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■ LD(学習障害)ニュース #397 2002/11/02 発行 登録(配信)読者数 3,731 ■
■ LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997/09/10創刊 ■
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■ 全教員に学習障害児の基礎講習−岩手県教委− 河北新報 2002/11/01 ■
■ 今後の特別支援教育の在り方について(中間まとめ) 2 2002/10/21 ■
□ 編集後記 ------------------------------------ 19:47 2002/11/02 □
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■ 全教員に学習障害児の基礎講習−岩手県教委− 河北新報 2002/11/01 ■
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河北新報ニュース 2002年11月01日金曜日
http://www.kahoku.co.jp/NEWS/2002/11/20021101J_08.htm
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知的障害がないのに読んだり書いたりする能力が著しく低い「学習障害」(LD)
などについて、岩手県教委はこのほど、県内の公立学校の全教員を対象にした講
習を2004年度にも実施することを決めた。
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■ 今後の特別支援教育の在り方について(中間まとめ) 2 2002/10/21 ■
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文部科学省「特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議」
転載もと http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2002/021004a.htm
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第1章 特殊教育から特別支援教育へ
--- 特殊教育の果たしてきた役割 ---
{1} これまでの特殊教育は、障害の種類やその程度に対応して教育の場を整備し、
そこできめ細かな教育や指導を効果的に行うという視点で展開されてきた。
具体的には障害の状態によって就学の猶予又は免除を受けることを余儀なく
されている児童生徒が多くいる事態を重く受け止めて、教育の機会を確保す
る観点から、障害の重い、あるいは障害の重複している児童生徒の教育に軸
足を置いて環境整備が行われてきた。平成13年5月現在で、盲・聾・養護
学校は全国に996校設置され、その在籍者数を義務教育段階でみると約5
万人が在学しており、特殊学級についても全国の小・中学校の約半数に設置
され、その在籍者数は約7万7千人にのぼる。また、障害の状態によって通
学が困難な場合には教員が家庭等において必要な指導を行う訪問教育の制度
を設けて積極的な対応を図ってきた。この結果、障害があることを理由に保
護者の申請により就学が猶予又は免除された児童生徒は非常に少なくなって
いる(全学齢児童生徒数の約0.001%)。また、通常の学級に在籍して
ほとんどの授業を通常の学級で受けながら一部特別な指導を行う通級による
指導(いわゆる通級指導教室)の対象となっている児童生徒数は約3万人で
あり、特殊学級の在籍児童生徒数を加えると、特殊教育を受けている児童生
徒の約7割が小・中学校に就学して障害に応じた教育を受けている(義務教
育段階)。
{2} この間、盲・聾・養護学校等において、障害の種類や程度に対応した教育や
指導上の経験、ノウハウ等の蓄積、障害に対応した施設や設備の整備等の条
件整備が進められた結果、障害のある児童生徒の教育については一定の水準
で量的な面での基本的な基盤整備がほぼ行われたものと考えられる。このよ
うに、特殊教育は障害のある児童生徒の教育の機会の確保のために重要な役
割を果たしてきた。
--- 障害のある児童生徒の教育をめぐる諸情勢の変化 ---
{3} 障害者の自立と社会参加は重要な課題であり、近年、教育、福祉、労働など
各分野にわたって中長期的な観点からノーマライゼーションの理念を実現す
るための取組が国内外を問わず進められている。また、特殊教育については、
障害の重度・重複化や多様化、より軽度の障害のある児童生徒等への対応の
ニーズの高まり等を背景に、平成13年1月の「21世紀の特殊教育の在り
