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==================================================================== LD(学習障害)ニュース #235 2001/02/19 発行 登録読者数 3,035 LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997/09/10創刊 ==================================================================== ▼ LD親の会「けやき」の会員(正・通信・賛助)になってください! ▼ ▲ 詳細はこちら → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/join.html ▲ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 平成11年 第3回定例会 室蘭市議会会議録 LD関連質疑 1999/09/13 ■ ■ 東京都稲城市議会2000年12月議会 LD関連質疑 議事録 2000/12/07 ■ ■ 府立学校の在り方懇話会障害児教育部会(第3回) 概要 2000/07/21 ■ □ 編集後記 ------------------------------- 21:24 2001/02/18 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください □■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 平成11年 第3回定例会 室蘭市議会会議録 LD関連質疑 1999/09/13 ■ -------------------------------------------------------------------- 下記サイトからの転載(抜粋)です。 http://www.swan-bay.ne.jp/~muroran/gikai/1109134.txt (公式サイト) −−−−−−−−−−−−−−−−− 【細川昭広議員】LDとは、知的発達に全般的におくれはなく、多くのこと がほかの子供たちと同じようにできるのに、ある特定のこと、聞く、話す、 読む、書く、計算するなどが著しくできない状態を指します。具体的には、 1、聞こえていても言葉の意味を理解することが困難。2、自分の言いたい ことを表現することが苦手。3、繰り上がりや繰り下がりなどの計算でつま ずく。4、ボール運動や鉄棒など手足の動きが不自然、などあります。背景 として、脳の中枢神経に何らかの機能障害があると推測されています。適切 な指導をすれば改善される場合も多いが、原因ははっきりせず、症状も個人 差が大きいため、認定基準がありません。 学習障害の子供たちがふえています。その数は、就学児童の2〜3%、平均 すると1クラスに1人とも言われています。そこで、学習障害児(LD)の 実態と今後の取り組みについてお伺いをいたします。 −−−−−−−−−− 中略 −−−−−−− 【今泉勁介教育部長】本市におきましては、医療機関において学習障害と判 定された児童生徒は2名、疑いのある児童生徒は数名おり、そのほかにも潜 在している可能性がございます。 学習障害の子供たちは、個々の学習のつまずきを正しく理解し、適切に対応 することが大切ですので、これまで、校長会、教頭会、就学指導説明会にお いて学校現場への認識を促すとともに、教育研究所の研修講座におきまして も、教職員はもとより、広く保護者や市民にも参加を呼びかけ、理解を得る よう取り組んでまいりました。 また、本年7月2日には、文部省より諮問を受けた「学習障害及びこれに類 似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関する調査研究協力者会 議」におきまして最終報告が出され、学習障害児に関する定義及び指導方法 が示されました。今後は、この報告をもとに実態を把握し、研修講座などを 通して各学校に指導資料を提供していくとともに、室蘭工業大学で学習障害 児の指導について研究を進めている関係者や、室蘭LDを考える会とも連携 を深めていく考えでございます。 −−−−−−−−−−−−(以下略) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 東京都稲城市議会2000年12月議会 LD関連質疑 議事録 2000/12/07 ■ -------------------------------------------------------------------- 下記からの転載(抜粋)です。許可いただきました楠原議員に感謝します。 http://harujcp.gn.to/gizirok2000.12.htm −−−−−−−−−−−−−−−− ○22番 (楠原治利君) 30人学級の実現に向けて、当面、市独自にきめ細かな指導の必要性が求めら れている、特に小学校低学年について、少人数で推進していく教員を配置し て、現状を改善していくことについてお伺いいたします。 −−−−−−−−−− 中略 −−−−− ○教育委員会学校教育部長 (伊藤登君) 小学校低学年への教員配置についてお答え申し上げます。近年、全国的に小 学校の学級経営が難しくなってきていると伝えられておりますが、本市にお いても、授業中に自分の席で落ちついて学習できない児童や、そのような児 童の在籍する学級への指導が課題となっている小学校もあらわれてきており ます。そこで、市教育委員会では、児童生徒理解のための研修会の開催や、 該当する学級の教員への個別的な指導、助言、人的援助が必要と判断される 学校への教員資格を持つ臨時職員の配置など、さまざまな方向から援助して いるところです。また、学校では、管理職が相談に乗るほか、教員全員で事 例研究をしたり、同僚教員がティーム・ティーチングに入ったりするなど、 学級経営に困難を来している担任を応援しております。 御指摘の人的配置につきましては、これまでも臨時職員を一部配置するなど してきておりますが、低学年に限らず、学級経営が困難な学級が来年度以降 も発生する可能性もあることから、そのような学級を支える臨時職員の配置 について、必要の度合いに応じて検討してまいりたいと考えております。 ○22番(楠原治利君) 教育委員会は全然努力していないと言うわけではありません、確かに、現在 臨時職員としてそういう役割で入っている人は1人います。しかし、それも ことしの12月までです。しかも、そこの学校の実情も私は聞きましたけれど も、入っているときは何とか落ちつくけれども、今度は隣のクラスだという ふうになっていく。来年は、もしかしたら子供の人数が少なくなって、クラ スが2つから1つになる可能性もある。そうすると、ますます大変なことに なる。つまり、学校を挙げて対応しているけれども、それでも追いつかない。 そういう予備軍というのは、今回の一般質問の答弁の中でも、例えばいじめ について言えば、小学校4校11件、中学校2校4件、不登校、暴力行為も一 部であり、小学校6校13人、中学校4校18人と。23区27市で中学校について は一番低いのだと、あたかもそこだけ強調されたような気がするのですが、 こういうことをこのままにしていたら、大変なことになるのではないか。 今稲城市ができること、稲城の教育委員会が挙げでできることは一体何なの か。そういうことをやってこそ、こうした問題に真剣に取り組んでいる、あ るいはそういう姿を子供が見たときに、初めて、これはもっとまじめにやら なくてはということになるのではないでしょうか。 この問題については、今の国の教育のゆがみは、率直に言って、学習指導要 領といったものが次々と教育現場に押しづけられてきた。基本的な学力を身 につけていく、基本を身につける、こういう時間が学習指導要領で次々と減 らされてきた。昭和30年に発表された学習指導要領から、2002年度から実行 しようとしている学習指導要領で、主要科目の4科目だけでも1,000時間短く なっているのです。子供がわからなくなる。一日机に座っていなくてはいけ ない。こういう実態が何を生み出すかということは、もう現実にあらわれて いる話です。 そういうことを一つずつ解決していくためには、国がやるまで待つ、あるい は東京都が乗り出すまで手をこまねくということにならないようにしていく のが、今の稲城の市教委の一番の仕事ではないでしょうか。そういう意味で の30人学級が仮に今難しいのだということであれば、稲城市ができるやり方 をぜひ積極的に取り入れてやっていただきたい。そういうことだったら、市 長だってお金を出します。私はそう思います。 全国の自治体では既に始まっている話です。調べてみますと、全国の自治体 では、既に17都道府県でそういったことに独自に取り組んでいくという施策 が始まっているのです。何も稲城市だけが先陣を切ってという話ではありま せん。しかし、いいものは、子供にとって本当に役立つことはやっていく。 21世紀を担うのは子供たちなのです。