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■ LD(学習障害)ニュース #398 2002/11/02 発行 登録(配信)読者数 3,731 ■
■ LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997/09/10創刊 ■
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■ 今後の特別支援教育の在り方について(中間まとめ) 3 2002/10/21 ■
□ 編集後記 ------------------------------------ 19:47 2002/11/02 □
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■ 今後の特別支援教育の在り方について(中間まとめ) 3 2002/10/21 ■
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文部科学省「特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議」
転載もと http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2002/021004a.htm
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第3章 特別支援教育を推進する上での盲・聾・養護学校の在り方について
--- 盲・聾・養護学校の制度 ---
{1} 明治23年小学校令において盲唖学校の設置等に関する規定が設けられ、盲
唖学校の制度上の基礎が明確となった。また、大正12年には、盲学校及び
聾唖学校令が規定された。その後、盲・聾学校以外にも特別な教育に対する
要望が高まり、昭和16年の国民学校令及び同令施行規則によって養護学校
が制度上の位置付けを得た。また、昭和22年に制定された学校教育法で、
「盲学校、聾学校又は養護学校は、それぞれ、盲者、聾者又は精神薄弱(現
在の知的障害のこと)、身体不自由その他心身に故障のある者に対し教育等
を行う」旨規定され、その後、養護学校の対象者の明確化が図られ(昭和3
6年改正)、現在のように「知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚
弱者を含む。)」に対し教育等を行う学校とされている。
学校教育法により、各学校の設置義務が都道府県に課されるほか、各学校の
小学部・中学部への就学義務が規定されたが、養護学校については各都道府
県における整備が十分でなかったため、盲学校・聾学校に遅れて段階的に施
行され、昭和54年に養護学校の設置義務及び就学義務の部分の施行により
各学校の義務化が完了した。
{2} 盲・聾・養護学校は平成13年5月時点で996校あり、近年はゆるやかに
増加している。障害種別にみると知的障害養護学校が増加傾向にあり、養護
学校への就学が義務化された昭和54年時点と比較して1.3倍となってい
る(肢体不自由は1.25倍、その他は同数かやや減少)。これを在籍児童
生徒数でみると、知的障害者が大きく増加しており、また、盲者、聾者、病
弱者の順で減少している。また、近年、障害の重度・重複化の傾向がはなは
だしく、小・中学部全児童生徒数に占める重複障害学級在籍者の割合は45
%であり、肢体不自由養護学校においては75%である(平成13年5月)。
--- 障害種にとらわれない学校制度へ ---
{3} 盲学校は盲者、聾学校は聾者、養護学校は知的障害者、肢体不自由者、病弱
者に対する学校として制度上位置づけられているため、例えば、盲学校にお
いて知的障害等他の障害のある者を教育(盲との重複障害を除く)すること
ができないなど、地域や子どもの障害の状態に応じて柔軟な学校を設置する
ことは困難である。一方、養護学校においては、知的障害者、肢体不自由者、
病弱者及びこれらの障害を含む重複障害のある子どもに対する教育を行う学
校の設置運営が可能である。今後は、障害種毎の学校制度から、地域におい
て障害のある子どもたちの教育をより適切かつ柔軟に行えるように学校を設
置できるような制度について積極的に検討していく必要がある。
{4} また、盲・聾・養護学校における教育課程編成の基準となる学習指導要領に
