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□ LD・発達障害等関連図書 → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/books/ □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LD(学習障害)ニュース #587 2005/08/21 発行 登録(配信)読者数 3,512 ■ ■ LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997/09/10創刊 ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼ LD親の会「けやき」の正会員・通信会員・賛助会員・ボラ会員募集中! ▼ ▲ 入会方法等はこちら → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/join.html ▲ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 今後の学校の管理運営の在り方について(答申)04/3/4中央教育審議会 ■ ■ 今後の学級編制及び教職員配置について(中間報告)素案   2005/08 ■ ■ 保健師の家庭訪問開始育児支援で兵庫県三木市が来月から 2005/08/20 ■ ■ 第2回出版UD研究会 LD(学習障害)と読書 支援の可能性と著作権問題 ■ □ 編集後記 ------------------------------------ 19:57 2005/08/21 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□■ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください ■□■□■ ■ LDニュースへ講演会等のイベント情報の掲載を希望される方へ・・・ ■ ■ 詳細は下記サイトをご覧下さい。原稿は適宜編集する場合があります。 ■ ■□■□■ http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/sample.html ■□■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 今後の学校の管理運営の在り方について(答申)04/3/4中央教育審議会 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/001/04030401/002.htm −−−−−−−−−−−− 第1章 学校の管理運営をめぐる課題と検討の基本的視点について 1 検討の背景 〜今なぜ学校の管理運営の在り方が問い直されているのか〜 ○我が国の初等中等教育は,戦後,6・3・3制の施行などを通じて質的な面で の大幅な改善と飛躍的な量的拡大を遂げてきた。学校教育の充実を通じた国民の 教育水準の向上は,経済社会の成長・発展に大きく貢献し,生活に豊かな文化を もたらすとともに,我が国が国際社会に貢献し存在感を発揮する上でも大きな役 割を果たし,諸外国からも高い評価を受けてきた。 ○一方,近年,グローバル化,情報化,都市化,少子化など社会構造の急速かつ 大きな変化や,国民の意識や価値観の多様化等に伴い,学校教育に対する要請が これまでになく多様で高度なものになってきている。 例えば,グローバル化や情報化などの社会の変化に的確に対応する国際競争力 のある教育の実現が求められている。個性や能力の伸長をより一層重視した教育 を実現することが求められている。家庭や地域の教育力の低下を反映して,豊か な情操や社会規範意識をはぐくむ教育の充実が求められている。さらには,不登 校状態にある児童生徒や,学習障害(LD),注意欠陥/多動性障害(ADHD) など特別な配慮を必要とする児童生徒に対するきめ細かな指導の充実も求められ るようになっている。 ○こうした学校教育に対する児童生徒や保護者の期待の高まりに対し,現在の学 校教育,とりわけ公立学校における教育は十分に応(こた)えていないのではな いかとの批判が,様々な方面から出てくるようになった。 これらの批判の具体的な内容や立場はそれぞれ異なるものの,全体を通じて, 我が国の公立学校教育は硬直的で画一的であり,変化に対応する柔軟性や多様性 に乏しいこと,自ら改革に取り組む動機付けが働きにくく,効率性が十分に意識 されていないこと,閉鎖性が強く,地域の一員としての意識や地域社会との連携 を欠きがちであることなどが指摘されている。 