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■ LD(学習障害)ニュース #523 2004/11/30 発行 登録(配信)読者数 3,401 ■
■ LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997/09/10創刊 ■
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■ 第161回国会 衆議院 内閣委員会 議事録 第8号 (抜粋)1 2004/11/24 ■
□ 編集後記 ------------------------------------ 20:44 2004/11/30 □
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■ 第161回国会 衆議院 内閣委員会 議事録 第8号 (抜粋)1 2004/11/24 ■
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○小宮山(洋)委員 この発達障害者支援法は、現在支援の谷間に置かれている
自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害、ADHD、学習障害、LD
の方や保護者の皆さんたちの悲願であった支援のための法整備の第一歩となるも
のだと思います。
この法律を意義あるものにするためには、一つは、すべての国民が発達障害を
理解するようになること、そしてもう一つが、実際に支援が受けられるようにな
ること、支援の実質的な中身だと思います。
幾つか伺いたいと思いますが、まず、専門家の育成について伺っていきたいと
思います。
まず、医師ですが、現在、発達障害を診断できる専門医が非常に少ないという
ことがあります。専門医の育成を全国でできるようにすることが必要です。少な
くとも十万人に一人程度、つまり、一千人くらいの専門医の育成が必要だと考え
られていますが、その育成を具体的にどのように行うつもりか、伺います。
○塩田政府参考人 我が国では、発達障害など、子供あるいはその親の方々の心
の問題に対応できる専門的な知識あるいは技能をお持ちの児童精神科医でありま
すとか小児科医というのは極めて少ない現状にあると認識しているところであり
まして、この法律の趣旨を実効あらしめるためには、専門的知識を有する人材の
確保が大変重要であると考えているところでございます。
こうしたことから、厚生労働省におきましても、子供の心身の発達障害あるい
は心の問題を抱える子供の診断、治療あるいはケアを適切に行うことのできる児
童精神科医あるいは小児科医の確保、養成が非常に大事だと考えているところで
ございます。
こうした観点から、一つは、平成十六年度内には検討会を開催いたしまして、
小児科及び児童精神科の領域における専門医の確保対策について具体的な検討を
始めたいと思っております。また、平成十七年度の厚生労働科学研究におきまし
ても、子供の心の問題に専門的に対応できる医師などの確保、育成に関する研究
の実施、養成プログラムの開発を行うことを予定しておりまして、現在、研究者
に対しまして公募を行っているところでございます。
いずれにいたしましても、こうした取り組みを速やかに進めまして、必要な養
成、研修を実施しまして、発達障害などに対する専門的な技能あるいは知識を持
つ医師の確保に努めてまいりたいと考えております。最低千人ぐらいの専門家の
医師が必要だという御提案は大変貴重な御意見だと思っております。
いずれにいたしましても、この法案が成立することによりまして、専門の医師
の質の面、量の面での確保に努めてまいりたいと思っておりますし、この法律の
制定によってこうした動き、人材の確保につながればと思っている次第でござい
ます。
○小宮山(洋)委員 この法案は皆様の声を受けて議員立法でつくられているわ
けですが、これから検討会をする、これからプログラム開発をするというのは非
常に遅いと思います。省庁としてしっかりと取り組んで早急にやってほしいと思
います。
次に、母子保健にかかわる保健師あるいは保育士、幼児教育にかかわる関係者、
また障害児の療育の関係者につきましても、一定以上の専門性を持って支援のプ
ログラムが提案できる専門家の育成を全国でできるようにすることが必要だと思
います。
現在、自閉症・発達障害支援センター支援員の研修は、知的障害のない発達障
害児者の支援の実績を持たない秩父学園で研修しているということですが、この
