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□ LD・発達障害等関連図書 → http://ldnews2000.web.fc2.com/books/  □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LD(学習障害)ニュース #1098 2011/08/22 発行 登録(配信)読者数 3010 ■ ■ LD = Learning Disabilities LDニュース編集人発行 1997/09/10創刊 ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 親の会「けやき」講演会「二次障害予防」/武蔵野公会堂 2011/11/26 ■ ■ 障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案 (平成23年8月9日追加提案) ■ □ 編集後記 ------------------------------------ 23:47 2011/08/21 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 夏休みのワーキングメモリトレーニングお申込み受付中。コグメド・ジャパン   http://www.cogmed-japan.com/                【広告】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□■ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください ■□■□■ ■ LDニュースへ講演会等のイベント情報の掲載を希望される方へ・・・ ■ ■ 詳細は下記サイトをご覧下さい。原稿は適宜編集する場合があります。 ■ ■□■□■□ http://ldnews2000.web.fc2.com/sample.html  ■□■□■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発達障害 母たちの奮闘記 (平凡社新書) [新書] 山下 成司 (著) http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00064.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 親の会「けやき」講演会「二次障害予防」/武蔵野公会堂 2011/11/26 ■ ------------------------------------------------------------------------ LD親の会「けやき」主催講演会『どんな大人にしたいですか』 〜家庭や学校でできる二次障害予防の心得〜 http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/KEYAKI/20111126.pdf LD親の会「けやき」主催講演会 『どんな大人にしたいですか』〜家庭や学校でできる二次障害予防の心得〜 講 師:小栗 正幸 氏     特別支援教育ネット代表・特別支援教育士スーパーバイザー 障害が原因で起こる失敗や挫折のくり返しから、感情や行動にゆがみが生じ、周 囲を困らせる行動をとることを二次障害といいます。 LD親の会「けやき」では、小栗正幸氏をお招きし、「家庭や学校でできる二次 障害予防の心得」と題して、下記日程にて講演会を開催いたします。 LD等発達障害のある思春期の子どもをかかえて、子育てに悩む親御さんや、支 援に携わっている教育機関等の関係者の方々におきき頂き、参考にしてほしいと 思っています。是非、多くの皆様のご参加をお願いします。 日 時:2011年11月26日(土) 13:30〜16:00                    (受付開始 13:00) 場 所:武蔵野公会堂 第1・2会議室(2F) JR中央線吉祥寺駅(南口) 定 員:100名(事前申し込みが必要です) 対 象:保護者、教育関係者、障害者支援関係者、一般(関心のある方) 申 込:名前・お立場・連絡先を明記の上、11月12日(土)までに申込 ★申込先Eメールアドレス:keyaki@box.club.ne.jp 資料代:1000円(当日受付にて申し受けます)けやき会員は無料です 主 催:LD(学習障害)親の会「けやき」 後 援:東京都教育委員会(申請中) 会場地図:http://www.musashino-culture.or.jp/koukaido/access.html JR吉祥寺駅南口から徒歩2分。井の頭公園に向かう途中にあります。 ※できるだけ徒歩もしくは電車、バスをご利用くださいますよう、お願いいたし  ます。駐車場はありません。 ※お問い合わせは、表面Eメールアドレスへお願いします。 ※小栗先生に質問がございましたら、申し込み時に一緒に、メールにお書き下さ い。または、この用紙に記入の上、当日会場の受付にてご提出ください。 