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■ LD(学習障害)ニュース #645 2006/04/28 発行 登録(配信)読者数 3,539 ■
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■ 第164回国会 参議院 文教科学委員会 会議録抜粋(2) 2006/04/20 ■
□ 編集後記 ------------------------------------ 06:52 2006/04/28 □
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■ 第164回国会 参議院 文教科学委員会 会議録抜粋(2) 2006/04/20 ■
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○委員長(中島啓雄君) ありがとうございました。
次に、三浦参考人にお願いいたします。三浦参考人。
○参考人(三浦和君) このように参考人としてお呼びいただきまして、私これ
まで七十六年生きているわけでございますけれども、大変いい機会をいただいた
ことに感謝を申し上げます。
私は、小中学校に約十年、それから養護学校に約三十年、都合四十年ばかり教
職に就いて、今は十六年ばかり、この名前のとおりの全国特別支援教育推進連盟、
元は全国特殊教育推進連盟と言っていましたが、そこでやっております。この団
体は、障害児者関係、教育関係の約二十団体が加盟している団体でございまして、
もろもろ含めて今も現職的な仕事をしてございます。その観点から、この特別支
援教育、また二十一世紀の在り方から特別支援教育に関係する在り方のところで
も委員等を務めてきた関係から、七点ばかり課題を、課題といいますか、制度と
今後の課題ということを組み合わせながら意見を申し述べさせていただきます。
一つは、これは当たり前のことでございますが、ただいま行っております特別
支援教育の推進に当たって、各学校では、特別支援教育コーディネーターの指名
とか個別の教育支援計画の策定であるとかセンター的機能、この参考資料にも十
ページのところに、調査室から出されていますところに細かく、十ページのとこ
ろですか、にセンター的機能の具体的内容が書いてございますが、そのように、
学校としては校内組織体制の整備に向けてかなりの努力、取組をしている現在で
ございまして、早くこの学校教育法で特殊教育が特別支援教育という新しいもの
に明確に位置付けて、そして特別支援関係者の今までの願いをここで明確にして
いただければと、かように思う次第でございます。これが一点でございます。
二つ目は、特別支援学校への転換という、今も嶺井先生からもお話がございま
したが、特別支援学校への転換ということではいろいろな形での内容があります
けれども、私は、これまでの経験は、肢体不自由の養護学校で約三十年やったわ
けでございますから、したがいまして医療的ケアの問題にまでどっぷりとつかっ
てきた教育を行ってきておりますし、その関係からいいましても、この特別支援
学校への転換の大きなくくりというのは、先ほども大南参考人も申しましたよう
に、盲・聾・養護学校の幼児児童生徒の重複化に関係してくることになるわけで
す。この重複化にどのように対応するかというのが、これが一つの特別支援学校
への転換の命の一つと考えるわけでございます。これができないようであれば、
これまでずっと何十年にもわたって、特殊教育からこれから特別支援教育になる
であろうところまで私どもがやってきたものが、これはもう無に等しくなってし
まう。
要するに、可能性を信じてこれまでもずっと深く重度化、重複化に対応し、ま
た就学猶予・免除者を、私ども教員になったばかりは区の学務課にまで、このこ
ろは学事係と言っていましたが、学事係まで行きまして、そして就学免除がどう
か、猶予がどうかやったわけです。そうしたら、区によっては学事係の中に名簿
すらなかったという時代もあったんです。そういうものを、まず、合い言葉は就
学猶予・免除をなくそうということから始まった。それから、重複化の傾向に向
かって可能性を信じて、重度・重複化をもっともっとその中で学校をそのくくり
としてまた育てていこうと、こういうことをやってきた次第でございまして、ど
うしても今後ともその重度・重複化に向けて、しかも一人一人の教育的ニーズに
応じた医療的ケアも含めた適切な指導及び必要な支援を行うようにしていきたい、
これがまさしくねらいであると。
それに関連しては、さらに医療的ケアを必要とする障害者への対応の強化を、
