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□ LD・発達障害等関連図書 → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/books/ □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LD(学習障害)ニュース #564 2005/05/03 発行 登録(配信)読者数 3,440 ■ ■ LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997/09/10創刊 ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ NHKハートフォーラム第4回全国LD親の会公開シンポジウム 2005/06/26 ■ ■ 子どもの心の診療に携わる専門の医師の養成に関する検討会 議事録(1) ■ ■ 発達障害者支援法の施行について  文科省・厚労省 平成17年4月1日 ■ □ 編集後記 ------------------------------------ 22:48 2005/05/03 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□■ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください ■□■□■ ■ LDニュースへ講演会等のイベント情報の掲載を希望される方へ・・・ ■ ■ 詳細は下記サイトをご覧下さい。原稿は適宜編集する場合があります。 ■ ■□■□■ http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/sample.html ■□■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ NHKハートフォーラム第4回全国LD親の会公開シンポジウム 2005/06/26 ■ ------------------------------------------------------------------------ 主催者からの案内です。 −−−−−−−−−−−−−−−−−− 以下転送歓迎  NHKハートフォーラム・第4回全国LD親の会公開シンポジウム  「発達障害のある本人・家族への支援に向けて」  −特別支援教育と発達障害者支援法をめぐって− 日 時 2005年6月26日(日)10時〜17時30分 開場:9時30分 会 場 NHK大阪ホール  http://www.nhk-osakahall.jp/ 定 員 1400名  参加費 無料  事前申込み不要。 主 催 全国LD親の会 NHK厚生文化事業団近畿支局 NHK大阪放送局     詳しくは以下をご覧ください。     http://www.normanet.ne.jp/~zenkokld/sinpo2005.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 子どもの心の診療に携わる専門の医師の養成に関する検討会 議事録(1) ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/txt/s0316-2.txt −−−−−−−−−−−− 第1回「子どもの心の診療に携わる専門の医師の養成に関する検討会」議事録       日時: 平成17年3月16日(水)16:00〜18:00       場所: 中央合同庁舎第5号館17階専用第21会議室 −−略−−  事務局/障害保健福祉部 それでは発達障害者支援の推進につきまして、本日、 先ほど来何回か出ております発達障害者支援法、こちらの考え方を中心にご説明 をさせていただければと思います。  お手元の資料でございますが、資料5ということで、37頁から資料をご用意 させていただいております。37頁からはこの「発達障害者支援法の要綱」とい うところでございますが、41頁〜54頁まで、法律でございますのでちょっと 後ろから始まって、54頁が法律の頭になっておりますが、法律の条文です。そ れで、あとは55頁以降に参考資料を付けさせていただいております。  この発達障害者支援法ですが、いわゆる議員立法の形で昨年の臨時国会で提案 されまして、昨年の12月3日に成立しております。この法律の施行が今年の4 月1日からというところになってございます。要綱、法律の条文はお示ししたと おりでございますが、本日は時間等の関係もございますので、55頁からの参考 資料の方で要点をご説明させていただければと存じます。  まず発達障害者支援法で言うところの「発達障害者の定義」というところであ りますが、資料の56頁をごらんいただければと思います。この法律の中で定義 しております発達障害ということに関しましては、ここに少し図示してみたとこ ろでありますが、自閉症、アスペルガー症候群などの広汎性発達障害という一つ の障害のグループと、学習障害という一つのグループ、そして注意欠陥/多動性 障害というこの3つのグループ、これが法律の本則というか、法律の中で出てま いりまして、法律ではその他これらに類する脳機能の障害であって、通常は低年 齢で発現するものという定義をしております。  これらの関係ですが、この絵の中で真ん中に「知的障害」というところが書い てございます。それで、我が国の障害保健福祉施策、いわゆる「3障害」と言っ ていますが、身体障害、知的障害、精神障害ということで、この3障害を軸にそ れぞれの法律があって制度があるところでありますが、従来この自閉症、広汎性 発達障害の一部で知的障害を伴っている方、ちょうど絵で重なっているところで ありますが、この方々には知的障害者に対する福祉の枠組みの中での支援があっ たというところでございますが、この絵で丸から外れているところについてはな かなか制度的な支援がなかったというところでございます。この絵の中にそれぞ れの障害の特徴等を簡単に記させていただいておりますが、本日は専門の先生方 がお集まりですので、そこのご説明のところは省かせていただきたいと思います。  それでこれら発達障害の方々が今どのぐらいおられるのかというところですが、 実は医学的な診断等に基づく正確な統計というところがまだ把握しきれておりま せんで、この資料の中では「小中学校児童の6%」というように書かせていただ いております。これは文部科学省が実施されました小中学校の担任の先生に訊ね るという形での調査の中で、学習面・指導面で著しい困難を抱えている生徒さん の割合ということで示されている数字でございますが、諸外国の数字、例えばア メリカで学習障害、注意欠陥/多動性障害はそれぞれ5%前後ですとか、自閉症 が英国ですと児童の0.6%ですとか、そういうような研究報告を基にした数字 もございますが、そういう数字から考えてもこの「6%」というのはそうかけ離 れたというか、少なくとも少なすぎる数字ではないのではないかと考えており、 障害としても非常に頻度の高い障害ではないかというように認識しているところ でございます。  ちょっと1頁お戻りいただきまして、55頁をごらんいただきたいと思います。 