21世紀、このまま荒れの状態を拡大し ていくこの今の状況を続けていいのか。それは私たちに課せられている課題 ではないか。 そういう意味で、もう一度、30人学級に向け、その実現は今困難だと。それ はわかる。確かに困難な面はある。しかし、稲城市が独自にできる対策とし ての少人数学習指導推進の人を配置することについては、もっと積極的な答 弁をいただきたいわけですが、いかがでしょうか。 ○教育委員会学校教育部長(伊藤登君) 基礎学力の関係につきましては、平成13年度から文部科学省に新しくなりま すが、そちらの方から、基礎学力の向上ときめ細かな指導を目指す教職員定 数の改善といたしまして、教員1人当たり児童生徒数を欧米並みの水準に改 善していくということがここで打ち出されておりまして、これが概算要求の 中で盛り込まれております。その中では、基本3教科、小学校におきまして は国語、算数、理科、中学校におきましては英語、数学、理科ということで、 少人数の授業を行うなど、教科の特性に応じてきめ細かな指導を行うよう、 具体的な取り組み支援が出されておりまして、全国で今後5年間で22,500人 ということでございます。来年度は、小中学校合わせまして 4,500人を予定 しているという話もございます。 稲城市におきましては、先ほども申し上げましたように、確かに最近学校で は、LDと称される学習障害や、それからADHD--注意欠陥多動性障害といった ものが顕著に出てきているのも事実でございます。そのような状況の中で、 必要の度合いに応じた形で今後検討していかなければならないと考えている ところでございます。 −−−−−−−−−−−−(以下略) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 府立学校の在り方懇話会障害児教育部会(第3回) 概要 2000/07/21 ■ -------------------------------------------------------------------- 下記サイトからの転載です。 http://www.kyoto-be.ne.jp/konwakai/sgbukai03.html −−−−−−−−−−−−−−− (京都)府立学校の在り方懇話会障害児教育部会(第3回)の開催概要 1 日 時 平成12年7月21日(金)13:30〜15:30 2 場 所 京都府公館 第5会議室 3 出席者 (部会委員)9名<欠席1名> (府教育委員会)西山教育次 長、松本指導部理事、竹岡障害児教育室長ほか 4 概 要 (1) 講演(帝京大学教授 大南英明先生)    「今後の養護学校等の果たす役割」 ○「21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議」の検討課題 ▽「我が国の特殊教育の今後の基本的な方向について」 盲・聾・養護学校及び特殊学級等については、現在の学校教育法の組立は変 わらないと思います。特殊学級の75条の規定について、大枠を動かさないに しても、内容を検討するということがあるかもしれません。 通常の学級にいる障害のある子どもたちへの支援をどうするかという問題が あります。一部の市町村では介助員とか巡回指導員のような形で障害児の支 援に当たっていますが、それを国としてどういう位置付けにするか。これを 進めてしまうと特殊学級あるいは盲・聾・養護学校の存続そのもに関わって くる問題ですし、市町村に全てまかしておくというのも問題ですので、議論 がされるのではないかと思っております。 ▽「就学指導の在り方の改善について」 309号通達は失効していると思いますので、市町村教育委員会の就学指導の 根拠となるものを就学指導の在り方も含めて検討されると思います。 医療・福祉と連携した早期教育相談体制の充実については、文部省が平成9 年度あたりから幼稚部を含めた早期教育相談体制について事業を推進してき ていますが、更に医療・福祉と連携した、早くからの学校教育サイドでの相 談を整備したいという意図があるように思います。 就学指導については、あくまでも相談という形で進めていくことが大事です。 市町村段階での就学相談体制を継続した相談ができる体制にどのようにして いくのか、このあたりが今後論議の中心となっていくと思います。 ▽「これからの特別支援教育の在り方について」 従来、盲・聾・養護学校及び特殊学級、これを特殊教育課の主な仕事の内容 としてきてますが、今後、学習障害児等今の特殊教育の周辺の部分を特別支 援教育の中でどう考えるかが大きな課題になると思います。 