これは調査室の四十四ページにその問題が書いてございますけれども、そこをや
っていく。あるいは、特別支援教育の指導の中核としての自立活動、この問題を、
教職員一同がもっともっと研修をして、そこでもって例えば身体の運動であると
かあるいは健康の維持増進に関係することであるとか、そういうものを勉強して
いって進んでいく必要があると、こういうことを思う次第でございます。これが
二点目。
三点目は、これはお願いにもなるわけですが、特別支援教育に係る人的な充実
というものが不可欠であろうと、かように考えます。
十八年度には認められなかった第八次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画
については、是非十九年度には、特別支援教育を充実するための重要施策として
位置付けて、国会においても是非審議を賜りたい。現下の総人件費改革をめぐる
議論の状況の中で、平成十八年度において新たな教職員定数改善計画が、策定が
行われなかったということ、そして、現在は単年度限りで特別支援教育の充実と
食育の充実の対応で三百二十九人の定数改善ということでございましたが、これ
らをめぐって、更に更にこの点は検討していただきたい、かように思うわけです。
それは、一つは、先ほども申したように、特別支援教育センターとしての機能
というものが約六点にわたって幅広くあるわけでございますから、それらと、あ
るいはコーディネーターを設けていくこと。私は、後輩が、私が新採で採ったの
が校長で何年もやっている人が後輩にいるわけです。それが小学校、中学校にい
るわけですが、小中学校の校長に聞いてみましたら、どうもやっぱり指導の問題、
LD等の指導の問題とコーディネーターの問題と両方二つ重ね合って、そのまま
の状態でやるということは非常にしんどいという話をしておりました。
いずれにしましても、一つは、特別支援教育センターとして特別支援学校が行
うわけですから、そういう人的な充実とか、あるいは小中学校において障害児学
級のみならず学校を挙げて特別支援教育を推進するために、LD加配教員を始め、
さらにそれを密度濃くやることが不可欠ではないかと、かように思うわけです。
これが三点目。
四点目は、特殊学級が有している機能の維持と教職員配置との関連や専門性の
確保に留意して、これらがどういう形で進んでいくかということ。
やはりここで提起されているように、特別支援教室、これは現在も仮称のまま
でございますが、特別支援教室の構想を目指しているシステムを法令上に明確に
位置付けるということが書いてありますが、中教審の答申の中で、そのシステム
を法令上に明確に位置付けることなどを更に今後とも是非検討していくと。
幸いなるかな、努力もあってか、通級による指導の対象が学校教育法の施行規
則の中に改正として自閉症等も入れられるなど、そういう進歩も見られますし、
いずれにしても、今後の特別支援教育の課題は、小中学校における総合的な体制
整備というのは不可欠であろうと思うんです。
これは何かというと、先ほどもございましたように、小学校、中学校の教職員
のやっぱり意識そのものが、特別支援教育というものを学校教育の中の一つのや
はり大きな指導のポイントであるということを考えた上で学校経営なり学校機能
なり学校活動なりをするかどうかにかかわってくるわけでございますので、そう
いう問題を含めてやる。そのためには、またさらに、研究開発学校やモデル校な
どの実践的研究を更にすると。
そういうことで、これが四番目のことでございます。
五番目は、やっぱりずっとつないで考えてみますと、教職員の専門性の問題と
いうのは本当に避けて通れません。そして、しかも、特別支援教育をやるんであ
れば、これまでの研修あるいはこれまで集めてきた力だけでは通用しない、こう
いうふうに思います。
私も、過日、読売新聞で「教育ルネサンス」に取材を受けました。そのときに
言ったことは、やっぱり教師力というのを付けないともう駄目だという話をした
わけでございますけれども、いずれにしましても、教員免許状の制度の問題は制
度の問題として今提示されているように進めていくわけですが、問題は、重複の
子供たちを担った場合に、特別支援教育の免許状の場合にできるだけ、特別支援
教育領域と言われている言葉がありますが、例えば盲教育と聾教育と肢体不自由
教育と三つとも分かるというふうな教職員をつくっていかなくてはならないと。
こういう意味では、多様な指導力と専門性の構築というものを考慮に入れなが
ら、今勤務している教員が当該該当免許状以外に特別支援教育領域に関する科目
を取得して免許状を増やしていくというような、そういう指導奨励がとても大事
ではないかと。免許制度の見直しと同時に今のことをやはり念頭に置くことが必