質問内容:http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/KEYAKI/20111126.pdf ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ インクルーシブ教育の実践−すべての子どものニーズにこたえる学級づくり− http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00052.html  学苑社 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案 (平成23年8月9日追加提案) ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2011/08/dl/0809-1a01_00.pdf http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2011/08/txt/0809-1_1.txt 総合福祉部会 第17回 H23.8.9 資料1 障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案 (平成23年8月9日追加提案) ●  はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1   I.総合福祉法(仮称)の骨格提言 ●  1.法の理念、目的、範囲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 7/26 2.障害(者)の範囲 7/26 3.選択と決定(支給決定) 7/26 4.相談支援 7/26 5.権利擁護 7/26 6.支援(サービス)体系 7/26 7.利用者負担 7/26 8.報酬と人材確保 7/26 9.地域生活の資源整備 7/26 10.地域移行    II.新法制定と実現への道程 ●  1.旧法から自立支援法の事業体系への移行について ・・・・・・15 ●  2.障害者総合福祉法と基金事業について ・・・・・・・・・・・16 ●  3.新法準備に当たってのその他の課題 ・・・・・・・・・・・・18    4.財政のあり方 ●  (1)障害福祉への支出をOECDの平均水準以上に ・・・・・・・・21 ◎  (2)個別ニーズ評価自治体の財政分析結果 ●  (3)長時間介護などの地域生活支援のための財源措置 ・・・・・22        III.関連する他の法律や分野との関係 ●  1.医療 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 ●  2.障害児 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 ●  3.労働と雇用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 ●  4.その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43 ● おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 ◎ 資料(委員名簿等) ● 〜 今回(第17回総合福祉部会にて)提案している項目 ◎ 〜 現在、検討中の項目 7/26〜 7月26日の第16回総合福祉部会にて提案済の項目 <以下前号からの続き> II 新法制定と実現への道程 II−1.旧法から自立支援法の事業体系への移行について 【表題】旧法から自立支援法の事業体系への移行について 【結論】 ○自立支援法に基づく事業への移行期限終了後も、一定の要件のもと従前の運 営費の10割を保障するなどの支援策を継続する。 【説明】  自立支援法に基づく事業に移行することで、経営努力にもかかわらず大きく 減収となる事業所は移行期限である平成24年3月まで移行できない上に、移行 後の運営に大きな不安を抱えている。また、東日本大震災や福島原子力発電所 事故の影響で、期限内の移行が不可能になったところもある。  こうしたことを踏まえ、現行の事業運営安定化事業による10割保障を、移行 期間終了後も継続する。 II−2.障害者総合福祉法と基金事業について 【表題】[1]障害者総合福祉法を補完する基金事業について 【結論】 ○障害者総合福祉法を円滑に推進し、その実効性を高めるために必要な事業で あって、報酬体系に組み込むことが困難なものについては、基金事業として実 施する。 ○基金事業は、都道府県が実施するものと市町村が実施するものに分かれる。 【説明】  現行の基金事業の成果を検証するとともにその位置付けを見直し、障害者総 合福祉法を補完する上で有効な事業は、継続あるいは創設する。  例えば、施設、病院からの地域生活移行や、親元からの地域生活移行を推進 するための基盤整備事業は重要である。具体的には、入所施設定員や精神科病 院の病床数の削減を伴って地域生活への定着を支援する事業や、入所施設を閉 鎖して地域生活を支援する先駆的な事業所への支援などが考えられる。利用者 個人に対しては、現行の「地域移行支度経費支援事業」(入所、精神科病院か ら地域生活への移行を促進するため、地域での生活において必要となる物品の 購入について支援─一人当たり3万円)のような事業が考えられる。   【表題】[2]障害者総合福祉法の体系への移行を支援するための基金事業に  ついて 【結論】 ○自立支援法に基づく事業体系から新法に基づく支援体系への移行を円滑に推 進するために、利用者と事業者双方を支援する基金事業を設ける。 ○都道府県が実施する基金事業と市町村が実施する基金事業を設ける。 ○基金事業の期間は2段階とする。    [1]法施行時から平成25年7月まで    [2]平成25年8月から平成31年3月まで 【説明】  自立支援法への移行に関しては様々な基金事業が実施され一定の成果があっ たが、基金事業のメニューの選択は都道府県に任せたため、都道府県格差が生 じた。