現在の盲・聾・養護学校の学習指導要領の中でも地域の特殊教育センターと しての役割を盲・聾・養護学校に求めておりますが、それを人員、設備も加 味した上でセンターとしての役割を位置付けていくことについて検討される と思います。 盲・聾学校はかなりの割合で高等部への進学が進められておりますが、知的 障害や肢体不自由の養護学校の高等部の進学については、まだ高等学校の入 学の割合までに達していません。知的障害の高等部への進学率を引き上げた いということがあると思います。 ▽「特殊教育の改善・充実のための条件整備について」 盲あるいは聾学校教員免許の免許所持率を高めていくには現職教育しかない という思いもありますが、一方では、まず盲・聾・養護学校共通の免許を取 っていただいて、そしてそれぞれの校種のところで継続して経験を積まれて 専門性をより高めていただこうという考えもあり、いずれ話題になるかもし れません。 経験者研修についてどのような研修体系を組んでいくか、今後各都道府県に 求められると同時に国に対しても第3次の教育職員養成審議会で述べらてい ます。 特殊教育施設・設備等の支援については、現在のものをどのような形で充実 したものにしていくか。これは学校の設置の仕方をどう考えるか、各障害に 応じて先端技術を教育の中にどのように取り入れていくかというところでか なり変わってくるだろうと思います。 ○「今後の養護学校等の果たす役割」 ▽「養護学校等の適正な配置」 適正な規模というのは、児童生徒数を中心に考えるわけですが、一方では教 職員数が問題になります。 100名を超える学校を一人の校長が管理をしてい くというのは非常に大変です。その点が適正な規模を考えていく上での一つ の指標になるのではと思います。 児童生徒の通学時間ですが、90分というのは確かに児童生徒にとっては大変 で、何とかする必要があると思います。公共交通機関を使う場合は、安全性 が確保されなければ大きな問題になりますし、万一事故があった場合にどの ような対応をするか。それに対する対応というのも考える必要があります。 最近、寄宿舎に対する保護者の要望は非常に強いものがあります。養護施設 と間違えているのではないかという思いもあります。 最近検討されてきているのが、養護学校等の総合化です。現在、教員の配置、 校舎の建築等、知的障害・肢体不自由・病弱の3つに分けるという形を取ら れていますが、この枠をはずして、児童生徒が通いやすいように養護学校を 設置をして、そこへ肢体不自由、知的障害、可能であれば病弱、場合によっ ては盲・聾の知的障害を伴う重複の子ども達も入っていくというものです。 この場合、障害の種別、程度に応じて教育課程を複数編成することが重要に なります。これによって、長時間通学とか、寄宿舎への入舎が多少緩和をさ れるのではないかと思います。 ▽「養護学校の役割」 特殊学級への支援・協力があります。新しく特殊学級を担当する先生方がそ の地域の養護学校の校内研修等に参加をしながら勉強される例がいくつかあ ります。 今回の学習指導要領の改訂で、幼・小・中・高全ての学習指導要領等に、 「障害のある幼児児童生徒や高齢者などとの交流の機会を設けること」とい うことが出されました。これによって、盲・聾・養護学校と小・中・高との 連携が今までよりも深まると思います。 小学校指導要領解説総則編の中に、文部省が初めて交流教育について指導の 方向を打ち出しました。「障害のある幼児児童生徒との交流は、児童が、障 害のある幼児児童生徒とその教育に対する正しい理解と認識を深める絶好の 機会であり、」ここで何を求めているかと言いますと、小学生に対して、障 害のある幼児児童生徒に対する正しい理解と認識を深めること。そして、そ の教育に対する正しい理解と認識を深める。次に養護学校はどういう学校で どんな活動をしているのか正しい理解と認識を深める、そういう機会なので す。そうすると、小学校の教員は、当然正しい理解と認識がないと困ります し、盲・聾・養護学校の教員は、障害についての正しい理解、認識がもっと 深められているはずです。小学生に対してこういう指導をして下さいという ことは、小学校の教員に対してそれを求めており、盲・聾・養護学校の教員 に対しても、障害児に対する正しい理解と自分の学校の教育に対する正しい 理解ができているのか、と問うているように思います。 その次はもう一つ上のレベルの理念をねらっています。「同じ社会に生きる 人間としてお互いを正しく理解し、共に助け合い、支え合い生きていくこと の大切さを学ぶ場でもある。」この考え方というのは盲・聾・養護学校の教 員は当然持ってなければならないと思います。 