LD(学習障害)ニュース登録は こちら から。

前号 | 目次 | 次号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LD(学習障害)ニュース #525 2004/12/01 発行 登録(配信)読者数 3,401 ■ ■ LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997/09/10創刊 ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 第161回国会 衆議院 内閣委員会 議事録 第8号 (抜粋)3 2004/11/24 ■ □ 編集後記 ------------------------------------ 00:28 2004/12/01 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□■ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください ■□■□■ ■ LDニュースへ講演会等のイベント情報の掲載を希望される方へ・・・ ■ ■ 詳細は下記サイトをご覧下さい。原稿は適宜編集する場合があります。 ■ ■□■□■ http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/sample.html ■□■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 第161回国会 衆議院 内閣委員会 議事録 第8号 (抜粋)3 2004/11/24 ■ ------------------------------------------------------------------------ ○泉(房)委員 民主党の泉房穂です。  今から三十分間、質問をさせていただきます。  まず初めに、今回の法案につきまして、中心となられました福島豊議員また関 係当事者の皆さんのこれまでの御努力と熱意に対しまして、深く感銘いたす次第 であります。  本来であれば、このような多くの方々の御努力と熱意のもとに成立が予定され ている法案でございますので、もう少し積極的な、前向きな評価を持って質問を したくは思っておりましたが、幾つかの懸念事項もございますので、その点も踏 まえて質問をさせていただきます。  本日、お手元の方にお配りさせていただいた配付資料についてでありますが、 一枚は厚生労働省障害福祉部部長の私案としてのペーパーからの印刷物でありま す。もう一つにつきましては、発達障害者支援法案に関する比較表であります。 一番下が議連の決定における法案、真ん中が先週提出された法案、一番上段が本 日委員長起草案となっておる内容でございます。  私といたしましては、幾つも変更点はございますが、そのうち七つばかりにつ きましては、積極的な評価がし得ると考えています。  まず一点は、第一条の「目的」のところの早期発見につきまして、早期発見の 対象につきまして、当初、「発達障害児」という人の書き方をしておりましたが、 そうではなく、「発達障害」という状態に着目した表現に改まっている点であり ます。もちろんのこと、障害につきましては、人ではなく、その障害という状態 に着目して支援をしていくことが必要だ、その見地から、この変更点、修正点に つきましてはよかったと考えております。  二点目は、自立と社会参加が明文化されたことであります。これは、御存じの とおり、この春の障害者基本法におきましても、第一条におきまして、三回も書 き込まれている、まさにキーワードであります。この部分が入ったことにつきま しても、積極的によかったと思っております。  第三点は、警察に関する部分であります。警察に関しましては、さまざまな御 意見等もございましたので、その部分につきまして、懸念を払拭するような形で 条文が、文章が変わったというふうに理解しております。  四点目は、教育についてであります。第八条につきまして、これも幾つかの団 体からこの条文につきましての懸念がございましたので、第八条が変更となって おると理解しております。  そして、第十二条「権利擁護」につきましては、当初は権利擁護をすべき責務 を負っている団体が都道府県及び市町村でしたが、それのみならず国が入ったと いう点、これは当然のことでありますが、修正になってよかったと考えておりま す。  