こうした点を踏まえ、総合福祉法の支援体系への移行に当たっては、基 盤整備のような全国共通の事業は格差が出ないようにする。  この基金事業は、都道府県、市町村及び事業所が新法への移行を円滑に行う ことを支援するためのものであり、その領域は就労支援、相談支援、権利擁護、 人材養成・研修等の幅広い分野にわたる。  この基金事業は[1]法施行時から平成25年7月まで、[2]平成25年8月から平 成31年3月までの二期に分けて実施する。 II−3.新法準備に当たってのその他の課題 「障がい者総合福祉法(仮称)の制定以前に早急に対応を要する課題の整理(当 面の課題) 平成23年6月7日」に関わって等 【表題】[1]利用者負担 【結論】 ○応能負担でも低所得者には軽減策をとり、利用者負担を0円にする。 ○障害福祉サービス、補装具、自立支援医療、地域生活支援事業、介護保険の 利用者負担を合算し過大な負担とならないようにする。 ○所得区分の認定においては利用者本人を基本とし配偶者を含めないこと。 【説明】  所得保障がなされない中で低所得者には過度な利用者負担を課すべきでない。 つなぎ法では応能負担になるが、新法ができるまで、応能負担の軽減策を低所 得者に現在のように0円になるような配慮が必要。  利用者負担の合算では地域生活支援事業、自立支援医療、介護保険の利用者 負担を合算し、軽減できるようにする。 【表題】[2]地域での自立した暮らしのための支援の充実 【結論】 ○障害程度区分に連動する国庫負担基準を支給決定量の上限としてはならない ことについて自治体に徹底させる。国庫負担基準を超える分の国から市町村 への財政支援を行う。 ○地域生活支援事業の地域格差の解消に為に予算を確保する。 ○移送支援の個別給付化、重度訪問介護の知的・精神障害者、障害児への対象 拡大を行う。 【説明】  新法移行に向けて、平成24年4月1日から可能な施策は実施する。必要な支 援の量が障害程度区分に連動する国庫負担基準を超える場合、相談支援とケア プランを検証した上で支給できるように、国が市町村に財政支援を行う。  移動支援、日中一時支援などは地域生活支援事業ではなく、個別給付にする。 【表題】[3]報酬構造の見直し、加算の整理と報酬改訂、 【結論】 ○各種の加算を整理し、可能なものは基本報酬に組み入れていく。 【説明】  複雑な加算制度を基本報酬に組み入れることで、事務処理を簡素化していく 事が必要である。但し、人的な支援を手厚く実施していく場合や看護師、理学 療法士、作業療法士、臨床心理士、等の専門職を加配した場合などの配置加算 は考慮する。 【表題】[4]介護職員処遇改善交付金に関して 【結論】 ○介護職員処遇改善交付金は基本報酬に組み込む。 【説明】  介護職員処遇改善交付金は、介護職員の処遇改善に取り組む事業者に対して、 平成23年度末までの間、介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均1.5万円を 交付するものであるが、対象職員が限定されている、諸手続きが複雑であるな どの問題点がある。こうした点を解消する観点から、基本報酬に組み入れて事 業所全体の賃金の底上げを図る。なお、現政権のマニフェストでは、「介護労 働者の賃金を月4万円程度引き上げます」としており、引き続き、取り組みを強 める。 【表題】[5]通所サービス等利用促進事業の交付金に関して 【結論】 ○通所サービス等利用促進事業の交付金は報酬に組み込む。 【説明】  日中活動支援を利用するには送迎は必要である。また、医療的ケアを必要と する人の送迎には看護師の添乗も必要になる。現行の生活介護には送迎経費も 含まれているとの解釈があるが、他の通所事業には送迎経費は含まれていない。 送迎を行う事業所への通所サービス等利用促進事業の交付金は、実績に応じて 報酬に含まれるようにする。 【表題】[6]総合福祉法の策定及び実施のための調査等について 【結論】 ○地域生活移行に向けた施設入所者、入院患者への実態調査等を実施する。 ○新たな支給決定の仕組みのための試行事業や研究等を実施する。 【説明】  既に厚生労働科学研究費、総合福祉推進事業等で先行研究や試行調査が行わ れているが、加えて総合福祉法の策定及び実施に関する調査等のための予算確 保を行う。  障害程度区分に代わる新たな支給決定の仕組みの開発及び実施に関しては、 試行事業による検証等、十分な準備を経るべきであり、またその過程は当事者、 家族、事業者に的確に情報提供されなければならない。国は、そのために必要 な予算を確保する。  総合福祉法の骨格や内容について、当事者向けの分かりやすい資料を作成す る必要がある。作成に当たっては、当事者の意見・助言を受ける。 II-4-(1) 障害者福祉予算をOECD諸国の平均水準以上に 【表題】障害者福祉予算をOECD諸国の平均水準以上に 【結論】 ○障害者への現物給付の水準をOECDの平均水準以上に引き上げる。 【説明】  障害者福祉の予算水準のあり方を考える上で、参考になるのがOECD諸国との比 較である。  そこで地域生活をささえる支援サービスの予算規模(障害者に対する現物給 付。ほぼ障害者自立支援法によるサービス費用に相当)のOECD諸国の対GDP比平 均を計算したところ、0.392%(小数点第4位を四捨五入)であった。(OECD SOCX2010。2007年データ。34カ国のうち、データなしのアメリカ・カナダを除 く32カ国を集計。)  日本は0.198%(1兆1138億円に相当)でOECD諸国第18位であった。