更に、「小・中・高等学校は、介護や福祉の専門家の協力を求めたり、地域 社会や学校外の関係施設等で働く人々と連携したり、積極的に交流を進めて いくことが大切である。」と書かれています。ということは小・中・高等学 校で障害児・者や高齢者に対する理解を深めるためには盲・聾・養護学校に その研修のための講師だとか教材を求めなさいということですから、それに 応えられるように盲・聾・養護学校がなっていることが大事です。 市町村の中には、養護学校等の児童生徒が自分の所の子どもであるというの を忘れかけているところがあります。「都立の子どもは都がみればいいじゃ ないか。」と言う方もおられます。しかし、都立に来ている子どもは、区と か市町村の子どもです。だから、養護学校等に在籍している子どもが地域へ 戻ってきたとき、その子ども達を、我が市・町の住民なんだという認識を是 非持っていていただきたい、住んでいるところで活動ができるというのが一 番いいわけです。地域社会の役割というのは、住んでいるところで、例えば 子供会や自治会の活動の中に障害児も一緒にできるものを考えていただくと いうことが今後必要になります。 そのためには、盲・聾・養護学校の先生方が、ある時期一市民としてボラン ティア活動に関わり、いわゆる橋渡しの役をしていただくことが大事だろう と思います。先生方がその地域でボランティア活動をしていただくと、相当 数の活動が可能になります。実際にそういうことを手がけている市町村も出 てきています。 ▽「高等部における職業教育の在り方」 高等部における職業教育の在り方については、平成8年3月に文部省の協力 者会議が報告を出しております。 新たな職域・職種の開拓については、全国特殊学校長会が平成10年、11年度 の2年間に渡って文部省の委託を受けて「障害者の新たな職域開拓に向けた 職業教育等の在り方について」という研究をしまして、生徒が通勤可能な地 域にある事業所との連携の在り方等を報告書で出してくると思います。 今回の学習指導要領の改訂で盲・聾・養護学校の学科等の再編成がかなり柔 軟にできるようになっています。知的障害養護学校では従来普通科のみを設 置してきました。知的障害養護学校の高等部設置校は約 400校ですが、学科 を設置しているのは37校という現状です。一つの都道府県の中で普通科を中 心としていく学校と職業学科を設置していく学校の2つの流れがあった方が いいと思います。そのことによって、生徒の障害の状態あるいは適性に応じ た指導がかなりできると思います。 専門的な職業能力の育成という中に、学校間等の協力体制がありますが、専 門高校と養護学校、特に知的障害養護学校との連携というのは、かなりの成 果が出て来ます。 専門高校の先生方の持っておられる技術の高い指導力を養護学校に導入する ことによって、専門的な職業能力を育てることができます。職業教育につい ては、知的障害養護学校の場合には、生徒の障害の状態等に応じて、多くの 作業種目を取り入れてくることが必要だと思います。 企業等との連携については、現場実習の拡大が言われます。企業からは現場 実習の際に教員も一緒に実習をしてほしいという声があります。私自身も中 学校の教員をしている頃に、生徒と一緒に2、3週間、工場へ行って実習を してまいりました。工場の様子、人的な関係あるいは作業の内容、そして生 徒の適性というのは、学校の中より遙かに把握することができます。若い先 生方に、少なくとも1週間くらい現場実習を一緒にやっていただくと、ずい ぶん職業観、勤労観が変わってくると思います。そして、知的障害の人、も っと広げて、障害者が将来企業で働くということについてはどういうことが 必要なのか。机上とか頭の中だけではなくて実体験として持つことが必要だ と思います。 企業側が求めている一つに,学校を卒業をした後も学校で追指導をしてほし いということがあります。しかし、学校は一体どこまで追指導できるのか。 旅費の問題もあります。ここで将来的に希望が持てるのは、文部省の協力者 会議の報告に「卒業後の追指導の実施」が書かれていることです。報告書に 書かれたということは、国の施策の中に入れる考えがあると思っているわけ ですが、なるべく早く実現をしてほしいと思っています。 障害者も働けるということについての理解・啓発が必要だと思います。働く 生活がなければ、目標も生き甲斐も何も出てこないと思います。働く場があ るからこそ生きていく力がついてくると思います。障害者から働く生活を奪 うというのは、新たなバリアを作っているという思いすらします。