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==================================================================== LD(学習障害)ニュース #115 1999.07.11 発行 登録読者数 1,758 LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997.9.10創刊 ==================================================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 文部省協力者会議 学習障害児に対する指導について(報告)1999.7.2■ 1.はじめに 2.学習障害の定義について 3.学習障害の判断・実態把握基準 4.学習障害児に対する指導方法   5.学習障害児に対する指導の形態と場   6.おわりに □ 編集後記 ----------------------------------- 17:18 99/07/11 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください □■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 文部省協力者会議 学習障害児に対する指導について(報告)1999.7.2■ -------------------------------------------------------------------- 文部省特殊教育課からの転載許諾が、全国LD親の会事務局を通じ得られ ましたので、以下に転載いたします。  なお、テキストファイルの転載元は "LD STATION" −LD(学習障害)の 情報源− http://www.amy.hi-ho.ne.jp/yamaokash/ です。  文部省特殊教育課、全国LD親の会事務局、ならびに"LD STATION"管理者 各位に、感謝申し上げます。  なお、「学習障害の判断・実態把握基準(試案)」については、LD(学習 障害)ニュース #116 でお伝えいたします。 --------------------------------------------------------------------                          平成11年7月2日 文部省初等中等教育局長 殿            学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する            児童生徒の指導方法に関する調査研究協力者会議                          主査  山 口  薫         学習障害児に対する指導について(報告) 1.はじめに  いわゆる学習障害児に対する指導について、本協力者会議では、平成4年 6月の発足以来、様々な側面から精力的に検討を行ってきたところである。 この間、平成7年3月には、学習障害の定義、実態把握の方法、指導につ いての基本的な考え方、指導内容・方法の工夫、指導に当たっての配慮事項 等をとりまとめた中間報告を公表した。  その後、平成8年7月の中央教育審議会第1次答申に学習障害児に対する 指導内容・方法等についての研究の推進の必要性が明記されたのを始め、平 成10年4月には、本協力者会議から教育課程審議会に学習障害児に対する 教育的対応の充実を要望したところ、これを受けて同年7月の教育課程審議 会答申に学習障害児への対応が明記されたところである。  また、文部省においては、「みつめよう一人一人を」等の指導資料や理解 啓発資料の作成・配布、調査研究協力校における実践研究、専門家による巡 回指導等の措置を講じてきた。  こうした様々な施策の推進により、小・中学校の教員等の学習障害児に対 する理解、感心が高まり、学習障害児に対する指導の充実が図られるととも に、一般社会においても幅広く「学習障害」あるいは「LD」という言葉が 普及することとなった。  このように学習障害児に対する理解、関心が高まったことは喜ばしいこと であるが、一方、学校関係者からは中間報告で示した学習障害の定義があい まいで理解することが難しい点があるのではないかとの指摘がなされ、また、 それと関連して学習障害について語られるとき、必ずしも識者も含めて同一 の対象が想定されていないといった状況が見られた。  このような状況を踏まえ、本協力者会議としては、平成9年12月に審議 を再開し、学習障害の定義、判断基準並びに中間報告でさらに検討が必要と された指導形態及び場等について検討を加え、以下のように審議の結果を取 りまとめた。 2.学習障害の定義について (1)学習障害の定義  本協力者会議においては、中間報告で次のとおり学習障害を定義した。 -------------------------------------------------------------------- 学習障害とは、基本的には、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、 話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力の習得と使用に 著しい困難を示す、様々な障害を指すものである。 