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==================================================================== LD(学習障害)ニュース #224 2001.01.17 発行 登録読者数 2,932 LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997.9.10創刊 ==================================================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 21世紀の特殊教育の在り方について(最終報告)4 2001/01/15 ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください □■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 21世紀の特殊教育の在り方について(最終報告)4 2001/01/15 ■ -------------------------------------------------------------------- 第3章 特別な教育的支援を必要とする児童生徒への対応について 3 後期中等教育機関への受入れの促進と   障害のある者の生涯学習の支援について -------------------------------------------------------------------+ 1.盲・聾・養護学校高等部への進学希望者の状況等を踏まえ、各都道府 |   県においては、高等部の整備及び配置、高等養護学校の設置促進等に |   ついて検討を行い、地域の実態に応じた整備に努めること。     |                                   |   また、高等学校では、障害のある生徒の入学者選抜における配慮や障 |   害に応じた施設の整備に関する取組を引き続き進めること。     |                                   | 2.生徒の職業的自立を促進するため、就業を支援する方策について実践 |   的な研究を行い、その成果を踏まえ、盲・聾・養護学校は、保護者や |   企業、労働、福祉関係機関等と連携しながら、障害のある生徒の在学 |   時から卒業後にわたる個別の就業支援計画を策定すること。     |                                   | 3.障害のある児童生徒等が、社会の一員として主体的に活動し、自立し、   社会参加するための基盤となる「生きる力」を培うため、福祉団体や |   ボランティア等の協力を得て各地域の様々な活動等の機会を充実する |   とともに、活動に関する情報を提供し、体験活動の充実に努めること。                                   | 4.教育委員会は、障害のある者が学校を卒業した後も地域の中で自立し、   社会参加することができるよう福祉関係機関や福祉団体等と連携して |   生涯にわたる学習機会の充実に努めること。            |                                   |   盲・聾・養護学校は、その専門性や施設・設備を生かして、障害者の |   ための生涯学習を支援する機関としての役割を果たすこと。また、放 |   送大学は更なる充実を図るとともに、障害者の受講等に対して一層配 |   慮すること。                          | -------------------------------------------------------------------+ (1) 盲・聾・養護学校の高等部は、職業に関する各種の専門学科を設置した  り、普通科の中に専門コースを設置するなど、生徒の実態に応じて多様な  職業教育を実施しており、生徒の自立や社会参加のために重要な役割を果  たしている。盲・聾・養護学校中学部及び中学校特殊学級卒業者の盲・聾  ・養護学校等の高等部等への進学率は年々増加し、平成12年度は88.  7%となっている。しかし、中学校卒業者の高等学校等の進学率が97%  であることと比較すると、障害のある生徒の後期中等教育の機会を更に充  実する必要がある。このため今後とも、進学希望者の状況等を踏まえ、各  都道府県教育委員会においては、地域の実態に応じて盲・聾・養護学校等  の高等部や高等養護学校を整備するよう努めることが必要である。なお、  高等部の整備に当たっては、生徒がより身近な地域で教育を受けることが  できるよう、できる限り適正配置に努めることが望ましい。 