この発達障害者支援法という法律が議員立法ということでできてきたわけでござ いますが、その法律の提案に至ります背景と法律の狙いというところでございま す。現状でございますが、今申し上げましたように発達障害は人口に占める割合 は高いと、人口に占める割合が高い障害であるにも関わらず法制度がなくて福祉 制度の谷間になっておりまして、従来の施策では十分な対応がなされていないと いう現状があったというのが一点でございます。また、まさに本検討会の議題で もございますが、発達障害に関する専門家が少なく、地域における関係者の連携 も不十分だという現状でございます。そうした現状からご家族、当事者の方も含 めてご家族は大きな不安を抱えているという現状認識がございまして、この法案 の狙いとしてはまずそういう今の制度の狭間、そういうところにいる方々の定義 を法的にきちんとしようというところが第一点でございます。  それで第2点は、乳幼児期から成人期まで、ライフステージに応じた地域にお ける一貫した支援を促進する根拠を与えようというところが第2点でございます。 それで第3点目が、専門家の確保と関係者の緊密な連携の確保ということでござ います。4点目が発達障害者の支援を含めまして、その面から子育てに対する国 民の不安の軽減を図ろうと。こうした狙いを持って提案された法律というように 受け止めているところでございます。  それで1頁お捲りいただきまして57頁にこの法案の狙いと概要というところ でございます。狙いについては今申し上げましたところでございますので、2番 の概要というところでございます。定義については先ほど申し上げましたように、 この法律ではこのように定めているところでございます。  そして、その下に四角がいくつか並んでおりますが、これがライフステージに 沿っておおむね左がライフステージの早い時期というように、左から右の方にい くイメージで並べておりますが、数々の施策について国及び地方公共団体の実施 の責務を定めているという法律の構成になっております。具体的には、まず乳幼 児健診等によります早期発見、また就学時検診における発見というところがござ います。これはやはり早期発見、早期支援がその後の発達に対して、非常に重要 であるという観点からこういうところを取り上げられているものでございます。 そして専門的な発達支援、早期の発達支援というのがございまして、小中学校に あがってまいりますと教育が、これは文部科学省が実施しておられますが、特別 支援教育体制の推進ということが入ってまいります。また、学童期でありまして も、放課後についての放課後児童健全育成事業といったようなものを活用した対 応、また就学時期が終りますと発達障害者の特性に応じた適切な就労の機会の確 保ということで、就労の支援ということが入ってございます。またそのほか地域 における住居の確保といったようなことを含めた生活の支援、また権利擁護とい ったようなことがそれぞれ法律に書かれているところでございます。  そしてその下に発達障害者支援センターということで、これらさまざまな施策 の関係機関間の連携調整ですとか、発達障害の方、あるいはそのご家族の方への 情報提供という機能を持った発達障害者支援センターというものをこの法律の中 で位置付けているところでございます。また、「特定医療機関」と書いてござい ますが、発達障害に関して専門的な診断や治療を担うことができる医療機関を都 道府県が確保するということも法律の中で謳われているところでございます。  次に国の責務としまして、専門的知識を有する人材確保と調査研究ということ が挙げられておりまして、特に専門的知識を有する人材確保ということについて は、法律の23条、お手元の資料ですと43頁にその条文が記載されております。 ちょっとここだけ読ませていただきますと、第23条では「国及び地方公共団体 は、発達障害者に対する支援を適切に行うことができるよう、医療、保健、福祉、 教育等に関する業務に従事する職員について、発達障害に関する専門的知識を有 する人材を確保するよう努めるとともに、発達障害に対する理解を深め、及び専 門性を高めるため研修等必要な措置を講じるものとする」というようにされてい るところでございます。この法律の中でもまさに専門的な人材の確保、これが非 常に重要だということで取り上げられているところでございます。  最後に資料の59頁で、この発達障害支援に関連します厚生労働省の予算関係 のところを簡単にご紹介させていただきたいと思います。59頁は発達障害者へ の支援を行政レベルで、国、都道府県、政令都市、あとは障害保健福祉圏域とい うものを定めておりますが、そういう圏域単位ということで整理してみたもので ございます。国におきましては普及啓発といったこと。また専門家、あるいは自 治体の発達障害支援の行政に当たります職員に対する研修といったようなことを 予算化しておりまして、実施していく予定でございます。  それで都道府県レベルでは、先ほどご説明しました発達障害者支援センター、 これは現在は平成14年度から予算上の措置として「自閉症・発達障害支援セン ター」というものをやってきておりますが、この法律ができましたことによって この自閉症・発達障害支援センターが法律上の発達障害者支援センターとして今 後は位置付けられていくものでございますが、こちらは今16年度まで予算上は 20ヶ所でございますが、17年度予算ではこれは全国で36ヶ所ということで、 16ヶ所増の予算を計上させていただいております。これは先ほどご紹介ありま した「子ども・子育て応援プラン」の中に数値目標が入っておりまして、平成1 9年度までに60ヶ所、全都道府県、政令市に1ヶ所ずつということで目標を定 めさせていただいているところでございます。この中では県単位で発達障害児・ 者支援連携協議会、名前は仮称でございますが、教育の面と保健福祉の面を通じ た連携協議会を設置するとともに、各圏域におきまして教育委員会、文部科学省 の方で特別支援教育体制の推進ということで進めておられます。厚生労働省とし ましては、早期発見、早期の発達支援体制の構築ということで、発達支援コーデ ィネーターを配置して個別の支援計画を作成して支援していくこと、こうしたこ とをモデル事業として実施したいと考えておりまして、その右の方に発達障害者 支援体制整備事業と、3年間を目標としたモデル事業ということで、こちらにあ りますように2億5千万円弱の予算を平成17年度に計上させていただいている ところでございます。  発達障害者の支援については以上でございます。  柳澤座長  どうもありがとうございました。ただ今、行政的な観点から子どもの心の問題、 それの3つの分野についてそれぞれのご説明をいただきましたが、なにか今まで のご説明についてご質問、あるいはご意見はございますでしょうか。  桃井委員  詳細に重要な3視点からご説明いただきましたが、この検討委員会のタイトル、 「子どもの心の診療に携わる」ということになっておりまして、非常に広いんで す。それで子どもの身体の問題に関するという検討は、あまりにタイトルが漠然 とし過ぎて論理的な議論ができない。同様に子どもの心の問題というのはあまり に漠然と広すぎて、ですから今後いろいろ討論する中では、私は心の問題のみな らず、行動というのも非常に重要な子どもの問題だと思いますし、子どものどの 部分を指しているのかという、精神疾患の部分なのか、行動上の問題の部分なの か、あるいは認知機能の障害の部分なのか、それぞれ重なり合いますが、非常に 違います。