ついても、学校制度に対応して、その内容等が規定されているため、例えば、
養護学校においても、原則としては異なる障害のある児童生徒を同一の学校
に受け入れることを想定した規定とはなっていない。障害種にとらわれない
学校制度を構築するに当たっては、障害のある児童生徒一人一人の教育的ニ
ーズに対応した教育がより効果的かつ弾力的に行えるようにするとの観点か
ら、学習指導要領の在り方についても検討する必要がある。
--- 地域における障害のある児童生徒等の教育の
センター的機能を有する学校へ ---
{5} 盲・聾・養護学校は、従来特定の児童生徒に対してのみ教育や指導を行う特
別の機関として制度上も位置づけられ、多くの人々が同様の認識を有してい
るものと思われる。しかしながら、今後、小・中学校等において専門性に根
ざしたより質の高い教育を行うためには、盲・聾・養護学校は、これまで蓄
積した教育や指導上の経験やノウハウを活かして地域の小・中学校等におけ
る教育について支援を行うなどにより、地域における教育の中核的機関とし
て機能することが必要である。
盲・聾・養護学校の学習指導要領等においては、盲・聾・養護学校は、「地
域の実態や家庭の要請等により、障害のある幼児児童生徒又はその保護者に
対して教育相談を行うなど、各学校の教師の専門性や施設・設備を生かした
地域における特殊教育に関する相談のセンターとしての役割を果たすよう努
めること」と規定されている。その学校に在籍する児童生徒の教育・指導や
その保護者に対する相談に加えて、地域の小・中学校等に在籍する児童生徒
やその保護者に対する相談、個々の児童生徒に対する計画的な指導のための
教員への個別の専門的・技術的な相談、地域の小・中学校への巡回による指
導など地域の小・中学校への教育的支援を積極的に行うことにより、地域の
特別支援教育のセンターとしての役割を果たすことが重要である。こうした
取組を部分的にではあるが既に行っている盲・聾・養護学校もあるが、今後
は、地域のセンターとしての役割を踏まえ、この相談等の業務をこれまで以
上に重要なものと考えていくことが必要である。盲・聾・養護学校において
は、教育相談の専門の部署を設ける等によりこれらの業務を積極的に行い、
地域の教育機関の核となり地域社会の一員として積極的にその役割を果たし
ていくことを目指した取組が求められている。
--- 「特別支援学校(仮称)」の役割 ---
{6} このように、今後の盲・聾・養護学校は、障害が重い、あるいは障害が重複
していることにより専門性の高い指導や施設・設備も含めた教育的支援の必
要性が大きい児童生徒に対する教育を地域において中心的に担う役割ととも
に、障害の状態により必要となる児童生徒の教育的支援の程度がそれに至ら
ないものが就学する小・中学校における児童生徒の教育や指導に関し、教員
や保護者に対する相談を行うなど、小・中学校に対しても教育的な支援を積
極的に行う機能を併せ有する学校に転換していく必要がある。また、多様な
教育的ニーズに対応するとの観点から特定の障害種のみを受け入れる「盲・
聾・養護学校」の制度から、地域の実情に応じて障害のある児童生徒に対す
る教育的支援を充実することが柔軟にできるように、各自治体において教育
的支援の必要性が大きい児童生徒のための教育の場として障害種にとらわれ
ない学校を設けることを可能にする学校制度として「特別支援学校(仮称)」
としていくことについて法律改正を含め具体的に検討していく必要がある。
{7} この「特別支援学校(仮称)」の制度では、各自治体が地域の実情に応じて
視覚障害、聴覚障害、知的障害等複数の障害の各々に対応して専門の教育部
門を有する学校を設けることが可能となるが、地域によっては視覚障害、聴
覚障害等に対応して特定の教育部門のみを有する学校を設けることが可能で
あり、どのような障害に対応した教育や相談の機能を持たせていくかは、地
域の実情にも応じて各自治体が弾力的に判断することになる。また、他の
「特別支援学校(仮称)」や福祉・医療・労働関係機関とも連携を密にし、
地域の障害のある児童生徒の多様な教育的ニーズに柔軟に対応していく必要
がある。障害のある児童生徒に対する指導や教育的な支援を行う地域の特別
支援教育のセンター的役割を果たす学校への転換を図るためには、校長のリ
ーダーシップはもちろん必要な諸機能を適切に発揮できるような組織体制の
整備が重要であり、学校のマネジメントについて十分な配慮が求められる。