その上で,学校教育をより質が高く,多様性と柔軟性に富むものとするために, 例えば,多様な主体による学校教育の提供を認めることや,外部の人材や資源を 学校教育に積極的に活用すること,公立学校の運営に保護者や地域住民を参画さ せる仕組みを構築すること,公立学校の包括的な運営を外部に委託することなど, 学校の管理運営の在り方についての様々な見直しが提言されている。 ○公立学校の管理運営の在り方に対する批判は,最近になって初めて起こったも のではない。中央教育審議会においても,学校の管理運営の在り方の改善につい て,これまで様々な観点から提言を行ってきた。特に,平成10年の答申「今後 の地方教育行政の在り方について」においては,各学校の自主性・自律性の確立 と,自らの責任と判断による創意工夫を凝らした特色ある学校づくりの実現のた めに,人事や予算,教育課程の編成に関する学校の裁量権限を拡大することや, 学校が保護者や地域住民に対してより一層開かれたものとなるよう「学校評議員 制度」を導入することなどについて提言を行ったところである。 教育委員会や学校においては,これらの提言を踏まえた様々な改善の取組が進 められている。また,多くの学校が自らの教育活動,その他の学校運営の状況に ついて自己評価を実施しているだけでなく,保護者や地域住民等による外部評価 を行い,その結果を踏まえて更なる改善に取り組む学校も増加するなど,学校は 着実に変化してきている。 ○しかしながら,改善の取組の進捗状況やその内容は一様ではなく,また,時代 や社会がますますその変化の速度を増し,社会の様々な分野で抜本的な構造改革 が進められる中にあって,学校に対しても,社会の要請に応え,より良い教育の 実現に向けた更なる改革を遂げることが求められている。このためには,学校教 育として果たすべき役割の本質を見極めつつ,これまでの改革の取組を推進し, より深めていくことに加え,従来とは異なる角度から学校の管理運営の在り方に 光を当て,新しい制度の導入の可能性も含めた検討を行うことが必要と考える。  −−−以下略−−− ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 今後の学級編制及び教職員配置について(中間報告)素案   2005/08 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/029/shiryo/05080901/001.htm http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/029/shiryo/05080901/001.pdf −−−−−−−−−−−−−−− 今後の学級編制及び教職員配置について(中間報告)素案 平成17年8月 日 教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議 本調査研究協力者会議は、中央教育審議会義務教育特別部会からの検討要請を受 け、平成17年5月20日の初会合以来、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員 定数の標準に関する法律(以下「義務標準法」という。)及び公立高等学校の設 置、適正配置及び教職員定数等の標準に関する法律で定める教職員定数等に関す る諸問題及び今後の学級編制と教職員配置等の在り方について、回の審議を重ね、 併せて関係諸団体からの意見聴取を行った。  これまでの検討結果をまとめ、中間報告として報告する。 1.これまでの学級編制及び教職員配置の改善施策等の取組み (1) 従来の取組み  戦後の教育行政においては、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上の 観点から、教育内容の充実とともに教育条件の整備など各種の施策が実施されて きた。  学級編制及び教職員配置に係る施策についても、昭和33年の義務標準法制定以 来、昭和34年からこれまで数次にわたる教職員定数改善計画の結果、「すし詰め 学級」とよばれてきた教育環境を改善して平成3年にようやく40人学級が全国す べての学校で実現するとともに、免許外教員の解消やへき地教育・生徒指導の充 実、学校の指導体制の確立などが図られた。これにより、全国どの地域において も、40人学級を実現し、児童生徒数や学級数など学校規模に応じて等しい教職員 配置の水準を達成することができた。  近年の児童生徒の変化により、不登校や生徒指導の問題、さらに、学習だけで なく生活・人間関係づくりなども含めて学級に基づく集団生活・指導になじめな い児童生徒が増えてきている。