方について(最終報告)」においても、障害のある児童生徒に対する教育は、
一人一人の教育的ニーズを把握し、必要な支援を行うとの考え方に基づいて
対応を図る必要があることが指摘されている。
{4} 障害のある児童生徒の教育をめぐっては、(1)最近では、養護学校や特殊
学級に在籍している児童生徒が増加傾向にあり、通級による指導を受けてい
る者も平成5年度の制度開始以降増加してきていること、(2)また、本年
文部科学省等が実施した「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要と
する児童生徒に関する全国実態調査」の結果から、LD、ADHD、高機能自閉症
により学習や生活について特別な支援を必要とする児童生徒も6%程度の割
合で通常の学級に在籍していることが考えられること、(3)さらに、盲・
聾・養護学校に在籍する児童生徒の障害の重度・重複化が進んでおり、概ね
半数近くの児童生徒はその障害が重複しており、肢体不自由の養護学校等で
は日常的に医療的ケアを必要とする児童生徒が増加していること、知的障害
養護学校に多く在籍している自閉症の児童生徒に対する適切な指導法の開発
が求められていること、等の情勢の変化があり、これらを踏まえて今後の適
切な教育的対応を考えていくことが求められる。
{5} また、これまで障害の判断や指導方法の確立等十分な対応が図られてこなか
ったLD、ADHD、高機能自閉症に代表される障害の軽い児童生徒への教育的対
応が重要な課題となっている。今後は、障害の重い、あるいは障害が重複し
ている児童生徒と分けて考えることなく、一人一人の教育的ニーズに応じて
特別の教育的支援を行うという視点に立って、教育的対応を考えることが必
要である。特に、近年の国・地方自治体の厳しい財政事情等に鑑みれば、人
的・物的資源の量的な拡充を単純に図るという考えは現実的ではなく、盲・
聾・養護学校や特殊学級等においてこれまで蓄積された指導の経験やノウハ
ウ等を有効な資源として最大限に活用するという視点で取り組む必要がある。
第2章 今後の特別支援教育の在り方についての基本的な考え方
--- 特別支援教育における基本的視点 ---
{1} これまでの特殊教育は、障害の種類と程度に応じて盲・聾・養護学校や特殊
学級に就学させる等により、手厚くきめ細かい教育を行うことを基本的な考
えとしていた。他方、最近の情勢変化に見られるとおり、通常の学級に多く
在籍すると考えられるLD、ADHD、高機能自閉症により学習や生活について特
別な支援を必要とする児童生徒に対する教育的対応については、従来の特殊
教育は必ずしも十分に対応できていない状況にある。これらの障害のある児
童生徒を含めて、障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、適
切な対応を行うという考え方に基づいて対応を図ることが特別支援教育にお
ける基本的視点として重要である。
{2} また、障害のある児童生徒にとって、自立や社会参加は重要な目標である。
可能な限り自らの意思及び力で社会や地域の中で生活していくために、教育、
福祉、医療等様々な側面から適切な支援を行っていくことが求められている。
自立や社会参加のための基本的な力を培うため、特殊教育で行われてきた障
害に起因して生じる種々の困難の改善・克服のための指導という機能は今後
も引き続き不可欠なものである。しかしながら、近年の国際的な障害観の変
化も踏まえれば身体機能や構造の欠陥を補うという視点でのみ捉えることは
必ずしも適切ではなく、教育の機能を幅広く捉えて、生活や学習上の困難や
制約を改善・克服するために適切な教育及び指導を通じて、障害のある児童
生徒の主体的な取組みの支援を行うことを特別支援教育の視点として考えて
いく必要がある。
{3} 上記のことを踏まえれば、特別支援教育とは、これまでの特殊教育の対象の
障害だけでなく、その対象でなかったLD、ADHD、高機能自閉症も含めて障害
のある児童生徒に対してその一人一人の教育的ニーズを把握して、当該児童
生徒の持てる力を高め、学校における生活や学習上の困難を改善又は克服す
るために、適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うものと言うことがで
きる。もとより、この特別支援教育は、障害のある児童生徒の自立や社会参
加に向けた主体的な取組を支援するためのものと位置づけられる。この場合
に、一人一人の児童生徒の教育的ニーズが何かについて、市町村の教育委員
会は、児童生徒本人の視点に立って、専門家はもちろん保護者等関係者の意
見等を踏まえて正確に把握するとともに、教育的支援を行う関係者、関係機
関等の役割分担を明らかにして適切な教育を行うことが重要である。その際、
都道府県の教育委員会との連携や協力も重要な要素の一つになると考えられ
