかと思います。それから、この長 い歴史の中で、障害種別の増加あるいは減少ということがあるようですし、ある いは、これらの中の重複、合併ということがあるように思います。これはもちろ ん、教育にとどまらないことでございますが、医療についても全く同じですが、 やはりこういう変化に対応して専門性を向上させていく必要があるというふうに 感じております。  特別支援教育につきましては、特別支援教育の流れがなぜできてきたかと考え ますと、私どもがふだん専門にしております知的障害あるいは発達障害の方を念 頭に考えますと、やはり従来は知的障害の程度で分けていたのではないかと思い ます。私も就学相談等で少しお手伝いさせていただくこともございますが、プリ ントにございます三つの分け方、知的障害が重い場合は養護学校、軽い場合は特 殊学級、知的障害に問題がない場合は通常学級という大きなくくりがあったので はないかと思います。もちろん、細かい点におきましては、単純にこれだけの問 題では決まっておりませんが。  しかしながら、通常学級にいらっしゃる子供さんの中で、対人関係ほかに困難 を示す子供さんがふえてきているということを教育現場の先生方は非常に感じて いらっしゃったのではないかと思いますし、そういうことで医療の方に御相談に いらっしゃる方も随分いらっしゃったわけです。これについて、どういう対応が よいかということで特別支援教育ということが始まったのだろうと私は考えてお ります。  してみますと、知的な問題は抱えていないと考えられる通常学級にいる特別な 指導の必要な子供さんがどれくらいいるのか、これについては、印象はございま したが、それまではきちっとした数字的裏づけはなかったわけでございます。そ のために、教育の場はどういうふうにしていったらよいか、対応はどうしていっ たらよいか、あるいは、それについてのモデル事業をどういうふうに実施してい ったらよいかというようなことが考えられていったのだろうと思います。  この大きな流れの中で、私が医療の立場から見ておりますと、やはり以前は教 育の場は教育の専門家だけで対応していたのではないかと思いますが、七、八年 ぐらい前にスクールカウンセラーの導入等、ここに書いておきましたが、心理、 医療、福祉、労働などとの連携の必要性ということが言われておりますし、今回 の特別支援教育の中でも、専門的な知識を持っている方を対象にした専門家チー ムを組んで対応していこうということが含まれておりまして、私は、これは非常 に賛同するところでございます。  二〇〇二年の十月に文部科学省が行った、軽度の発達上の障害があり学校場面 で不適応を示す子供さんたちへの教育の対象者の調査というのがございまして、 これはあくまでも担任の先生がごらんになってそういうふうに判断したというこ とでございますので、別にそういう方の数を調べたとか、そういうことではござ いませんが、全国調査が四万数千人を対象に行われまして、ここに掲げてありま すような、学習障害的な面で著しい困難を示す方が四・五%、行動面で著しい困 難を示す方が二・五%、対人関係面で著しい困難を示す方が〇・八%という数字 が出ておるということは先生方も御存じのところだと思います。その後も、国以 外の、都道府県でも幾つか調査が行われているようで、これより低い数字が出た ところもあると伺っておりますが、逆に、一〇%ぐらいという高い数字の出た県 もあるというふうに伺っております。  してみますと、特別支援教育を推進するための制度のあり方をどうしていくか ということで、中教審の特別支援教育の特別部会等で検討が行われたわけでござ いますが、一つは、通常学級にいらっしゃる特別支援教育対象者と考えられる方 々、これに、従来の特殊教育の対象の方が一・数%いらっしゃるということでご ざいますと、足しますと七・五%前後という数字が出てくるのではないかと思い ますが、そのことが一つの問題だと思います。それから、盲・聾・養護学校制度 の見直しということが一つ、それから、初めに申し上げたような教員免許制度の 見直し問題がございます。  特別支援教育の背景にあるものとしましては、先ほど申し上げました、増加と いうことがございます。これは教育だけではございませんで、医療現場でも感じ ているところでございます。障害種別的に申し上げますと、盲学校は、数の上で いくと、ほぼ現状維持かと言われておりますが、聾学校の生徒さんは減少傾向、 あるいは肢体不自由の養護学校に通っていらっしゃる方はやや増加、それから知 的障害の養護学校に通っている方は著明な増加というような全国的な傾向がござ います。  さらに、障害という分け方をしたとしても、合併重複障害ということが言われ ておりまして、例えば、肢体不自由の養護学校に通っている方につきましては、 文科省の統計では、七〇%以上が合併重複障害を持っていらっしゃる。逆に言い ますと、三〇%ぐらいの方は肢体不自由の問題だけを抱えていらっしゃるという ことかもしれません。この七〇%のうちの五〇%ぐらいは知的障害との合併だと いう報告も伺っております。してみますと、当然のことながら、一つの種別だけ ではなくいろいろな種別に対応できる専門性ある教員の養成あるいは増加が必要 だということになってきていると思います。  