これを平 均並み(GDPの0.392%)に引きあげるには、GDP比0.193%(約1兆857億円)の 増額が必要であり、総計で現在の約2倍に当たる2兆2051億円となる。また10位 (0.520%)以内では約2.6倍に当たる2兆9251億円となる。(2007年の日本の GDP総額は562兆5200億円)。 II-4-(3)長時間介護などの地域生活支援のための財源措置 【表題】長時間介護などの地域生活支援のための財源措置 【結論】 ○国は、長時間介護に必要な財源を確保する。 ○地域移行者や地域生活をする重度者に関する支援サービスに関して、他の支 援サービスの場合における負担と支給決定のあり方とは、異なる仕組みを導入 する。 ○国は、地方自治体が、国庫負担基準を事実上のサービスの上限としない仕組 みを財源的に担保する。 【説明】  どんなに重い障害がある人でも、障害者権利条約第19条の「他の者と平等な 選択の自由を有しつつ地域社会で生活する平等な権利」を実現することが求め られる。長時間介護も、その人の障害特性やニーズ、医療的ケアの必要度等に 応じて、日中の介護のみが必要な人から、24時間のパーソナル・アシスタン スが必要な人まで、必要とされる介護内容は様々である。ただ、どんなに重い 障害がある人でも、またどこに住んでいても、地域社会で暮らす権利が満たさ れる為に必要な支援量は提供されるべきである。上記を満たし、各人のニーズ に応じた支援が適切に届けられるために、財源を確保して支援することが必要 である。  地域移行者と地域生活をする重度者では、負担と支給決定のあり方を変える べきである。地域移行者の中には、出身自治体と居住自治体が分かれているケ ースが少なくない。住民票がある住所では地域生活が出来なかったため、入所 施設や精神病院に長期間、社会的に入院・入所している、という住民票住所と 実際の居住地が異なるケースなどである。こういう人が地域移行した場合、移 行先が住所地となるため、施設や病院に近い自治体、あるいは重度者の地域移 行を先進的に進めてきた自治体は、過剰な負担を強いられる可能性がある。こ れが、地域移行を阻害する要因の一つでもある。  そこで、施設・病院から地域移行する人や親元から独立して別市町村で暮ら す障害者については、出身自治体が一定年度の財政負担(恒久的かどうかは検 討)をした上で、居住自治体での支給決定をすることも検討してはどうか。  現状では国庫負担基準という形で実質的な予算上限を設定しているため、少 なからぬ自治体が、国庫負担基準を事実上のサービス上限としている。  はじめに予算ありき、ではなく、まずは障害者のニーズを中心に検討すべき である。そのニーズを積み上げる形で、必要な支給決定がなされる必要がある。  総合福祉法においては、障害者の実態とニーズに合わせ、「地域で暮らす権 利」を保障するための財源を確保すべきである。  従って、国庫負担基準については、次のような考え方が考慮されるべきであ る。 (1)地域生活する重度者について、現行の国庫負担率以上は国負担を原則とす る。ただ、そのことが無理な場合、例えば都道府県での基金化も含め市町 村負担を大幅に引き下げる対応を考えるべきである。 (2)ホームヘルプについては、8時間を超える支給決定をする場合は、8時間 を超える部分の市町村負担は5%程度に下げ、都道府県が45%を負担し、8 時間以内の支給決定をする場合および8時間以上の支給決定の場合の8時間分 については、市町村負担を26%とし、都道府県負担の1%を確保して使うよ うにする案を提示した。(図参照)   なお、ホームヘルプにかかる国の負担割合は現行5割であるが、地域格差 なく、必要とされるサービス提供が保障されるためには、現行以上の国の負担 割合を検討すべきである。  上記の図で8時間を境にしている理由は、重度訪問介護の区分6の国庫負担 基準が約40万円で、月212時間程度の単価となり、1日当たり7時間超で あることから、8時間を境にしている。  また入所施設や精神病院への入院・入所者の地域生活移行等を促進するため、 例えば居住地と出身地で費用を分担するような方式が考えられないか。(下図 参照) III 関連する他の法律との関係 【項目】 III−1 医療  医療・合同作業チームでは、障害者の医療をめぐる現状を踏まえつつ、障害 者は保護の対象ではなく権利の主体であるとの考えに立ち、障害当事者の経験 に即した視点から、諸課題への解決策につながるよう、制度の在り方につき検 討を行った。 (第1期(H22.10〜12月)には精神医療を中心に、第2期(H23.1〜6月)には、 障害の種別を問わず、障害者の生活を支える地域医療を主題として検討。) 【表題】「地域における障害者の生活を支える医療」の実現に向けた理念と制 度基盤の構築 【結論】 ○障害者が地域で暮らし社会参加できるようにするためには、適切な医療の提  供が不可欠である。医療は、福祉サービス及び保健サービスとの有機的連携  を確保しながら提供される必要があるという、総合福祉法(仮称)の理念は  医療保健の分野にかかる法律においても確立されるべきである。 ○また、包括的なサービス提供の基盤となるものとして、個々の障害者に対す  る相談支援の際、当該障害者の福祉・保健・医療にわたるニーズに合った総  合的な相談支援が自己決定への支援と一体的に提供されることが必要であ  る。このような本人の希望を踏まえた総合的な支援が総合福祉法(仮称)の  みならず、医療保健の分野にかかる法律においても実施できるよう、基盤整  備が有機的連携の下になされなければならない。 【説明】  障害者に対する医療は、疾病に対する治療を提供する医療(医療モデルに基 づく医療)とは在るべき姿を異にする。