現状ではなかなか無理があるのではないかという指摘もあります。どういう具体
策を考えているのか、伺います。
○塩田政府参考人 保健、福祉、医療、保育、いろいろな現場で活躍する専門家
の養成、知識の普及が非常に重要だと考えているわけでございます。これまでも、
保健師等に対するパンフレットの手引書の配付でありますとか、あるいは、先ほ
ど御指摘ございました国立秩父学園でさまざまな地方自治体の職員等に対する研
修を行ってきたところでございます。
平成十七年度の概算要求におきまして、新たな取り組みとして、こうした法案
が成立されるという動きも見ながら概算要求したつもりでありますが、全国の指
導者に対する研修でありますとか、あるいは保健師、保育所、保育士等に対する
実務研修なども新たに来年度からスタートしたいと考えているところでありまし
て、その予算の確保に全力を尽くしたいと思っております。
また、先ほど、例えば秩父学園が知的障害のない自閉症を対象としていないと
いうような問題の御指摘がございましたが、実際の研修の企画立案に当たりまし
て、外部の関係の専門家の御意見を聞くとか、あるいは実際の研修の講師にいろ
いろな分野で活躍の方を招くとか、いろいろな工夫をしていくことが必要だろう
と思っております。また、国立秩父学園のあり方につきましても、この法律の制
定を見まして、きちんとした機能が果たせるような見直しも検討していきたいと
考えております。
○小宮山(洋)委員 ぜひ、言われたようなことを早急にやっていただいて、い
ろいろな角度から、今あるものもいい形で活用するし、新たに必要なこともしっ
かりやっていくということをお約束いただきたいと思います。
そして、学校教育でも、自閉症、ADHD、学習障害の障害特性を正しく理解
して、子供ごとの支援プログラムの作成ができる教員の育成が急務だと思います。
また、障害に適した職業指導ができる専門家も必要だと思います。例えば、その
発達障害についての学習を教員免許の中に位置づけるとか、具体的に、学校教育
の中での専門家の育成はどのようにされていくでしょうか。
○山中政府参考人 発達障害のある子供さんたちへの教育に関しましては、自閉
症あるいは学習障害、注意欠陥多動性障害等、障害の多様化あるいは複雑化に対
応いたしまして、教員としても高度かつ専門的な知識、経験というものが求めら
れるところでございます。
このため、例えば国立特殊教育総合研究所を中心といたしまして、発達障害の
児童生徒への対応に指導的役割を果たします教員、これを対象といたしました研
修、あるいは、各学校で学校の内外の関係者あるいは保護者との連絡調整を行う
特別の支援教育コーディネーターの養成といった指導的な役割あるいは中心的な
役割を果たす教員の研修などの実施を行っているところでございます。また、こ
れらの研修の中で職業指導についても取り上げているところでございます。
また、教員養成課程の中におきましては、教育の基礎理論に関する科目という
中で、障害のある児童、幼児、生徒の心身の発達、学習の課程を含めて取り扱う
ことになっておりまして、こういうものの中でも発達障害に関する内容が取り扱
われているというところでございます。
いずれにしても、今後とも、関係機関と連携しながら、障害のある児童生徒へ
の職業指導といった点も含めまして、しっかりとした研修を行って、教員の専門
性の向上というものに努めてまいりたいと考えております。
○小宮山(洋)委員 その教育の基礎のところで、障害についての教育も教員免
許の中でされているということですけれども、現在もそれが十分だとは言えない。
特に、今まで認識のなかなか徹底していなかったこの発達障害についてもしっか
りやっていただきたいというふうに思います。
次に、自閉症を初めとした発達障害への支援、実質的な支援について幾つか伺
いたいと思います。
この発達障害は、各種の障害と比べて、運動機能や知能には問題がなく、困難
性が高くないと見られることが多いわけです。けれども、刺激への過敏性や突然
のパニックなど、支援や介護が必要な場合も実際に多くあります。ところが、現
在の支援費などでの制度では支援の困難性の評価が適切でないということが多い
のだと思います。
障害特性からくる生活上の困難性を正しく評価する仕組みをつくって適切な支
援が受けられるようにする必要があると思いますが、そういう点について福祉政
策の担当者の御認識はいかがでしょうか。
○塩田政府参考人 ただいま議員から御指摘ございましたように、自閉症などの
発達障害につきましては、一見してわかりにくいということとか、あるいは特定
の事柄に強いこだわりがあるとか、あるいは他人とのコミュニケーションに大変