そういう 点で、盲・聾・養護学校の教員だけではなく、多くの人に障害者も働けると いうことを考えていただく必要があります。 ▽「病弱養護学校の在り方」 病弱養護学校において難しい問題は、病院の主たる診療科目によって通って くる児童生徒の病類にばらつきが出ていることです。診療科目の変更もあり ます。以前は慢性疾患が主でしたが、最近では精神神経系の疾患のある子ど もたちも病弱養護学校の対象となってきています。その中で病弱養護学校の 在り方をどう考えるのか。その場合に、病院併置の学校としていくのか、そ れとも病院内の学級なり訪問教育を考えていくのか。これらが今後課題にな ります。 ▽「医療的ケアを必要とする児童生徒への対応」 医療的ケアについては、養護学校等でどういう受け入れをしていけばよいか を検討されているようですが、校長としては大変心配な点があります。救急 車で病院まで時間がかかる学校で行うことは、やはり厳しいという思いがあ ります。看護婦を配置をした場合、看護婦は医師からの指示があれば医療行 為ができますが、管理者である校長とその指示を出す医師の関係はどうなる のか。事故が起きた場合には、校長の管理責任が最初に問われるでしょう。 そうすると、看護婦を配置することは、そんなにメリットがあるのかどうか。 医療的ケアについては、文部省の動きとも合わせながら御検討いただくこと になると思います。 (2) 質疑応答(○:講演者、△:委員) △卒業者への追指導について、実際には各学校で工夫されてコンタクトをも  っておられることが多いと思う。制度としてできるには時間がかかるとい  うことだが、ぜひ行ってほしい。 ○盲・聾・養護学校の先生方は努力をされている。これから制度的に充実を  してほしいのは、進路指導担当教員を別枠で配置をしていくことと、追指  導について予算化をしていくことです。いつまでも学校が行うわけにはい  かないので、労働関係機関で継続してお願いをしていくことが必要だと思  う。 △就職をしたけれど途中で挫折をするなど、地域の中で埋もれている子ども  達がいる。子ども達に聞いてみると、学校の存在が大きく、卒業生が学校  へやってくる。そういうケアの場が学校の中にあることは、大事なことだ  と思う。しかし、学校の行事が縮小化されている中で、卒業生が来られる  場が少なくなっている。また、生涯学習の機会が、地域の中でまだまだ充  実されていない。保護者等に対して、今後どういう働きかけをしたらいい  か。 ○学校行事等への参加については、同窓会活動を充実していくことによって、  今まで以上に充実できると思う。追指導については、学校だけではやりき  れない部分が多く、福祉や労働関係機関と合体したようなものが考えられ  ていく必要がある。更に、生涯学習体系の確立が必要である。各都道府県  の生涯学習体系を見ると、知的障害者の方のは少ししかない。そういう意  味では知的障害者の生涯学習体系をこれからどう作りだすか。学校なり教  員なり保護者がどう支援をするか。その問題が残されていると思う。 △就職先等出口だけを見た場合、職業学科で学ぶことと作業学習をメインに  した普通科の職業教育系で学ぶことと、変わらないのではないかという思  いがある。 ○養護学校における職業教育について、かつては特定の職業に就くための準  備教育のような説明がされていたが、最近では職業観や勤労観、あるいは  働く態度とか習慣をどう作るかというあたりまで職業教育の概念が広がっ  てきている。しかし、同じくらいのレベルの人たちを集めて指導すること  によって、生徒自身の意識、意欲の変化が大きいということかなり高い技  術を身に付けることが可能であることが、高等養護学校の調査の結果等に  出てきている。 △近年横浜等でやっておられるミニ養護学校についてお聞きしたい。 ○ミニ養護学校にするか、あるいは小・中学校の中に分校なり分教室を設置  するような形を取っていくか、2つの方法がある。大きな都市では、人が  まとまっておりミニ養護学校は考えやすいが、そうでない場合、ミニ養護  学校を作ったとしても、生徒の通学の便をどのように図るかということを  考えないといけない。分教室・分校形式だと、かなり散らばったところで  も設置が可能だと思う。  分教室・分校とすると通学の面はかなり解消されるが、教育内容、特に施  設設備が必要なものについて、十分な教育ができるかという問題が残る。  それについては、検診車のように教材教具を全部用意した車の配置を考え  れば、あまりお金をかけずにできると思う。 △社会参加・自立という言葉が職業参加に大きな意味を持っていると思って  いる。