それからもう一つ、やはり軽度発達障害という子供さんは、通常学級にふだん はいらっしゃいますけれども、何らかの援助が必要だということになりますと、 これは私見でもございますけれども、通常教育と特別支援教育の連携が恐らく必 要になったきたのではないかと思います。  これにつきましては、これまでの私の印象では、通常学級の先生方のお考えと 特殊学級の先生の考え方はちょっと別ではなかったか、あるいは連携が不十分な ところがあったのではないかなというふうに考えておりまして、こういうような ことでより連携が深められていくということはすばらしいことだというふうに思 っております。  この後は、やはり医療の面からのお話を若干させていただきますが、発達障害 といいますと、ここに書いてあるようなきちんとした定義はないんですが、これ は私がちょっと抜粋してきた定義でございますが、発達期に生じて、一生を通じ て治療やケアの必要があるという考え方で、その代表例は、ここに書いてあるよ うなものではなかったかと思います。  近年言われております軽度の発達障害につきましては、この定義につきまして は若干問題があるという説もございますが、知的障害はほとんどないか、あって も軽い、発達期に明らかになるが、対応によっては援助が不必要になることもあ るし、逆に、思春期以降、社会生活が困難になる場合もある。逆に言いますと、 適切な教育が受けられるということが大きくその予後を左右するということにな るかもしれません。  してみますと、これは私見でございますが、障害というものをやはり連続体と 考えるべきではないか。つまり、障害があるかないかではなくて、障害の中で丸 もあれば、障害でないバツもある、そうすると、真ん中に三角がいっぱいあると いうふうに思いますし、特に軽度発達障害と言われる方の中には、その中で移動 もあるというふうに考えられるのではないかと思います。ある意味でいいますと、 障害を固定的ではない、多少動きのあるものと考えていってよいのではないかと 思います。  してみますと、その子供さんへの援助というものもやはり状況に応じたもので なければいけませんし、変化に対応したものでなければならないのではないかと 思います。  それからもう一つ、若干混乱を来しているなと思いますのは、障害と疾患名と いうことで書いておきましたが、医療の方では、最近、疾患名を、ディスオーダ ーという英語を日本語で障害と訳すことがございます。広汎性発達障害あるいは 注意欠陥多動性障害というときの障害は、これは疾患名でございます。一方で、 知的障害あるいは視覚障害、聴覚障害というときの障害は、多分英語にしますと、 ハンディキャップでございます。それから、神経心理学が用いております学習障 害の場合は、これは英語はディスアビリティーでございます。日本語にしますと 全部これは障害という言葉になっておりまして、どうもその障害の中に固定的な イメージがあるものと、それから変動的なイメージがあるものがあるということ を頭に入れておいた方がいいのではないかと思います。  それから、軽度発達障害の増加ということで書いておきましたが、これは医療 現場で見ております。私どもが持っている数字としましては、実数として、受診 者そのものが二・五倍ぐらいになっておりますが、その中に広汎性発達障害と考 えられる方々、広い意味の自閉症の方々と考えていいと思いますが、特に知的お くれを伴わない方は、比率としても四倍ぐらいに十年間でふえております。逆に、 知的おくれのある方も若干ふえております。注意欠陥多動性障害という診断をさ れる方も十年間で二倍前後の増加でございます。  私が最後に申し上げたいのは、やはり障害といっても非常に幅が広い、従来の 概念と若干変わってきているのではないかというふうに考えていただいて、これ への柔軟な対応が非常に期待される。そのためには、通常教育と特別支援教育の 連携ということももちろんでございますし、教育以外の他職種の関与も必要では ないかと思います。障害者の側から見ますと、全日的な対応あるいは全生涯的な 対応、きめ細かい援助をお願いしなければいけないと思います。  予後はどうなるかということでございますが、やはり低年齢のときの対応は非 常に重要でございまして、自己有能感を持って大人になれば、きっとすばらしい 発想で、偉大な業績を残す研究者や芸術家を中心にいらっしゃると考えられてお りますし、対人関係のスキルがうまく獲得できませんと、社会生活に困難を来す ようなことがあるのではないかと思います。  最後に、特別支援教育、この法律の改正も含めまして期待するものとしては、 申し上げましたように、障害を連続体としてとらえていただけないか。低学年を 中心とした対応、これはもちろん御家庭及び教育になると思いますが、これが非 常にその後を左右するのではないかと考えております。また、重複障害への柔軟 な対応もぜひやっていただければありがたいなと思っております。  以上をもって、私の意見にかえさせていただきたいと思います。(拍手) ○遠藤委員長 ありがとうございました。  次に、上野参考人にお願いいたします。 ○上野参考人 おはようございます。  本日、ここで意見をお聞きいただけることに大変感謝しております。  私は、東京学芸大学という教員養成大学におりまして、またLDということで、 もう四十年近くこのことを啓発等に努めてきております。  