これまでの学級を中心とした集団一斉指導などの 指導形態や指導方法さらにこれを支える指導組織が画一的なものとなりがちであ るため、学校が子どもたちの実態や地域の実情に応じた特色ある教育活動を推進 しようとしても必ずしも容易ではない状況もみられるようになっている。 (2) 近年の取組み 1 第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画等  このように学校が抱える課題が複雑化・多様化する中、全国一律に画一的な取 組みを進めるのではなく、各学校において、子どもたち一人一人を大切にし、子 どもたちの学習状況などの実態や地域の実情に合った効果的な指導、すなわち個 に応じたきめ細かな指導を行うことができるような、新たな学級編制及び教職員 配置がますます求められている。  このため、第6次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画(平成5年度〜12年 度)では、学校において、ティーム・ティーチング(複数教員による協力的指導) 等が行われるよう、多様な教育活動の推進に必要な教職員配置がなされた。  また、第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(平成13年度〜17年度) では、学級を生徒指導や生活集団としての機能を主としたものとして位置付け、 これまで一体のものとして含まれていた学習集団としての機能については、学級 という概念にとらわれない柔軟なものとした。このうえで、学級編制の標準は40 人としつつも、実際の学習指導では教科等に応じて20人程度の少人数指導が可能 となるよう、学級編制の標準の引き下げや教職員配置率の改善による一律的な改 善ではなく、主として加配定数の改善による教職員定数の改善がなされた。  このような取組みにより、各学校の特色ある教育課程の編成とあわせて少人数 指導などきめ細かな学習指導を行い、また総合的な学習の時間や各教科の指導に おいて多様な指導形態や指導方法を効果的に導入できるようになった。 2 学級編制の弾力化  従来、学級編制については、全国的な教育水準の維持向上を図るため、都道府 県が定める基準は国が定める標準と同一のものでなければならないとされてきた。  しかしながら、地域や学校の実情に合わせて、国の定める標準と異なる基準に 基づく学級編制を行うことにより、教育上より高い効果が期待できる場合もある。 このため、平成13年度から、第7次教職員定数改善計画に併せて学級編制の弾力 化が図られ、都道府県が児童生徒や地域・学校の実態を考慮して特に必要がある と認める場合には、40人を下回る学級編制基準の設定が可能となった。 3 総額裁量制の導入  公立義務教育諸学校の教職員の給与費については、本来設置者である市町村が 負担すべきところ、財源の安定的な確保の観点から、全額を都道府県が負担する こととした上で、都道府県の実支出額の原則2分の1を国庫負担する仕組みとな っている。従来、国が負担すべき限度額の算定に当たっては、給料・諸手当及び 教職員定数ごとにそれぞれの基準をもとに国庫負担額を厳格に算定していたが、 給料・諸手当についても、国水準並びではなく都道府県の主体的判断が尊重され るような工夫が必要となった。このため、平成16年度から、義務教育費国庫負担 制度において「総額裁量制」が新たに導入され、各都道府県ごとの標準定数と各 都道府県ごとの平均給与単価により算定される国庫負担金の範囲内で、都道府県 が柔軟に教職員給与費や教職員定数を決め、地域や学校の実情に合わせた活用が できるようになった。  その結果、上記学級編制の弾力化と相俟って、全国的に40人を下回る学級編制 が進み、平成16年度には42道府県において全学年または一部の学年で少人数学級 が実施されている(表1参照)。 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/029/shiryo/05080901/001/003.htm (3) 取組みの評価  少人数教育は、教職員が児童生徒一人一人と深く関わることを可能とするもの であり、個に応じたきめ細かな指導を進める上で不可欠なものとなっている。こ の少人数教育については、少人数の学習集団をつくる方法(少人数指導)と少人 数の学級編制とする方法(少人数学級)の二つの方法があり、どちらがより効果 的なのかをめぐって議論がある。  少人数指導の場合、ティーム・ティーチング、習熟度別授業など様々な学習指 導方法をそれぞれの実情に応じて取り入れることができること、また学級担任だ けでなくその他多くの教職員が各視点から児童生徒の成長を見守り支援していく ことができる点で評価が高い。