要であろうというふうに考えます。
六点目は、先ほど嶺井先生からお話がございましたが、特殊教育就学奨励費の
堅持のことでございます。
これは、私も、去年はこの特殊教育就学奨励費のことで全国知事会に行ったり、
あるいはいろんなところにお願いをして、公明党の文教委員会にもお願いをした
りと、いろんな形も取りました。それはなぜかというと、このことが、地方の中
に入っていきますと、恐らく現時点では格差が生じた形で、地方、県と県との間
では違った形の特殊教育就学奨励費が出てくるのではないかというふうに思いま
した。
それからもう一つは、今、特別支援教育にこれから進むであろうというときに、
いずれにしても特別支援教育の子供たちが増えこそすれ減りはしない、そういう
現実の中で地方に渡すということになると、その辺の辺りでまた格差が生じるの
ではないかということなどをお話ししながら、この堅持をやっている。今年もど
ういうことになるのか、これは、就学奨励の問題というのは就学指導の問題とも
折り重なることでございますし、障害がある子供たちの保護者の方々がどれほど
いろんな苦労をしているか、特に、例えば肢体不自由の場合の通学の問題などと
いう場合には保護者の方々は大変な努力をしていることを目の当たりずっと見て
おります関係で、そのことについては是非堅持を願いたいと、かように思う次第
でございます。
七点目は、先ほどからるるお話しいたしましたが、どうもやっぱり軸となるの
は、障害者の理解と支援のために、教職員はもちろんのこと、地域住民の方々等
含めまして、日本の国全体の中で障害児者の教育、福祉、医療、あるいは職業、
そういう問題についてどのように相互で支援をすることができるかどうかという
心の問題がやはり大事なのではないかと。恐らく、特別支援教育、例えばインク
ルージョンの問題、話が出ましたけど、今インクルージョンをやったら果たして
社会の中でそういう深みがあるかどうかという問題含めまして、これは私は早い、
時期尚早にも感じます。なぜかというと、一つ一つ吟味しながら、特別支援教育
を一方では進めていき、一方では社会の方々がそのことに対して理解をしていく
という姿を求めながら、そして相互に共通の理解を持ち、進めていくことが極め
て大事である。
そのためには、文部科学省の方も今いろいろ考えておられるようですが、障害
者の保護者を活用して、障害者の保護者の方々が社会的な活動を通して障害者の
理解を進めていくような、そういう形の方法、そういう団体を育てていくような、
要するに保護者の役割をもっともっとやっぱり理解を伴う形で進めていく。学校
と教育との対比の上で保護者が動くのではなくて、共有者として保護者が次第に
ますます頑張っていただけるように是非できないものかと、かように思う次第で
ございます。
いずれにしても、一方では福祉教育の推進を図ることというのはこれまでもず
っと述べられております。私も内閣府の障害者の施策推進本部の参与をさせてい
ただいておりますけれども、内閣府の白書の中には必ず福祉教育の推進というこ
とが申し述べられております。しかし、これは、福祉教育の推進というのは本当
に幅の広いものでありまして、これらが具体化した形で進めていくためには相当
の吟味なり相当の検討なりが必要であって、今後とも、この特別支援教育が二、
三年で無事上手に展開できたら、是非とも全国的な立場で福祉教育というものに
ついて、これは、これだったら小学校でも中学校でも盲・聾・養護学校でも一緒
の場で福祉教育が論じられますので、こういう場をつくっていただけたら幸いだ
なという感じを深くするわけでございます。
今後とも、私どもは、特に特別支援教育の中で仕事を進める者としては、児童
生徒の障害の重度・重複化と、それから一方では忘れてならないのは交流教育と
いうものでございます。この交流教育と、それからもう一つは共同学習というこ
とが、これも新しく障害者の基本法に出ております。この問題は、今、例えば居
住地の交流ということもあります。この辺の問題はやっぱり私は就学指導とかい
ろんなことを、その就学に関係すること等、教育等のいろんなことを考えますと、
どうもこの辺の解釈の問題がやっぱりあるのではないかと。
私は、今やっていることの交流教育と共同学習をますます拡充しながら、きち
んとした形で経験を伴った体験学習も含めて進めていくことが是であると考えま
すし、今後ともその方向性が見定めることが必要であると。私は、今も就学の関
係とか理解、啓発に関係するものを文部科学省の指示も受けながら仕事をしてお
ります。パンフレットを作ったり手引を作ったりあるいはビデオを作ったり、い
ろんなことをやっております。その関係からいっても、ここでますます、今度は