まず、私がきょう申し上げたいことは、主に四つの点に分けまして、真のイン クルーシブな教育を実現するために、それから特別支援学校の制度の創設につい て、それから小中学校における特別支援教育の推進、そして最後に免許法のこと について意見を述べたいと思っております。それぞれその中で課題となりそうな ことを三つずつ後でまた挙げております。お手元の資料を見ていただきたいと思 います。  まず、特殊教育から特別支援教育への転換というのは、私は、これは単なる名 前の書きかえといいますか看板のかけかえではないということで、歴史に残る大 きな教育改革ではないかと強く思っております。  現在、子供たちを取り巻く学校、教育、家庭、社会、そのすべてにおいて必ず しもよい状態であるとは思いません。学力の低下、いじめ、不登校、授業崩壊、 さまざまな問題が噴出しております。こういった問題というのは、特別支援教育 の展開によって、恐らくその解決の一端になるのではないか。少なくとも、これ は障害のある子供たちのためだけのことではなくて、すべての子供たちに資する 人間尊重の教育のモデルあるいは教育のシステムというものを目指すものだとい うふうに信じるからです。  さて、最初に、インクルーシブな教育を実現するためにということですが、現 在、世界の教育というのは、すべての子供たちを区別や差別なく、その子供が求 める教育サービスを公平かつ的確に提供する、そういった実現に向かっておりま す。そういった場合でも、これは全体的な調和の中でそのことがひたひたと広が っていくということが必要ではないかと思います。  今回の特別支援教育において掲げられる目標というのは、私は大変高い教育理 念に基づくものだと思います。ただ、理念は理念として、これを実現していくた めの具体的な手段やプロセスにおいて、この基本的な精神が損なわれたりあるい は変質したりすることのないように配慮しながら、大事なのは、その歩みの速度 を緩めてはいけないということです。時間の損失というのは、これは子供たちに とっては取り返しのつかない不利につながるからです。  課題といたしまして三つ挙げておきましたが、この転換をよりスムーズに進め るために、その目標に向かっての速度ということが非常に大事だと思います。必 要な法的整備、推進事業の展開、ガイドラインの提示等々ございます。これらは、 国みずからがその役割を果たすという強い意思が必要であろうと常に思っており ます。  例えば、ここに例として挙げた、矢印は例のつもりなんですが、ガイドライン が二つございます。平成十六年のガイドライン、それからこの三月のガイドライ ン。ここでは、かなり具体的な進み方の評価項目が挙がっていて、これは全国で サンプル調査しておりますので、これによって、自分のところはおくれていると いうことで一気に変わっていったような実態があります。  それから、よく本人や保護者の意思を尊重するということ、これはもう当然の ことです。ただ、最後の決定権は保護者や本人にあることも言わずもがななんで すが、十分な情報といいますか、意見の交換や相談ということがないままに、保 護者の方が、例えば私はこうしたいというお気持ちを示すことがあるんですが、 実際には、子供さんの教育権を侵害とまで言わなくても、本当にそれでいいんだ ろうかというような疑問を持つこともあります。したがって、私は、保護者の権 利の擁護というのは、必ずそこには十分な情報の交換や検討というものがあった 上でなされてほしいということを思います。  そして、すべての問題というのは、やはり人にかかわります。こういった理念 の実現のためには、恒常的に安定させるシステムという、もちろん人が主ですけ れども、人が力を発揮するためにはシステムというものが絶対に必要だろうと思 います。したがって、そのためのシステムというものがどうしても必要であると いうことです。  このときに、もちろん財政事情が大変厳しいわけですから、単なる聖域意識と いうものではいかぬと思います。したがって、そこでは、理念実現のための骨太 な施策展開がなければならないし、評価に基づく持続性ある計画も必要ですし、 何といっても財政的な裏づけということは一つの命になってくるんではないでし ょうか。そうでないと、現場は理念だけで混乱して、疲弊してしまうという危険 度がかなりあると思います。  それから、何といっても、努力する教員に対して正当な評価と待遇、公平さと いうものが担保されなくては、ある種のモラルハザードを起こしてしまうのでは ないか。そのことは、学校全体の教育力の低下ということにもつながりかねない と思います。  そして、二番目に、特別支援学校の制度の創設でございますが、ここでは、現 在の重度・重複化ということを踏まえて、障害種別を超えた特別支援学校に一本 化するということは大変大きな進歩だと思います。それと同時に、特別支援学校 というものが、閉じこもったものではなくて、むしろ障害の多様化に対応できる 専門性と人材がそこにたくさん育つということ、それから教材教具や指導法のリ ソースセンターというような機能もあわせ持つことが必要であろうと思います。  それぞれの地域によっていろいろな御事情があるかと思いますけれども、特定 の障害に対応した学校という、かなり限定したコンセプトが現在併記されており ますけれども、私は、それは過渡的なものであろうかと思います。