その点について最近どういう論議がされているのか。 ○国際障害者年以来、社会参加・自立という言葉がずっと先行してきた。と  ころが今回の指導要領の改訂で、自立活動の項目中に「自立し、社会参加  をする。」という表現が新たに出てきた。生徒の将来の進路というのは自  立の度合いによって、入所施設で自立を目指す人もいるし、通所施設で自  立を目指す人もいる。保護就労のような形をとりながら自立を目指す人や  企業で職業自立を目指す人もいる。いろんな自立の度合いが考えられる。  それに対する教育や福祉あるいは医療の支援体制をどうするか。自立活動  でいう初歩の段階から職業的自立まで非常に広い幅で自立が論じられてい  くのではないかと思う。 △現場からは、就職にあたって最低限の基準作りをしてほしいという声を聞  く。一般的には挨拶ができること。社会に出た時には返事ができるという  ことから始まると思う。 ○企業側から学校に対する注文というのは、今おっしゃられたようなことだ  が、そのことを教員が本当に実感として持てるか。即指導に生かされたり、  保護者にそういう説明ができる先生がどれくらいいるのか。そういう点で、  先生と生徒と一緒の現場実習というのが重要になる。実感として受け止め  てもらえれば、自ずから共通理解ができてくると思う。 △21世紀の養護学校の大きな流れについてお聞きしたい。 ○盲学校、聾学校での教育、さらには小・中学校の特殊学級での教育、そし  て通級による指導と、基本形は従来と変わらない。通級による指導に加え  て、児童生徒はそのままで教員が動く巡回指導というのがある。小・中学  校の通常の学級や特殊学級で学習する程度の障害については、盲、聾、養  護学校から教員が児童生徒のいる学校へ巡回をしていくことにより、更に  多くの軽度の障害のある子ども達の教育が徹底していくのではないかと思  う。巡回による指導を行うことによって、児童生徒に直接指導をするとと  もに、担当している先生に対するスーパーバイザーの役割も果たすことが  できる。  障害の枠をはずした総合養護学校という考え方はおそらくいくつかの県で  今後検討されていくのではないかと思っている。おそらく国も今までのよ  うな障害種別に分けて、この学校は知的障害でしか認可をしないから知的  障害中心でやりなさいという指導をしなくなるだろう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ------------------------------- 21:24 2001/02/18 □ --------------------------------------------------------------------  今回から3号程度で各地の議会及び行政資料を集めてみました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュース記載内容を転載される場合は必ず下記までご連絡下さい ■ 「けやき」連絡先 E-mail: keyaki@box.club.ne.jp [1999.03.12 更新] 「けやき」URL: http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/ [1998.07.31 更新] i-mode URL: http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/i/ [2000.05.10 更新] LDニュースのバックナンバーの閲覧については以下のサイトからできます http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000000592 [2000.12.21 更新] LDに関する情報交換・意見交流・質問は「LDフォーラム」をご利用下さい LD-FRM http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/LD-FRM/ [2000.08.17 更新] ■ 編集者は掲載内容に関して最終保証責任を負うものではありません ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ LD NEWS は「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ を利用して発行しています

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