学習障害は、その背景として、中枢神経系に何らかの機能障害があると 推定されるが、その障害に起因する学習上の特異な困難は、主として学齢 期に顕在化するが、学齢期を過ぎるまで明らかにならないこともある。 学習障害は、視覚障害、聴覚障害、精神薄弱(注)、情緒障害などの状 態や、家庭、学校、地域社会などの環境的な要因が直接の原因となるもの ではないが、そうした状態や要因とともに生じる可能性はある。また、行 動の自己調整、対人関係などにおける問題が学習障害に伴う形で現れるこ ともある。 -------------------------------------------------------------------- (注)平成7年当時の定義のため、そのまま記載してあるが、現在では「知    的障害」に改められている。  この定義にあるとおり、学習障害は全般的な知的発達に遅れはないが、特 定の能力の習得と使用に著しい困難を示すことが第1の要件である。しかし、 実際には複数の能力の習得と使用に困難を示すことも多く、また、いわゆる 2次的障害により、全般的に知的発達に遅れがある場合と明確に峻別し難い ものも見られる。  また、学習障害は、その背景として、中枢神経系に何らかの機能障害があ ると推定されているが、どのような機能障害があるかについては、現時点に おいては、医学的にも十分解明されていない。  このため、学習障害を明確に定義することには難しい点があるが、次のと おり定義の明確化を図った。 --------------------------------------------------------------------  学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く話  す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と  使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。  学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害がある  と推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害  や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。 --------------------------------------------------------------------     (2)学習障害の定義の解説 [1] 学習障害の特徴 ア 学習障害とは、知能検査等の結果から、基本的には知的障害のような全 般的な知的発達の遅れは見られないが、学業成績、行動観察、詳細な心理 検査等により、学習上の基礎的能力である聞く、話す、読む、書く、計算 する又は推論する能力を習得し、使用することについて、1つないし複数 の著しい困難があると見られる様々な状態を総称するものである。 イ 中間報告の定義では、能力の範囲に「など」をつけ、解説において「な ど」による能力には、運動・動作の能力、社会的適応性に係る能力が考え られるが、具体的な内容とその限界について更に検討を進めるとしていた。  しかし、全米学習障害合同委員会の定義では対象となる能力は限定列挙で あること、都道府県教育委員会等からも学習障害の範囲が不明確になると いう意見があったこと、運動・動作の能力や社会的適応性に係る能力の欠 如が学習障害に重複して現れることはあるが、その能力の欠如のみでは学 習障害とは認定し難いことから、学習障害の対象となる習得と使用に著し い困難を示す能力の範囲は、「聞く、話す、読む、書く、計算する又は推 論する能力」に限定することとした。 ウ なお、推論する能力には、図形や数量の理解・処理といった算数や数学 における基礎的な推論能力が含まれていることに留意する必要がある。 [2] 学習障害の原因 ア 学習障害の直接の原因は、個人に内在するものであり、中枢神経系の何 らかの機能障害によるものと推定される。つまり、様々な感覚器官を通し て入ってくる情報を受け止め、整理し、関係づけ、表出する過程のいずれ かに十分機能しないところがあるものと考えられる。しかし、中枢神経系 のどの部分にどのような機能障害があるかについては、まだ医学的に十分 には明らかにされていない状況にある。   学習障害は、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの他の障害、 あるいは児童生徒の生育の過程や現在の環境における様々な困難といった 外的・環境的な要因による学習上の困難とは異なる。また、ある教科に対 する学習意欲の欠如や好き嫌いによるものでもない。 イ 除外すべき障害の例示につけた「など」の障害には、言語障害、肢体不 自由、病弱・身体虚弱がある。   