他方、少人数学級の場合、生活集団と学習集団の 一体化を基礎として学習意欲の形成・喚起を図ることができるとともに、40人学 級よりも小さな集団となることにより、子どもどうしの学び合いがより深まって 学習・指導の姿がより効果的なものへ変わる、特に小学校低学年など学校生活に 慣れ親しむ段階において効果的だ、とする意見も多い。  少人数教育については、さまざまな教育環境に適合させながら実施されるもの であり、全国的に実証データを収集・分析することは難しい面もあるが、これま でのところ表2のような評価が報告されている。 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/029/shiryo/05080901/001/005.htm  また、少人数教育については、これまでの定数改善や制度改正により全国的に 普及が進み、定着している。少人数教育の中でも習熟度別授業については、導入 当初、不安の声もあったが今では全国的に実施されており、少人数学級など都道 府県の独自の判断による取組みも進んでいる。少人数教育の推進については、教 育条件整備におけるナショナル・ミニマム(ナショナル・スタンダード)の土台 の上にローカル・オプティマム(地域における最適の状態)を実現するという取 組みについては、特に評価されるべきものであり、今後も学校教育の充実を図る 上で極めて重要である。以上のような取組みは、学校現場や保護者からも歓迎さ れており、今後その充実が望まれている。  しかしその一方で、少人数教育は全国的に進んだものの、国・都道府県・市町 村・学校の関係は従来のままであるため、学校現場の裁量が十分に高まっておら ず、必要なときに機動的な教職員配置ができないことがあるという指摘もある。 また、LD・ADHD等の児童生徒への支援や食育、キャリア教育、読書活動等 の充実といった第7次教職員定数改善計画策定時にはなかった今日的な教育課題 への対応も必要となっており、これらの課題に対応した教育条件整備が求められ ている。  今後、児童生徒や地域の実情に合わせた、個に応じたきめ細かな指導を徹底す る必要があり、少人数教育の充実が重要となるが、児童生徒や学校・地域の実情、 そのときどきの学年・学級の課題が様々である以上、その効果的な実施に当たっ ては、教職員の配置について、学校の裁量をいかに高め、学校の設置者である市 町村や都道府県の判断をどのように尊重していくかについて十分な考慮が必要で ある。 2.今後の取組み (1) 基本的な考え方  知の世界的な大競争時代と言われる時代にあって、諸外国は、人材の育成こそ 国家的最重要課題と考え、学校教育の充実を目指して国をあげて取り組んでいる。 天然資源に恵まれない我が国にとっては、人材育成なくして国家社会の繁栄は期 待できない。また、知の大競争時代において今後も持続的な発展を続けるために は、人材育成は不可欠であり、国民の学校教育の充実に対する期待は極めて高い ものがある。  このような状況の中、我が国では、教育条件の整備の上でも教員1人当たりの 児童生徒数について欧米並みの水準とすることを目指して定数改善を行い、OECD 調査では、初等教育(小学校)で20.3人、前期中等教育(中学校)で16.2 人となるなど一定の水準に達している。しかしながらOECDの平均は、初等教育 16.6人、前期中等教育14.4人となっており、未だ世界水準に達している状 況にはないことも事実である。特に、学力到達度の世界調査において最高レベル にあるフィンランドでは、初等教育では15.8人、前期中等教育では10.6人 となっており、教育条件整備の上でも世界最高水準にある。  今後、我が国が世界最高レベルの教育を国民に提供できるようにするためには、 教育内容の充実を図るとともに教育条件の整備を進める必要があり、上記のよう な状況を勘案しつつ、次期教職員定数改善計画を策定・実施し、定数教職員定数 の一層の充実を図る必要がある。  また、これからの学校教育を考えるに当たっては、国はナショナル・ミニマム (ナショナル・スタンダード)を確立しつつ、地方がローカル・オプティマムを 実現するという考えの下に、教育条件についてもそのことが可能となるよう必要 な整備を進める必要がある。このため、次期教職員定数改善計画では、新たに生 じている今日的な教育課題に対応しつつ、 ○学校現場が抱える教育上の諸課題に対応しつつきめ細かな指導が徹底されるこ とを可能にする ○学校現場がそれぞれの実情に合わせてより多様な指導形態や指導方法を自主的 ・自立的に判断・展開することを可能とする ○学校全体で取り組むことができるようにする ことを基本として必要な体制づくりを行う必要がある。  