また、「差別されること等」という形で差別禁止の趣旨がこの十二条に加わっ たこと、これも積極的に評価できると考えております。  また、最後に七点目につきまして、見直し規定が、当初なかったものが五年の 見直しとなり、そして本日の委員長起草案におきましては三年という見直し規定 が置かれたこと。  この点は、ほかもございますが、この七つにつきましては、この間の努力をさ れた方々に対しまして、深く敬意を改めて表しておきたいと思います。  しかしながら、こういった点を踏まえましても、現時点においてもまだ幾つか の懸念事項が指摘されております。今回、この法案が可決されることは、本当に ある意味、関係当事者にとっての悲願であったと思います。しかしながら、事実 を率直に見詰める姿勢というものは必要であろう。  そのような見地から、具体的に申しますと、現時点におきましても、幾つかの 団体、例えば、日本障害者協議会、障害者インターナショナル日本会議、そして また今回教育分野を受け持つ日本教職員組合、また、教育の欠格条項をなくす会 準備会、これは統合教育を求める会でございますが、そのような会、知的障害者 の親の会でもございます社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会、精神医療の分野 における市民の人権擁護の会などなどから、この時点における本法案の成立につ いて幾つかの心配事項が提示されております。  そういった事項がないように、本日の委員会可決の後、運用面などにおきまし て、それらの点につきましての御配慮がなされることを強く望むものであります。  今回の法案につきましては、私が改めて語るまでもございませんが、一九七〇 年の心身障害者対策基本法に始まり、一九九三年の障害者基本法改正、本来であ れば、この時点におきまして、今回の対象とされた方々が障害者の中に当然含ま れているという附帯決議もございましたので、その附帯決議に基づいて個別の施 策がなされていれば、今日を待つまでもなく、もっと早い段階で多くの支援が得 られたと考えております。  また、二〇〇四年、この春の障害者基本法の改正におきましても、またも今回 の支援対象の方々が積み残しになってしまった、そういった歴史的経緯の中に今 日がある、そのような自覚はいたしております。  ただ、私が懸念するのは、大きく申しまして三点であります。  一つは、この法案が成立する、もちろんプラスの面があるのは当然であります。 しかしながら、法律というものはひとり歩きしてしまう可能性もあろうかと思い ます。この法律ができたことによって、今回支援対象とされている方々が他の障 害の方々のサービスから取り残されてしまわないかという懸念が一点ございます。 また、関係当事者の熱意や努力とは裏腹に、今の社会的な状況のもと、かえって 今回の支援対象とされた当の本人たちにとって、結果的にどうなるのかという心 配もございます。また、障害者施策全般に対する影響というものも考えられます。  この三点につきまして、質問をしてまいりたいと思います。  まず、内容面についてであります。  先週、谷間の障害者と言われる無年金障害者についての法案が可決されました。 同じく谷間の障害者に関する所得保障についての法案でありました。今回も同じ く谷間の障害者に関する法案でありますが、今回の法案につきまして、一体、こ の法案の成立によって具体的にどういったサービス、どういった支援策が始まる のかという質問であります。  例えば、無年金障害者救済法案につきましては、その法案が通ることによりま して、来年の四月から、障害等級一級には五万円、二級には四万円の月々の給付 金が支給されます。今回の法案は、一体、この法案が通ることによって具体的に どういったサービスが始まるのか、その点、まずお答えのほどをよろしくお願い いたします。 ○塩田政府参考人 この法案ですけれども、この法案は、議員から御説明があっ たように、これまで制度の谷間にあった方々に対する支援をどうするかという観 点からつくられたものと考えております。  これまで、知的障害のある場合は知的障害者福祉法のサービスが受けられてい たわけでありますけれども、知的障害を伴わない方々については、それぞれの法 律によるサービスがないということでございました。  