一方では軽度の子供たちのためには交流教育と共同学習を更に展開することが必
要であると、こういうふうに思います。
私のしゃべりたいことはあとはありませんので、これで終わらせていただきま
す。以上でございます。失礼しました。
○委員長(中島啓雄君) ありがとうございました。
次に、山岡参考人にお願いいたします。山岡参考人。
○参考人(山岡修君) それでは、御紹介いただきました全国LD親の会の会長
と日本発達障害ネットワークの代表をしております山岡と申します。本日は、こ
のように貴重な場を設けていただきまして意見を申し述べさせていただく機会を
与えていただきまして、大変ありがとうございます。
LDという言葉をもう今は御存じいただいているかもしれませんけれども、私、
新聞記事のピックアップというのをよくインターネットとかでするんですけれど
も、昔はレーザーディスクというのが出てきて、LD親の会と言うと、レーザー
ディスクですかと言われてしまったんですね。最近、盛んにLDと打つと新聞記
事たくさん記事が引っ掛かってきて、いよいよ国会で審議が始まったかと思った
んですが、どうもライブドアをLDと訳す新聞社が多くて、私は非常に迷惑をし
ているところでございますけれども。この問題も片付きつつありますので、是非
教育の問題を議論していただきたいと思っているところでございます。
全国LD親の会といいますのは、一九九〇年に組織いたしまして、各地域で活
動するLD親の会の全国組織でございまして、約五十の団体が加盟しております。
お手元の方に、私どもで発行しました冊子をお手元に置かせていただいています
が、LD、ADHD、高機能自閉症の基本的な理解を示すような冊子を発行した
り、いろんな活動をしているところでございます。
もう一つは、日本発達障害ネットワークという団体を昨年立ち上げたんでござ
いますが、これは昨年の四月に発達障害者支援法という法律が、議員立法でして
いただきまして施行になりましたが、ここに関連する自閉症、LD、ADHDな
どの当事者団体、これに加えまして、学会とか職能団体も含めて全国団体が十一、
それからエリア団体が三十二加盟しております。こちらの団体は、前の厚生労働
大臣でございます尾辻先生に会長になっていただきました発達障害の支援を考え
る議員連盟、先日総会をしまして百三十六名の先生が御参加いただいたんでござ
いますが、こういった議員連盟とも連携を図りながら、発達障害に対する理解や
支援の向上に取り組んでいこうとしているところでございます。
前置きが長くなりましたけれども、三名の先生方からお話ございましたけれど
も、特殊教育から特別支援教育への転換ということでございます。大南先生から
五倍に増えるんだということをおっしゃっていただいたんですが、お手元の資料
の方にちょっと表しておりますけれども、一つは、大きなことは、この特殊教育
に対する考え方を大きく変えるんだというのが、実はこの五年前の二十一世紀の
特殊教育の在り方に表されておりまして、基本的には従来は障害の種別と程度に
応じて特別の場を設定して支援をしておりましたが、これからはその一人一人の
ニーズに応じて支援をしていくんだということで、基本は障害モデルからニーズ
モデルへの転換だというふうに言われております。
それと、その五倍に増えるんだということだけではなくて、従来はこのLD、
ADHDの子供たちというのは約六・三%いるというような推計値があります。
要するに、四十人学級でいうと二人とか三人とかいておかしくないんですね。す
べての教室にいると思っていただいてみますと、従来の特殊教育というのは、通
常の学級にはそういう子供たちはいないという前提でおりますから、一律一斉の
授業をしています。これからはそうではなくて、各教室にそういう子供がいるん
だという前提で、すべての先生がそういう子供たちに配慮とかをしながら進めて
いく必要があるということでありまして、これは特殊教育という一部の世界のも
のではなくて教育全体の問題、変革なんだというふうにお考えいただきたいと思
います。
それで、その特別支援教育の基本的な考え方や理念というところで、私は三つ、
ここで一ページのところで取り上げているんですが、一つはそのLD、ADHD、
高機能自閉症をその支援の対象に加えるんだというところであります。先ほども
お話が出ておりますが、日本の特殊教育、レジュメでは一・六となっていますが、
一年進みますと一・七四%、全児童のですね。アメリカは一一%であります。イ
ギリスは約二〇%がそういう困難を持っているのではないかということで対策を
進めております。この差というのは、アメリカとの間の九%ぐらいありますね。