また、高等学校では、障害のある生徒の入学者選抜において、各高等学校、  学科等の特色に配慮しつつ、その教育を受けるにたる能力・適性等を判定  して行うという基本的な考え方の下に、障害があることのみをもって不合  理な取扱いがなされることがないよう障害の種類や程度に応じて、点字・  拡大文字による受検、別室受検、ヒアリングに代わる筆記問題、検査時間  の延長、代筆解答などの特別な措置が講じられている。また、学校施設に  ついては、障害のある人がその障害の程度に応じた十分な教育を受けられ  るようにするため、スロープ、エレベータ、障害者用トイレ等施設のバリ  アフリー化が進められている。今後も、障害のある生徒が、その能力と適  性等に応じて後期中等教育の機会の充実が図られるよう、各高等学校にお  いて、こうした取組に努めることが期待される。 なお、障害のある者が、その能力・適性等に応じて高等教育機関で十分な  教育を受けることができるよう各大学等においては、受験機会の確保に努  め、障害の種類や程度に応じて試験時間、出題・回答の方法、試験場等に  ついて特別な配慮を行うとともに、必要な施設・設備や手話通訳、ノート  テイカーなどの学習支援の一層の充実を図ることが期待される。 (2) また、盲・聾・養護学校の児童生徒の障害の重度・重複化や近年の経済  状況を反映して、高等部卒業後の進路が多様化している。今後、生徒の職  業的自立を促進するためには、新たな職域開拓が期待される専門学科の設  置を進めるとともに、盲・聾・養護学校が、保護者や、企業、労働、福祉  関係機関等と連携しながら、児童生徒の障害の状態等に応じた職業教育や  進路指導を充実する必要がある。このため、都道府県教育委員会等におい  て、公共職業安定所、地域障害者職業センター等の関係機関や企業、経済  団体等で構成する継続的な就業支援体制を整備するとともに、盲・聾・養  護学校が中心となって関係機関と連携して、障害のある生徒の在学時から  卒業後にわたる個別の就業支援計画を策定し、就業支援の充実を図ること  が求められており、国は、こうした取組を推進するための実践的な研究を  行うことが必要である。 なお、盲・聾・養護学校の高等部の専攻科については、近年、就職環境の  悪化や国家試験の専門性の向上等、厳しい状況にあるため、専門的な教育  内容・方法の充実を図る必要がある。 (3) 近年、ノーマライゼーションの進展により、障害のある者が住んでいる  地域社会の中で、積極的に活動し、その一員として豊かに生きることが重  視されるようになっている。このことは、居住地から離れた学校に就学す  ることが多い盲・聾・養護学校の児童生徒等にとって大きな課題となって  いる。 このため、夏季休業日など長期休業中の過ごし方や平成14年度からの完  全学校週5日制の実施も見据え、教育委員会は、学校、地域社会との連携  を図りながら障害のある児童生徒等が、社会の一員として主体的に活動し、  自立し、社会参加するための基盤となる「生きる力」を培うため、地域に  おいて自らボランティア活動を行ったり、地域の学校施設等において文化、  芸術、スポーツなどの様々な活動を行ったり、福祉団体やボランティア等  の協力を得て地域の様々な活動に参加する等の機会を充実するとともに、  活動に関する情報を提供し、体験活動の機会の充実に努めることが望まし  い。 さらに、障害のある児童生徒等が様々な活動を行う際にボランティアの協  力が必要な場合、地域の生涯学習ボランティアセンターにおいて人材を紹  介したり、相談を受けつけるなどその活動を支援するための体制の整備が  重要である。 また、国においては、盲・聾・養護学校の児童生徒等が、地域の同年代の  子どもを含めた地域の人々と交流し、様々な活動を通して、自立し、社会  参加するための方策について実践的な研究を行う必要がある。 (4) 障害のある者が学校を卒業後、地域の中で自立し、社会参加するために  は、教育委員会が、福祉関係機関や福祉団体等と連携するとともに、学校  が福祉等の関係施設と協力して生涯にわたる学習機会の充実を図り、障害  者のための生涯学習を支援することが必要である。 このため、盲・聾・養護学校においては、その専門性を生かして障害者の  ために専門学科等の施設・設備を活用してパソコン教室、木工教室、ガー  デニング教室等の公開講座を開催したり、障害者の生涯学習に資するよう  広く地域の住民に対し運動場や体育館、プールなど学校の施設を開放した  り、障害者の理解やコミュニケーション技法の習得、地域のボランティア  リーダーの養成等を行うボランティア講座を実施するなどの取組を行うと  ともに、卒業生の生活・就労を支援する地域の団体等に対してノウハウを  提供するなどして、生涯学習を支援する機関としての役割を果たすことが  重要である。 