やはりこうい ったものは、いろいろな障害に多様にこたえるということ、これは最終形として 大事にしなければならないと思います。  特に、センター機能ということですけれども、そのセンター機能を本当に発揮 するためには、特別支援教育の専門免許というものの保有教員の配置ということ、 これはもう喫緊の課題であろうかと思います。現在、障害種によっては二〇%と か三〇%しか保有していないという実態もあるようでございます。  それから、特に小中学校においての連携ということで、それをセンター機能の 中で非常に重要視されているわけでございますけれども、認定就学というような、 これまで養護学校適と言われたお子さんでも、条件が整っているのであれば地域 の学校で受け入れるということも進められております。そういうことや、また近 くに、数時間かけないと教育を受けに行けないというような、そういった交通の 悪さみたいなこともないわけではないので、そういうことを考えますと、やはり 身近でそれぞれの教育が受けられるというようなことも常に考えていかなければ ならないことではないか、そんなふうに思います。  それから、課題の三つ目ですけれども、小中学校等においてこういったいろい ろな支援を受けやすくするために、例えば特別支援学校の生徒さんの地域の小中 学校における交流ということを考えたときに、東京都では副籍という考え方、そ れから埼玉県では支援籍という考え方、こういうようなものを設けて、地域の小 中学校の行事等にも参加しやすいようにということが考えられておりますけれど も、こういった学籍による分離を余りしないで、できるだけ一本化していくとい うようなことも課題ではないでしょうか。  それから、三番目に、小中学校における特別支援教育の推進で、私にとっては ここのところが一番関心の強いところではありますけれども、この下に図があり ますけれども、今回、段階を踏んで実現を目指すということになって、現状から、 この図の上にあります現行制度の弾力化と特別支援教室制度の検討というところ から、一番最後の特別支援教室構想の実現へというところ、ここにいつ行くのか という、私は、ここが次の大きな課題であり、こういった本当の理念の実現とい うことこそ、我が国の特別支援教育の成熟を示すバロメーターではないかという ふうに感じる次第です。  この四月からは、現行の学校教育法の施行規則の改正によって、情緒障害の中 から自閉が分離され、それからLD、ADHDというお子さんたちが通級による 指導対象として明記されたことは大変大きな進歩ではありますけれども、この歩 みをそこでとどめてはいけないというふうに思います。  それから、特に学校教育法の第七十五条、これは特殊学級のことを七十五条学 級というふうに別称することもある大事な法律なんですが、今回の改正案では、 第一項で、これまでの、特殊学級を小中高等学校等に置くということを、その他 の教育上特別な支援を必要とする児童生徒ということで広げたということ、これ は高く評価いたしたいと思います。  ただ、こういった特別支援教室への最終段階への移行というのは、経費の削減 を目的とした特殊学級の廃止ではないか、そういった誤解も一部に根強くありま す。そのことは、例えば通級による指導体制の拡充ということにも支障を招きか ねないわけでして、我が国の教育というのは教職員の定数改善計画というものに よってこれまで第七次まで行ってきたわけですが、今回、そこで一応途絶えてし まっている。少なくとも学級編制と教職員配置によってこういったものは維持さ れてきておりますので、通級による指導も含め、新たな教職員配置並びに加配の 計画というものの必要性を感じます。  今回、LD等に関しまして二百八十二名の加配予算がついたということで大変 感謝しておりますけれども、これが単年度であっては本当の呼び水になるんだろ うか。ここが施策の中心といいますか心、命であるならば、このことをぜひもう 少し計画性を持って継続していただきたいということです。  それからもう一つ、忘れてはいけないことが幾つかあるんですが、軽度の知的 障害児のお子さんの存在が、ちょっと影が薄くなっていると思います。というの は、先ほど市川参考人の方からも全国実態調査の結果が出ましたけれども、六・ 三%というLD、ADHD等のお子さんの調査をしたときに、実は二、三%、軽 度の知的障害のお子さんが通常学級の中に特殊教育を受けないでいるという実態 も明らかになっているんですね。この子たちは、制度はあるけれどもその制度を 非常に受けたがらないんですね。軽度であるがゆえに、特殊学級に籍を置くとい うことに対して抵抗感があります。このこともあわせて考えていくべきではない かというふうに考えるわけで、現在は通級による指導の対象としては特殊学級が ありますので、もちろん知的障害のお子さんは除くということになっております けれども、弾力化ということの中にはこういったところも含まれるのかどうかと いうことです。  それから、ここにおいては、一つの学校の中にすべての教育力を持つことは無 理です。したがって、例えば中学校区あたりを一つのベースにした幾つかの小学 校を巻き込んだ学校群というような形があってよいのではないか。