第4章 特別支援教育を推進する上での小・中学校の在り方について
--- 特殊教育に係る小・中学校の制度 ---
{1} 視覚障害者・聴覚障害者以外にも教育の機会を保障する必要性から、昭和1
6年の文部省令において、身体虚弱、精神薄弱(現在の知的障害のこと)そ
の他心身に異常のある児童であって特別養護の必要があると認められる者の
ために教育を行う特別な場として、養護学校とともに、「養護学級」が法制
度上位置づけられた。また、昭和22年に制定された学校教育法においては、
小・中学校に特殊学級を置くことができる旨規定され、いわゆる中軽度の知
的障害者、肢体不自由者、身体虚弱者等に対して、その障害区分毎に、発達
の遅れやその特性から小集団における発達段階に応じた特別な教育課程や指
導法により固定式の場で教育を行うものとされた。
特殊学級の設置目的は上述のとおりであるが、その整備の過程では、知的障
害者等の受入れのための養護学校の整備が十分に進まない中で、障害のある
児童生徒の教育機会を確保するために小・中学校に特別な教育の場として整
備が進められた面もあった。特殊学級については、その設置の立ち後れから、
昭和29年の中央教育審議会答申においてその計画的設置が提言され、漸次、
その整備が進められてきた結果、平成13年5月時点で小・中学校において
27,711学級が設置され、77,240人が同学級に在籍し教育を受け
ている。最近は、学級数の増加傾向が顕著であることに比し、在籍児童生徒
数の増加傾向はそれほどではなく、一学級当たり2.79人(平成13年5
月現在)となっている(盲・聾・養護学校の一学級当たりの在籍児童生徒数
は3.04人)。
特殊学級では、在籍児童生徒への障害に応じた特別の教育指導に加えて、通
常の学級や他校の児童生徒と交流する交流学習を行うほか、通常の学級に在
籍する軽度の障害を有するものへの指導やその教員からの相談を受け必要な
支援を行うなど、その専門性に応じた役割を果たしている例もある。
{2} 通級による指導は、教科等の指導のほとんどを通常の学級で受けつつ、障害
の状態に応じた特別の指導を特別の場で受けるという指導形態で、平成5年
に制度化され、その対象児童生徒数は大きく増加している。平成5年度に1
2,259人であったものが、平成10年時点では倍増し、平成13年5月
現在で、義務教育段階では、言語障害、情緒障害、弱視、難聴、肢体不自由、
病弱・身体虚弱を対象に29,565人が通級による指導を受けている(う
ち、言語障害が24,850人を占める)。
通級による指導は、障害の状態の克服・改善を目的とした特別の指導を行う
ものであり、特に必要な場合に教科の内容の補充指導を併せて行うものとさ
れている。また、指導の時間も年間35〜105時間(週1〜3時間が標準)
と短時間である。
なお、平成5年の制度化に当たってはLDを対象とすることについては、定義
や判断基準が明らかになっていない等の理由により引き続き検討すべき課題
とされている。
他方、通常の学級に在籍する児童生徒が、特定の時間、特定の場所で教科指
導を含め必要な教育を受ける指導の形態は、学校によっては、LDの児童生徒
に限らず、教科学習につまづきのある児童生徒をも対象に、放課後に自由に
参加できるいわゆるオープン教室の形で指導を行い成果を上げている事例が
報告されている。これは今後の各学校の取組の参考にもなるものと考えられ
ることから国においても事例紹介をする等、こうした各学校の創意工夫を奨
励していくことが重要である。
{3} 平成14年4月に行われた就学指導の在り方の見直しのための学校教育法施
行令の改正により、盲・聾・養護学校に就学すべき障害の基準(いわゆる就
学基準)に該当しても市町村の教育委員会が障害の状態や学校の状況等を踏
まえて総合的な判断を行い、小・中学校において適切に教育を受けることが
できる特別の事情があると認める場合には小・中学校に就学することが可能
となった。こうした児童生徒については、これまで特殊教育で培ってきた指
導方法、ノウハウを生かすことがますます重要となるため、小・中学校の学
校全体での指導体制の充実や盲・聾・養護学校との連絡・連携が重要である。
このため、特殊学級、通級指導教室の教員等障害のある児童生徒の教育につ
いての理解や知識のある者がコーディネータとしての役割を果たすことが求
められる。
--- LD、ADHD等の現状と対応 ---
{4} LD、ADHD、高機能自閉症のある通常の学級に在籍する障害のある児童生徒へ