この法案はまだ理念法の段階でありまして、政策の方向性は出していただいて いるわけでありまして、この法律ができることによって、例えば発達障害者支援 センターによる相談機能を充実することでありますとか、あるいは福祉と雇用分 野の連携を密にすることでありますとか、あるいは教育分野と福祉分野の垣根を 取っ払うというようなことでありまして、直ちにこの法案で具体的なサービスが 開始するという性格の法案ではないと思っております。  これから、この法案の趣旨を受けまして、さまざまな取り組みを地域レベル、 国レベルでやりまして、一つ一つ検証して、将来は、後ほど議論になるかもしれ ませんが、障害の種別なく包括的なサービス法の中で一本化されるべき、またそ れを目指すべきであろうと考えているところでございます。 ○泉(房)委員 今回の法案、じっくりと何度も何度も読ませていただきました が、理念法と申しますが、本当に具体的な支援については書き込みがなされてい ないということは残念でなりません。  私自身、先週の水曜日、犯罪被害者基本法にかかわり、委員会可決となりまし た。例えば、これも同じく、これまで放置されてきた犯罪に巻き込まれた被害者 や遺族に関する支援法でございます。  しかし、その法案につきましては、具体的にそれぞれの分野において、雇用の 問題、住宅確保の問題などなど、既にその法案にその後の方向性が書かれており ます。また、その後の施策決定におきましても、官房長官をトップとし、大臣六 名が加わり、また、有識者という名の具体的な当事者や支援団体の方も入った上 で具体的な施策が遂行される、そういった法案になっております。  ところが、今回の法案は、そのような具体的な書き込みもなされておらず、ま た、具体的な施策遂行における枠組みも書かれておりません。しかし、このこと を今申したとしても、今から法改正がすぐになされるわけではないと思います。 その点、運用に携わる面におきまして、条文には書かれていなくても、当事者や 支援団体、またいろいろな方々の意見を踏まえて具体的な支援をしていく、そう いった回答をいただきたいのですが、お願いいたします。 ○塩田政府参考人 この法案では、それぞれの保健、医療、福祉、教育、雇用な どの大きな方向性は書かれておりますけれども、実際に、議員が指摘されたよう な政策の具体化という点では、予算をとり、いろいろな細かな制度をつくってい く作業が必要であります。  御指摘のあった趣旨で、関係省庁とも連携して努力をしていきたいと思ってお ります。 ○泉(房)委員 そして、今回の法案につきまして他の団体などからいろいろと 指摘されているところは、この法案、理念法と言われましたが、その理念につい ての疑義が出されているんだと私は理解します。  障害者福祉と申しましても、大きく言えば二つの考え方があろうかと思います。 それは、幸せというものを、障害者本人の幸せをだれが決めるのかということに かかわっていると私は思いますが、本人の幸せは、本人が決めるのか、そうでは なく、国なり、社会なり、保護者なりがある意味決めてあげるのかというような ところにかかわっているようにも思います。  今回の障害者基本法の改正、また、国連で作業がなされております国連の障害 者権利条約の理念と申しますのは、申すまでもなく、あくまでも障害者自身が権 利の主体であり、であるがゆえに、障害というものをそのまま受けとめた上で、 そのままの状態で障害者と健常者がともに生きていく社会が理想であると考え、 であるがゆえに、自立と社会参加というキーワードが出てくる。そして、障害者 の種別なく、支援される側から物事を見ていく、障害者を縦割りにしたりはしな い、あくまでも施策を決めるのは本人である、こういった理念であろうと思いま す。  それに対しまして、他方、国や社会や保護者の方から支援をしていくとなりま すと、そうではなく、障害者は支援の対象であります。そして、早期発見し、で きるだけ健常者に近づくようにならないか、そんな思いがにじみ出てまいります。  また、より丁寧な手厚い支援という視点から、どうしても障害の種別を分け、 また、健常者と違った形で、手厚い支援という名のもとに分離教育や別の取り扱 いがなされてしまう、そういったこともあろうかと思います。  今回の法案、率直に感想といたしましては、一九七〇年の心身障害者対策基本 法のような形の考えが色濃く出ているように感じられてなりません。  しかしながら、この点も同じであります。今すぐに条文が変わるわけではなか ろうと思いますが、理念といたしましては、今回書き込みがなされておりません が、支援対象となっている方々が当然権利を有しており、今回法文にやっと入り ましたが、自立と社会参加を目指し、あくまでも本人の自己決定を尊重する、そ ういった趣旨からきた法案である、そういった理解でいいかどうか確認をしたい のですが、お願いいたします。 ○塩田政府参考人 障害者福祉のキーワードとして、自立と社会参加が大事であ り、かつ、いろいろな分野において障害者自身の自己決定が必要であるというこ とはおっしゃるとおりであると思います。  そういう観点から、昨年四月から支援費制度をスタートし、障害者の方が地域 で暮らせるという政策を目指しておりますし、今回の法案もそういった考え方に 立って立案されたものと理解をしているところでございます。 ○泉(房)委員 私自身は、この自己決定権の尊重というのは、言葉だけじゃな くて、今後の障害者福祉施策に関して最も大きなキーワードの一つであろうと考 えております。  今回、この法案につきましては、多くの関係当事者の思いのこもった法案であ ろうと思います。私自身も、ある意味、思いのこもった中で今回対応させていた だいております。  私ごとになりますが、私も、四つ下の弟は生まれつきの先天性脳性麻痺であり ます。生まれ落ちたときから、私自身、四つ下の弟とこれまで生きてまいりまし た。小学校に入るときに、養護学校に行けと言われ、私と親含めて、市長に直談 判をし、どうして障害があるからといって別の学校に行かなきゃいけないのか、 兄である私と一緒にどうして同じ学校に行ってはいけないのか、そういった思い で、結果的に、何とか、お兄さんである私が一緒に通学をするという条件で、一 緒に近くの学校に通いました。  そういった中、あれからもう三十数年がたっているというのに、いまだに日本 の教育現場は原則分離だということに、本当に情けない思いがいたします。  また、そういった思いでもって、障害者と健常者がともに一緒にやっていく社 会を求めつつ、私自身もその家族でございましたが、しかしながら、家族という ものはなかなか本人にはなり切れなく、私の弟が運動会に出たいと言ったときに、 私も親も必死にとめました。  運動会に出ても走れるはずもないし、周りに迷惑もかかる、みっともない、だ から別に運動会で走らなくても、応援団で一緒に応援すればいいじゃないか、私 も親もそう言ってとめました。しかしながら、弟はそれを振り払って出ました。 もちろん、まともには走れません。しかし、私は、そのときに、幾ら家族といっ ても、本人のためといっても、本当の本人の気持ちというものは本人にしかわか らないのだろうと幼心に感じた次第です。  私の原点はそこにありまして、幾ら家族や親が一生懸命、当の本人のためと思 っても、おのずからそこには限界があってしまう、その視点であります。  高齢者の分野におきましても、具体的には、私自身弁護士をして、そういった 分野に数多く携わっておりますが、実際上、痴呆の始まった親に対しまして、家 族がむしろ施設入所を勧めてしまう。当の痴呆の始まったばかりの方は、引き続 き住みなれた地域で暮らしたいと思っていても、むしろ家族がその親の意思に反 して特別養護老人ホームに入所手続をする、親も子供たちに迷惑をかけてはいけ ないと思い、みずから施設入所をしていく。  そういった日々を、そういった毎日を送りながら、そうではなく、あくまでも 当の本人の意思に従って、住みなれたところで暮らしたい方は住みなれたところ で、通常学級に行きたいと本人が思うのであれば、幾ら親が心配であったとして も、同じような環境で学ばせてあげられるような社会をつくっていく、そういっ た姿勢が必要であろうと本当に強く思っております。  そういった見地から、文部科学省に質問させていただきたいと思います。  これも私が申すまでもなくお詳しいと思いますが、今、世界の中で、障害者と 健常者を原則分離という教育をしているところは、恐らく日本だけだろうと思い ます。国連の障害者権利条約の作業部会におきましても、日本のみがいわば特異 な姿勢をとっております。  確かに、予算の伴う面もありますし、幾つかの解決すべき問題があることはわ かります。しかしながら、方向性としては、あくまでも当の本人に選択権を保障 し、一緒に勉強したいと思うのであれば、一緒に健常者と学べる環境をつくって いく、そういった方向は当然必要であろうと思いますが、この点、文部科学省の 姿勢を問いたいと思います。 ○山中政府参考人 先生御指摘の点でございますけれども、障害を持つ子供たち について、障害の状況に応じましてその可能性を最大限伸ばして、自立、社会参 加、そのために必要な力を培ってもらいたいということで、そういう観点から、 現在、盲、聾、養護学校あるいは小中学校の特殊学級等、あるいは通常学級に在 学しまして続ける等、いろいろな形でのカリキュラムあるいは指導方法というこ とで教育を行っているところでございます。  また、文部科学省では、平成十四年の四月でございますけれども、学校教育法 の施行令を改正いたしまして、社会のノーマライゼーションの進展、あるいは教 育の地方分権といった観点から、盲、聾、養護学校の就学基準に該当する子供に つきましても、その障害の状況等に照らしまして、小中学校において適切な教育 を受けることができるというふうに市町村の教育委員会が認めるという場合には、 認定就学という形でございますけれども、その小中学校に就学できるという形で、 就学手続の弾力化ということも行っているところでございます。  文部科学省としては、障害を持つ子供たちがしっかりと自立し社会参加できる ような、そういう力を養ってもらいたい、そういう観点からの教育、これを一生 懸命充実していきたいというふうに考えております。 ○泉(房)委員 今お答えがございましたが、確かに弾力的な運用という形は、 少しは始まったかとは思います。しかしながら、現実的なところ、その認定され る数は極めて限定的であります。原則、例外が変わったわけではありません。日 本の場合、原則が分離であり、例外的に一緒にやっていくというような姿勢はい まだ変わっていないと言わざるを得ません。  そうではなくて、あくまでも私が申しているのは、今も御指摘がありましたが、 盲、聾につきましては確かに議論のあるところであります。盲、聾につきまして はむしろ手厚い特別な環境が必要である、それは、確かにそういった面の議論も あることはわかっております。しかしながら、身体障害、知的障害につきまして は、そうではなく、むしろ一緒に学ぶことを基本的に皆さんおっしゃっておられ ます。  ポイントは選択権であります。当の本人に対してその選択権を保障していく、 その姿勢であろうと思います。そういった見地で、ここで押し問答いたしまして も、今現時点ですぐに回答があるわけではなかろうと思いますので、問題意識だ け提示させていただきました。  また、自己決定の問題につきましては、この点はそんなきれいごとでないこと は、私も重々わかります。重度の障害の方の場合など、判断能力が果たしてある のか、そういった方に関して自己決定という名のもとに本人に任せてしまうとか えって本人のためにならない、まさに目の前でそういった部分と格闘している場 合、そんなきれいごとでは済まない、それはまことにそのとおりであります。  しかしながら、あくまでも理念としては、当の本人の判断能力が不十分であっ たとしても、それを周りがサポートし、あくまでも当の本人の人生は本人が決め ていく、そこにどれだけその努力を働かすか、そこの努力を怠ってはいけないの ではないかという視点だと私は考えております。  その点、具体的な条文に即して質問させていただきますが、今回の法案の第三 条の三項であります。  二行ばかり読ませていただきますが、「発達障害者の支援等の施策が講じられ るに当たっては、発達障害者及び発達障害児の保護者の意思ができる限り尊重さ れなければならないものとする。」この条文であります。  これは、保護者の熱い思いも踏まえた上で入った条文であろうと思いますし、 この条文自体は、むしろ、国や都道府県の方が勝手なことをするのではなく、あ くまでも保護者の意思を踏まえた上で対応するという趣旨から書かれた条文であ ろうとは思いますが、しかしながら、今の私の申した視点からいきますと、あく までも意思を尊重するのは当該本人、発達障害者その人ではないかと思う次第で あるわけであります。  これは、結局のところ、障害者にとって自立と社会参加を阻むのは、もちろん 今の国、社会でもありますが、実際のところは、自分の親や家族というものが最 後の大きな壁として立ちはだかってしまう、そういった現実をやはり直視せざる を得ないと思います。  例えば、十五歳の場合、発達障害児であります。保護者の意思を尊重するのか、 その本人の意思を尊重するのか。そのときに一体どちらの意思を尊重して、例え ば親が、やはり世の中に迷惑をかけてはいけない、この子がかわいそうだ、ふび んだ、そういった思いから別の場所で学ぶという選択をとるとしても、当の本人 が、いや、僕は一緒にやりたいんだといったときに、どちらの意思を尊重するの かという、まさにそこの現場における判断にかかわる問題であります。  