現在全国では、 特殊学級を全部ではなくて一部に置くという拠点方式、これは東京が代表ですけ れども、それから、すべての学校にたとえ一人でも二人でもいれば置くという方 式と二つありますけれども、ここの間の格差、これがだんだんだんだん差が詰ま ってきますけれども、そこをどういうふうにしてモデルをつくっていくかという ことが大事だと思いまして、こういった学校群の構想ということもぜひ御理解い ただきたいと私は思います。  最後に、免許法でございますけれども、学校種の一本化、あるいは総合性と専 門性の組み合わせという基本原理は大変評価できるところです。しかし、免許法 の改正の案を見ておりますと、まだ非常に伝統的な障害種にやや偏っていないか という気がいたします。これは特別支援学校の免許法ということで、学校という ことをベースに置いた免許法なので、いたし方ないのかなと思いますが、必ずし もグローバルスタンダードとは合致していないと思います。  特に障害種のことですが、例えば、自閉症などはあらゆる認知レベルで存在す ると思います。しかし、これは、現在のところは通級による指導というところだ け初めて明記されたわけですが、特殊学級においても、特別支援学校においても、 例えば重要な指導対象であることから、そういった点の法的整備は不十分な免許 法の改定ではないかということでございます。  そういたしますと、現行の免許法からの移行ということもありますからなかな か一気には行かないと思いますけれども、世界のグローバルスタンダードから考 えると、短期間のうちに改正が必要になるのではないか。アメリカとイギリスの 障害種の例をそこに挙げておきますが、日本の障害の考え方とは大分違うと思い ます。  したがって、そういうことから、小中学校においてこういった専門教員がどう いうふうにして支援していただけるかということになるわけですが、正直言って、 LD、ADHD等の子供たちに対する支援が本当に特別支援学校の教員の中から できるんだろうかということについては若干疑問を持たざるを得ません。  ただ、最後に、こういった免許の積み上げ方式、このことは大変評価したいと 思います。逆に言えば、いろいろな障害に対して自分で免許を積み上げていく、 そういう自己努力といいますか、そういう教員。あらゆる障害に対応できるとい うのは、これはスーパーティーチャーだと思いますが、こういうようなことが、 自己努力だけではなくて、その暁として、それが何らかの形で評価されるという こと、それがやはり必要であろう、そのことがまた、自己の研修力を高めるエネ ルギーにもなるのではないかというふうに思います。  御清聴、どうもありがとうございました。(拍手) ○遠藤委員長 ありがとうございました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ------------------------------------ 13:27 2006/07/22 □ ------------------------------------------------------------------------ 今年は梅雨がなかなか明けません。。。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュースの記載内容に関する質問には原則として回答いたしかねます ■ ■ 編集に際し正確を期していますが最終保証責任は免責とさせて頂きます ■ ■ LDニュースの記載内容を転載される場合には必ず下記までご連絡下さい ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 親の会「けやき」連絡先 E-mail: keyaki@box.club.ne.jp [1999/03/12 から] ホームページ URL : http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/ [1998/07/31 から] LD 関連の情報交換・意見交流・質問は下記の「LDフォーラム」をご利用下さい LD-FRM URL: http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/LD-FRM/ [2000/08/17 から] ★ 挿入された広告内容や広告主と親の会「けやき」は一切関係ありません ★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ LD・発達障害等関連図書 → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/books/ □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  LDニュースは「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ を利用して発行してます ------------------------------------------------------------------------

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