の教育的対応は緊急かつ重要な課題となってきている。こうした児童生徒が
学級にいる場合、担任教員の理解や経験または学校内での協力体制が十分で
ないこと等から適切な対応ができない、また、時には、学級としてうまく機
能しない状況に至る事例もある。
これらの児童生徒は多様な障害の状態像を示すことがあり、その状態に応じ
て情緒障害、言語障害等の通級指導教室や特殊学級において教育を受けてい
る状況はあるが、総合的、体系的な対応はなされてこなかった。
{5} LDについては、通級指導教室に関する調査研究協力者会議の報告(平成4年)
(※4−{5})で初めてその対応についての検討の必要性が取り上げられ、LD
に関する調査研究協力者会議の報告(平成11年7月)により、その定義、判断
基準、実態把握基準(試案)、指導の方法などが示された。また、平成12年
度から、LDのある児童生徒に対する指導体制の充実事業が全国で展開されて
きており、同会議の示した定義、判断基準、実態把握基準等の検証や学校に
おける適切な指導体制の整備に向けて取り組んでいる。具体的には、小・中
学校に校内委員会を設置し学校における実態把握を行うとともに、教育委員
会に置かれる専門家チームの意見を踏まえてLDの判断や適切な教育的対応を
決定するほか、専門家による巡回指導の有効性の検証を行ってきている。
しかしながら、ADHD、高機能自閉症等については、定義や判断基準が明確に
なっていないこと等から学校における適切な対応が行われてこなかった。
{6} LD、ADHD等の児童生徒数は、現在の特殊教育の対象者の割合(義務教育段階
で約1.4%)に比べて多く6%程度と考えられること、また、特定の学習
面で著しい困難を示すLDと、行動面で困難を示すADHDや高機能自閉症とを併
せもつ児童生徒がいること、LD、ADHD等については指導内容や指導上配慮す
べき点について類似する点も少なくないことから個々の障害毎にではなく総
合的に対処することが効率的な場合も考えられることから、これらの実態を
踏まえて効果的かつ効率的に対応することが求められる。
{7} 本調査研究協力者会議では、ADHDや高機能自閉症について、別添資料にある
ように定義と判断基準(試案)、学校における実態把握のための観点、指導
方法等について作業部会を設置して検討してきた。今後は、同作業部会のと
りまとめた内容が実際に学校教育の場で効果的に活用できるよう検証すると
ともに、学校における適切な指導体制を早急に構築する必要がある。国にお
いては、上述のLDへの指導体制の充実事業を通じて整備を進めている支援体
制を拡充し、ADHDや高機能自閉症をも含めた総合的な支援体制の確立に向け
て取り組むことが必要である。
ADHDや高機能自閉症は、近年、その対応の重要性が認識されてきている新し
い障害であることから、管理職を含む教職員や保護者等への幅広い理解の推
進が必要である。
また、LDとともに、ADHDや高機能自閉症といった通常の学級に在籍する特別
な教育的支援の必要な児童生徒に関わる教職員の養成や研修を、国立特殊教
育総合研究所や都道府県等の教育センター等において積極的に行う必要があ
る。
ADHDや高機能自閉症等は、個々の児童生徒により多様な状態を示すことがあ
り、例えば、ADHDの児童生徒が同時に高機能自閉症と判断されたり、同時に
LDと判断されることもある。このため、これらの児童生徒の教育的ニーズは
多岐に渡ることもあることから、国立特殊教育総合研究所においては、当該
児童生徒への具体的な指導方法の実践的な研究を引き続き進めるとともに、
これまでの研究成果や実践事例を取りまとめ活用し易いものにするなど、学
校や都道府県の教育センター等に対して的確に情報提供することが必要であ
る。
{8} LD、ADHD等について、さらに幼児期からの支援を進めるためには、幼稚園全
体で支援しあえるような体制を整備したり、日頃から保護者への理解推進を
進めていくような研修等の充実が必要である。また、幼稚園と比べて保育園
の在籍幼児数が多い実情を踏まえれば、障害に対応した適切な教育的対応を
考えていく上で保育園の役割を軽視することはできない。保育園においても
幼稚園と同様の視点から取り組むことが期待され、また、小学校や盲・聾・
養護学校の小学部において幼稚園や保育園と日頃からの情報交換を行うこと
が就学後に児童生徒一人一人の教育的ニーズに対応した教育を行う上で重要
と考えられる。
親の会やNPOの中にはLD、ADHD等の理解の促進等を目的に活発に活動を行