医療モデルではなく個々の障害者の生 活の状況を基盤として、日常生活を支える不可欠のサービスとして、医療が、 保健、福祉、生活支援のサービスと有機的連携を確保しつつ提供されることが 重要である。このような観点から、障害者に対する地域医療をさらに向上発展 させていくための理念と制度基盤の構築が、総合福祉法(仮称)のみならず医 療法、地域保健法等の関係法令のもとでも必要である。 【表題】障害者の医療費公費負担制度の見直し 【結論】 ○障害者の医療費公費負担制度の見直しに際しては、現行の自立支援医療制度  のみならず、特定疾患治療研究事業、小児慢性特定疾患治療研究事業、高額  療養費制度、都道府県の重度心身障害児者医療費助成制度等を総合的に検討  の対象とする必要がある。 【説明】  地域で生活する障害者は、障害の種類にもよるが、外来等により反復継続し て医療を受ける必要がある場合が多く、その経済的負担は本人の負担能力に比 して過重となりやすい。また、必要な医療が適時的確に受けられるようにする ことは障害の重度化を予防する観点からも重要であり、経済的負担の過重感か らこれが妨げられることがあってはならない。こうした観点から、自立支援医 療のみならず、様々な医療費公費負担制度に基づき講じられている負担軽減の 仕組みを総合的に検討していく必要がある。 【表題】医療的ケアのにない手の確保 【結論】 ○重度の障害者の地域生活を支援するため、日常的に必要となる医療的ケアの  にない手を増やしていく必要があり、介護職員等に関する法令上の規定の整 備や医療関連職種に関する法令との調整が必要である。 ○その際、介護職員等が不特定多数の対象者へ当該医療的ケアを行う場合(入  所施設でのケア等)と、にない手が個別的に特定の対象者へ特定のケアを行  う場合(学校や在宅でのケア等)を区別し、それぞれに相応しい柔軟な実施  体制の整備が図られるべき。 【説明】  平成23年の社会福祉士法、介護福祉士法の改正により、平成24年度から、 たんの吸引と経管栄養について、看護師等だけでなく、一定の研修を受けた介 護職員等も行うことができるようになった。研修受講の便宜を図りつつ、これ らの医療的ケアをになう介護職員等を増やしていくとともに、医療的ケアを日 常的に必要とするより多くの障害者が地域で円滑に生活を送れるよう介護職員 等が実施できる医療的ケアの範囲をさらに拡大することも検討する必要がある。 【表題】重度身体障害児者、重症心身障害児者の医療と地域生活 【結論】 ○重度身体障害児者や重症心身障害児者にとっては、総合福祉法による長時間  介助サービスと相まって、地域生活を送るうえでのニーズに即した医療サー  ビスが身近なところで受けられる体制と、日常的な医療的ケアが日頃介助し  ている介助者によって行いうる体制を構築することが必要である。同時に、  ショートステイも含めた施設への入院・入所機能の確保も重要である。 【説明】  障害が重度であっても地域で生活できるよう支援を講じていくことが重要。 このためには、長時間介助サービスの提供と相まって、日常的な医療の提供が 確保されること、また、生命と生活のセーフティネットとしての施設機能が確 保されることが重要であり、そのための関係法令の整備が必要となる。 【表題】難病等のある障害者の医療と地域生活 【結論】 ○難病その他の希少疾患等のある障害者にとっては、身近なところで専門性の  ある医療を受けることができる体制及び医療を受けながら働き続けること  のできる就労環境が求められ、このための法令の整備が必要である。 【説明】  難病等にかかる障害者について、概念整理を進める必要があるが、難治性慢 性疾患のある人も含むよう幅広くとらえ、それらの人に対しては総合福祉法(仮 称)にもとづく生活支援が講じられるとともに、医療及び就労分野の法令にお いて、医療を受けながら地域生活、特に働き続けることができる環境の整備に ついて規定していくことが必要である。 【表題】精神障害者の医療と地域生活 【結論】 ○精神障害者にとっては、総合福祉法において、安心して地域社会で自立した  生活を送るための生活支援や相談支援が求められるが、医療の分野において  は福祉サービスと連携しつつ、地域の身近なところで必要な通院医療や訪問  診療を受けられる体制が求められる。 ○精神障害者が調子を崩したとき、家族との関係が一時的に悪化したとき等に、  入所、入院を防ぐあるいは再発予防のためのドロップインセンターとして、  必要時にすぐに使えるレスパイトやショートステイが必要である。その際、  障害程度区分に依らず使える仕組みとすることが必要である。 【説明】  地域移行、支給決定、相談支援の項におけるセンターの機能は、この項とも 密接に関係する。 (※ なお、人権保障の観点からの社会的入院の解消、地域移行等については、 別項で記述する。) 【表題】発達障害者の医療と地域生活 【結論】 ○発達障害者にとって、地域で生活できるためには、総合福祉法に基づく生活  支援とともに、身近なところで専門的な治療や療育をうけられる体制の整備  が求められる。 【説明】  特に、発達障害の診断・治療・療育に係る指針等を普及させ、これらを担う 能力を十分に備えた医師等の医療従事者を増やすことにより、医療の質を上げ る(不必要な投薬を避け、適切な支援を提供する)ことが求められる。 【表題】精神障害者に係る非自発的入院や入院中の行動制限 【結論】 ○関係する法律(精神保健福祉法、医療法等)を抜本的に見直し、以下の事項  を盛り込むべきである。 ・いわゆる社会的入院を解消し、精神障害者が地域社会で自立(自律)した生  活を営むことができるよう、権利の保障を踏まえた規定を整備すること ・非自発的な入院や入院中の行動制限については、人権制約を伴うものである  ことから、本人の意に反した又は本人の意思を確認することができない状況  下での適正な手続に係る規定とともに、人権保障の観点から第三者機関によ  る監視を含む適切な運用がなされることを担保する規定を整備すること ・その際、第三者機関の必要経費は、国庫が負担すること 【説明】  関連して、精神疾患の入院ニーズを精査し、国並びに都道府県は精神科病床 の削減計画を立て、入院に代わる地域での医療体制を構築することが必要であ る。これは、地域移行、資源整備の項における計画とも密接に関連する。  同時に、医師や看護師等の精神医療に充てる人員の標準を一般医療より少な く設定している現行の基準を改め、必要最低限の適正な病床数と必要な人員を 配置し、精神医療の質を向上するための根拠となる規定を設ける必要がある。 【表題】保護者制度 【結論】 ○保護者制度は廃止し、これに代わる公的制度を確立するべきである。 【説明】  医療保護入院に係る同意を含む「保護者制度」の問題点を解消するために、 自らの判断と選択による医療の利用が保障されるべきことを確認するとともに、 非自発的な入院等の際に公的機関がその責任を果たす制度を構築し、その導入 に伴い保護者制度は廃止する。 【表題】精神障害者の入院に係る病室の規定の見直し 【結論】 ○精神病患者を精神病室でない病室に入院させないこととしている医療法施 行規則第10条三項を廃止する。 【説明】  精神障害者が精神疾患を持ちながら地域で生活するには、一般病院を含め身 近なところで通院や往診などを受診できることが重要となる。精神疾患の治療 の場を他疾患と同様に一般医療の中に組み込み精神科医療へのアクセスをよく することは、再発予防や早期発見につながる。また、医療従事者や市民が抱く 精神科医療への抵抗感や偏見をなくし、ひいては地域移行の推進にもつながる。 その障壁となっている当該規定は廃止すべき。 【表題】障害者に対する歯科保健・歯科医療の充実 【結論】 ○障害者、特にアテトーゼや行動障害を伴う障害者に対し、身近なところで歯 科保健サービス及び歯科医療を提供する体制の整備・充実のため、院内で治 療できるよう、物的設備の整備支援、医師等に対する障害に関する研修、訪 問治療等につき、医療法等の関連法令の規定の見直しが必要である。 【説明】  障害者にとって歯科治療を円滑に受けることが困難な状況が依然として存在 する。歯科医療及び予防は、障害者にとって、健康保持、学習発達(特に障害 児)、生活機能の回復向上に重要であり、現状の改善が不可欠である。 【項目】 III−2 障害児  「障害者制度改革の推進のための基本的な方向性について」(平成22年6月 29日閣議決定)で示された次の2点について、平成23年内に結論を得るべ く論点を整理するよう、障害児支援合同作業チームが設置された。 ・地域の身近なところで提供される障害児やその保護者に対する相談支援と療  育等の在り方について ・障害児への支援が、利用しやすい形で提供されるための具体的方策について 1.児童福祉法関係 【表題】権利擁護 【結論】 ○障害児を含むすべての子どもの基本的権利を保障する仕組みの創設が望まれ ることから、児童福祉法でオンブズパーソンを制度化するべきである。その ために、社会保障審議会児童部会に検討の場を設け、検討を進めること。 【説明】  障害の有無や程度にかかわらずすべての子どものための権利擁護の仕組みを 市町村に設けるために、オンブズパーソンを、国連の子どもの権利委員会の勧 告(CRC/C/JPN/CO/3, 2010.6.)を踏まえ、児童福祉法で制度化するべきである。 特に、障害児は契約当事者が保護者であるため、子どもの視点から最善の利益 を保障できる権利擁護の仕組みが必要である。既に自治体で取組まれている先 行事例等もあることから、社会保障審議会児童部会で検討を進め、オンブズパ ーソンの制度化を図るべきである。 【表題】早期支援 【結論】 ○母子保健法に基づく障害の早期発見を、保健指導や医療の保障にとどまらず、 障害児が地域の子どもとしての育ちを保障されるよう、児童福祉法の子育て 支援事業と連携し実施すること。 ○健康診査等による要支援児に対しては、家庭への訪問・巡回等、家庭での育 児支援を基本的な在り方とし、児童及び保護者の意思に基づいて、児童発達 支援センター、医療機関、入所施設等を活用できるようにすること。 【説明】  母子保健法は、学校保健安全法、児童福祉法等に基づく事業と協調するよう 規定されているが、現状は、障害の発見から療育、特別支援教育へと「特別な 支援過程」につながるだけのことが多い。障害の発見を地域の子育て支援、さ らに地域の学校への就学につなぐことの出来る制度設計が必要である。   【表題】一般児童施策の利用が障害を理由に制限されないこと 【結論】 ○児童福祉法の保育所の入所要件には、障害を理由に利用を制限する規定がな  いことを踏まえ、今後の「子ども園」(仮称)の制度化において、障害児の  入園が拒否されないように応諾義務を課すこと。また、必要な支援を確保す  るよう、必要な規定を児童福祉法もしくは「子ども園」に係る新法に設ける  こ と。 ○障害児が、放課後児童クラブへの参加を希望する場合には、障害を理由に拒  否されないこと。また、指導員の加配や医療的ケアを必要とする子には看護  師を配置する等、必要な支援を講じること。 