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■ LD(学習障害)ニュース #332 2002/01/20 発行 登録読者(配信)数 3,453 ■
■ LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997/09/10創刊 ■
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■ 第151回 国会 衆議院文部科学委員会 議事録(抜粋-2) 2001/03/16 ■
□ 編集後記 ------------------------------------ 11:39 2002/01/20 □
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■ 第151回 国会 衆議院文部科学委員会 議事録(抜粋-2) 2001/03/16 ■
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http://www.shugiin.go.jp/itdb_main.nsf/html/kaigiroku/009615120010316007.htm
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○高市委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律
等の一部を改正する法律案及び山元勉君外四名提出、公立義務教育諸学校の学級
編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を一括
して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省初等中等教育局長矢野重
典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高市委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○高市委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉山峻君。
○葉山委員 おはようございます。民主党の葉山峻であります。
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を
改正する法律案について、幾つかの質問を行わせていただきたいと思います。
今回の定数の問題につきましては、さまざまな御意見があり、私も伺わせてい
ただきました。今回の定数法の違いは、民主党を中心とした衆法では三十人学級
を前提にし、一方、閣法では四十人学級を前提にしていることであります。どち
らの案も加配定数があり、特に閣法では、小中学校の教員定数の改善はすべて加
配となっております。
そこで、加配定数の考え方についてまず質問を行いたいと思います。
まずは閣法の教員の加配に関してでありますが、これまでの議論で、第一に、
基本教科による二十人授業は定数の算定の根拠であり、参考例であるということ、
第二に、少人数授業での習熟度別クラス編成もその一例であるということ、第三
に、加配定数部分はチームティーチングや各学校の工夫ある取り組みに対する加
配であるということが明らかになったと思いますが、このような形でよろしいか
どうか、まず伺いたい。以上であります。
○町村国務大臣 おはようございます。きょう一日よろしくお願いを申し上げま
す。
まず、今委員からお尋ねの教員加配についての考え方でございますが、少人数
指導に係る改善数につきましては、子供たちの基礎学力の向上ときめ細かな指導
のために、例えば小学校では算数、国語、理科、中学校では数学、英語、理科な
どの習熟度に差がつきやすいような教科について、二十人程度の少人数による指
導が可能となるような積算をしているところでございます。
実際の少人数指導の展開に当たりましては、必ずしもこの基本三教科による二
十人授業などに限定されるものではございませんで、文部科学省といたしまして
は、学校における具体の取り組みを支援する、そういう観点から定数措置を行お
うと考えているわけでございます。
習熟度別のグループを編成するかどうかにつきましては、基本的にはこれは各