ですからそのへんの用語をお互いに共通認識を持ちながら進めていく ことが必要であると思います。  それからもう一つ、これも言葉の問題でございますが、「医師」という言葉が 出てきますが、やはり今日本全体で専門医をどのように位置付けるかということ が大変重要な問題になっております。そういう意味で、「医師」というときに何 を指すのかということも、これは言葉の使い方の問題ですが、専門医を指した議 論なのか、一般的な医師を指した標榜医を指した議論なのか、そのへんもやはり 検討委員会の中で言葉の使い方を明確にして進めていただきたいというように思 います。  柳澤座長  今、大変重要なご指摘をいただいたと思います。そういうことに関してあるイ メージというものをそれぞれの方がお持ちかと思いますし、また事務局の方でも 用意されているのではないかと思います。この資料6という模式図もございます ので。そういうことで、今の桃井委員のご質問に対してさらにご意見なり、ある いはそれについての事務局側からの何か回答はございますでしょうか。  事務局/苗村課長  それでは事務局の方から若干今の点に関しましてご説明を申し上げたいと思い ますが、私たちもこの検討会を開催するに当たりまして、今おっしゃっていただ いたようなある意味では心の問題と言われるものの検討の対象と言いますか、こ の検討会でどういう対象を主に、「養成していただく専門の先生方」ということ で考えるかということでいろいろと議論を行っておるわけでございますが、現在 のところそういう面に関しましては、一つは児童虐待の関係で子どもさんたちが 陥っておられるような状態に対して、あるいはまた家族に対してどういう形で治 療なり働き掛けができるのかとそういう専門的な点からの問題と、それからもう 一つは先ほど挙げておりますが、発達障害の方々の問題というのを取り上げると いうのが、最低限その2つの領域というものが、病気の名前でいきますとだいぶ 違ってまいると思いますが、そのあたりの領域を少なくとも頭の中に置いていた だきながら、さまざまな問題を子どもさんたちは持っておられますので、そうい う中では主に小児科、ないしは児童の精神科なり子どもさんたちの心身症の科に 掛かってこられるような、あるいは心療内科そういうところに掛かってこられる ような子どもさんたちを対象にするといったような考え方を持っておりますが、 このあたりはよくこの場でご議論をいただいて一定の考え方というのを取りまと めいただきたいと。  それからもう一点の専門医の位置付けということで、この検討会の名前が「専 門の医師」ということで若干のそのあたりはあいまいにさせていただいたわけで ございますが、「専門医の養成」と言いますとどうしても既にある学会とかそう いうところでの専門医制度であるとか、認定医制度との関係が非常に問題になっ てくる面もございますので、そのあたりはまたこの検討会でどういう方向で養成 した方がいいかというのをお考えいただきながら、学会でそのあたりの制度に関 してはまたご検討いただくということにさせていただければと思っておりまして、 ここに関しましては基本的には子どもの心に対応できる、子どもさんと親御さん を同時に対応しないとおそらく無理なところが子どもさんの対応においてはある と思いますので、そのあたりは両方に対応できるような専門の医師を養成すると、 そういう専門の分野の医師の養成ということで基本的にはお考えいただきながら、 もし可能であれば専門医をどうするかとかそういう領域まで踏み込めるかどうか わかりませんが、ご議論の中でそこまで行くべきであるということになるのか、 あるいはもう少し手前で専門家の養成というところで止まるべきなのか、そのあ たりはご議論の中でまた進めていただければと考えております。  それで資料6に、私たちが大雑把にイメージさせていただいておるんですが、 このあたり子どもと家族、心の問題を持った方々の治療とか支援に当たっていた だけるということで、何年間かの特別な研修と言いますか、そういうものをしっ かり受けていただいた方というのが第3番目の「専門の医師」ということで、小 児科の中でもやはりカウンセリングの技術であるとかさまざまそういう精神科領 域が得意としておられるような領域のことを勉強していただいた方、あるいはま た精神科の先生の中では逆に発達の課題とかそういうものを勉強していただいた ような方々といった、小児科と精神科の両方の分野でそれぞれの専門性に依拠し ながらさらにこういう領域に取り組んでいただける専門的な方々、治療だけでな く研究なども行っていただける専門家の方というのを、これはそんなにたくさん は簡単には養成できないと思いますが、こういう方々の養成も必要になるだろう と。  それから真ん中の「短期の研修を終了した医師」ということで、小児神経科と か精神科の中で今こういう分野に関わってもいいとか、あるいはまた少しでも関 わっておられる先生方の中で、いろいろ数日程度、あるいは1週間、あるいはも う少し長めの研修を受けていただいてこういう分野に入ってきていただく方々も あり得るだろうということで、これは小児科・精神科なんかの訓練を受けておら れる方々でこういう分野に入っていただける方のための研修を行いたいという、 そういう先生方。  それからもう一つは、1として挙げておりますのは、小児科・精神科だけに止 まらず内科なんかでもそうだと思いますが、先生方の中で少し子どもの心の問題 に関して勉強していただく、あるいは研修を受けていただいて、あるいはまたそ れなりのマニュアルなり何なりを読んでいただいて、入口のところで少しでも関 わっていただくというような方々というのも広範囲にこういう方々が必要になる だろうと。そして、この3つのレベルの方々をそれぞれ有機的にご活躍いただけ れば、できるだけ早い時期にいろいろな形での対応が取りやすくなるのではない かということで、そういう3段階ぐらいの形での専門家というか、あるいはまた 研修といったものを考えるという考え方で私たちはとりあえず提供させていただ きたいと思っております。  柳澤座長  ありがとうございました。ほかに、どうぞ。  牛島委員  この対象をどうするかという問題は一つ大きいんじゃないかという気がします ね。おそらくこの問題は無限に広がっているような気がするんです。症例を見て いると家庭全体をみなければ問題となってきますので、ここで話す領域の問題で なくて、総理大臣が出てきて我が国の家庭を考えようというレベルの話になりか ねません。先ほど桃井先生が神経の発達からこの問題をみたいとこういうような 話でございましたが、もう一つ忘れてならないのは、まだ小中学生ぐらいまでは そう深刻ではないけど、高校生からヤングアダルトに入ったところで問題になっ てくる自傷行為、過量服薬、家庭内暴力、校内暴力をみていると、すでに小中学 生に根があるのです。  この点に関してちょっと私見を述べさせていただくと、おそらく児童の精神科 医であると自称してやっておられる先生方でも、そこらあたりになってくるとあ まり関心がないんですね。これはまた別の色合いの人たちがやっているような気 がします。