これ何かというと、日本の教育ではこの軽度の発達障害の子供たちに何の手だて
もしないままずっと進んできたということなんですね。放置されてきたというこ
とであります。ですから、文部科学省の報告書を見ましても、LD、ADHD、
高機能自閉症等への対応というのは喫緊の課題というふうに取り上げております。
私、民間企業に勤めておりますが、喫緊の課題と言われますと、何か月か以内
に対策を打たないと会社がつぶれてしまうような表現なんですね。ですから、こ
の問題については真剣に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
それから、二つ目のこの特別支援教育の考え方としましては、一人一人のニー
ズに応じた指導、必要な支援をしていくんだというところであります。これは、
同じ障害名、従来の知的障害でもそうですし、身体障害でも同じなんですけれど
も、同じ障害名であっても一人一人の持っている特性が違います、ニーズが違い
ます。これからは一人一人のお子さんのニーズやプロフィールに合わせて適切な
支援をしていこうという考え方であります。これも従来の教育の考え方とはかな
り大きな転換だと思います。
それからもう一つは、三つ目は乳幼児期から学校卒業後までの一貫した支援を
行おうということが挙げられております。これも、私たち保護者は、学年が替わ
るたび、学校が替わるたびに積み上げてきたものが全部つぶれてゼロからスター
トするんですね。先生が替わるたびに一から説明しなくてはいけないということ
で、これらについては一貫した支援を行うということが一つと、手だてが用意さ
れておりまして、引継ぎをうまくしていくというふうな道具をきちっと用意する
ということだと思います。
それで、この特別支援教育の転換というのは、従来のいろんな制度と違うとこ
ろというのは、最初からパーフェクトでスタートすることは多分無理だろうと思
います。ですから、今回の中教審の答申も、今回の法律の改正案も、完全な形で
完成版で出ているわけではないということですね。ですから、ある意味でいくと、
いろいろ不十分な点とか御不満のような点もあるんですけれども、それは特別支
援教育と今三つ挙げたような高い理念に到達するための一つの段階だと考えると、
合格点といいますか、だと思っています。後で申し上げますけれども、もしここ
で止まってしまったら、これ合格点ではないんですね。この制度とか箱を用意し
て、その後にソフト面でありますとか、次のステップ、次の検討を進めていくと
いう一段階としてはすばらしい大きな一歩を踏み出したというような法案だとい
うふうに思っております。
それで、今回の改正点でございますけれども、資料の二ページ目にちょっとま
とめてございますが、既に多くの先生方が説明をされておりますので、特に私の
ところに関係があります二番目のところを中心に御説明申し上げます。
今回改正のところでは、中教審の答申では三つありまして、盲・聾・養護学校
の見直し、これを総合化して特別支援学校に移行というところであります。それ
から三つ目のところでは、教員免許制度の見直しのところで、これも総合化とい
うふうな案になっております。
この二つ目でございますが、さっき嶺井先生も御指摘されましたけれども、特
別支援教室という構想があったんですけれども、これは中教審でもいいシステム
ということで認めながら、すぐにここに行くのはいろいろ難しいものがあるねと
いうところを言っております。基本的には一段階ステップを踏んでからこの構想
を目指そうというところであります。
お手元の資料でいきますと、四ページのところを開けていただきますと、この
中教審の答申の中で、最後のページにこの特別支援教室への構想についてのステ
ップのところが載ってございまして、現状、通常の学級があって、それから通常
の学校の中では特殊学級と通級による指導がありますと、そこから特別支援教室
に移行。特別支援教室というのは、簡単に言っちゃうと、通級と特殊学級を総合
化するような形で特別な場を設けようというものでございますが、ここに一気に
行くのではなくて、特殊学級と通級を弾力化をして、それからさらに特別支援教
室の構想を目指そうというものでございました。
実際には、今回の中でいきますと、学校教育法施行規則の改正がございまして、
四月一日に既に施行され、LDとADHDが既に通級の対象に加わっております。
更にその弾力化を進めていくということだというふうに思っています。
五ページの表をちょっと開けていただきたいんですが、五ページの中で、ちょ
っとパワーポイントから写してきたので分かりづらい表でございますが、これ三
つに分かれておりますけれども、十七年度までの制度というのがありまして、今