教育委員会あるいは各学校の判断にゆだねるべき問題でございますが、しかしな
がら、学習指導要領に示しております基礎的、基本的な内容の着実な定着を図る、
また、個性を生かす教育を充実するためには、学習内容の習熟の程度に応じた指
導を初めといたしまして、個に応じた指導を推進することが非常に重要だと私ど
も考えているわけでございます。
したがいまして、少人数指導の実施に当たりましては、文部科学省としては、
こうした指導の充実に努めるということを考えて、基本に据えているわけでござ
います。
また、指導方法の工夫改善の加配におきましては、少人数指導だけではござい
ませんで、前回の第六次改善計画の際に規定を設けた、先生御指摘のあったチー
ムティーチングなどの指導方法についても加配の対象としておるわけでございま
す。
○葉山委員 ある県では、チームティーチングの加配はなくなった、習熟度別の
少人数授業を行う場合に加配する、こういうふうに教育委員会が説明して、現場
にもそのようにおりてきているようであります。そういう意味では文部科学省の
考えと違うと思うのでありますが、その点について文部科学省の考えを聞かせて
いただきたい。
○矢野政府参考人 指導方法の工夫改善の加配につきましては、これは少人数指
導だけではなくて、前回の第六次改善計画の際に規定を設けましたチームティー
チングなど、きめ細かな指導のための幅広い指導形態について加配することとい
たしているところでございます。
ただ、どのような工夫改善を推進していくかは、これは都道府県教育委員会の
判断によるものでございまして、先ほどお話がございました主として少人数指導
に取り組むという方針は、それは当該都道府県教育委員会が自主的に判断された
結果であろうかと考えるものでございます。
○葉山委員 ともあれ、地方分権いまだしという感が深いわけでありますが、こ
のような少人数学習集団のための加配などのいわゆる目的別の加配は、その運用
の仕方によっては、国が学校における教育活動を直接統制する影響力を持ってく
ると思われます。各学校での自律性、各学校での工夫ある取り組みを行うだけの
権限を有する必要があります。加配定数についても、国は定数を配置する基準を
示し、できるだけ権限を地方や学校に持たせていく必要があるというふうに思い
ます。
そこで、文部科学省として、各県への加配定数の配分をどのようにして決めて
いくのか、このことについて明らかにしていただきたいと思います。
○矢野政府参考人 少人数指導に係る定数加配につきましては、先ほど申し上げ
ましたように、都道府県の判断によりまして、教科等に応じて少人数指導を行う
など学校の具体的な取り組みを支援する、そういう観点に立って改善を行うこと
といたしているところでございますけれども、加配に当たりましては、都道府県
の少人数指導についての目標や方針、あるいは少人数指導の実施形態、実施方法
等の考え方を十分聴取した上で、かつまた都道府県ごとの学校数や教員一人当た
り児童生徒数などの客観的データを勘案いたしまして、その具体的な加配の決定
をいたしたいと考えているところでございます。
○葉山委員 情報公開が言われておりまして、政策決定のプロセスが透明である
ことが国民の信頼を得ることだと思います。
今回の決定に関しまして、各県からどのような要望があり、そのうちどれだけ
の要望が認められたのか、どのような経過を経てその決定になったのかについて
公開していくことが必要だと思うのですが、文部科学省としては、加配定数の決
定についての情報を公開するのかどうかについて伺いたい。また、公開しない場
合はなぜしないのか、その点を明らかにしていただきたいというふうに思います。
○矢野政府参考人 各都道府県への加配数につきましては、現時点では改正法案
を御審議いただいているところでございます。
そういう意味で、もちろん決定には至っていないわけでございますけれども、
各都道府県から、国が予算措置をしている定数を上回る加配希望数が今後申請さ
れてまいります場合には、希望どおり配分できないことも出てくるわけでござい
ますが、その場合には、当該都道府県に対しまして、御要望に沿えなかった事情
等につきまして御説明を申し上げることになろうかと思います。
○葉山委員 次は、衆法についてお伺いをしたいと思います。
衆法につきましても、同様の加配、チームティーチングや教育課程の編成にお