だから、ここでどういうような対象にするかというのを明確にしてお く必要があるだろうと思います。  杉山委員  対象とする心の医療ですから、心の医療が対象とするのはやはり精神科疾患だ と思います。それで精神科疾患というのを定義すれば、精神病理を扱わなくては いけない疾患だと思います。もう少しわかりやすい言い方で言えば病的心理です ね。例えば小児神経科のドクターが診断をされて、その後に家族に今何をすれば いいのかという話まで指導ができるかどうかという問題だと思います。ですから、 児童の精神科疾患というのは情緒障害、この代表が虐待ですね。それからもう一 つの代表が発達障害で、情緒障害と発達障害の臨床がきちんと両方ともできる、 そういう医者をどうやって増やすかという議論だと思います。  もう一つは、どのレベルの議論かということですが、専門家養成はとても大事 だと思います。ただ、先ほどから出ている6%とか、これは罹病率を加算しても らうとわかるんですが、例えば節食障害が2.5%とか、虐待が2%とか、乖離 性障害が1〜2%とか、不登校が3%とか加算しますと、情緒障害が1割を超え るんですね。それから発達障害は、自閉症圏が約2%、そしてADHDが控え目 に見ても3%、学習障害が3%と、全部で結局児童の2割ぐらいになるんですね。 これは専門医だけで対応できるかというと、それはできないんですね。そうしま すと、この委員会での議論というのは2段階の議論がたぶん必要になるわけで、 一つは専門医をどうやって育てるかという議論と、もう一つはボトムアップをど うするかです。たぶん私は今三次の医療機関にいるんだと思うんですが、ここに 一次医療機関に行くべき患者と三次医療機関に行くべき患者が一緒に来るんです ね。例えば夜驚が来るんですね。夜驚は放っておけばいいんです。だからその程 度の基礎的な知識がない状態というのが今一般にあって、ジェネラルな小児科医、 あるいは内科医もそうかもしれませんが、あるいは成人の精神科医にしても児童 精神科領域は本当にお粗末ですから、この領域をどうやってボトムアップするの かという議論が一つ。それから、やはり非常に少ない専門医をどうやって育てて いくかという2つの議論になると思います。  柳澤座長  今、杉山委員のご意見も本当にこれからの議論を進める上では大変重要な視点 ではないかと思います。この資料6のイメージ図を拝見すると、上の心の問題を 持った子どもと家族というところは、これは心と行動の問題、あらゆる心と行動 の問題をもって一般の小児科医、また精神科などを訪れると。ですからその段階 ではなにか特別な疾患を対象にということではなくて、あらゆる訴え、行動の異 常、そういうことに関して一般小児科医、精神科医などが一応受け止めてその後 の道筋をつくらなければいけないと。そういう一般小児科医、精神科医がこの 「子ども・子育て応援プラン」で挙げられている目標で言えば、子どもの心の健 康に関する研修を受けている小児科医、精神科医、子どもの診療に関わる医師の 割合を100%にする、というような言い方をされているのではないかと思いま す。そこからさらに短期研修をした医師、さらに本当に子どもの心のスペシャリ ストとしての医師、そこで対象とする病気に関してはある程度きちんと限定する 必要があると、先生方のご議論を伺っていて私はそういうように感じたんですが。 なにか、ほかにございますか。  齊藤委員  ほかというわけではないんですが、類似の議論かもしれません。桃井先生がお っしゃった心の問題ということについて、心の問題、行動の問題、認知の問題と いうように3つに分けておっしゃった。これは非常にわかりやすい分類でして、 私も今お聞きしてわかったんですが、そのどれが対象かと言えばたぶんすべてで すね。それで、これは児童精神科医として臨床をやってきた私の感覚からしても、 一人の子どもに今言いました3つの領域の複数が係っている子どもはごく普通に おりますし、3つ全部揃っている子どもなんかも本当にたくさんおります。そう いうところに対して専門性というのはいろいろ現時点ではあろうかと思います。 小児神経という専門性、児童精神医学という専門性、あるいはそのほかの専門性、 その専門性を背景にして医療の質が多少変わってくるというところは、これは包 括的に共存すべきものだと思います。共存した上で、それぞれが特徴に応じた連 携と任務の分担ということをしていけば、自ずから統合はできていくわけですか ら。  それで、そういう横の広がりの統合の問題と、もう一つはこのイメージ図にあ りますような専門性の深さみたいなものの統合ということがあろうかと思います が、これは基本的には一番浅いところにいる1の関心を持っておられる、自分た ちも子どものことには関わりたいとおっしゃった小児科医、精神科医、ここらへ んも既に専門集団の中に一歩踏み込んでおられるというように私は考えていって いいような気がします。そこから専門的関心と活動する場の特性によって専門性 がより深まっていく、あるいはむしろジェネラルな方向に広がっていくという分 担が行われていくんじゃないかと考えております。  柳澤座長  どうもありがとうございました。ほかに、どうぞ。  保科委員  小児科の医会の方からいきますと、確かに先生がおっしゃるようにこの一番上 の1の部分は小児科の第一線にいる先生方皆感じているんですよ。なにかおかし いと。それでなにか小児科医ができるはずだと思うんですけど、ある程度少しお かしくなり始めると、最初は必ず小児科に来ているんですよね。ところがそれで チェックできないんですよ。そのチェックの段階をなんとかしたいというのが始 まりだったんですけど。しかしだんだんと考えていくと、チェックしておかしい なと思って、ではそれをどこに送るのかと。送るところがないんです。それで自 分の段階をこれは超すという判断を自分でして、やっぱりそこから先の専門性が ほしいとなったときに、ではどこに送るかというと東京でも1ヶ所か2ヶ所しか ないと。あれだけの人数の中で1ヶ所か2ヶ所ではとても対応できない。地方に 行ったらないんじゃないかと私は推測しているんですが。そういう感じで、なん とか子どもに対応していく場所が、医者がいると。それでそれが実際的にある程 度進んだ段階で来てしまったものを、新規で起こって来る問題は確かにあると思 います。でもそれは初期の段階ではおそらく小児科に来ているんですよ。最終的 なところが表現系としていろいろな形で出てきていると。リストカットにしても。 それが実際にどこでやってくれるのかというのがないんですよ。だから、そこら へんの専門性というのを連続性をきちんと図のとおりに行っていただければ私は 非常にありがたいと思うので、深いところももう少し全国的に広めていただきた い、中間層もそうですが。だから、あまり限定されると、今度は逆に一般の小児 科医が困ると思います。  牛島委員  私の言ったのがちょっと通じなかったのかと思いますけど、僕が言いたかった のはそのへんなんですよ。早期発見、早期治療という言葉がございますが、ごく 早期に発見されると。例えばこの子には発達障害があるということが発見される と、周りがそのことをよく知り、扱い方が変わってくるんです。そうすると大き な問題にならずに済むという部分があるような気がします。