っているものがある。こうした草の根的な活動は、教育の充実や効果的な展
開を図る上で、重要な役割を果たしうるものと考えられることから、親の会
等との連携も図りながら取組みを行うことも重要なことと考えられる。
また、中学校を卒業した後は、高等学校へ進学する生徒も多いことから、LD
やADHD等へ対応した特別な支援体制を構築することや、研修などを通じて理
解推進を進めることが期待される。また、都道府県等の教育委員会に設置さ
れた専門家チームが、必要に応じて高等学校への支援を行なうことについて
検討する必要がある。さらに、養護学校高等部との連携も重要である。
高等教育段階においても、障害に応じた配慮が各学校においてなされつつあ
るが、大学で学ぶLD、ADHD等の学生についても、支援の在り方についての研
究を進めるとともに、様々な機会を通して大学関係者の理解の促進が図られ
ることが重要である。
--- 学校内における特別支援教育体制の確立の必要性 ---
{9} このように多様な障害のある児童生徒が小・中学校に就学することを考慮す
れば、教職員の理解促進を含め学校全体が組織として一体的に取り組むこと
を確保する対応体制の構築、特殊教育により培った指導方法・ノウハウの効
果的な活用が不可欠であり、また、一人一人の教育的ニーズを把握して適切
な教育・指導を行うための計画を作成し、実行するためには盲・聾・養護学
校や福祉・医療機関等との連携が非常に重要である。これを踏まえて、ADHD
や高機能自閉症等をも含めた、通常の学級に在籍する特別な教育的支援の必
要な児童生徒への総合的な支援体制を確立する必要がある。この点で、LDへ
の最近の教育実践にもみられるように、校内委員会等により学校内の体制整
備、専門家チームによる的確な指導、関係機関との連絡・調整役としてのコ
ーディネータ的な役割を果たす者による対応や、少人数指導や個別指導を行
うティーム・ティーチング(TT)の活用は、今後の支援体制を考える際に参考
となるものといえる。
なお、コーディネータ的な役割を果たす者は、障害のある児童生徒の教育に
ついての知識が求められることから、特殊学級や通級指導教室の担当教員や
特殊教育の経験者等がその役割を果たすことが考えられる。
{10}小・中学校においてこのような体制整備を図るに当たって、小・中学校に蓄
積された人的・物的な資源を積極的に活用することに加えて、非常勤講師や
特別非常勤講師、高齢者再任用制度による短時間勤務の教員等の外部人材の
積極的な活用を図るという視点が重要である。また、盲・聾・養護学校から
巡回による指導等による支援を効果的に受けるための連携協力も重要であり、
その意味で、これまで特殊教育で培われた教育や指導上の経験やノウハウを
総合的に活用していくことが必要である。
なお、小・中学校においては、学力の向上を目指した個に応じた指導の充実、
不登校問題への対応等種々の取組が今後展開されていくことが想定されるが、
これらとの有機的な連携に十分留意して、適切な特別支援教育体制の構築を
検討していくことが必要である。
{11}特殊学級は、盲・聾・養護学校の対象でない比較的障害の軽い児童生徒等に
対して適切な教育を行う場として設けられたが、この特殊学級については、
特定の児童生徒に対する専門的な指導が可能であるという点を評価する意見
がある一方で、その在り方については検討すべき点があるとする指摘もある。
たとえば、(1)障害のない児童生徒との交流の重要性に鑑み多くの時間を
交流学習にあて通常の学級に在籍する児童生徒と共に学習する機会を設けて
いる実態を踏まえれば、必ずしも、固定式の教育の場を設ける必要はないの
ではないか。(2)障害のある児童生徒の発達や障害等について専門的な知
識や技能を有する特殊学級の担当教員は、小・中学校においては重要な役割
を担うべき者であり、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒の教育のた
めにはもちろん、教育上必要となる関係機関との連携・調整のためのコーデ
ィネート役として活用するべきではないか。(3)特殊学級に蓄積された教
育・指導上のノウハウや設備・機器は、通常の学級に在籍する障害のある児
童生徒の指導にも広く生かされるべきであり、特定の児童生徒のみの特別の
場として位置づけることは適当ではないといったものである。このような意
見等を踏まえ、特殊教育の中で培われた資源を有効に活用してより質の高い