いて多様な選択教科が開設される場合その他政令で定める授業方法の改善または
特色ある教育課程の編成が行われる場合の加配がありますが、これを各県、各学
校に配分する方法はどのようにすると考えておられるのか、お伺いしたい。
○山元議員 おはようございます。
基本的には、今文部科学省から説明がありましたように、それぞれの加配の配
分の仕方についてはよく似ていますけれども、基本的に違うのは、文部科学省の
方法では、目玉である二十人授業の加配、これも加配と考えて配分をしていく、
私どもはそうではなしに、三十人学級という基本はきちっと配置をして、その上
でさまざまな授業の方法、教育の方法についての加配をする、そこのところは随
分と違います。
ただ、基本的には、加配のあり方については、学校数や学級数あるいは生徒数
に応じて、各県がこれからいろいろの工夫をしていただくと思いますし、いろい
ろの努力の意欲を見せていただけるだろうというふうに思っています。ですから、
そういう学校の状況、そしてそれぞれの授業改善、教育改善への努力を総合的に
考えて配分をしていきたいというふうに思っています。
しかし、財政上考えると、やはり二分の一自治体の負担になりますから、よほ
ど自治体がしっかりとした意欲を持って、そして加配を求めるということが大事
なのだろうというふうに思っています。そして、各県に加配、配分をした教員数、
職員数については、それぞれの学校に、今もお話が少しありましたけれども、地
方分権の流れをしっかりと踏まえながら、それぞれの地域の意欲なり状況に応じ
た配分を各都道府県がすべきだ、こういうふうに考えております。
○葉山委員 それでは、次に移りたいと思います。
学校は、申すまでもなく、教員だけで成り立っているものではございません。
養護教諭や学校栄養職員、事務職員など、それぞれの専門的職員の協力、協働に
よって日々の取り組みがなされており、それぞれの職種の定数改善も大きな課題
だというふうに思います。
そこで、それぞれの専門的職種の改善内容及びその趣旨について、衆法、閣法
ともにお聞きしたいと思います。
○石井(郁)議員 お答えいたします。
まず、学校栄養職員の定数改善の内容とその趣旨はとのお尋ねでございます。
配置基準でございますが、単独実施校では、児童生徒数から学級数に変更して
おります。ミルク給食を除く学校給食を実施する単独実施校について、十五学級
以上の小中校に一名、十四学級以下の小中校二校に一名を配置しています。また、
共同調理場において、千百人以下に一人、千百一人から四千四百人まで二人、四
千四百一人以上を三人という配置基準でございます。十年間で約五千人の改善増
でございます。
趣旨といたしましては、第一に、学校栄養職員の職務は、学校給食法において
も、学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどるとされています。具体的に
は、献立作成、食品の選定、発注、衛生管理などの給食の管理運営と食に関する
指導などが職務でありますけれども、給食に関する事務処理は大変多くあります。
指導に当たる余裕がないというのが現状でございます。食に関する指導は、ひと
り食べとか食生活の乱れなど、その対応として、文部省の保健体育審議会等でも
重要性が指摘されていると思います。このような食指導の重要性にかんがみて、
学校栄養職員の配置の改善を行うことといたしました。
また、算定基準を児童生徒数から学級数としたのは、食に関する指導は、給食
時間や各教科での指導などクラス単位が中心となっているためであります。基本
的には、学級数を単位とすることが望ましいと考えました。このため、単独実施
校については学級数によって配置をするというふうにしております。
○町村国務大臣 今委員から、栄養職員以外の、養護教諭、事務職員等の全体の
考え方のお問い合わせもあったというふうに理解をいたしました。
まず、全体のことをちょっと簡単に申し上げさせていただきますけれども、今
回の改善計画におきましては、子供たちの基礎学力の向上ときめ細かな指導、先
ほど申し上げましたそうした少人数指導に係る定数改善のほかに、学校運営の円
滑化を図るため、委員御指摘のように、教員以外の、養護教諭でありますとか、
あるいは学校栄養職員、事務職員、こうした方々の総合的な努力によって学校が
成り立っているわけでございますので、それらの職員の方々あるいは教諭の改善
も図るということにしてございます。