例えば私は今、ある 高校生を治療しているんですが、小学校高学年では不登校で、高校になると人格 障害があるのではないかということで治療を求められたんですが、5〜6回ぐら い面接したところで明確になってきたのは、実はADHDなんですね。子どもの 行動ののろさにお母さんがヒステリックになってしまって、子どもを追い込んで しまっているという事態が生じて、結局専門家のところにもってこないとどうに もならないということになってきているんですが、そのあたりでこれは何もAD HDだけでなく、ほかの情緒的な人格形成の問題を持った子どもたちでも小児科 の先生とか、もうちょっと幅広い一般精神科医の先生方もそのへんにもうちょっ と関心をもってもらうようになってもらいたい。専門医と称する人たちはある意 味では職人化しているんじゃないかと思うんです。発達障害の専門家という感じ に。だから、職人化した人、幅広い人と分けて考えていったほうがいいんだろう と、そういうような意味でございます。だから保科先生のところに期待するとこ ろは非常に大きいんじゃないかと思っています。  伯井委員  医師会の立場から申しますと、今、牛島先生がおっしゃったとおりで、専門医 を育てるということはもちろん大事ですが、これは非常に数が少ないわけでして、 現場はそれぐらいの数はとてもさばききれない。これは一番大事なのは学校保健 とか母子保健、そういうところの現場でまず対応していくのが一番大事ではない かと思います。そういう面では内科の先生も含めて、小児科の先生方は現場では 対応しているわけですが、専門医も必要ですが、その現場でやっている小児科と か、あるいは内科の先生方に対する研修とかそういうのが一番大事ではないかと 思います。少なくとも問題のあるボリュームは非常に大きくて、専門医だけでは とてもさばききれないことは目に見えているわけですし、あるいは早期発見とい うことに関しましても、ピックアップできるのは現場の小児科医、あるいは学校 医とか、母子保健を担当している地域の医師であろうと思いますので、そのへん の研修というのをまず実行するということが一番大事でありますし、専門医をこ れから育てるというのはなかなか時間も掛かりましょうし、数がそんなに増える とはとても考えられないので、ピックアップした中で最終的には専門のところに もっていくということが一番大事ではなかろうかと思いますので、このイメージ 図で言いますか、どちらかと言うと1番の部分を一番広く重視していって、まず 現場をある程度さばいていくということが一番大事ではないかと思います。  もう一つは、今言いましたように学校医、あるいは母子保健に関わっている医 師がどこと関連するかというと保健所とか学校ですから、そことの連携というの が一番大事ではないかと。お母さんがおかしいなと思って専門の病院へ連れてい った、あるいは小児科で診療して、ちょっと紹介するから行っておいでというそ のルートは非常にまだ少ない。むしろ現場の方がピックアップしやすいんじゃな いかなという気がしますので、現場でピックアップできるような研修というもの を重視していくべきではないかなと思っております。いかがでしょうか。  保科委員  もう一つは虐待防止の問題ですが、これはそれを防止するためにプレネータル ビジットとか盛んに厚生省も力を入れてやっていただいたわけですね。だからこ れがそのままある2〜3の県だけで止まってしまっているんですね。これがこれ からプレネータルじゃなくてペリネータルで、周産期全部でお母さんをバックア ップしていくような形をすればかなり減っていくだろうと。それはいろいろな法 律をつくる前にそれがうまくういってくれれば、もっと自動的に減ってくる可能 性が高い。そこをなんとか厚生労働省としても力を入れていただけると、小児科 では結果として出てくる虐待をされた子どもを診る方なので、その前の段階でな んとか抑えることができないかというのも現場としては考えているところですの で、よろしくお願いします。  齊藤委員  ちょっと追加をさせていただきます。今、伯井先生がおっしゃったこと、裾野 を広げるというか、一般的なプライマリーケアをなさる先生方の養成あるいは教 育がまず最初に行われるべきだという御意見だと思います。それは非常に賛成な んですが、同時に先ほど保科先生がおっしゃった、プライマリーケアでピックア ップしたケースをどう専門治療につなげていくか、プライマリーケアで済むケー スはいいんですが、その次に進めていかねばならない例えば虐待が絡むような深 刻なケースをどうしていくかという場合に、たぶん西田先生がそういう部門を代 表していると思いますが、地域に入院まで引き受けることができるそういう専門 機関を持つ地域と持たない地域でまったくその体系が違うわけです。地域の子ど もの心のケアをめぐる体系が違うわけですね。杉山先生がおっしゃったような、 三次医療に当たるようなところまで引き受けることができるのは専用病棟を持っ た子どもの心のケアの専門部門しかあり得ません。この部門がきちんと各地域に、 せめて都道府県にそうした中核的な医療機能があって、それにプライマリーケア を引き受けていただける先生方の広がりがあってということがあって初めてこれ は完成すると思いますので、両方のところを今回しっかりと対象にしてアプロー チしていく必要があるのではないかと考えております。  柳澤座長  今、齊藤委員がこの検討会として目指すべき方向というのをある程度示してく ださったのではないかなというように承りましたが。どうでしょうか。ほかに。  西田委員  今、齊藤先生がおっしゃったことの付け加えなんですが、結局、三次医療はあ ってもその医療が子どもの問題を抱え込むには、やっぱり割と顔が見えるような エリアが要るんだと思います。本当に広いエリアになると後のフォローとか、引 継ぎとかが有効に働かなくなります。三次機能をもったところがその問題を解決 しやすいレベルまで改善して、それぞれ一次、二次の医療エリアに戻すような機 能を果たしたとしても、つねに連携をとり合う地域システムが要るんだと思いま す。最近市町村にいろいろな機能が委譲していきますが、市町村と県の間で支え 合うようなシステムをつくらないと絶対にだめだと思うんです。三次機能のとこ ろで大変な子どもをずっと診ていても子どものためにはなりません。必ずまた一 次に戻さなければいけない。一次の方は、もう一度子どもとやり直して前回はう まくいかなかった問題を改善させる。そのことで一次機能がレベルアップするの だと思います。そのへんがやっぱり児童の問題の難しいところで、それに専門家 にしてもいろいろな専門家が必要で児童精神科医だけでもだめですし、小児科医、 心理、保健師、教師、保育士等いろいろな職種の人が集まってはじめて子どもの 育ちは支えられるんじゃないかといつも思っております。  柳澤座長  今日は今後の議論を進めていく上での道筋について委員の方々からご意見を伺 うという形で発言していただいておりますが、ほかに、どうぞ。  桃井委員  先ほど「心」と「医師」という本検討会のキーワードに関して共通認識をもた ないと議論が錯綜してしまうのでそのように要望を申し上げて、各委員の先生方 から大変ご意見をいただいて、そのとおりであると思います。