な苦労があるとか、非常に対応が困難な方々であると認識をしているところでご
ざいます。
昨年の四月から支援費制度が始まっております。この支援費制度におきまして
も、残念ながら、知的障害を伴う発達障害の方のみが支援費制度の対象でありま
すけれども、知的障害を伴う自閉症などの発達障害者の処遇におきまして対応の
困難さを適切に評価するという観点から、一つは、施設支援費の障害程度区分に
おいて重度となるような評価ができるようにしているところでございます。二つ
目には、行動障害があって個別的な支援が必要な方々について、強度行動障害特
別支援加算費支給の対象にしているところでございます。
また、先般、障害保健福祉施策の改革のグランドデザインを提案いたしました。
この中で、施設サービスとか在宅サービスの見直しをすることになっております
けれども、その中で知的障害を伴う自閉症などの発達障害の程度区分を設定する
など、適切な評価ができるような仕組みについて検討したいと考えているところ
でございます。
いずれにしても、支援費制度などにおいて、自閉症などの対応の困難な方々に
ついての正しい評価の仕組みについて、これからもその充実に努めてまいりたい
と考えております。
○小宮山(洋)委員 今、知的障害を伴うと言われたように聞いたんですけれど
も、知的障害を伴わない場合もあるわけですよね。だから、そういうさまざまな
状況にある子供たち、そういう人たちに対する適正な正しい評価をする、そのた
めには、やはりその政策をつくられる方々がそういう認識をしっかりと持たれな
いと必要な政策ができないと思いますので、ちょっと今のお答えでは不十分かと
思いますが、また同僚の議員が後でもいろいろな質問があると思いますので、先
を急ぎます。
次に、施設の問題なんですけれども、第一種、第二種自閉症児施設を初め、自
閉症者を多く受け入れている入所施設、全国自閉症者施設協議会加盟五十七施設
あると聞いています。さらに、最近自閉症者がふえている知的障害者施設などの
状況を改善して、こうした施設を発達障害者援助の資源として積極的に活用して
はどうかと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○塩田政府参考人 御指摘のとおりでありまして、発達障害者の支援を行ってい
く上で自閉症児施設などの役割が大変大きいと思っておりまして、そこの施設の
専門家の方々の活用ということが非常に大事であると思っておりますし、そうい
う施設を活用することで、身近なサービスとか御相談とかそういったことも発達
障害を持つ方々あるいは家族にとって可能になると思っております。
また、都道府県、指定都市の中核となる相談機関として自閉症・発達障害支援
センターというものの整備を進めておりますけれども、このセンターと先ほど議
員が指摘された施設との連携とか、そういったこともこれから重要だと考えてい
るところでございます。
いずれにしても、社会のいろいろな発達障害に対する理解あるスタッフとか施
設、さまざまな社会資源を活用しまして、この法律の制定の趣旨がより充実した
ものになりますよう発達障害者の支援に努めてまいりたいと考えております。
○小宮山(洋)委員 もちろん新しいセンターをつくることも必要ですが、今の
いろいろな財政状況の中で新しいものをどんどんつくるというのは無理だと思い
ますので、やはりきめ細かいサービスを、支援を提供するためには、今ある社会
的資源を有効に利用するということもしっかりと考えていってほしいと思います。
次に、発達障害が現在の障害者福祉施策の谷間に落ちてしまっていて適切な支
援が行われていないこと、それをきちんと理解されているでしょうか。
現在の障害手帳制度では、手帳がないと支援が地域で受けられません。高機能
自閉症、アスペルガー症候群、LD、ADHDの子供や成人に対する公的支援を
どのような形で行っていくつもりなんでしょうか。精神障害者福祉手帳などの手
帳の認定も受けられない発達障害者について、現行の手帳制度を変えるつもりが
あるのか、地域で必要なサービスが受けられる仕組みづくりについて伺いたいと
思います。
○塩田政府参考人 現在、発達障害につきましては、御指摘ございましたように、
既存の障害者福祉法制の対象に正面からはなっていないということ、それから、
障害としての認識が社会一般に必ずしも広がっていないということで、その障害
の発見でありますとか適切な対応がおくれがちであるということ、また、この問
題に関する専門家が少なくてきちんとした対応がとりにくいといった課題があり