養護教諭につきましては、改めて申し上げるまでもございませんが、保健室登
校等々の役割、児童生徒の相談といったようなことも大変大きくなっております
ので、そうした相談活動に適切に対応できるように、養護教諭の複数配置の拡充
ということを基本に置いております。
学校栄養職員につきましては、子供たちの食に起因する健康問題というのが大
変深刻化してきております。栄養のバランスが欠けているとかあるいは肥満があ
る、あるいは場合によってはカロリー不足がある、いろいろな問題もございます
し、またもう一つは、先般、平成八年のO157事件といったような衛生管理上
の問題といったこともございました。こうした点に配慮して、学校栄養職員が適
切に配置できるようにするというふうに考えました。
また、学校事務職員の定数改善につきましても、複数の学校の連携で多様な教
育活動を展開するためにいろいろな分野の外部人材の活用でありますとか、学校
の情報化を推進する場合に、連絡の拠点となる学校に対して定数措置ができるよ
うに改善を図るということで、事務職員の定数改善も図る。
全体としては、学校が一つの組織体として有効に機能できるように、教員以外
の分野でも、事務職員、栄養職員また養護教諭、こうした方々の充実も図ってい
るという考え方に立っております。
--------- (中 略)----------
○葉山委員 次に、先ほどもちょっとお話があったわけでありますが、養護教員
についてお伺いをします。
児童生徒の問題行動とか不登校、保健室利用数の増加など、児童生徒の心身の
健康問題に対応するには、養護教員の複数配置など配置の充実が必要となってま
いります。
そこで、閣法に対しての質問でありますが、第一に、今回の改定の内容及びそ
の趣旨について、第二に、義務標準法第十五条第二号で「教育上特別の配慮を必
要とする児童又は生徒に対する特別の指導」への加配とありますが、どのような
内容を考えているのか、お伺いしたい。
それから、衆法について、その改善理由について御説明を伺いたい。
以上であります。
○町村国務大臣 養護教諭の定数の改定の内容、その趣旨ということでございま
す。
細部にわたっては政府参考人の方から御説明をさせますけれども、養護教諭の
重要性というのは、これはもう委員御指摘のとおりでございまして、非常に重要
な役割を今担っておりますし、だんだんその重要性が増しているということも言
えようかと思います。さまざまな悩みを抱える児童生徒の相談活動に適切に対応
できるように、養護教諭の複数配置の拡充等を行うということにしてございます。
少し具体的に申し上げますと、養護教諭の複数配置基準につきましては、算定
基礎を学級数から児童生徒数に変更する。その上で、三十学級以上の複数配置に
するという現行の基準を、小学校の場合はおおむね二十四学級から二十七学級に
相当する八百五十一人以上に、中学校はおおむね二十二学級から二十五学級に相
当する八百一人以上にそれぞれ改善をするということにしてございます。
なお、高等学校及び特殊教育諸学校につきましても、小中学校と同様に複数配
置を拡充する、こうした改善を図ることとしております。
○矢野政府参考人 教育上特別の配慮を必要とする児童生徒に対する特別の指導
についてでございますが、これは、例えば大規模な自然災害あるいは事件事故発
生後等におきまして、児童生徒の心身の健康に関する特別の指導が行われる場合
につきまして、現行の配置に加えて緊急的かつ機動的に養護教諭の増配置が可能
となるように、新たに養護教諭の加配措置を設けることといたしたものでござい
ます。
○石井(郁)議員 現状では、養護教員の配置は三十学級以上に一人ということ
で、もうとても児童数に見合って仕事ができないということがたくさん言われて
おりました。日常の業務が、保健室を利用する児童生徒への心身両面での対応と
フォローアップがありますし、全校的な健康診断また健康管理、保健指導等々が
ございます。そういう中で、複数配置というのは大変強い願いだったというふう
に思います。
加えて近年、教室に入れないけれども保健室だったら行けるという保健室登校
の子供が大変ふえてきています。こういう児童生徒のさまざまな心身の悩み等に
対応するということが今急がれるわけでありますし、救急車などで子供を病院に
連れていくという場合があります、付き添いなどをする場合がございますけれど