る。
児童生徒一人一人の教育的ニーズは多様であり、また不変のものでもない。
小学校又は盲・聾・養護学校の小学部に入学した者もその実態等に応じて就
学先を変更した方が当該者の教育的ニーズに対応した教育が可能な場合があ
ることに留意する必要がある。また、小・中学校の特殊学級や盲・聾・養護
学校等の利用可能な人的・物的資源を児童生徒一人一人の教育的ニーズに応
じて弾力的に活用して適切な教育を行っていくという観点からも、教育の場
を固定したものと考えるのではなく、児童生徒の実態等に応じて弾力的に教
育の場を用意するという考え方に立って取り組むことが必要である。
{4} 平成11年7月に関係法令が改正され、地方分権の実現に向けて国と自治体
との新しい関係の構築や地方行政体制の整備等が図られたが、この中で、就
学事務等は機関委任事務から地方自治体が行う自治事務に変更された。今後
は、児童生徒の教育についても、地域の実情を踏まえ、また、特色のある地
域づくりを行うとの観点に立って自己決定・自己責任の原則の下で各種事務
を行うことが求められるため、例えば就学段階においては教育委員会が中心
になって、一人一人の児童生徒の教育的ニーズを踏まえた適切な対応が図ら
れることが必要である。これまでの特殊教育においては、障害の程度に応じ
て、教育や指導上の条件が整った場で手厚くきめ細かな教育を行うことを重
視し、障害のある児童生徒の就学指導の制度としては、やや画一的な面があ
った。前述の「21世紀の特殊教育の在り方(最終報告)」の提言を受け、
国は、学校教育法施行令を改正し、盲・聾・養護学校へ就学すべき基準(就
学基準)と就学手続の見直しを行った。これにより、障害のある児童生徒一
人一人の教育的ニーズに応じた教育的対応を適切に行うことが制度的に可能
となり、今後は、地方分権の趣旨も踏まえて盲・聾・養護学校など特殊教育
において整備された人的・物的資源を活用して、現行制度の一層の弾力化・
効率化、教育、福祉、医療等の関係機関の連携の充実等により、一層質の高
い教育を行うことが重要である。
{5} 障害のある児童生徒への質の高い教育的対応を考えるに当たっては、障害の
程度、状態等に応じて教育や指導の専門性が確保されることが必要であるこ
とは言うまでもない。教科指導や自立活動の指導を通じて学校生活において
中心的に児童生徒と関わる教員は、障害のある児童生徒の身近な理解者であ
り、日常的なコミュニケーションを通じて相互の信頼関係が醸成されること
は教育において非常に重要な要素であり、その意味で、児童生徒の指導に直
接関わる教員は、特別支援教育の中でも重要な役割を果たすことは言うまで
もない。これまでも、このような認識の下で教員の指導の専門性の向上に向
けて様々な取組が行われてきたが、今後は、児童生徒一人一人の教育的ニー
ズに対応して一層質の高い教育の実現を目指して、教員自ら指導面での専門
的な知識や技能の蓄積に努力することはもちろん、児童生徒の理解者という
認識の下で保護者の相談にも親身に対応していく努力が求められる。
{6} 児童生徒の指導に直接関わる教員の役割に加えて、校長、教頭等学校教育に
おける指導的・管理的役割を果たすべき者の専門的知識に根ざした児童生徒
や地域の実態等を踏まえたリーダーシップの発揮等が重要である。また、障
害の多様化を踏まえ、養護教諭、学校医等の学校内の人材の効果的な活用は
今後ますます重要になるものと考えられる。また、学校内に限らず、医師、
教育心理学者、教員の経験者など専門家を幅広く活用して障害に応じた適切
な教育を行う必要がある。例えば、盲・聾・養護学校においては、作業療法
士(OT)、理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)等の専門家が教育・
指導に参画するほか、小・中学校においても専門家チーム(障害や障害のあ
る児童生徒への指導等について専門的な知識等を有する者の集団で都道府県
の教育委員会等に置かれるもの)が巡回相談などの形で学校の教育において
有効に活用されている場合がある。このように学校内外の人材の総合的な活
用を図るという視点が大切である。
{7} また、家庭において障害のある児童生徒に、教育はもちろん生活全般で幅広
く関わる保護者等の役割も重要であることを踏まえれば、保護者も重要な支
援者の一人である。保護者が家庭等において子どもと接し、教育や療育との
関わりの中で適切な役割を担うことは重要なことであり、そのためには障害
や子どもの成長や発達についての知識を深めていくことが必要となる。この
ため、福祉等とも連携をとりながら相談や情報提供を通じて適切な支援を行
うとともに、一般講座やセミナー等の開催を通じて保護者の理解、啓発の促
進を図っていくことがこれまで以上に重要なものとなると考えられる。
{8} 障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに対応して効果的・効率的に教