まして、発達障害を持つ方々あるいはその家族の方々が地域での支援がなくて大
きな不安を抱えていると認識をしているところでございます。こういう発達障害
を持つ方々が地域の中で暮らしていけるためには、幼児期から障害の特性に応じ
たさまざまなサポートが必要だろうと思っているところでございます。
その意味で、この法律ができることによりまして、例えば自閉症・発達障害セ
ンターを初めとする相談支援体制を充実することができるとか、あるいは人材の
養成のきっかけとなって早期発見とか、保育や教育、いろいろな現場での支援が
広がることが期待できると思っております。また、就業・生活支援センターなど、
福祉と雇用の連携ということもこれから広がっていくのではないかと考えている
ところでございます。
今後、この法律に基づきましてさまざまな取り組みをいたしまして、現行制度
では、御指摘がありましたように、手帳を持っている方にはそれぞれの法律に基
づくサービスが提供されておりますけれども、手帳を持たない方にとっては個別
のサービスが受けられないという現状にございます。この法律に基づいてさまざ
まな取り組みをいたしまして、手帳を持たない方も含めて、発達障害を持つ方々
に対するサービスのあり方、あるいは支援体制のあり方ということを検討いたし
まして、今後の課題になりますけれども、そうした方々へのサービスの制度的位
置づけについても検討してまいりたいと考えております。
○小宮山(洋)委員 法律をつくっただけで実質的サービスが受けられなければ
何もならないわけですから、この法律、随分いろいろ協議して修正を重ねてまい
りましたけれども、最初は、思想はいいけれども、実際のサービスが受けられな
いんじゃないかという指摘もいろいろありました。そういう意味でも、今のよう
な手帳を持たない人に対してもサービスが受けられるようにするという言葉だけ
ではなくて、実際にどういうふうにして行っていくかをぜひしっかり詰めていっ
てほしいと思います。また委員会でも、どのようになっているか質問を、後ほど、
次の国会でもさせていただきたいと思います。
次に、発達障害支援センターについては、年間二千五百万円の予算というふう
に聞いています。現在、全国の二十カ所にしかないわけですけれども、全都道府
県に設置できるのはいつを目標にしているんでしょうか。また、東京や大阪など
の大都市では一カ所では十分ではないのではないかと思いますが、その点はいか
がでしょう。
○塩田政府参考人 平成十四年度から、地域で生活する自閉症などの発達障害に
関する御相談に応じるということで、自閉症・発達障害センターの整備を図って
いるところであります。御指摘がありましたように、現在十九カ所あるというこ
とでありまして、今後その質的、量的な拡充が必要であると思っております。
この法律ができることによって、そういう整備が加速度的に進むことを私たち
も期待し、そのつもりで頑張ってまいりたいと思っております。
自閉症・発達障害支援センターの予算でありますけれども、御指摘がありまし
たように、現在の予算では、相談支援を担当する職員一名、療育支援を担当する
職員二名、就労支援を担当する職員一名の四名の方に必要な予算として、一カ所
二千五百万円程度の予算が計上されているということでございます。
御指摘がありましたように、これでは不十分ではないかという声があることも
十分承知しております。この法案の施行後、実施状況とか、あるいはこの発達障
害支援センターの事業の効果とか、いろいろなことを見きわめまして、予算のあ
り方についても検討していきたいと思っております。まずは、まだ十九カ所しか
ありませんので、全都道府県、全政令市に設置を急ぎたいと思っているところで
ございます。
いずれにしても、この法案によって、今後自閉症・発達障害支援センターが質
的にも量的にも拡充することを、私たちもその方向で頑張っていきたいと思って
おります。
○小宮山(洋)委員 大体いつごろを目標にしているかと聞いたのですが。
○塩田政府参考人 何年までにということは申し上げられないのが財政制約もあ
って残念ですけれども、できるだけ早く、数年のうちには、すべての都道府県、
指定都市に少なくとも一カ所は設置できるように努力したいと思います。
○小宮山(洋)委員 大体数年というのは二、三年ぐらいのところを数年という
のだと思いますが、それでよろしいですか。
○塩田政府参考人 そのような方向で努力したいと思います。
○小宮山(洋)委員 しっかりと、これは議事録に残ると思いますので、またチ
ェックをさせていただきたいと思います。
そして、発達障害というのは非常に高い頻度で起こる障害だからこそ、まず、