も、そうしますと、保健室が空になってしまうわけですね。養護教員の複数配置
というのはどうしても必要だということがずっと言われておりました。
以上のことから、養護教諭の複数配置を、十九学級以上の小学校、十六学級以
上の中学校というふうにしたところでございます。とりわけ中学校では、いじめ
や校内暴力などの問題が象徴的にあらわれています。思春期の始まり等の大変な
生徒の問題がございますので、十六学級以上を複数配置といたしました。
ちなみに、保健室登校している児童生徒がいる学校の割合は、小学校で一二・
一%です。中学校で三七・一%です。そういう点でも本当にこの整備が急がれる
というふうに思います。
○葉山委員 ありがとうございました。
衆法、閣法ともに、児童生徒の問題行動や不登校、保健室利用数の増加など、
児童生徒の心身の健康問題に対応する養護教員の必要性を認めての配置改善とな
っております。衆法の方がより手厚い配置が必要としており、今後もその配置の
拡充をしていく必要があると思います。
それで、この間いろいろ御議論があったところでありますが、もう一度確認の
ために伺いたいと思いますが、非常勤講師について一定整理しておきたいと思い
ます。
一般的に、非常勤講師と言う場合には、教員免許を持っており、授業時間の少
ない教科などを担当している。特別非常勤講師は、教員免許は持っておらず、社
会での経験や特別な技能を持っており、学校での教育内容の充実強化という観点
で授業を行ってもらう人を指す。しかし、両者を厳密に区別する法的な根拠はな
く、そこで、今回の法改定で、非常勤講師を国庫負担の対象とすることができる
ことになり、いわゆる非常勤講師も特別非常勤講師もその対象となる、こういう
理解でいいのかどうか、もう一度確認のために伺いたいと思います。
○河村副大臣 お答えいたします。
非常勤講師それから特別非常勤講師の考え方、今委員の御指摘のとおりでござ
いまして、特別非常勤講師制度というものが、社会人の方で非常に専門的な知識、
技能を有している方にもぜひ教育現場に入っていただく、免許状はなくてもやっ
ていただきたい、こういうことでスタートしたわけでございますが、今回、標準
法改正におきまして、常勤教員の定数を換算して非常勤講師に任用できるという
ことにしておるわけでございます。
その対象は、いわゆる通常の非常勤講師にあわせて、免許状を持たない特別非
常勤講師も非常勤講師としての換算の対象とするということでございますので、
委員の御指摘のとおりの理解でお願いをしたい、このように考えております。
○葉山委員 ありがとうございました。
特別非常勤講師については、政府は、二〇〇一年度、つまり平成十三年度予算
に、補助事業として、四千九百五十六人、二億四千八百九十八万円を計上してお
ります。この補助率は国庫負担が三分の一となっておりまして、財政力の弱い県
では、この場合、特別非常勤講師の補助事業より、定数崩しをより進める形で働
くのではないかと思われるのでありますが、その点について文部科学省の見解を
お伺いしたい。
○矢野政府参考人 先ほど副大臣が御答弁申し上げましたように、今回の改正に
よりまして、常勤教員の定数を活用した非常勤講師の採用が可能となるわけでご
ざいますが、この非常勤講師には特別非常勤講師も含まれるわけでございます。
したがいまして、これによりまして、特別非常勤講師につきましては、制度的に
は、先ほど御指摘がございましたように、国庫補助事業のほかに、常勤教員の定
数を活用した採用ができることになるわけでございます。
しかしながら、定数換算による場合には、常勤教員の定数がその分減ぜられる
ことになるわけでございますから、実際には、主として国庫補助事業の活用によ
る特別非常勤講師の採用が行われるというふうに私どもは考えているところでご
ざいます。
○葉山委員 非常勤講師のことを考えるときには、学校教育への影響と、非常勤
講師の賃金や身分などの処遇の面の二つの課題があると思います。
学校教育への影響を考えますと、非常勤講師を定数を崩して活用することは、
子供たちにとって、相談したいと思ったときにその先生がいないという事態も起
こります。また、学校教育は、授業、行事その他の活動が連続しておりまして、
その時々での子供たちの様子から教育の課題が明らかになってくるものであり、
細切れではそのことはできないと思います。また、定数を崩して非常勤講師を活
用すれば、学校運営にさまざまな影響がある。