すなわち、地域、学校、学年ごとに抱える課題や状況もそれぞれ異なっており、 学級編制の標準を35人などに引き下げるなどの全国一律の画一的な取組みではな く、地域や学校の実情に合わせた柔軟な取組みが可能となる措置を講ずる必要が ある。具体的には、児童生徒や地域の実情に合わせた個に応じたきめ細かな指導 の徹底を図る上で、習熟度別授業、ティーム・ティーチング、学級編制の人数な どの具体的な指導形態・指導方法の選択については、できるだけ学校現場の判断 に委ねるとともに、設置者である市町村や都道府県がそれを支えるような基準を 設定できるようにしていくことが望ましい。 (2) 具体的方策 1 制度の改善 a) 学級編制の仕組みの改善  公立義務教育諸学校の学級編制については、現在、国が定める標準に基づき、 都道府県教育委員会が学級編制に係る基準を設定し、市町村教育委員会が都道府 県教育委員会の同意を得て学級編制を行うこととなっている。これは、公立義務 教育諸学校の教職員の人事や給与負担については、その円滑な実施を期して都道 府県が行うこととなっており、教職員の定数管理と深く関係する学級編制につい て都道府県教育委員会に権限を与え、責任を重くしているものである。  しかしながら、今後は学校現場の判断により地域や学校の実情に合わせた指導 形態・指導方法や指導組織とする必要があるため、現行制度を見直し、学級編制 に係る学校や市町村教育委員会の権限と責任を強化する必要がある。具体的には、 義務標準法による教職員の標準定数について都道府県ごとの算定から市町村ごと の算定に改めること、学校現場の判断で学級編制が弾力的に実施できるよう現行 の学級編制の仕組みを見直すことなどについて必要な検討を行うべきである。 b) 学級編制の標準の改善  現行制度上、国は40人を学級編制の標準と定めた上で、都道府県教育委員会が 児童生徒の実態を考慮して特に必要があると認める場合には、40人を下回る学級 編制が可能となっている。現在、42道府県で少人数学級が実施されていることや、 学校現場の判断で少人数学級編制を可能とすることが求められていることなどか ら、これまで例外的な措置とされていた40人を下回る学級編制について自由に選 択できる制度とすることについて検討を行うべきである。 c) 義務教育の教育条件整備における連携協力  義務教育の質の向上を図るためには、教育内容とともに教育条件の整備におい ても、国・都道府県・市町村が互いに協力し、それぞれの役割を確実に果たして いくことが必要である。  国は、全国的な見地から、ナショナル・ミニマム(ナショナル・スタンダード) を明らかにし、それが全国的に維持されるために必要な制度的枠組みを整備する とともに必要な財源を確保するという役割を担っている。また、都道府県は、全 県的な見地から、市町村ごとに教育格差が生じないよう必要な措置を講ずるとと もに、都道府県ごとの実情を踏まえた特色ある取組みを展開してローカル・オプ ティマムを実現するという役割を担っている。これらの国と都道府県の役割は、 学校の設定者である市町村が自主的・自立的に学校運営に取り組めるよう支援す るものであり、市町村は、あくまでも学校の設置者として、児童生徒や保護者等 に対し、ナショナル・ミニマム(ナショナル・スタンダード)を確実に保障しつ つ、ローカル・オプティマムを実現して地域や学校のの実情に合った教育を展開 するという役割を担っている。  今後の学級編制の実施に当たっては、このような考え方に基づき、国・都道府 県・市町村がそれぞれの役割を果たすことが必要となるが、その場合においては、 教職員の人事、給与負担、定数管理について責任を有する都道府県との緊密な連 携が円滑が学級編制の実施に不可欠であること、少人数学級をはじめとした少人 数教育の推進が都道府県の努力で行われており、少人数教育の一層の充実のため には都道府県の協力が今後も必要であることなどから、これまで以上に市町村教 育委員会と都道府県教育委員会の連携協力が必要となる。 2 教職員定数の改善 a) 改善の方向性  教職員定数の改善に当たっては、これまで進めてきた少人数指導や少人数教育 を充実させる必要がある。その際、教育上の諸課題に対応しつつ個に応じたきめ 細かな指導が徹底できるような規模であって、学校現場の判断による指導形態・ 指導方法や指導組織が最大限の効果を発揮できるような規模の教職員定数の改善 を図る必要がある。その際、学校間の巡回により、学校を超えたコーディネート が可能となる仕組みについても検討する必要がある。  また、教職員定数の改善に当たっては、各学校はもとより各地域ごとに抱える 課題や取組みの進度などが異なっていることなどを踏まえ、これまでと同様、加 配定数の改善を基本とすることが適当である。 *加配定数:少人数指導を行う場合や災害復興支援など社会的条件について教育 的配慮を行う場合などにおいて、学校数や学級数に応じて算定される基礎定数に 上乗せして加算される定数。 b) 諸課題への対応 ア. 学習指導の充実  次期教職員定数改善計画では、学習指導における少人数教育を一層充実させ、 児童生徒に対する個に応じたきめ細かな指導が徹底される体制づくりを行う必要 がある。  具体的には、第7次教職員定数改善計画の完成により、基本3教科において20 人程度の学習集団を構成・指導することが可能となっているが、この取組みを一 層進め、より多くの教科において少人数指導等が可能となるようにすべきである。  また、生活環境や学習環境が著しく変化する小学校低学年において、しっかり と生活習慣や学習態度を身につけさせることがその後の学校生活に大きな影響を 与えるということが指摘されており、このようないわゆる「小1プロブレム」な どの課題に焦点を絞った対応が必要である。実際、小学校低学年の場合、学級と は別に学習集団を作るよりも、基本的な生活習慣や学習態度の育成のために生活 集団と学習集団を一体として少人数化を図ることが効果的と考えられる。このた め例えば35人学級などの少人数学級編制や副担任など教員の複数配置による指導 などが可能となる教職員配置とすべきである。  さらに、新学習指導要領の下に導入された総合的な学習の時間については、学 校現場の判断によりさまざまな取組みが可能となり、各学校の児童生徒の実情に 応じたきめ細かな指導が可能になったという評価がある。その一方で、校外にお ける社会体験、見学や調査、地域の人材活用など渉外を伴う準備に教員が不慣れ であったり、総合的な学習の時間に対する準備に教員の負担感は大きなものがあ るとの声も上がっている。総合的な学習の時間がその目的を十分に果たして有効 に活用されるよう、総合的な学習の時間についての総合的な企画・調整を担う教 職員の配置を可能とすべきである。 イ. 特別支援教育  現在、特殊教育の対象となる児童生徒等は約22万5千人(全体の約1.4パーセ ント)であり、このうち、義務教育段階では約17万9千人(全体の約1.6パーセ ント)となっている。  また、小・中学校にておいては、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多 動性障害)、高機能自閉症により学習や生活の面で特別な教育的支援を必要とし ている児童生徒が約6パーセントの割合で通常の学級に在籍している可能性が示 されている。一方、本年4月から施行されている発達障害者支援法においては、 LD等の発達障害のある児童生徒等に対する支援体制の整備についての国の責務 が定められている。しかしながら、現行制度においては、LD・ADHDについ ては、通級による指導の対象とされておらず、新たな喫緊の課題となっている。  このような中、障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに適切に対応し、 適切な指導及び必要な支援を行う「特別支援教育」の理念の実現に向け、小・中 学校については、LD・ADHDの児童生徒を通級による指導の対象とし、関係 機関等と連携した校内支援体制の整備の在り方について検討がなされている。  また、盲・聾・養護学校については、障害の重度・重複化を踏まえ、障害種別 を超えた学校制度するとともに、特別支援教育等に関する相談・情報提供機能な どのセンター的機能を担うことについての検討が進められている。  このため、次期教職員定数改善計画では、盲・聾・養護学校がセンター的機能 を十分に発揮するために必要な教職員の配置を充実させる必要がある。また、小 ・中学校においては、LD・ADHDの児童生徒について、新たに通級による指 導の対象とし、必要となる教職員の配置を可能とするとともに、学校外の関係機 関等との連携し、校内支援体制整備の牽引役となる特別支援教育コーディネータ ーの役割を担う教職員の配置を可能とするなど、各地域における特別支援教育の 推進体制を整備する必要がある。 ウ. 児童生徒への支援(心のケアを含む)  児童生徒の暴力行為、いじめ、不登校等の問題をはじめとして児童生徒を取り 巻く生徒指導上の課題は多い。これらの問題の解決のためには、豊かな人間性の 育成に取り組むとともに、不登校や問題行動などの早期発見、早期対応を基本と して児童生徒のメンタルヘルス等の観点から、カウンセリングの充実や生徒指導 体制の充実を図る必要がある。教職員全てが協力してきめ細かな生徒指導を行う ことができるようその専門的能力を高めるとともに、スクールカウンセラー等と の連携協力のもとに学校全体で児童生徒や保護者への支援に取り組むことが求め られている。  