それで非常に私の 中でも明確になってきたところがございまして、これを厚生労働省の方にどのよ うな意図で心と医師を使っているのかを実はお伺いしたかったんですが、各委員 の先生にご意見をいただいて大変ある程度の共通認識ができたと思います。  そこですべての先生のご意見はそのとおりだと思いますが、一つ小児医療は御 承知のように児童精神医療も含めて大変大きな問題を抱えております。これは厚 生労働省も御承知のとおりでありますが。その小児医療体制、児童精神も含めて ですが、精神医療体制も大きな問題を抱えておられると思いますが、その小児医 療体制の問題とどのようにリンクさせるかもぜひ、大変大きな問題過ぎてこの検 討会では無理かもしれませんが、しかしながら医師の養成だけではその医師が十 分に機能を発揮できる場が確保されなければ、これは診療報酬も含めてですが、 確保されなければこれは医療の現場に乗りませんので、ぜひそこも落さずに何ら かの形で議論に入っていただければ大変うれしいと思います。  吉村委員  ちょっと門外漢なのでズレるかもしれませんが、今議論になっております発達 障害、これはたぶん小児の精神科の先生がごらんになるのかなと思うんですが。 それといわゆる虐待等に伴う情緒障害とかそういうものもやはり小児の精神科の 先生がごらんになるのか、あるいは小児科の先生と精神科の先生との住み分けが ちょっと門外漢にはわからないんです。  と申しますのは、今厚労省から出ましたのは児童相談所に精神科医を一人ずつ 配置しましょうと、「児童相談所」というものが出てまいりますね。それから情 緒障害の「短期治療施設」をつくりましょうと。あるいは保健所にCAPSとい うか虐待を支援するような施設をつくりましょうと。それから発達障害について は「発達障害支援センター」というのを各都道府県につくりましょうと。その中 に非常に幅広いいろいろなものが入っていると思いますが、本当のいわゆる専門 家としての小児精神医療の先生方というのはいったいどういうものを扱って治療 をしておられるのか。それと、虐待のそれを実際に受けるような部門における医 師の関わり方、そのへんをちょっとわかるようにご説明いただけるとありがたい んですが。  柳澤座長  今の吉村委員の質問に対する回答ということですが、どなたかお願いします。  杉山委員  虐待をなぜ児童精神科医がやらなければいけないのかと言いますと、虐待が深 刻な後遺症を残すんですね。まず最初の段階では反応愛着障害という、愛着の非 常に拗れたパターンになって、それは実は一つの形は自閉症圏の障害と非常に鑑 別が難しくなります。もう一つが、多動性行動障害を起してくるんですね。その 後、今度は年々追っていきますと乖離性障害が起きてきます。乖離性障害の極形 というのは多重人格ですね。非常に問題行動をいっぱい起すようになって非行に つながると。今度それが大人になると、これが虐待の世代間連鎖という問題にな ってきます。それから被虐待児というのは、例えば知能が正常でも大体学習障害 が必発するんですね。境界性知能も非常に多いんです。そんな具合にこの虐待の 問題というのは今はたぶん情緒障害の代表だと思いますが、こういう小さい頃か ら育ちがうまくいかない場合というのも、まさに育ち全体の障害になってきます ので、児童精神科領域、小児精神科領域の対象になるんだと思います。  柳澤座長  吉村委員のご質問は、今杉山委員が言われたのもそういう一つのポイントだと 思いますが、ここにはもともと小児科医という、私もそうなんですが、それから 精神科医と、多くの方がそういう背景をもっていて、なおかつ両方とも、子ども の心というものに関して強い関心をもっている、そういう立場でこれからこうい う問題を検討していこうということで、今までのいろいろな文書とか計画などに 「児童精神科医」とかそういう言葉が出てくるわけですが、それは私の解釈とし ては「それぞれの背景を持った医師で、子どもの心というものに対して強い関心 をもって、それを専門にしていこう」というような医師と捉えておりますので、 児童精神科医という言葉づかいをされていても、そういう非常に限定された意味 ではないというように私は思います。ほかに、どうぞ。  山内委員  これは対象をどうするかという最初の議論と関係があるんですが、子どもの問 題を考えていくと、そこには脳自体の障害といったような器質的なものもあるで しょうし、あるいは成育過程でのいろいろな心理的なものもあるでしょうし、社 会的なものもあると。牛島先生は「総理大臣」と言いましたが、ときにはそうい う家庭全体のあり方も考えなければならないと。そういう包括的なものなので、 小児科医とか小児神経科医とか精神科医として育ってきた視点が違うかもしれま せんが、これは齊藤先生がおっしゃったように、やがては包括的横のつながりで 全体として同じ考え方ができるようにならなければいけないと。だから、そうい う意味では出自というか、出てきたところは違うかもしれないけど、子どもの問 題はそういう包括的な視点でもって考えるべきであるという点は共通の認識を持 っていたほうがいいんじゃないかと思うんですよ。たとえば行動だけ見れば虐待 という形になりますが、それは、これも指摘されたように、認知の障害であった り発達の障害というところになりますから、あまりそこは区別しないでいいんじ ゃないかと思います。我々は常に包括的、統合的に考えるべきだというのが一つ です。  それからもう一点は既に指摘されましたが、これはタイトルが「専門医」とな っていますが、先ほどの西田委員からも言われましたように、実際には医者だけ でいろいろな問題は解決できない。地域でそういうネットワークをどうやってつ くるかというようなことも非常に重要なテーマだと思いますので、ぜひ専門医の 養成ということだけでなく、地域のネットワークをどうやってつくるかという、 そういう視点も入れるべきではないかと思います。  柳澤座長  どうもありがとうございました。大変大事なご指摘だと思います。  南 委員  今の先生方の議論を伺っておりますと、最後に吉村先生が「門外漢でわからな い」とおっしゃってご質問になったように、他科の先生でも、そういう疑問をも たれるわけです。つまりこれは、一般の国民はほとんど、問題を抱えていらっし ゃる当事者でもない限りはわからないという議論なんですね。「子どもの心」の 問題といったときに、先生方でさえもそれぞれいろいろなイメージをお持ちにな るように、一般の国民からしますとイメージする千差万別な今は一番社会的な問 題になっているのは虐待ということですが、10年、20年前を振り返れば自閉 症が非常に大きな問題であった時代もあるし、学習障害、多動性障害が問題にな った時期もございます。その時々にたまたま報道が大きく取り上げたりしたこと が、あるいは何か低年齢の子どもが起した事件で加害者を診断してみたらこうい う病気だったという病名が一人歩きしたり、そういうような形でしか問題が捉え られていないという現状があるわけです。まず最初に、桃井先生がおっしゃった ように国民にわかりやすいような形で「子どもの心の診療に関わる専門の医師」 ということにしていただかないと、一般の人には到底わからないものになってし まう、そこのところをぜひ留意していただきたいと思います。 −−略−−               照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課               電話 :(代表)03−5253−1111                         斎藤(内線:7933)                         飯野(内線:7938) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 発達障害者支援法の施行について  文科省・厚労省 平成17年4月1日 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0412-1e.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−                            17文科初第16号                         厚生労働省発障第0401008号                            平成17年4月1日 各都道府県知事 各指定都市市長 各都道府県教育委員会教育長 各指定都市教育委員会教育長 各国公私立大学長 各国公私立高等専門学校長  殿                      文部科学事務次官  結城 章夫                      厚生労働事務次官  戸苅 利和               発達障害者支援法の施行について  「発達障害者支援法(平成16年法律第167号)」(以下、「法」という。) は平成16年12月10日に公布された。また、本日、法に基づき「発達障害者 支援法施行令(平成17年政令第150号)」(以下、「令」という。)が、令 に基づき「発達障害者支援法施行規則(平成17年厚生労働省令第81号)」 (以下、「規則」という。)が公布され、いずれも本日から施行されるところで ある。  法の趣旨及び概要は下記のとおりですので、管下区市町村・教育委員会・関係 団体等にその周知徹底を図るとともに、必要な指導、助言又は援助を行い、本法 の運用に遺憾のないようにご配意願いたい。  なお、法の施行に基づいて新たに発出される関係通知については、別途通知す ることとする。                 記 第1  法の趣旨  発達障害の症状の発現後、できるだけ早期に発達支援を行うことが特に重要で あることにかんがみ、発達障害を早期に発見し、発達支援を行うことに関する国 及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、学校教育における発達障害者 への支援、発達障害者の就労の支援、発達障害者支援センターの指定等について 定めることにより、発達障害者の自立及び社会参加に資するようその生活全般に わたる支援を図り、もってその福祉の増進に寄与することを目的とするものであ ること。(法第1条関係) 第2  法の概要 (1)  定義について  「発達障害」の定義については、法第2条第1項において「自閉症、アスペル ガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これ に類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとし て政令で定めるものをいう」とされていること。また、法第2条第1項の政令で 定める障害は、令第1条において「脳機能の障害であってその症状が通常低年齢 において発現するもののうち、言語の障害、協調運動の障害その他厚生労働省令 で定める障害」とされていること。さらに、令第1条の規則で定める障害は、 「心理的発達の障害並びに行動及び情緒の障害(自閉症、アスペルガー症候群そ の他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、言語の障害及び協調運 動の障害を除く。)」とされていること。  これらの規定により想定される、法の対象となる障害は、脳機能の障害であっ てその症状が通常低年齢において発現するもののうち、ICD-10(疾病及び関連保 健問題の国際統計分類)における「心理的発達の障害(F80−F89)」及び「小児 <児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98)」に含まれ る障害であること。  なお、てんかんなどの中枢神経系の疾患、脳外傷や脳血管障害の後遺症が、上 記の障害を伴うものである場合においても、法の対象とするものである。(法第 2条関係) (2)  国及び地方公共団体の責務について  国、都道府県及び市町村は、発達障害児に対しては、発達障害の症状の発現後 できるだけ早期に発達支援を行うことが重要であることから、発達障害の早期発 見のため必要な措置を講じること。また、その者の状況に応じて適切に、就学前 の発達支援、学校における発達支援その他の発達支援、発達障害者に対する就労、 地域における生活等に関する支援及び発達障害者の家族に対する支援が行われる よう、必要な措置を講じること。発達障害を早期に発見することは、その後の支 援を効果的・継続的に行っていくためのものであること。(法第3条第1項・第 2項関係)  支援等の施策を講じるに当たっては、発達障害者及び発達障害児の保護者(親 権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下 同じ。)の意思ができる限り尊重されなければならないこと。その際、本人や保 護者に対して支援の内容等について十分な説明を行い、理解を得ることが重要で あること。(法第3条第3項関係) (3)  関係機関の連携について  発達障害者の支援等の施策を講じるに当たっては、医療、保健、福祉、教育及 び労働に関する業務を担当する部局の相互の緊密な連携を確保するとともに、犯 罪等により発達障害者が被害を受けること等を防止するため、これらの部局と消 費生活に関する業務を担当する部局その他の関係機関との必要な協力体制の整備 を行うこと。(法第3条第4項関係) (4)  国民の責務について  国民は、発達障害者の福祉について理解を深めるとともに、社会連帯の理念に 基づき、発達障害者が社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するよ うに努めなければならないこと。(法第4条) (5)  児童の発達障害の早期発見及び早期の発達支援について  児童の発達障害の早期発見のために、市町村は、母子保健法(昭和40年法律 第141号)第12条及び第13条に規定する健康診査及び学校保健法(昭和3 3年法律第56号)第4条に規定する健康診断を行うにあたり十分留意するとと もに、発達障害の疑いのある児童に対し、継続的な相談を行うよう努め、当該児 童の保護者に対し、医療機関等の紹介、助言を行うこと。  また、発達障害児が早期の発達支援を受けることができるよう、発達障害児の 保護者に対し、相談、助言その他適切な措置を講じること。  都道府県において、発達障害児の早期の発達支援のために必要な体制の整備を 行うとともに、発達障害児に対して行われる発達支援の専門性を確保するため必 要な措置を講じること。(法第5条・第6条関係) (6)  保育、放課後児童健全育成事業の利用及び地域での生活支援について  市町村が、保育、放課後児童健全育成事業の利用、地域での生活支援のために 適切な配慮、必要な支援等を行うものとすること。