また、放送大学については、時間的・空間的制約のない学習機会を提供す  る観点から、更なる充実をはかり、障害者の受講等に対して一層配慮する  ことが重要である。 第4章 特殊教育の改善・充実のための条件整備について 1 盲・聾・養護学校や特殊学級等における学級編制   及び教職員配置について -------------------------------------------------------------------+ 1.都道府県教育委員会においては、各学校で児童生徒の実態等に応じた |   特色ある教育活動を積極的に展開するため、地域や盲・聾・養護学校 |   の実態や規模、児童生徒の実態に応じて、機動的、弾力的に教職員配 |   置を行うこと。                         |                                   | 2.都道府県教育委員会においては、指導の充実等を図るために必要があ |   ると判断する場合には、義務標準法に基づく教職員定数を活用して、 |   義務標準法で定められている学級編制の標準を下回る学級編制の基準 |   を定めることが可能となるよう法改正の準備が進められている点を考 |   慮して、盲・聾・養護学校の児童生徒の実態等を踏まえ、必要の応じ |   適切な学級編制を基準を定めることについてを検討すること。    |                                   | 3.盲・聾・養護学校は、その自主性、自律性を確立し、児童生徒の障害 |   の状態等に応じた特色ある教育課程を編成することが求められている |   ため、学級という概念にとらわれず、より柔軟に工夫を凝らして多様 |   な学習指導の場を設定するなど指導形態、指導方法を工夫すること。 |                                   | 4.盲・聾・養護学校や特殊学級においては、総合的な学習の時間をはじ |   めとする多様な教育活動の展開や、自立活動や職業教育の指導の必要 |   性に対応するため、非常勤講師や高齢者再任用制度等の制度を活用し |   たり、地域社会の多様な人材を特別非常勤講師やボランティアとして |   活用することにより、幅広い指導スタッフを整備すること。     |                                   | 5.小・中学校の特殊学級については、特殊学級の教育を教職員全体で支 |   援するとともに、通級による指導については、対象児童生徒に対し適 |   切な教育ができるよう教員の配置に努めること。          |                                   |   また、盲・聾・養護学校の教員が通級による指導を実施したり、小・ |   中学校を支援すること。                     | -------------------------------------------------------------------+ (1) 障害のある児童生徒の教育については、自己のもつ能力や可能性を最大  限に伸ばし、自立し、社会参加するために必要な力を培うため、盲・聾・  養護学校や特殊学級等において、障害に応じた特別な教育課程を編成した  り、専門性ある教職員を配置し、比較的少人数による指導を行っている。 盲・聾・養護学校では、従来から公立義務教育諸学校の学級編制及び教職  員定数の標準に関する法律(以下「義務標準法」という。)で定められて  いる学級編制とは別に個別指導やグループ別の指導等を行ってきたが、近  年、児童生徒の障害の重度・重複化や多様化、社会の変化により児童生徒  一人一人に対する指導の内容、方法等の実態が大きく異なっているため、  児童生徒の特別な教育的ニーズに対応したきめ細かな指導が行えるよう指  導方法や指導体制の工夫や改善がますます必要となっている。 また、教科指導に加え、障害に基づく種々の困難を改善・克服するための  自立活動の担当教員や教育相談担当の教職員、養護教諭等児童生徒が学校  生活を送る上で必要な教職員の充実が求められており、このような教職員  の定数の改善を図る必要がある。 各都道府県教育委員会においては、各学校で児童生徒の実態等に応じた特  色ある教育活動を積極的に展開するため、義務標準法に示されている学校  の学級数に応じた係数は、都道府県全体の教職員の総定数を算定するもの  であり、各学校への配置数を決めているものではないことを踏まえ、地域  や盲・聾・養護学校の実態や規模、児童生徒の実態に応じて、機動的、弾  力的に教職員配置を行うことが必要である。 (2) また、指導の充実等を図るために必要があると判断する場合に、義務標  準法に基づく教職員定数を活用して、義務標準法で定められている学級編  制の標準を下回る学級編制の基準を定めることが可能となるよう法改正の  準備が進められている点を考慮し、各都道府県教育委員会においては、盲  ・聾・養護学校の児童生徒の実態等を踏まえ、必要に応じ、適切な学級編  制基準を定めることについて検討する必要がある。 なお、盲・聾・養護学校の指導の充実や地域の特殊教育センターとしての  機能の充実を図るため、盲・聾・養護学校間や盲・聾・養護学校と小・中  学校間で交流教育や共同の授業研究などの取組を進めることが期待される。 (3) 実際の指導に際しては、盲・聾・養護学校は、その自主性、自律性を確  立し、児童生徒の障害の状態等に応じた特色ある教育課程を編成すること  が求められているため、学級という概念にとらわれず、より柔軟に工夫を  凝らして多様な学習指導の場を設定するなど指導形態、指導方法を工夫す  る必要がある。このため、各学校においては、このような多様な指導形態、  指導方法について教職員が適切な指導組織を構成したり、校務を分掌する  など学校全体で取り組む必要がある。 (4) 盲・聾・養護学校や特殊学級においては、今後、総合的な学習の時間を  はじめとする多様な教育活動の展開や、自立活動や職業教育の指導の必要  性に対応するために、非常勤講師や高齢者再任用制度等の制度を活用して、  自立活動、外国語教育、情報教育等に専門分野、得意分野を異にする幅広  い指導スタッフを整備することが求められる。また、地域社会の多様な人  材を特別非常勤講師やボランティアとして活用することにより学校の指導  体制の充実を図ることも重要である。 また、近年、児童生徒の障害の重度・重複化や多様化に対応するため、都  道府県の中には、独自で福祉、医療と連携して理学療法士、作業療法士、  言語聴覚士等を特別非常勤講師として雇用する、看護婦等を非常勤職員と  して活用したり他機関から派遣する、労働省所管の緊急地域雇用特別交付  金制度において情報技術の専門家を特別非常勤講師として雇用するなどの  取組が見られるが、こうした人材活用例を参考にして、今後、各都道府県  において、地域や学校の実態等に応じてこのような取組が進むことを期待  したい。 (5) 小・中学校の特殊学級については、特殊学級の児童生徒の障害の状態が  多様化しているため、それに応じて様々な教育課程の編成、実施が求めら  れている。また、近年、通常の学級との交流が積極的に行われるようにな  っているが、特殊学級の児童生徒に対する指導は特殊学級担任教員だけに  任される場合も多く、ともすれば孤立しがちであるとの声が聞かれる。こ  のため、特殊学級を教職員全体で支援するとともに、通常の学級の児童生  徒への理解・啓発に努めるなど、学校全体で特殊学級における教育の充実  を図っていくことが必要である。 通級による指導の導入に伴う教員配置については、平成5年度から実施し  てきた第6次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画を、毎年度計画的に  推進し、平成12年度で完成したところである。今後とも、通級による指  導を受ける児童生徒に対し適切な教育ができるような教員の配置に努める  ことが必要である。 また、例えば、聾学校の幼稚部等において早期からの教育的対応によって  十分な言語習得を図り、小・中学校へ就学した難聴の児童生徒については、  引き続き聾学校の教員が支援する必要があるとの指摘がある。このような  事例を踏まえ、小・中学校に就学した軽度の障害のある児童生徒の更なる  指導の充実を図るために、盲・聾・養護学校の教員がもっている専門的な  指導力を生かして通級による指導を実施するなど、小・中学校を支援する  ことが必要である。 (6) なお、就学指導の在り方の改善に伴い、特別な場合に小・中学校に就学  する児童生徒に対し教育上の配慮が必要になることが想定される。今後、  こうした障害のある児童生徒に対して適切な指導を行うために特殊教育で  培ってきた指導方法等を生かすことがますます必要になる。このため、小  ・中学校においては、教職員全体が障害のある児童生徒に対する理解・啓  発に努めるなど学校全体で指導体制の充実に努めるとともに、日頃から盲  ・聾・養護学校との連絡を密にとり、障害のある児童生徒への教育的対応  についての情報を常に交換できるようにしておくことが重要である。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ LD NEWS は「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ を利用して発行しています

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