通常の学級というのは、一週間二十八時間あるといたしますと、特別な場での指
導は一応ゼロでございます。それから通級教室というのは、横長に線を引いてい
ます、四角を作っておりますが、三時間から八時間の特別な指導ができますと。
それから、特殊学級は基本的には固定学級で、二十八時間固定でございます。
これ時間軸を縦に取りますと、子供たちのニーズというのは、週に一時間指導
してほしいという子供から三時間欲しいというお子さん、それから十時間、いや
二十時間欲しいんだというお子さんもあると思うんですけれども、現在の制度は、
通級は三時間から八時間、それから特殊学級は二十八時間ですので、制度に大き
な落差があります。その落差がある中で、子供たちはその今の制度に合わせてど
っちかを選択しなくちゃいけないんですね。
特別支援教育の考え方の中でいくと、本来は子供たちのニーズに制度を合わせ
るべきだというのが私たち保護者の考えでございます。これでいきますと、一番
下の表でございますが、子供たちのニーズが連続性があっていろんなニーズがあ
る以上、時間軸という面で見ても、こういうふうに柔軟に一時間から二十八時間
までいろいろ対応できる特別支援教室という構想を是非進めていただきたいとい
うふうに思っております。
手元の資料で二ページにちょっと戻るんですけれども、この三つ、改正の中で、
答申の中で三つ案が出ている中で、実はこういうハード面のことは整備されてい
くだろうと思うんですが、先ほど申し上げましたように、この特別支援教育とい
うのは非常に高いハードルといいますか、長期的に取り組んでいくものと考えま
すと、幾つかのソフト面といいますか、そういうものを充実させていく必要があ
るということでございます。
三ページの方に移りまして、では、じゃソフト面って何だということでありま
す。さっきも申し上げましたとおり、今回の改正案は特別支援教育の理念を実現
していく第一歩と考えますと、ここで止めてしまっては駄目だと。どんなことが
必要なのかといいますと、この五番のところに「特別支援教育の理念実現に必要
な拡充すべきもの」というふうに書いてございますが、先ほどもいろんな先生方
おっしゃっていますけれども、元々そのLD、ADHD、高機能自閉症という軽
度の子供たちというのは特別支援教室ができたとしても基本的には通常の学級に
いるんですね。ですから、通常の学級の先生が通常の時間に理解をしたり配慮を
したりということが必要でございます。ただ、今の先生方はそこまでしろという
ふうに言われておりませんし、そういう教育も受けてきておりません。ですから、
先生方の教員になるときの中でこういう障害児に対する教育をしていただくとか、
あるいは担任の先生一人では駄目なので、学校の内外から支援をするようなシス
テムをつくるということが大事でございます。
それから、先ほど申し上げましたように、この子供たちは通常の学級の中だけ
ではなくて必要に応じて特別な場での指導が必要でございまして、必要に応じ特
別な場での指導というのができる制度をつくっていただきたいということであり
ます。
それから、一人一人に合わせた、ニーズに応じた一貫性のある教育ということ
については、今、個別の指導計画とか個別の教育支援計画というものが用意をさ
れています。これ、計画といいますけれども、プランをして、そして実行をして、
それを見まして、それから次のステップに行くというプラン・ドゥー・シー・チ
ェックという一つのサイクルが大事でございまして、教育の中でもこういうサイ
クルを適用していくということが大切だというふうに思っております。
それから、ソフトという意味でいきますと、実は今回、制度の中でいくと、特
別支援学校をつくるとか教員免許状の改正ということが目立っておりますが、実
は七十五条の改正のところでいきますと、通常の学級の中で、学校の中でこうい
う子供たちへの支援をしていくんだということが学校教育法の中で初めてうたわ
れています。従来、七十五条というのは特殊学級のところだけだったんですけれ
ども、前段のところでうたわれておりまして、こういったものを言葉だけではな
くて拡充させていくことが先ほどから申し上げておりますような特別支援教育の
理念とか基本的な考え方を完成させていくものだというふうに思っておりますの
で、法律の改正だけではなくて、それからの施策で是非拡充していっていただき
たいところでございます。
最後に、六番目としまして、三名の先生方とダブるんでございますが、特別支
援教育の理念実現に必要なことということで申し上げておきます。
先ほどもお話出ておりましたが、第八次の教員定数改善計画、昨年いったん見
送りとなりまして、その中でLD、ADHDの通級に対して二百八十二名の人員