なお、言語障害については、器質的又は機能的な構音障害や吃音等の話 し言葉のリズムの障害そのものは、学習障害の直接の原因となるものでは ないが、話す、聞く等言語機能の基礎的能力に発達の遅れがあるという状 態については、学習障害でも同様に見られることがあることに留意する必 要がある。 [3] 他の障害や環境的要因との重複 ア 中間報告の定義では、他の障害や環境的な要因が学習障害の直接の原因 ではないが、「ともに生じる可能性」があるとした。しかし、他の障害や 環境的要因が重複する場合、それらによってより困難な状態が生じること はどの障害でも同様であり、学習障害以外の障害の定義では重複する障害 との関係は示されていないこと等から、重複障害についての記述は定義で はふれないことした。 イ 知的障害と学習障害の関係については、教育上の措置を考えるに当たっ ては、[1]にも述べたように基本的には全般的な知的発達の遅れがないこ との確認を要件としていることから、知能検査等の結果、あきらかに知的 障害が見られれば、知的障害の養護学校や特殊学級で教育を行うことが適 当である。  ただし、知的障害でありながら話す、書く等の学習の基礎的能力に大き な能力上のアンバランスがみられる等学習障害と同様の状態を示す場合が まれに見られるが、そのような場合は、知的障害児を対象とした教育の場 の中で、必要に応じて学習障害としての配慮をすることが適当である。 ウ 知能検査の結果が、知的障害との境界付近の値を示すとともに、聞く、 話す、読む、書く等のいずれかの学習上の基礎的能力に特に著しい困難を 示す場合の教育的な対応については、その知的発達の遅れの程度や社会的 適応性を考慮し、学習障害として、通常の学級等において学習上の基礎的 能力の困難を改善することを中心とした配慮を行うか、知的障害として特 殊学級において学習上の困難への対応を工夫することが適当である。 エ 視覚障害、聴覚障害等他の障害と学習障害が重複する場合についても、 主たる障害に対応する盲・聾・養護学校や特殊学級における教育、通級に よる指導等の中で、必要に応じて学習障害としての配慮をすることが適当 である。          [4] 行動の自己調整・対人関係の問題 ア 学習障害児には、行動の自己調整や対人関係などに問題が見られる場合 がかなりあることから、これらの問題が「学習障害に伴う形で現れること もある」旨を中間報告の定義に記述した。具体的には、例えば学校生活に おいて、注意集中の困難や多動、対人関係などの社会的適応性の問題が現 れることもある。このような問題は、一次的に学習障害と重複して現れて いる場合と、学習障害による学習上の困難の結果、そのような問題が二次 的に生じている場合がある。   このような場合には、学習障害児に対する指導の中で、それらの問題の 改善につき配慮する必要がある。 イ しかしながら、このような問題のみが生じていたり、このことが主たる 原因として学習の遅れが生じている場合は学習障害ではないことから、定 義では触れないこととしたが、その困難の程度に応じて、情緒障害の特殊 学級における教育や通級による指導などの対応を考慮するか、通常の学級 において授業に集中しやすい環境の整備や対人関係等の改善に配慮する等 の教育的対応を考慮する必要がある。 3.学習障害の判断・実態把握基準  学習障害児を効果的に指導するためには、まず当該児童生徒が学習障害で あるか否かを判断する必要がある。特に学習障害は、その状態が知的障害や 情緒障害と部分的に同様な状態を示す場合もあることから、的確な実態把握 を行い、判断することがきわめて重要である。  中間報告においては、専門家による総合的かつ慎重な実態把握をどのよう に行うかについての考え方を示したところであるが、今回さらに学習障害の 判断・実態把握の体制。手続き、基準、留意事項について検討を行い、その 結果を別紙のとおり試案として取りまとめた。  今後、これを参考として各教育委員会や学校において、学習障害児である か否かが的確に判断され、効果的な指導が進められることが期待される。 4.学習障害児に対する指導方法 (1)従来の特殊教育の特徴は、教科の指導と並んで障害に基づく種々の困 難の改善・克服を目指す自立活動(養護・訓練)の指導を行うことに ある。これに対し、学習障害児に対する指導は、特定の能力の困難に 起因する教科学習の遅れを補う教科の指導が中心となる。このため、 学習障害とは別の理由により教科学習に遅れが見られる児童生徒に対 する指導内容・方法と重複する部分も少なくなく、学習障害に特有の 指導内容・方法を明確に示すことは現時点では困難である。ただし、 反面これは、障害のない児童生徒に対する指導においても、学習障害 児に対する指導内容・方法を広く活用することができるということも    意味している。 (2)また、従来の特殊教育においては、障害の種類や程度に応じた固有な 指導内容・方法、あるいは指導形態があるが、学習障害児については、 困難のある特定の能力の種類により指導方法等が異なることもあり、 学習障害児に共通した一般的な指導方法は現時点では確立されていな い。    さらに、同一の能力に困難を有していても、個々の学習障害児に生じ ている学習上のつまずきや困難などは様々であり、これらを改善する ためには、個々の実態に応じた指導を行うことが必要である。    