処遇や待遇面では、文部科学省の答弁にあったように、賃金も安く、学校の非
常勤講師の時給は二千八百九十円とありますが、非常に不安定な身となっており
ます。
最近、日本の働く者の環境を見ますと、派遣労働者それからパート労働者が増
加しておりまして、不安定身分の人が急増しており、使用者にとって都合のよい
労働市場になっていると思います。オランダなどでは、ワークシェアリングの考
えに基づいて、正規、非正規という考えではなく、短時間の正規社員、つまり働
く時間だけが短い正社員という考え方で多様な働き方ができるようになっている
と聞いております。日本においても、労働省が、通常の労働者との均衡を考慮し
たパート労働者の雇用管理についてという報告を出しております。
安上がりのために非常勤講師を活用するのではなく、非常勤講師は定数以外の
扱いとすべきだと考えますが、文部科学省はどのようにお考えでしょうか。
○矢野政府参考人 今回の、定数を非常勤崩しとして活用するという制度改正の
趣旨は、例えば総合的な学習の時間において多様な人材を活用することが、より
効果的な教育活動として期待できるといったような場合、あるいは教員の持ち時
間が極めて少ないといったような場合、そういう場合に定数を崩して非常勤講師
として活用する、そういう道を制度上開くことといたしたところでございますの
で、各都道府県においては、その制度の趣旨を踏まえながら、また、具体的な定
数崩しに当たりましては、崩すことの必要性、効果あるいは問題点等々を総合的
に勘案をして、適切に対応をしていただく必要があろうかと思っております。
○葉山委員 二十一世紀は共生の時代とも言われまして、教育においても、とも
に生き、ともに学ぶということがこれからの大きな課題であると思います。障害
を持つ子供、外国籍の子など、さまざまな課題を持つ子供たちとともに学ぶこと、
地域のお年寄りやいろいろな地域の人々とともに学ぶ、地域に開かれた学校にし
ていく必要があると思います。文部科学省も、平成十三年度予算で学校のバリア
フリー化の予算を計上しており、また高齢者施設などと学校の複合化も目指され
るなど、その方向にあると思うわけであります。そこで、障害児教育に関して文
部科学省にお伺いをしたい。
第一に、省庁再編での名称変更で、文部省が文部科学省となったが、特殊教育
課も特別支援教育課となっております。なぜそのような名称変更がなされたのか、
これが第一であります。
第二に、今回の定数改善で、文部科学省としては特別支援教育としてどのよう
な定数改善を行っているのかをお答え願いたい。
また、衆法に関しましては、障害児教育に関してどのような定数改善を考えて
いるのか、お聞かせを願いたい。
以上であります。
○河村副大臣 名称変更の前段の部分について私から、後段の定数改善問題につ
いては局長の方から答弁をと考えます。
省庁再編に伴いまして、このたび特殊教育課が特別支援教育課という名称に変
更になった、御指摘のとおりでございます。
最近、御案内のように、盲、聾、養護学校そして特殊学級という形で、障害者
の方々のそれぞれの自立に合わせて教育を行ってきておるわけでございますが、
最近それ以外、その範疇の外といいましょうか、通級によって指導の充実や、学
習障害、LD児とかあるいは注意欠陥多動性障害、ADHDといいますが、そう
した児童への対応というものが必要となってまいりまして、これも特殊教育の一
環だといえばそうでございましょうが、これまでの範疇になかったものもござい
ました。
そういう意味で、特別な教育、今までのノウハウを生かしながらやはり特別な
支援体制が要る、そういう指摘も出てまいりましたし、またそれが必要になって
まいりましたものですから、そうした特別な教育支援を必要とする児童生徒に対
する指導等を特殊教育と一体に進めていく、積極的に取り組んでいこうという形
で、このたび、特殊教育課の名称が特別支援教育課というふうに変わってまいり
ました。
それで、この名称については、二十一世紀の特殊教育の在り方に関する調査研
究協力者会議というのがございまして、その中におきましても、いわゆる特殊教
育という言葉についてもさらに検討を要するということでございますので、私は、
特殊教育という、何か特別な、何か特殊扱いというような感じじゃなくて、広く
特別な支援をするのだという広い意味で、これからの障害児の教育についてはこ
ういう形で進めていくべきものであろう、こう思っております。
