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==================================================================== LD(学習障害)ニュース #207 2000.11.13 発行 登録読者数 2,838 LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997.9.10創刊 ==================================================================== ▼ LD親の会「けやき」の会員(正・通信・賛助)になってください! ▼ ▲ 詳細はこちら → http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/join.html ▲ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 21世紀の特殊教育の在り方について(中間報告)全文掲載 その4 ■ □ 第3章 特別な教育的支援を必要とする児童生徒への対応について 1 □ □ 編集後記 ------------------------------- 22:57 2000/11/12 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください □■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 21世紀の特殊教育の在り方について(中間報告)全文掲載 その4 ■ --------------------------------------------------------------------    http://www.monbu.go.jp/singi/chosa/00000471/ から転載 21世紀の特殊教育の在り方について(中間報告) 〜 一人一人のニーズに応じた特別な支援の在り方について 〜  文部省 21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議 2000/11/06 発表 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 第3章 特別な教育的支援を必要とする児童生徒への対応について(その1) 1 障害の状態等に応じた指導の充実方策  1−1 障害の重度・重複化や社会の変化に対応した指導の充実 +-------------------------------------------------------------------+ | 1.障害の重度・重複化や社会の変化に対応して、指導の一層の充実を図る|   ため、盲・聾・養護学校は、個別の指導計画、自立活動、総合的な学習|   の時間の実施や長期休業中における対応などについて、地域や児童生徒|   等の実態に応じた創意工夫した取組に努めること。 | | 2.養護学校に在籍する日常的に医療的ケアが必要な児童生徒等への対応に|   ついては、教育関係機関と福祉、医療関係機関がそれぞれの機能をより|   効果的に果たすための相互の連携の在り方や医師、看護婦、養護教諭、|   教諭、保護者による対応の在り方、養護学校における医療機関と連携し|   た医療的バックアップ体制の在り方等について検討を行い、その成果を|   踏まえ指導の充実を図ること。 | | +-------------------------------------------------------------------+ (1) 盲・聾・養護学校においては、小・中学校等に準ずる教育を行うととも   に、障害に基づく種々の困難を改善・克服するために、幼児児童生徒    (以下「児童生徒等」という。) の障害の種類、程度に応じて手厚くき   め細かな指導を行っている。   近年、障害の重度・重複化や多様化、早期からの教育的対応の必要性の   高まり、高等部への進学率の上昇、卒業後の進路の多様化など障害児を   取り巻く環境が急速に変化している。こうした変化に適切に対応するた   め、盲・聾・養護学校は、福祉、医療、労働等の関係機関と連携しなが   ら地域の状況や児童生徒等の実態等に応じた教育活動を展開する必要が   ある。   盲・聾・養護学校の学習指導要領は、完全学校週5日制の下、「ゆとり」   の中で「特色ある教育」を展開し、児童生徒等に自ら学び自ら考える力、   豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力など、「生きる力」   を育成することをねらいとし、児童生徒等の障害の重度・重複化や社会   の変化等を踏まえ、一人一人の障害の状態等に応じたきめ細かな指導を   一層充実することなどを基本方針として、平成11年3月に改訂された   ところである。   新しい学習指導要領においては、障害の状態を改善・克服するための指   導領域である「養護・訓練」について、自立を目指した主体的な教育活   動を一層推進するため、名称を「自立活動」に改め、目標や内容の見直   しを図るとともに、自立活動や重複障害の児童生徒の指導に当たっては、   「個別の指導計画」を作成することとしたところである。また、各学校   が児童生徒や地域の実態等を踏まえ、創意工夫を生かした特色ある教育   活動を展開できるよう「総合的な学習の時間」を創設するなどの改善を   図ったところである。   