教育的支援を行うということを念頭に特別支援教育の在り方を考えていく中
で、特殊学級の在り方を検討することが必要である。
なお、特殊学級を設ける場合には、現行制度上は、障害種別の区分毎に設け
なければならない(学校教育法施行規則)。障害に起因する困難を改善・克
服するとともに障害に応じた教育を行うために指導上の専門性が確保される
ことが必要であり、障害の区分毎に教育を行うことは今後も合理的なものと
考えられるが、特殊学級は比較的軽度の障害のある児童生徒に対する教育を
行うための制度であることを踏まえれば、障害によっては、比較的指導内容
等が類似しており、その双方について指導できる能力を有する教員がいるよ
うな特別な場合には複数の障害を対象とするなど、各自治体における弾力的
な対応も可能とすることができないか併せて検討することが必要と考えられ
る。
{12}通級による指導は、通常の学級に在籍する軽度の障害のある児童の教育・指
導のための制度として設けられ、近年対象児童生徒数が増えていることから
もそのニーズは高いといえる。しかしながら、(1)障害の状態の克服・改
善を主たる目的としており、LDのように特定の能力の困難に起因する教科学
習の遅れを補う指導が中心となる場合を想定していない。(2)指導時間数
が1〜3時間と短時間であり、LD、ADHD等については適切な対応が困難な場
合がある。このため通級による指導の制度の目的や指導時間について、より
弾力的な対応ができないか検討する必要がある。また、通級による指導の担
当教員は、学校内又は関係機関との連絡・調整を行うコーディネータ的な役
割を果たして成果をあげている場合が多く、その高い専門性等に鑑み、小・
中学校においてコーディネータ的な役割を果たすことが期待されている。
{13}このため、特殊学級や通級指導教室について、その学級編制や指導の実態を
踏まえ必要な見直しを行いつつ、障害の多様化を踏まえ柔軟かつ弾力的な対
応が可能となるような制度の在り方について具体的に検討していく必要があ
る。
この際、単に、特殊学級や通級指導教室の教員、設備等の資源のみで対応す
るのではなく、学校内の教員全体の理解の促進と支援体制の構築、非常勤講
師や特別非常勤講師、高齢者再任用制度による短時間勤務の教員等の活用、
「特別支援学校(仮称)」や都道府県等の設置する特殊教育センターに相談
し、指導・助言が受けられるような体制を構築して総合的に対応するための
仕組み作りに取り組むという視点が重要である。
{14}制度の在り方について具体的な検討を行う場合に、特殊学級や通級指導教室
の制度に必要な改善を行うことのみでなく、固定式の学級を設けず通常の学
級に在籍した上で障害に応じた教科指導や障害に起因する困難の改善・克服
のための指導を必要な時間のみ特別の場で教育や指導を行う形態(例えば
「特別支援教室(仮称)」)とすることの必要性も含めて検討されるべきも
のと考える。また、今後の小・中学校等における教育や指導の在り方を考え
るに当たっては、その教育や指導に関わる教員が当該小・中学校等の児童生
徒への教育的対応のみならず、学校内において障害のある児童生徒に対する
適切な指導体制を構築する際や盲・聾・養護学校等から教育上の支援を受け
る際の連絡や調整を行うコーディネータ的な役割を担うことにより学校の特
別支援教育の先導的な役割を果たすことが重要であり、この点を念頭に学校
運営が行われることが必要である。
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□ 編集後記 ------------------------------------ 19:47 2002/11/02 □
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何号かに分けて、「今後の特別支援教育の在り方について(中間まとめ)」全文
をお知らせいたします。なお、この「中間まとめ」に対する、パブリックコメン
トの募集がされています。締め切りは11月25日となっています。詳しくは、
下記サイトをご覧下さい。
「今後の特別支援教育の在り方について(中間まとめ)」意見募集について
http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2002/021004.htm
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