その際、個々の児童生徒の認知能力の特性に着目した指導内容・方法 を工夫することが有効である。 (3)具体的指導方法については、調査研究協力校や国立特殊教育総合研究 所等における研究が参考となる。    まず、調査研究協力校における研究では、学習障害児又はそれに類似 した児童生徒に対する指導方法として、学習障害児等が興味・関心を 持って授業に参加できるような指導や、達成感を持てるような指導が 大きな効果を上げたことが報告されている。具体的には、困難のある 能力を補うための教材を用いた指導、スモールステップによる指導、 自信をつけさせたりやる気を持たせることができる指導、同一の課題 を繰り返して実施する根気・集中力を養う指導といった例が挙げられ ている。    また、国立特殊教育総合研究所における研究では、児童生徒のつまず きに速やかに気付いて個に応じた指導をすることが可能なティームテ ィーチングの活用や、集団の中では落ち着きがないため一斉指導では 学習に集中できない児童生徒に対する個別指導が効果を上げたことが 報告されている。とりわけ、それぞれの児童生徒の認知能力の特性や 学習の仕方に配慮して個別に指導計画を設け、苦手な分野の学習にも 長所を生かせるような指導が重要であること、具体的には、 [1] 教材の種類とその示し方、板書の仕方、ノートの取り方の指導などの 工夫が大切であること [2] 読み書き計算と強い関係のある、文字、記号、図形の認知等に配慮し た指導や手指の巧緻性を高める指導も有用であること。  [3] 「書くこと」や「計算すること」が特別に困難な場合には、ワープロ やコンピュータあるいは電卓など本人が取り組みやすい機器等の併用 が効果的であることが報告されている。    こうした具体的な指導方法を体系化し、一層効果的なものとするため、 今後国立特殊教育総合研究所において、内外の各方面で実施されてい る研究の成果を取りまとめていくことが望まれる。 5.学習障害児に対する指導の形態と場  学習障害児の指導には、個に応じた指導の一層の充実を図る観点から、教 科の学習の困難の程度に応じた指導の形態とそのための場が必要である。   (1)通常の学級における指導  学習障害児の多くは通常の学級に在籍していることから、これらの児童生 徒に対する指導は、中間報告で指摘したとおり、通常の学級における指導を 基本に対応していくことが重要である。  具体的には次のような方法が考えられるが、学習障害児の指導を担任のみ に委ねるのではなく、学校全体で取り組むことが重要である。このため、校 内研修会等を通じて学習障害児の抱えている困難について教職員が共通理解 を深めるとともに、学校全体の支援体制を構築する必要がある。 [1] 担任が配慮して指導   学習上の困難が軽度な者については、通常の授業の中で担任が配慮して 指導することが適当であることから、基本的には、全ての教員がこうし た児童生徒の特徴を理解し、その指導方法を実践できるようにすること が求められる。   このため、国立特殊教育総合研究所と連携を図りながら、各都道府県の 特殊教育センター等の専門機関における研修の機会の充実を図るととも に、各大学の判断により、教員養成課程において学習障害児に対する理 解・指導方法等について取り扱うことが望まれる。 [2] ティームティーチングによる指導   平成5年から、基礎・基本の徹底と個に応じた多様な教育が展開できる   よう、複数の教員が協力して小人数による指導や個別指導を行う、いわ   ゆるティームティーチング等を実施するための教職員の配置が図られ、   効果を上げている。   学習障害児は、その特性から通常の一斉授業の形態による指導では十分   に学習内容を理解することができないことがある。しかし、本人の理解   できる能力に応じた個別の指導方法がとられれば、十分通常の学級の中   で学習できる者が相当数存在する。こうした児童生徒の指導に際しては、   このティームティーチングの活用が大きな力を発揮すると考えられる。   したがって、ティームティーチングの幅広い活用の中で、学習障害児の   指導にも十分配慮することが望まれる。   なお、ティームティーチングの教員が一斉授業において指導するのみで   なく、一部の授業を別の場で個別に指導することも一つの方策であると   考えられる。 (2)通常の学級以外の場における指導 [1] 通常の学級における授業時間外の個別指導   ティームティーチングによる指導形態がとれない場合又はそれのみでは 十分な教育効果が期待できない場合については、必要に応じて放課後等 通常の授業時間外に個別指導を行うことも効果的な場合がある。   また、この個別指導を有効に進めるためには、全ての指導を担任に委ね るのではなく、非常勤講師等の活用を図ることも考えられる。   なお、児童生徒の中には授業時間外に自分だけが個別指導を受けること に抵抗を感じる者もおり、こうした感情を持つものにあっては、個別指 導が十分な効果を上げることができない場合も予想される。