育を行うためには、盲・聾・養護学校と小・中学校の日常的な情報交換はも
ちろん児童生徒の教育・指導における密接な連携が不可欠である。また、両
機関の教員が気軽に意見や情報の交換を日頃から円滑に行えるように都道府
県の教育委員会と市町村の教育委員会が密接に連携協力することが重要とな
る。さらに、障害のある児童生徒のニーズは教育、福祉、医療等様々な観点
から生じ得るものである。これらのニーズに対応した施策はそれぞれ独自に
展開できるものもあるが、類似していたり、密接不可分なものも少なくない。
従って、教育という側面から対応を考えるに当たっても、福祉、医療等の面
からの対応の重要性も踏まえて関係機関等の連携協力に十分配慮することが
必要となる。また、福祉、医療等の面からの対応が行われるに当たっても、
教育の立場から必要な支援・協力を行うことが重要である。
また、障害のある児童生徒の教育の重要性を理解し、また、草の根的に、独
自のネットワークを活用し、献身的に取り組む「親の会」やNPO等の活動
の中には、教育の充実や効果的な展開において重要な役割を果たしてきたも
のもある。今後、行政関係部局や学校において障害のある児童生徒一人一人
の教育的ニーズに対応して質の高い教育をより効果的に推進するためにもこ
れらの会等とも連携を図るという視点が重要である。
--- 「個別の教育支援計画」の必要性 ---
{9} このため、現在、各都道府県等で進めつつある、教育、福祉、医療、労働等
が一体となって乳幼児期から学校卒業後まで障害のある子ども及びその保護
者等に対する相談及び支援を行う体制の整備をさらに進め、一人一人の障害
のある児童生徒等の一貫した「個別の教育支援計画」の策定を通じて、適切
な教育的支援を効果的かつ効率的に行うため教育上の指導や支援の具体的な
内容、方法等を計画、実施、評価(Plan-Do-See)して、より良いものに改
善していく仕組みを取り入れていくことについて積極的に検討を進めていく
必要がある。
{10}一人一人の児童生徒の教育的ニーズに応じた教育的対応を行うという取組は、
現在、盲・聾・養護学校の自立活動又は障害が重複している児童生徒につい
て作成する個別の指導計画や卒業後の円滑な就労支援を目的とした「個別移
行支援計画」の実践研究など、部分的に進められつつあるが、一貫した「個
別の教育支援計画」の策定により、障害のある児童生徒の視点に立った各種
の教育支援のより効果的・効率的な実施が期待できる。
{11}障害のある児童生徒に対する教育的支援は、教育のみならず、福祉、医療、
労働等の様々な側面から多様な取組が求められるため、関係機関、関係部局
の連携協力をこれまで以上に密接にすることにより、専門性に根ざした質の
高い教育的な支援が可能となる。こうした関係機関等の連携を効果的に行う
上でも、「個別の教育支援計画」は有効なものと考えられる。
{12}また、「個別の教育支援計画」の策定に当たっては、就学前(小学校又は盲
・聾・養護学校の小学部就学前までの段階)、就学中(小・中学校、高等学
校に就学している段階)、卒業後(高等学校、盲・聾・養護学校の高等部卒
業後の段階)、それぞれの段階において、教育、福祉等の関係機関の中から
中心となる機関等を定めつつ、地域、都道府県、国の各レベルで連携協力体
制を構築していくことが必要である。この場合、例えば、就学中は、盲・聾
・養護学校、小・中学校、高等学校等教育関係機関が中心となり、就学前は
福祉、医療関係機関、卒業後は福祉、労働関係機関が中心になることが考え
られる。これら策定を担当する機関と関係機関との連携協力が円滑に実施さ
れるようコーディネータ的な役割を果たす者の存在が重要であり、また、関
係機関においては協力担当者を明らかにすることが効果的である。また、盲
・聾・養護学校など策定を担当する機関の中でも、策定を担当する者を明確
にするほか、機関内はもちろん他機関との連携や協力を円滑に進めるための
コーディネータ的な役割を果たす者を明確にしたうえで、これらの者の円滑
な業務実施を支援する体制の構築が図られることが大切である。
{13}「個別の教育支援計画」の策定に当たっては、例えば、盲・聾・養護学校に
おいては、学級担任や児童生徒の指導を担当する教員が中心となって、また、
小・中学校等においては、障害のある児童生徒の教育の知識・経験を有する
特殊学級の教員等が中心となって、他の教科や学級担当の教員の協力を得つ
つ、児童生徒の障害等の状況の分析、教育的な支援の目標や基本的な内容等
からなる「個別の教育支援計画」の作成を行うことが考えられる。また、例
えば、教育、福祉、医療等の分野の専門家や有識者から構成される委員会を
関係機関等の連携により設けることは計画の策定作業の円滑化のために有効
な方法と考えられる。その際、保護者との話合いをもとにその意向を把握し、