が単年度で確保いただきました。しかし、子供たちは一年だけではないわけであ
りますから、是非十九年度から五年間で、定数改善計画をまた復活していただき
ましてこの子供たちに対する教育に必要な人員を配置していただきたいと思って
おります。
二番目は、重なりますが、通常の学級の中での特別支援教育、これからは大事
でございまして、これに必要なことを是非国として積極的に取り組んでいただき
たいということでございます。
それから三つ目は、四月一日の学校教育法施行規則の改正で、通級の対象とし
て、従来、情緒障害というあいまいな言葉の中に実は自閉症とそれから緘黙とか
のやや精神的な疾患をお持ちになったお子さんとの二つの種類が入っていたんで
すけれども、今回の改正で自閉症ということが単独できちっとうたっていただき
ました。ただ、これは今のところ通級だけなんですね。ですから、特殊学級ある
いは養護学校においても自閉症というものをきちっと位置付けていただいて、そ
れに適した教育をしていただきたいということを思っております。
四つ目でございますが、先ほども申しましたけれども、特別支援教室の構想と
いうのが中教審でも更に検討することが適当となっております。こういうものは
余り時間を置かずに、迅速に次の検討をやっていただきたいというふうに思って
おります。
それから、最後でございますが、さっきと重なりますけれども、特別支援教育
というのは、こういった今回の法律の改正は第一段階というふうに考えておりま
すし、その法律の条文の中にはいろんな意味が込められております。それを更に
事業として、あるいは必要な法律の改正も含めて、特別支援教育が掲げる理念や
基本的な考え方を実行していただくようにというふうに思っております。
最後でございますけれども、私、LDやADHD、高機能自閉症の子供たちを
持つ親の会におりますけれども、この子供たちは一見変わっております。見たと
ころ、やる気がないと見られたり、実はだらしないとか、母親のしつけが悪いん
じゃないかというふうに思われることがあります。学校の先生も対応に困ってお
られることがあると思うんですけれども、よく考えますと、一番困っているのは
この子供たちであります。この子供たちは、やる気がないとかそういうふうに見
えることもございますけれども、実は僕も勉強できるようになりたい、私も褒め
られたいという気持ちでおります。大きくなると、私も仕事をしたい、恋人も欲
しい、結婚もしたい、家も持ちたいというふうな夢や希望を持っているわけでご
ざいます。
しかし、残念ながら、今の体制でいきますと、そういう子供たちが疎外されて、
不幸にして二次的障害に陥ったケースもあります。是非、数年前にイギリスでブ
レア首相が就任されたときに、私は感動したんですけれども、私はやりたいこと
が三つあるとおっしゃいまして、一つ目は教育だ、二つ目は教育だ、三つ目は教
育だとおっしゃったんですね。それほど教育というのは大切であります。
実は嶺井先生もおっしゃいましたけれども、この特別支援教育、決してLDや
ADHDや高機能自閉症の子供たちのためのものだけではありません。こういう
一人一人に対してきちっとニーズに応じて教育をしていくということは、実は障
害のある子供だけではなくて、本当はすべての子供に適用されることであります
し、その一人一人のニーズに応じて適切な支援をしていくということ、これは今
学校の教育が抱えておりますいじめや不登校や学級崩壊あるいは学力低下という
ような問題の解決にも必ずつながるというふうに私は思っております。
そういう意味も含めまして、将来の国を支える子供たちでありますし、もう一
つ、軽度の子供たちというのは、きちんと対応して教育をしていけば、将来税金
を払ってくれる、自立をして、人たちに育っていくんですね。ところが、誤ると、
将来たくさん税金掛けなきゃいけないような対策を打たなければいけなくなると
思います。現在、財政事情厳しいかもしれませんけれども、長い目で見て投資効
果の高いことだと思いますので、是非国として積極的に取り組んでいただきたい
というふうに思っております。
以上でございます。
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□ 編集後記 ------------------------------------ 06:52 2006/04/28 □
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久方ぶりのすっきりした青空です。(2)
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