今回、まず特別支援教育課というふうな名称になりましたのは、特別な支援を
する児童生徒の範疇を含めてこの課でやっていこうということでこういう名称に
なったわけでございます。
○矢野政府参考人 特別支援教育についての定数改善でございますが、今回の改
善計画におきましては、特殊教育諸学校の教職員につきまして、小中高等学校と
同様の、教頭、養護教諭の複数配置基準の改善に加えまして、以下申し上げます
四点の事項について改善を行うことといたしてございます。
第一は、障害の重度・重複化等により悩みを持つ保護者が増加していると考え
られますことから、教育相談担当教員の新たな配置が一つでございます。また二
つには、肢体不自由養護学校における自立活動担当教員の配置基準の改善でござ
います。三つ目は、生徒指導、進路指導担当教員の複数配置基準の改善でござい
ます。さらに第四点といたしましては、従来、小学校において通級指導を受けて
いた児童生徒につきまして、より専門的な指導を行えるようにする観点から、聾
学校における通級担当教員の加配を行うことといたしているところでございます。
これらの改善によりまして、特殊教育諸学校における教育活動について一層の
充実が図られるようになると考えているところでございます。
○山口(壯)議員 葉山議員お尋ねになられた障害児教育に関しての定数改善と
いうことで、閣法の中では入っていないと私は思うのですけれども、今通常の学
級に障害児が在籍する場合にどういうふうな加配が行われるか。我々の案におい
ては五千二百人、こういう通常の学級に障害児が在籍する場合には加配を行おう
というふうにしたいと思っています。
他方、重複学級というのが特殊教育諸学校ということで行われていると思うの
ですけれども、むしろこれから、一人一人の状態に応じて加配を行う方がいいの
じゃないかということで、重複学級を設置せずに、それに応じた加配を行ってい
こうというような手当てを我々の対案では考えております。
さらに、その障害児学校の寄宿舎の中でもいわゆる加配ということをこれから
はすべきじゃないかというふうに考え、我々の対案では、この三つについて閣法
との違いがあるというふうに思っております。
○葉山委員 いろいろありがとうございました。教員の定数増にとどまらず、養
護教員、栄養職員そして障害児学級等々、全般にわたりまして御丁寧な御答弁を
いただいたことを心から感謝申し上げます。
総じてこの委員会での実り多い質疑と御答弁を伺っておりまして、私は、ごく
感想風に申し上げますけれども、文部省ともあろう者が何ゆえに二十人学級とい
うのを、正規の学級とは別に設定したのかということの疑問はいまだに消え去る
ことができません。
ともあれ、四十人学級というのは既に過去の遺物でありまして、昭和五十五年、
四十人学級を開始して以来、既に二十年以上経過しておるわけであります。そし
て、多くの父兄や多くの先生方が、余りにも大規模な学級はよろしくない、やは
り三十人学級、三十人以下学級こそがどうしても日本の二十一世紀に向かう教育
の中では必要であると。少なくとも少人数学級の標準こそが世界の大勢だという
ことは、多くの質疑の中でも明らかにされたことであります。
私が申すまでもなく、教育というのは、何物にもかえがたい重要な事柄であり、
未来への最大の先行投資であり、現在を将来につなぐ営みであり、未来への希望
と期待の具体化である。そのためには、思い切って一つの決断をして、三十人以
下の学級をつくるということがどうしても必要である、私はこのように思ってお
ります。
いろいろ多方面にわたって御丁寧な御答弁をいただいたことを心からお礼申し
上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
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□ 編集後記 ------------------------------------ 11:39 2002/01/20 □
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前号で配信した「衆議院文部科学委員会議事録」の前半部分です。教職員定数等
に対する考え方がよく分かりますね。
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