(法第7条・第9条・第11 条関係) (7)  教育について  国、都道府県及び市町村が、発達障害児(18歳以上の発達障害者であって高 等学校、中等教育学校、盲学校、聾学校及び養護学校に在学する者を含む。)が その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるようにするため、適切な教育的 支援、支援体制の整備その他の必要な措置を講じるものとすること。  また、大学及び高等専門学校は、発達障害者の障害の状態に応じ、適切な教育 上の配慮をするものとすること。(法第8条関係) (8)  就労の支援について  都道府県は、発達障害者の就労を支援するため必要な体制の整備に努めるとと もに、公共職業安定所等の相互の連携を確保しつつ、発達障害者の特性に応じた 適切な就労の機会の確保に努めるものとすること。  また、都道府県及び市町村は、必要に応じ、発達障害者が就労のための準備を 適切に行えるようにするための支援が学校において行われるよう必要な措置を講 じるものとすること。(法第10条関係) (9)  権利擁護について  国、都道府県及び市町村は、発達障害者が、その発達障害のために差別される こと等権利利益を害されることがないようにするため、権利擁護のために必要な 支援を行うものとすること。(法第12条関係) (10)  発達障害者の家族に対する支援について  都道府県及び市町村は、発達障害者の支援に際しては、家族も重要な援助者で あるという観点から、発達障害者の家族を支援していくことが重要である。特に、 家族の障害受容、発達支援の方法などについては、相談及び助言など、十分配慮 された支援を行うこと。また、家族に対する支援に際しては、父母のみならず兄 弟姉妹、祖父母等の支援も重要であることに配慮すること。(法第13条関係) (11)  発達障害者支援センターについて  平成14年度より、「自閉症・発達障害支援センター運営事業(平成14年9月10 日障発第0910001号 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)」が実施さ れてきたところである。今般、法の成立により発達障害者支援センターが本法に 位置づけられ、都道府県等は「自閉症・発達障害支援センター」を「発達障害者 支援センター」として指定することとなる。  発達障害者支援センターの業務内容については、従来の「自閉症・発達障害支 援センター」と同一のものであるが、センターにおける支援の対象者については、 法における発達障害の範囲が学習障害や注意欠陥多動性障害なども含み、これま でよりも拡大することとなることから、その十分な対応を行うこと。(法第14 条関係)  また、発達障害者支援センターは、都道府県知事等により指定されるところと なり、職員の秘密保持、業務状況に関する報告の徴収、業務の改善に関する必要 な措置、指定の取り消しが定められているため、その責務について十分認識の上、 支援にあたること。(法第15・16・17・18条関係) (12)  病院や診療所など専門的な医療機関の確保について  国、都道府県及び市町村は、発達障害の専門的な診断及び発達支援を行うこと のできる病院又は診療所を地域に確保し、日頃から地域の住民に情報提供を行う こと等により、医療機関による支援体制の整備に努めること。(法第19条関係) (13)  民間団体の活動の活性化への配慮について  国、都道府県及び市町村は、発達障害者を支援するためのさまざまな団体の活 動の活性化を図ることは重要であり、その際、家族のみならず発達障害者当事者 の団体の活動が活性化されるよう配慮すること。(法第20条関係) (14)  国民に対する普及及び啓発について  国、都道府県及び市町村は、発達障害については、障害を有していることが理 解されずに困難を抱えている場合が多いことなどから、発達障害者についての理 解を深めることなどを国民の責務(第4条関係)と規定していることと併せて、 具体的に発達障害に関する国民の理解を深めるための必要な広報及びその他の啓 発活動を行うこと。(法第21条関係) (15)  医療又は保健の業務に従事する者に対する知識の普及及び啓発      について  国、都道府県及び市町村は、医療又は保健の業務に従事する者に対し、発達障 害の発見のため必要な知識の普及及び啓発に努めなければならないこと。(法第 22条関係) (16)  専門的知識を有する人材の確保等について  国、都道府県及び市町村は、発達障害者への適切な支援を確保していくため、 医療、保健、福祉、教育、労働等の分野において発達障害に関する専門的知識を 有する人材を確保することが重要な課題であること。  そのため、国においては医師については国立精神・神経センターにおいて、ま た、行政担当者、保健師、保育士等については国立秩父学園において、教員等に ついては、独立行政法人国立特殊教育総合研究所において、研修を実施すること としており、都道府県等においても専門的知識を有する人材の確保に積極的に努 めること。(法第23条関係) (17)  調査研究について  国は、発達障害者の実態の把握に努めるとともに、発達障害の原因の究明、発 達障害の診断及び治療、発達支援の方法等に関する必要な調査研究を行うものと すること。  そのため、独立行政法人国立特殊教育総合研究所においては、学校における発 達支援の方法等に関する調査研究活動を行っている。(法第24条関係) (18)  大都市等の特例について  法において、都道府県が処理することとされている事務のうち、法第6条第3 項、法第10条第1項及び第2項、法第13条、法第14条第1項、法第16条、 法第17条、法第18条並びに法第19条第1項の事務については、令第3条に 定めるとおり、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項 により指定都市(以下「指定都市」という。)が処理するものとすること。(法 第25条関係) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ------------------------------------ 22:48 2005/05/03 □ ------------------------------------------------------------------------ ゴールデンウィーク良い天気が続いています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュースの記載内容に関する質問には原則として回答いたしかねます ■ ■ LDニュースの記載内容を転載される場合には必ず下記までご連絡下さい ■ ■ 編集に際し正確を期していますが最終保証責任は免責とさせて頂きます ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 親の会「けやき」連絡先 E-mail: keyaki@box.club.ne.jp 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