【説明】  児童一般施策と障害児施策の両方があることによって、障害児が児童一般施 策を利用しにくい、あるいは利用できないということがないようにするべきで ある。  子ども・子育て新システムの「子ども・子育て会議(仮称)」や「新システム 事業計画(仮称)」等も、上記の理念の下に検討が進められるよう障害児、家族 及び支援者が参画し、障害を理由に利用が拒否されないよう、かつ、必要な支 援が確保されるよう「子ども園」(仮称)が制度化されるべきである。放課後 児童クラブについても、同様に整備されるべきである。 【表題】療育 【結論】 ○地域社会の身近な場所において専門性の高い療育(障害児に対する発達支  援・育児支援・相談支援・医療的支援)を利用できるようにすること。 ○障害者基本法の「可能な限りその身近な場所において療育その他これに関連  する支援を受けられるようにするため」の規定を踏まえ、児童福祉法の療育  の規定を整理すること。 【説明】  障害児の個々の特性を踏まえた専門性の高い療育を身近な地域で得られるよ うにすべきである。児童福祉法には「療育の指導等」が規定されているが、規 定の仕方が狭いため、地域社会の身近な場所で療育が利用できるように整理す べきである。 【表題】通所支援 【結論】 ○保育所等訪問支援事業や巡回支援専門員整備事業、障害児等療育支援事業の  拡充を図るとともに、児童発達支援センターもその対象に加えること。 ○児童発達支援センターは、様々なニーズのある障害児に対応できる職員配置  基準が必要であるため、保育士及び児童指導員に加え、看護師や療法士等の  専門職を適正に配置できるようにすること。 【説明】  障害児通園施設が障害種別に分かれて培ってきた「専門性」を、他の児童発 達支援センターや放課後等デイサービス事業所等に提供して相互のレベルアッ プを図ることに加え、福祉型センターには看護師や療法士等、医療型センター には保育士等の必要な職員を確保して発達支援機能を向上させ、真の意味の 「一元化」を目指すことが必要である。 【表題】障害児入所施設 【結論】 ○障害児の自立生活にむけて、「自立支援計画」の策定を障害児入所施設に義  務付けること。その根拠規定を児童福祉法、児童福祉施設最低基準に設け、  運 営ガイドラインを整備すること。 ○入所決定、入所後であっても、地域の子どもとして意識されるよう、児童相  談所等に加え、市町村が関与できるようにすること。 ○入所支援から地域生活に移行にあたっては、在宅生活が可能となるよう地域  資源を整備し、家庭に帰れない場合でも、障害児専門の里親制度の拡充や障  害児を対象とするファミリーホームなど、できるだけ家庭に近い養育環境を  整備すること。また障害児入所施設の小規模化、ユニット化を促進するため、  加算措置をすること。 ○NICU(新生児集中治療室)から在宅生活に移行するに当たり、その移行準備  や障害が発見された直後の親に対するカウンセリング、養育指導においては、  医療型障害児入所施設の母子入園での支援が有効であることから、これを拡  充すること。 ○入所施設は、社会資源の一つとして、保育所を含む地域機関や家庭への訪問、  巡回型の支援が行えるようにし、すべての障害児入所施設にショートステイ  枠を増設すること。 【説明】  児童養護施設等に義務付けられている自立支援計画は、障害児入所施設には 義務付けられていない。障害児入所施設に、児童相談所等との協議にもとづき 将来の自立生活に向けた「自立支援計画」の策定を義務化するべきである。地 域の子どもとして育つことができるよう、市町村が入所決定等で関与し、長期 休暇等の自宅で過ごす際に、措置で入所した子どもであっても居宅サービス等、 必要なサービスを利用できるようにすべきである。入所施設は、小規模化し、 できるだけ家庭に近い環境で養育できるよう整備し、地域移行が可能となるよ うショートステイ枠の創設やファミリーホーム等の環境整備が必要である。 【表題】地域の身近な場所での相談支援体制 【結論】 ○相談支援は、障害が特定されない時期から、身近な地域の通いやすい場で提  供されること。相談支援事業者でのサービス利用の手続を簡素化し、本人・  保護者の同意に基づいて利用する事業の代理申請を可能にすること。 ○地域子育て支援拠点事業に、障害児子育ての相談対応者を職員として配置す  ること。障害児相談支援事業所と連携を図ること。 【説明】  相談支援は、地域の身近な場所においてワンストップ型で提供されなければ ならない。そのために、相談支援事業者でのサービス利用の手続の簡素化が必 要である。また、障害児の相談に対応できる職員の養成が必要である。 【表題】ケアマネジメントと「個別支援計画」 【結論】 ○「個別支援計画」は、障害児・家族にとって身近な地域における支援を利用  しやすくするため、福祉、教育、医療等の利用するサービスを一つの計画と  して策定されること。6カ月程度の適当な期間で見直され、支援の調整、改  善が図られるようケアマネジメントすること。 ○障害児が支援を受けつつ意思を表明し、その意向に沿った計画を策定できる  ように、計画に意見表明の欄を設けること。保護者の同意なくしては履行で  きない仕組みにすること。 ○乳幼児期の「個別支援計画」は、保護者・きょうだいへの支援を含むものと  して策定されること。 【説明】  障害児に対するケアマネジメントは、単にサービス利用計画の策定にとどま らず福祉、教育、医療等の総合的な計画として策定され、必要な期間で見直さ れ、サービス調整を障害児及び保護者の同意のもとに行うべきである。