児童生徒の状況の分析や指導の目標について理解を得て、教育的支援の目標
に向けて学校や家庭における活動の連携を図ることが大切である。
{14}「個別の教育支援計画」については、多様な教育的支援の円滑な実施を確保
する性格から複数の関係者や関係機関がその作成、実施等の過程で関与する。
例えば、乳幼児期において福祉や医療関係機関が得た障害や発達に関する情
報や盲・聾・養護学校が教育相談を行うに当たり、保護者から得た情報など
様々なものが考えられる。これらは、適切な方法及び内容の教育的支援を行
う上で必要なものであるが、個人情報であることに留意してその情報の取り
扱いについては保護者の理解を得られるようにすることが不可欠である。こ
のため、各自治体において、例えば、教育委員会が中心になって、または教
育と福祉部局が共同で検討の場を設定する等により情報の取扱いの方法につ
いて具体的な検討を行っていくことが重要と考えられる。
--- 特別支援教育コーディネータの役割 ---
{15}教育の立場から適切な対応が求められる学校については、学校内の協力体制
だけでなく、学校外の関係機関との連携協力が不可欠である。盲・聾・養護
学校には、専門性のある教員や障害に対応した施設や設備があり、ほとんど
の教育・指導上の活動は学校内で工夫・実施されることが多いが、例えば、
医療的ケアの必要な児童生徒への対応など、医療機関や福祉機関との連携協
力が不可欠な場合や、学校外の専門家を非常勤講師に活用することにより、
効果的な指導が期待できる場合があるなど、常に児童生徒のニーズに応じた
教育を展開していくための柔軟な体制作りを検討することが肝要である。ま
た、小・中学校においては、教職員の配置又は施設若しくは設備の状況から
盲・聾・養護学校や医療・福祉機関との連携協力が一層重要である。学校内
及び関係機関との連携を円滑に行うためには、障害のある児童生徒等の発達
や障害に関する知識を持った者が連絡調整役として学校内の関係者、関係機
関、保護者等と情報や意見交換を的確に行うことが求められる。このため、
各学校において、例えば「特別支援教育コーディネータ」(仮称)のような、
学校内及び関係機関との連携調整役としてコーディネータ的な役割を担う者
を指名することにより、関係機関の連携協力の体制整備を図ることが重要で
ある。
--- 地域における教育、医療、福祉等の連携支援体制の構築 ---
{16}さらに、各都道府県の実態に応じつつ、一定規模の地域を全体的にとらえて、
盲・聾・養護学校や小・中学校、医療・福祉機関等が連携協力しながら、地
域全体で障害のある児童生徒の多様な教育的ニーズに柔軟に対応していく体
制を構築していくことについて積極的に検討を進めていく必要がある。この
場合、都道府県において教育委員会から福祉等関係部局を含めた部局横断型
の委員会を設置するなど、各地域の特別支援教育の推進体制を促進するため
の企画・調整・支援等を行う組織を設けることが有効と考えられる。また、
地域によっては都道府県又は盲・聾・養護学校と連携を図りつつ市町村が地
域の取組の中心となる場合があるが、その場合には都道府県がその取組への
協力や支援を行うことが重要となる。
{17}このような仕組みは、障害のある児童生徒が在籍する学校や地域での取組を
中心としつつ、当該児童生徒の教育的ニーズに十分対応しきれない部分につ
いて関係機関が周りから当該児童生徒の支援を補完していく体制を構築して
いくものであり、盲・聾・養護学校は、各地域においてその専門性を十分発
揮してセンター的役割を果たしていくことが期待され、都道府県教育委員会
等においては、関係部局と連携しながら全体的な企画調整を積極的に進めて
いく必要がある。また、国は、このような各都道府県、各地域の取組を支援
していくため、モデル案の提示や、先進的な取組の紹介等、調査研究や情報
提供等を進めていく必要がある。
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□ 編集後記 ------------------------------------ 19:47 2002/11/02 □
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何号かに分けて、「今後の特別支援教育の在り方について(中間まとめ)」全文
をお知らせいたします。なお、この「中間まとめ」に対する、パブリックコメン
トの募集がされています。締め切りは11月25日となっています。詳しくは、
下記サイトをご覧下さい。
「今後の特別支援教育の在り方について(中間まとめ)」意見募集について
http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2002/021004.htm
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