私は、その際、もちろんその本人の判断が明らかに誤っていたりした場合には きっちり説得をする、それは当然でございますが、しかしながら、やはり人間は 自分の人生は自分でしか決められないわけでありますから、最終的には、保護者 ではなく本人の意思を尊重するんだろうと思いますが、この点、どのように考え ておられるか、お答えください。 ○塩田政府参考人 障害者福祉の理念として、障害者自身の意思が最も尊重され なければならないというのが基本原則であろうと思っております。  先ほども申し上げましたが、昨年からスタートしたいわゆる支援費制度も、障 害者のノーマライゼーション、あるいは障害者自身がサービスを選ぶ、自己決定 の理念に基づいた制度であると考えているところでございます。  今回の法案でも、ここに書かれておりますように、発達障害者自身の意思がで きる限り尊重されて、自己決定が確保されるということが必要であると思ってお ります。  議員が言われたように、仮に発達障害児のケースで親御さんと子供さんの意思 が一致しない場合、障害者福祉の理念からいえば、やはり障害者御本人の意思が 尊重されるべきであろうと思います。  しかしながら、ケースによっては、御指摘があったように本当に難しいケース があると思います。そういうときには、例えば専門家がよく両者の意見を聞いて、 そのときの基本は、御本人の意思を尊重するということが基本であると思います が、さまざまな専門家が公平な立場で親御さんたちを子供さんも含めてサポート するといった対応などもあると思います。  いずれにしても、基本は、御本人の意思を尊重するということがこの法案の趣 旨であると理解をしております。 ○泉(房)委員 次に、就労に関してであります。  今回の法案につきましては、そのことによって何らかの給付金が出るわけでは ありません。学校の現場を卒業した後、皆さんそれぞれ社会に出てまいります。 とする場合、結局、生活をどうやってやっていくかであります。働かないとお金 は入ってこないわけであります。  しかしながら、今の知的障害者の分野におきましても、なかなかそういった部 分の理解も進まず、就労支援、それぞれ厚労省も頑張っておられると思いますが、 まだまだな面もあろうかと思います。まして、軽度の、軽度のといいますか、今 回の支援対象となっている方々の場合、よりわかりにくい、つまり、障害が重度 であればあるほど大変なというわけではなくて、むしろ、わかりにくければなお 余計大変だ、そういう面もあろうかと思います。  そういった面における就労支援、今回の法案ができたとしても、例えば障害者 の雇用率に反映されたりはしないと思いますが、しかしながら、今後どういった 形で就労支援をしていくのか、この点、明確にお答えいただきたいと思います。 ○金子政府参考人 お答え申し上げます。  今議員御指摘のように、障害者の雇用に関する法律につきましては、発達障害 者の方については現在雇用義務の対象にもちろんなっておりません。ただ、法律 で想定をしております職業リハビリテーションの措置、こういったものを中心に いたしまして支援の対象には制度上はなっておるわけでございます。  具体的にどういうことができるかということでございますが、一つは、ハロー ワークにおきます職業相談や就職後のいろいろな助言指導でありますとか、ある いは全国に四十七設けております障害者職業センターにおきますいわゆる職業リ ハビリテーション、この中にはジョブコーチ制度と言われているものも含まれて おりますけれども、こういったものによる職場定着支援といったようなことが制 度的にはできるようになっておるわけでございます。  要は、やはりこういった制度を使って発達障害者の方の就労、雇用をどうやっ てこれから支援していくかというところが大きなポイントだろうと思います。  私どもといたしましては、今回の法案を契機にいたしまして、こうした制度を 十分に活用いたしまして、保健、福祉、教育等の関係機関とも連携を図りながら 就労機会の確保に努めていきたいと思っております。 ○泉(房)委員 現時点における答弁としては今程度であろうと思いますが、そ れで足りるものではないことは当然御認識されていると思います。本当に、仕事 はしないと、お金の問題もそうですが、まさに誇りを持って人生を送っていくと いうこともなかなか難しくなります。就労支援につきましては、ほかの面もそう ですが、本当に特に力を入れていただきたいと思います。  