このようなことから、次期教職員定数改善計画では、児童生徒の心身の健康に ついての総合的な企画・調整を担う養護教諭の配置の充実や児童生徒支援担当教 員の配置など、学校全体で心のケアをはじめとして不登校対策など生徒指導に取 り組むことができる体制づくりを行う必要がある。 −−−以下略−−− ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 保健師の家庭訪問開始育児支援で兵庫県三木市が来月から 2005/08/20 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.kobe-np.co.jp/chiiki/mi/00030865mi200608201000.shtml −−−−−−−−−−−−−−− 三木市は九月から、子どもが生まれた家庭を保健師が訪問し、育児の相談に乗る 事業を始める。訪問記録を基に、各家庭ごとの「支援計画」を作成。必要に応じ て家事ヘルパーや理学療法士を派遣し、育児をめぐる負担軽減を目指す。核家族 化などで親の孤立感が深まっているとみられ、子どもへの虐待を未然に防ぐ効果 も期待される。 市が保健師を派遣するのは第一子が生まれた家庭のほか、二子目以降でも双子や 発達障害のある子どものケース。市子育て支援室などの保健師約十人が、年間延 べ五百回の訪問を計画している。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 第2回出版UD研究会 LD(学習障害)と読書 支援の可能性と著作権問題 ■ ------------------------------------------------------------------------ 主催者からのお知らせです。 −−−−−−−−−−−−−−−− 第2回出版UD研究会 『LD(学習障害)と読書         〜マルチメディア・ITを活用した支援の可能性と著作権問題』 日 時 2005年8月30日(火)18時半〜 会 場 東京しごとセンター(飯田橋)5F 第1セミナー室     http://www.tokyoshigoto.jp/traffic.php 予約制です。くわしくは下記をご覧ください http://www.d-kobo.jp/ud-pub02.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ------------------------------------ 19:57 2005/08/21 □ ------------------------------------------------------------------------ 残暑お見舞い申しあげます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュースの記載内容に関する質問には原則として回答いたしかねます ■ ■ 編集に際し正確を期していますが最終保証責任は免責とさせて頂きます ■ ■ LDニュースの記載内容を転載される場合には必ず下記までご連絡下さい ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 親の会「けやき」連絡先 E-mail: keyaki@box.club.ne.jp [1999/03/12 から] ホームページ URL : http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/ [1998/07/31 から] LD 関連の情報交換・意見交流・質問は下記の「LDフォーラム」をご利用下さい LD-FRM URL: http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/LD-FRM/ [2000/08/17 から] ★ 挿入された広告内容や広告主と親の会「けやき」は一切関係ありません ★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ LD・発達障害等関連図書 → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/books/ □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  LDニュースは「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ を利用して発行してます 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