今後、盲・聾・養護学校においては、新しい学習指導要領の改善の趣旨   が生かされるよう、自立活動、個別の指導計画、総合的な学習の時間な   どについて、地域や児童生徒等の実態に応じ、学校の創意工夫を生かし   た取組の充実に努めることが求められる。また、盲・聾・養護学校は、   夏期休業中の登校日等の在り方や地域における体験活動、交流活動の充   実などについて児童生徒一人一人の障害の状態に応じた指導を工夫する   ことが求められる。   国においては、先進的な事例を取り上げた事例集等を作成・配布するな   ど、各学校の取組を促進し、全国的な普及を図っていくことが求められ   る。   (2) また、養護学校において、日常的に医療的ケアが必要な児童生徒等への   対応が求められている。この課題については、これまで国から都道府県   教育委員会に委嘱し調査研究を行ってきたが、教育関係機関と福祉、医   療関係機関がそれぞれの機能をより効果的に果たすための相互の連携の   在り方や医師、看護婦、養護教諭、教諭、保護者による対応の在り方、   養護学校における医療機関と連携した医療的バックアップ体制の在り方   等について引き続き実践的な研究を行い、その成果等を踏まえて指導の   充実を図ることが必要である。   (3) なお、自閉症児への教育的対応については、知的障害を伴う場合は、知   的障害養護学校や知的障害特殊学級で、知的障害を伴わない場合は、情   緒障害特殊学級、情緒障害の通級指導教室等で対応することとなってい   る。   知的障害を伴う自閉症児については、知的障害養護学校等でこれまで培   われた実践により、卒業後の望ましい社会参加を実現している例も多い   が、知的障害教育の内容や方法だけでは適切な指導がなされない場合も   あり、知的障害と自閉症を併せ有する児童生徒に対し、障害の特性に応   じた対応について今後も研究が必要である。   このため、これまで国立特殊教育総合研究所、大学、特殊教育センター   などにおける自閉症児への指導方法等に関する数多くの調査研究の成果   を踏まえ、今後、国は、知的障害を伴う自閉症児への教育と知的障害を   伴わない自閉症児への教育の違いを考慮しつつ、知的障害養護学校等に   おけるより効果的な指導の在り方について調査研究を行う必要がある。   (4) また、近年、障害の重度・重複化が進む中で、通学にかかる時間を考慮   したり、児童生徒の障害の状態等に応じた指導の充実を図ることを目指   して、知的障害養護学校や肢体不自由養護学校等が培ってきた指導内容   ・方法を活用しながら、様々な専門性を有する教員の協力体制や複数の   障害に対応した施設・設備を整備し、障害種別を越えた知的障害と肢体   不自由を併置した養護学校を設置している事例がある。こうした取組に   あたって、併置校における施設の国庫補助は、障害の種類に応じて必要   な面積を適用することとされており、自立活動を担当する教員も児童生   徒の障害の状態を踏まえ配置されている。現在、国においては、研究開   発学校を指定し、障害種別の枠を超えた教育課程の在り方、学校の組織   運営体制や指導体制の在り方、教職員や施設設備などの教育条件の整備   等について基礎的な研究を行っているところであり、今後こうした研究   の成果を踏まえ、重度・重複化に対応した養護学校の教育課程の内容や   類型の在り方等について検討していく必要がある。都道府県教育委員会   等においては、今後、各県の取組事例や国における検討を参考にしなが   ら、地域の実態に応じてこうした障害の重度・重複化に対応した取組を   工夫することが望ましい。  1−2 学習障害児、注意欠陥/多動性障害 (ADHD) 児、高機能自閉      症児等への教育的対応 +-------------------------------------------------------------------+ | 1.学習障害児、注意欠陥/多動性障害(ADHD)児、高機能自閉症児等通常|   の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に対する指導|   の充実を図るためには、その実態を把握し、判断基準や指導方法を確立|   することが必要。このため、これらの特別な教育的支援を必要とする児|   童生徒の実態や指導の状況等について全国的な調査を行うとともに、そ|   の成果を踏まえ、教育関係者や国民一般に対し幅広い理解啓発に努める|   こと。 | | 2.学習障害児への教育的対応については、一人一人の学習障害の状態に応|   じた指導方法を確立するため、全国的な実態調査の成果等を踏まえ、実|   践的な研究を行うこと。 | |   また、都道府県及び市町村教育委員会においては、学習障害の実態把握|   のための体制を整備するとともに、専門家による各学校への巡回指導に|   より、指導方法の充実に努めること。 | | 3.注意欠陥/多動性障害(ADHD)児や高機能自閉症児等への教育的対応に|   ついては、国立特殊教育総合研究所における調査研究の成果等を踏まえ、   さらに調査研究を行い、判断基準等を明らかにするとともに、効果的な|   指導方法や指導の場、形態等について検討すること。 | | +-------------------------------------------------------------------+ (1)いわゆる学習障害とは、一般に「全般的な知的発達に遅れはないが、読   み書き等のうち特定のものの習得と使用に著しく困難を示す」状態を指   す。学習障害の実態については、国内外において学習障害の定義や判断   基準が様々であるため、十分明らかになっていない。文部省においては、   これまで調査研究協力者会議を設置して検討を行い、昨年7月に学習障   害の判断基準や実態把握等についての試案を提言した報告書がまとめら   れた。今後、この試案に基づき、通常の学級に在籍する特別な教育的支   援を必要とする児童生徒の実態や指導の状況等について全国的な調査を   行うことが必要である。   また、この全国的な調査や注意欠陥/多動性障害(ADHD)児、高機能自   閉症児、学習障害児等への教育的対応に関する調査研究の成果を踏まえ、   教育関係者や国民一般への幅広い理解啓発に努めることが望ましい。   (2)国においては、全国的な実態調査や国立特殊教育総合研究所における学   習障害児への指導方法等に関する調査研究等の成果に基づき、一人一人   の学習障害の状態に応じた指導方法を確立するための実践的な研究を行   うことが必要である。また、都道府県教育委員会や市町村教育委員会に   おいては、各学校において学習障害の実態を把握するための組織づくり   を行うとともに、各学校における実態把握を支援するため、専門家によ   るチームを構成して各学校等への巡回指導を行うことなどにより、学習   障害に対する実態把握の体制の整備と指導方法の充実に努めることが必   要である。   なお、学習障害に対する指導体制については、上記の調査研究の成果等   を踏まえ、通級による指導の対象の可能性について引き続き検討する必   要がある。   (3)また、注意欠陥/多動性障害(ADHD)児や知的障害を伴わない自閉症で   ある高機能自閉症児などの通常の学校に在籍する児童生徒については、   まだ原因が究明されておらず、研究機関や国立大学付属養護学校等にお   いてその判断基準や指導方法等を確立するための取組が進められている。   このため、国において、これまでの国立特殊教育総合研究所における注   意欠陥/多動性障害(ADHD)児や高機能自閉症児等への指導方法に関す   る調査研究の成果等を踏まえ、今後、注意欠陥/多動性障害(ADHD)児   や高機能自閉症児等への教育的対応に関する調査研究を行い、判断基準   等について明らかにするとともに、効果的な指導方法や指導の場、形態   等について検討することが必要である。   また、高機能自閉症児への教育は、現在、かん黙や習癖の異常などのい   わゆる情緒障害児と同様に情緒障害教育の対象として主に情緒障害特殊   学級等において行われている。しかし、自閉症は中枢神経系の機能不全   による発達障害とされている一方、いわゆる情緒障害は、主として対人   関係の軋轢などの心因性によるものとされている。   このように、自閉症児と心因性の情緒障害児に対する指導内容や方法は   異なるにも係わらず両方とも情緒障害教育の対象となっていることから、   それぞれの特性に応じた指導が適切に行われていない場合もある。この   ため、今後、高機能自閉症児への教育と心因性の情緒障害児への教育の   違いを考慮しつつ、両者に対する教育的対応の在り方を見直していく必   要がある。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ------------------------------- 22:57 2000/11/12 □ --------------------------------------------------------------------  21世紀の特殊教育の在り方について(中間報告)全文掲載 その4 を  配信しました。ここでは、第3章 特別な教育的支援を必要とする児童  生徒への対応について『学習障害児、注意欠陥/多動性障害 (ADHD) 児、 高機能自閉症児等への教育的対応』に言及しています。  なお、第3章は長文のため2つに分割しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュース記載内容を転載される場合は必ず下記までご連絡下さい ■ 「けやき」連絡先 E-mail: keyaki@box.club.ne.jp [1999.03.12 更新] 「けやき」URL: http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/ [1998.07.31 更新] i-mode URL: http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/i/ [2000.05.10 更新] LDニュースのバックナンバーの閲覧については以下のサイトからできます http://jazz.tegami.com/backnumber/frame.cgi?id=0000000592 [LDNSBK] LDに関する情報交換・意見交流・質問は「LDフォーラム」をご利用下さい LD-FRM http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/LD-FRM/ [2000.08.17 更新] 読者用「掲示板」 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