このような 事態を避けるため、通常の授業時間外の指導の実施に際しては、こうし た児童生徒が参加しやすいよう対象を学習障害児に限定せず、当該教科 につまづきを持っている児童生徒が自由に参加できるいわばオープン教 室を設置することも一つの方策として考えられる。 [2] 特別な場での個別指導   学習障害児に対する指導の場として、特定の教科については通常の学級 以外の特別の場を設けることや、平成5年度から実施された「通級によ る指導」に類似した指導の場を設けることが考えられる。しかしながら、 例えば次のような未解決の課題があり、引き続き研究を進めることが適 当であり、今後、国立特殊教育総合研究所を始め各方面において精力的 な検討が進められることが求められる。 ア 学習障害児のうち特別の教育課程を編成して指導することが適当な者の   範囲・要件 イ 困難のある特定の能力それぞれに対応した特別の教育課程における具体   的な指導方法 ウ 特別な教育課程による指導の終了後に円滑に通常の学級で対応するため   の方策  なお、学習障害児のうち、言語障害あるいは情緒障害と重複している者の 場合には、学習障害児であっても、それぞれの通級による指導の場において、 言語障害あるいは情緒障害についての必要な指導を受けることが可能である。 (3)専門家による巡回指導  学習障害児に対する指導は、学習障害に関する専門的な知識・技能をもつ 専門家との連携協力を図りながら進めていくことが重要である。このため、 専門家が教員に対して児童生徒への指導方法等を直接指導する機会を広げる ため、既に一部地域で実施している専門家による巡回指導を充実する必要が ある。  さらに、巡回指導を行う際、必要に応じて専門家が直接児童生徒を指導す ることも検討すべきである。 また、専門家による巡回指導を効果的なものとするためには、専門家の資 質の確保・向上を図ることが不可欠である。学習障害の専門家は、教育学の みでなく心理学・医学等様々な分野についての知識が必要であるが、このよ うな専門家を単独で確保することは容易ではなく、また、地域的な偏在も大 きいと考えられる。  こうした実態を踏まえ、国立特殊教育総合研究所において、従来からの教 員を中心とした研修とあわせて専門家養成のための研修の在り方を検討すべ きである。 6.おわりに  本報告は、学習障害児に対する教育的対応について、現時点において考え られる内容を取りまとめたものである。学習障害児の特性や指導方法等につ いては研究途上にあり、今後明らかにすべき課題も多いところであるが、学 習障害児及び学習障害に類似した困難を有する児童生徒が相当数存在してい ることにかんがみ、まず当面実施可能な方策を速やかに講じることが必要で ある。  今後、中間報告とあわせてこの報告で提言された方策が実施されることに より、学習障害児に対する指導が一層充実されることを期待するものである。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ----------------------------------- 17:18 99/07/11 □ ---------------------------------- 各方面のご厚意により、「学習障害児に対する指導について(報告)」全文 を掲載することができました。重ねて感謝申し上げます。 この報告書に関する、ご感想等ありましたら、お知らせ下さい。 E-mail: keyaki@box.club.ne.jp または、下記掲示板へどうぞ。。。 --------------------------------  LDニュース読者用掲示板をご活用下さい。。。。  http://www.simple-j.com/kkk/kbbs.cgi?bn=110201 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュース記載内容を転載される場合は必ず下記までご連絡下さい ■ 「けやき」連絡先 E-mail: keyaki@box.club.ne.jp [1999.03.12 更新] 「けやき」HP http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/ [1998.07.31 更新] LDニュースのバックナンバーの閲覧及び配信は以下のサイトからできます http://backnumber.to/list.asp?userid=10000592 [1999.01.11 更新] LDに関する情報交換・意見交流・質問は「LDフォーラム」をご利用下さい http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/LD-FRM/INDEX.html [LD-FRM] 読者用「掲示板」→ http://www.simple-j.com/kkk/kbbs.cgi?bn=110201 ■ 編集者は掲載記事に関して最終保証責任を負うものではありません ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ LD NEWS は「まぐまぐ」http://www.mag2.com/ を利用して発行しています

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