障害としてとらえる前に、子育て支援の施策として必要なサポートを受けられる
ようにすることが必要ではないかということを保護者の皆さんなどもおっしゃっ
ています。子育て支援の担当者に対する発達障害と支援プログラムについての研
修、どのように行うか、もう少しこれは広げた話なんですけれども、そのあたり
も具体的な方策を伺えればと思います。
○塩田政府参考人 発達障害児の方々に対しては専門的な支援が必要だという面
がありますけれども、御指摘があったように、普通の子育ての中で、いわゆる育
てにくい子供の子育てをどうするかという側面も有しておりますので、一般の子
育て支援の担当の方々がこういう発達障害に対しての理解を深めていただけると
いうことが大変重要であろうと考えているところでございます。
発達障害児に対するいろいろな支援とあわせて、一般の子育て支援対策との連
携も当然ながら必要であろうと思っているところでございます。これまで保健師
等に対する手引書なども配付しておりますけれども、冒頭申し上げましたが、来
年度予算の中で、新たに都道府県、政令市の行政担当者などに対する指導者の研
修でありますとか、保健師、保育士等に対する実務研修の実施なども考えており
まして、こういう発達障害に対する理解を行政のいろいろな局面で理解されるス
タッフをふやすべく努力したいと思っております。
○小宮山(洋)委員 先ほど、専門家の育成についてはこれから審議会をつくっ
てやるというような、検討会をつくってやるというようなお話でしたが、今言わ
れたように、一般的な子育て支援の中でやるということは、そんな支援プログラ
ムをつくるというほどの専門的な知識ということではなくて、認識があり、その
ような必要なところへちゃんと連携がとれるようにしていけばいいわけですから、
やろうと思えばすぐにできると思いますので、ぜひ、しっかりやっていただきた
いと思います。
次に、一般の人たちの認識とか啓発のことについて伺いたいんですが、再三申
し上げているように、この発達障害、これは周囲の人たちからなかなか理解をし
てもらえない、そして、育てていらっしゃる方も我が子のことがなかなか理解を
できない、それで本人と家族は非常に苦しんでいらっしゃるという現状があるの
だと思います。
その発達障害児を育てる保護者を孤立させないということが、こうしたことが
原因の虐待とか、非常に不幸な場合は無理心中などということもあると聞きます
ので、そうしたことを防ぐためにも重要だと思います。
そのためには、社会全体、国民全体に対する啓発が急務だと思いますけれども、
現状の認識とその啓発の方法、どのようにしていくのか、伺いたいと思います。
○塩田政府参考人 御指摘がありましたように、発達障害を持つ子供にとりまし
て、社会にその障害の特性を理解してもらうだけで随分違うと思います。社会の
周りの方々の理解があれば普通に暮らしていける方々であろうと思っております。
ところが、発達障害について一般の方々の理解が必ずしも十分じゃないという
ことで、例えば親御さんのしつけが悪いんだとか本人の性格が悪いんだといった、
間違った、誤解が広がっているということでありまして、社会全体に正しい知識
なり理解を広げていくことが最も大事な出発点であると思っているところでござ
います。
こういうことにつきまして、厚生労働省といたしましては、一つは、保健、医
療、福祉、教育、雇用などの専門家だけじゃなくて、社会全体が正しい理解をし
ていただくということが大事でありますので、例えば、ポスターでありますとか
冊子を作成するでありますとか、シンポジウムを開催するなど、いろいろな形で
の啓発に努めたいと思っております。
また、先ほど来議論になっております、保健、福祉、医療関係者など行政関係
者あるいは専門家への研修も充実したいと思っておりますし、また、実際身近に
ある保育所などで、放課後クラブとか、発達障害者と一般の児童との交流を広げ
ていくことでありますとか、企業などの職場における発達障害への理解の促進、
あるいは、NPOなどでいろいろな活動を地域でされておりますけれども、そう
いう方々に対する支援など、いろいろな取り組みをこれからやってまいりたいと
思っております。
それから、こうした法律ができること自体も社会の理解を深める上では一つの
契機になっておりますので、厚生労働省といたしましても、関係の方々と一緒に
なって、正しい理解が広まるように、そして発達障害を持つ方々が地域で普通に
暮らせるような社会づくりを目指して、努力をしたいと思っております。
○小宮山(洋)委員 最初に申し上げたように、この法律の目的というのは、実