最後の質問でありますが、配りましたペーパー、一枚ペーパーの色紙でありま す。この図はあくまでも私案という形で聞いております。  この図を見れば明らかなように、まさに、谷間の障害者のうち、今回につきま しては発達障害者、軽度の発達障害をお持ちの方々などにつきましての法律であ ります。しかしながら、難病につきましては、今回については対象とはなってお りません。難病の問題をどのように考えられるのかというのが一点。  そしてもう一点は、今回の発達障害者支援法ができたとしても、具体的なサー ビスにすぐ直結するわけではない。そういった中で、本来であれば、一番下にあ ります総合的な障害者福祉の法律の中にきっちりと位置づけられて、障害の種別 なく、本当に支援を必要としている方すべてに対して、その人が必要としている 支援をしていく、そういった法律をつくっていくべきだろう、そのように思うわ けでありますが、方向性としてはそのような方向でいいと確認してよろしいのか どうか、御答弁よろしくお願いいたします。 ○塩田政府参考人 障害者基本法という法律がありますけれども、障害者基本法 は、原因の別のいかんを問わず、すべての障害者に対する施策のあり方の基本方 向を定めた、いわゆる障害者福祉行政の憲法というべき法律であろうと思います。  現行の福祉サービスにしろ、個別の分野の法律は、お手元に配られてあります 資料にありますように、個別の法律があって、残念ながら制度の谷間になる障害 者がいらっしゃるということでございます。  今後の方向としては、障害者基本法の上に立って、障害の理由のいかんを問わ ず、共通の障害については共通の、すべて包括的なサービスなりを目指すべきだ ろうと思っております。その方向に向けて取り組んでまいりたいと考えておりま す。 ○泉(房)委員 ありがとうございました。  本日、委員会で可決し、これがまさに第一歩であり、これからスタートである、 そういった思いを持って質問を終わらせていただきます。  関係者の方々、どうも御苦労さまでございました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ------------------------------------ 00:28 2004/12/01 □ ------------------------------------------------------------------------ 衆議院 内閣委員会 発達障害者支援法案 関連質疑 2004年11月24日 (衆議院ビデオライブラリ) 参議院 内閣委員会 発達障害者支援法案 同付帯決議案 審議 2004年12月01日 (参議院ビデオライブラリ) いずれも下記でご覧になれます。 http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/2004/0082.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュースの記載内容に関する質問には原則として回答いたしかねます ■ ■ LDニュースの記載内容を転載される場合には必ず下記までご連絡下さい ■ ■ 編集に際し正確を期していますが最終保証責任は免責とさせて頂きます ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 親の会「けやき」連絡先 E-mail: keyaki@box.club.ne.jp [1999.03.12 から] ホームページ URL : http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/ [1998.07.31 から] LD 関連の情報交換・意見交流・質問は下記の「LDフォーラム」をご利用下さい LD-FRM URL: http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/LD-FRM/ [2000.08.17 から] ★ 挿入されている広告内容や広告主と親の会「けやき」は一切無関係です ★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ LDニュースは「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ を利用して発行してます

「けやき」ホームページ | 目次

inserted by FC2 system