質的な支援が受けられるということとあわせて、国民が発達障害を理解するよう
になるという、アナウンスメント効果といいましょうか、啓発の効果があると思
いますので、ぜひ、その点もよろしくお願いします。
そして、発達障害への支援は、就学前から小学校へというように、一生を通じ
て支援をつないでいくことが必要だと思います。現在の縦割り行政、福祉では、
保育園、小学校、養護学校、就労と環境が変わるたびに、ゼロから支援体制づく
りを保護者みずからがやらなければならない現状があります。
垣根を越えた支援体制をどのようにつくるのか、また、だれが担い手となって
コーディネーターとしてつないでいく役割を果たすのか、これを厚生労働省、文
部科学省に伺いたいと思います。
○塩田政府参考人 発達障害者の方々への支援ということでは、幼児期、学齢期、
青壮年期といった一人一人のライフステージに応じて一貫した支援が重要だと思
いますし、また、保健、医療、福祉だけじゃなくて、教育、就労とか関係の分野
の方々が協力して、これも一貫して支援をするという考え方が大事だろうと思っ
ております。
来年度の概算要求で発達障害者支援体制整備事業というのを要求しておりまし
て、これは都道府県レベルあるいは障害福祉圏域、地域レベルで福祉関係者、教
育関係者が一緒になって支援チームをつくって発達障害者の応援をしていこう、
そういう取り組みでございます。
中央レベルでも、文科省とはこの法案をつくる過程で一緒にいろいろな勉強を
してまいりましたし、今後も支援については文科省と厚労省で協力していきたい
と思っておりますし、現場のレベルでも、福祉サイド、教育サイドが垣根を払っ
て、発達障害者への支援ができるように努力をしてまいりたいと考えております。
○山中政府参考人 先生御指摘のように、発達障害のある子供一人一人のニーズ
に応じまして、また、幼稚園から小学校、中学校、高校、そういった発達段階に
応じまして、それぞれの子供に合った支援を、また各段階連携しながら進めてい
くということは、非常に重要なことだというふうに考えております。
文部科学省におきましても、平成十五年度から実施しております特別支援教育
推進体制モデル事業というものを行っておりますけれども、この中でも、学校あ
るいは関係機関や保護者と連携いたしまして、乳幼児期から学校卒業までという
ものを通しました個別の教育支援計画というものを策定できないかということで、
そのモデル的な事業を行っているところでございます。
また、この個別の教育支援計画の中では、発達障害のある幼児、児童、生徒、
子供の担任と、それから、それぞれ小中学校におきましては校内委員会というも
のを設けますが、そこで特別支援教育コーディネーターというものを設けまして、
こういう方が中心になって保護者との連携あるいは関係機関との連携、十分意見
を聞きながらその計画を立てるという形にしているところでございます。
今後とも、厚生労働省との連携を密にいたしまして、発達障害者の方のそれぞ
れの障害に合った形で、総合的で一貫した教育ができますように、充実に努めて
まいりたいと考えております。
○小宮山(洋)委員 もう時間になりましたので終わりますが、厚生労働省、文
部科学省、協力をしてやっていく、言葉だけではなくて、いろいろな場面でそう
いう言葉、きれいな言葉はたくさん伺います。けれども、実質的には、実際から
すると垣根が依然としてあるんです。でも、受ける側は一人、同じ人なわけです
から、言葉だけではなくて実効性のある連携した取り組みを、そして学校だけで
はなくて就労まで続くような、その方がトータル一生続いて支援が受けられるよ
うな仕組みづくりをぜひお願いしたいと思います。
また、警察官への研修とか、地域の中で普通に暮らしていけるような研修体制
など、せっかくつくる法案が十分な働きをするように最大限の努力をお願いいた
しまして、私の質問を終わります。
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□ 編集後記 ------------------------------------ 20:44 2004/11/30 □
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2004年11月30日 (火) 発達障害者支援法案(衆議院内閣委員長提出)の、趣旨説
明が参議院内閣委員会にてなされ、翌12月1日には審議されたうえで承認され、
参議院本会議へ送付後成立する見通しとなってきました。
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