その際、 「地域での育ち」を促進するよう、きょうだい支援を含めたものとするととも に、特に乳幼児期には保護者への「育児支援」を含めるべきである。 【表題】要保護児童対策地域協議会と地域自立支援協議会の連携 【結論】 ○要保護児童対策地域協議会と地域自立支援協議会とで検討が重なる子どもに  ついては、保護者の同意の下に合同で協議会を持つことができるようにする  こと。 【説明】  要保護児童対策地域協議会と地域自立支援協議会が、それぞれに障害児の検 討をするのではなく、一元化すべきである。また、要保護児童対策地域協議会 の構成員として、障害児福祉関係者(障害児相談支援事業所や児童発達支援事 業所等)が加わり、検討できる体制を整えるべきである。 【表題】家族支援ときょうだい支援 【結論】 ○障害児が家族の一員として、地域の子どもとして成長できるよう、育児支援、  家族支援を行うこと。保育所等訪問支援事業の対象に「家庭」を加えること。 ○きょうだいのグループ活動等を支援し、障害児ときょうだいが一緒に参加で  きる事業を児童発達支援センター等が実施すること。 【説明】  障害児の育児支援、家族支援を家庭でできるように、保育所等訪問支援事業 の訪問対象に家庭を加え、外出できない家族への支援を可能とすべきである。 また、きょうだいへの支援は現在のところ事業化されていないことから、活動 支援や一緒に参加できるプログラムを実施できるようにすべきである。 2.学校教育法関係 【表題】寄宿舎 【結論】 ○特別支援学校の寄宿舎の本来の目的は通学を保障することにあり、自宅のあ  る地域社会から分離されないよう運用されること。寄宿舎の実態を調査し、  地域社会への移行に向けた方策を検討すること。 【説明】  寄宿舎は本来広域学区である特別支援学校への通学保障のために設置された ものであるため、学校が休みになる土・日や長期休暇は家庭に戻るように、運 用されるべきである。 【項目】 III-3.労働と雇用  就労合同作業チームは、従来、障害者自立支援法などで規定されてきた福祉 的就労を総合福祉法(仮称)でどのように規定するかの検討とあわせ、障害者 雇用促進法などを中心としてすすめられてきた一般就労・自営施策のあり方に ついても検討するため設置された。委員は、障がい者制度改革推進会議構成員4 名と総合福祉部会構成員6名から構成された。  本作業チームで検討した主な内容は、次のとおりである。 [1]障害者基本法に盛り込むべき就労に関する基本的事項 [2]総合福祉法の守備範囲(労働分野との機能分担など) [3]福祉と労働及び雇用にまたがる制度と労働者性の確保のあり方 [4]就労移行支援事業、就労継続支援A型・B型事業、生産活動に取り組む生活   介護事業、地域活動支援センターや小規模作業所のあり方 [5]雇用率制度及び差別禁止と合理的配慮を含む、一般就労・自営のあり方 [6]多様な就業の場としての社会的雇用・社会的事業所・社会支援雇用のあり方 1.障害者雇用促進法に関わる事項 【表題】雇用の質を確保するための法改正 【結論】 ○障害者権利条約第27条[労働及び雇用]で求められる労働への権利、障害に基  づく差別の禁止、職場での合理的配慮の提供を確保するための規定を設ける。 【説明】  大企業に限らず中小の企業においても、障害者が他の者と平等な雇用条件や 昇給・昇進、希望職種・業務の充足といった雇用の質が確保できるようにする ために、労働の権利、障害に基づく差別の禁止、職場における合理的配慮の提 供の確保等に関する必要な規定を設けるべきである。 【表題】雇用施策の対象とする障害者に就業上必要な支援を認定する仕組み 【結論】 ○障害者雇用率制度に基づく雇用義務の対象を、あらゆる種類の障害者に広げ ると共に、雇用率達成のため事業主への支援を拡充する必要がある。また障 害者にとって就業上必要な支援を明らかにする総合的なアセスメントを整備 する。 【説明】  精神障害者については上記結論と併せて、職場で安定的に就業するための配 慮と職場環境の整備が不可欠である。  個々の障害者が具体的な就業の場においてどのような支援を必要とするかに ついて、当該障害者の就業にかかわるすべての利害関係者(障害当事者も含む。) がチームとしてアセスメントを行う仕組みを整備する必要がある。そうしたア セスメントは、状況の変化に応じた柔軟な見直しが求められる。 【表題】障害者雇用率制度および納付金制度の見直し 【結論】 ○障害者雇用率制度の対象者の拡大に関連して、法定雇用率および納付金制度  は、調査に基づいて課題と限界を検証し、必要な見直しを行うべきである。 【説明】  法定雇用率については、社会モデルに基づいた障害の範囲の拡大、就労系事 業などへの仕事の発注額などに応じて当該企業の障害者雇用率に算定する見な し雇用の制度化などを踏まえて、大幅に引き上げる方向での見直しが求められ る。重度障害者を雇用した場合、1人を2人分として算定するダブルカウントに ついては、社会モデルに基づいた制度に見直すべきであるとの意見があったが、 障害者の範囲の見直しが先に行われるべきであるとの意見もあった。  障害者雇用納付金制度は、助成額の引き上げや給付期間の恒久化に加え、助 成申請手続きの簡便化も必要である。また、助成金は事業主の申請により給付 されるため必ずしも障害者の雇用を支えるために有効に活用されていないとの 指摘があり、障害者自身が申請できるようにする必要がある。 【表題】職場における合理的配慮提供の確保 【結論】 ○事業主が障害者に合理的配慮を提供するのに必要な経済的・技術的支援を受  けられるような仕組みとともに、合理的配慮が提供されない場合、苦情の申  し立てと救済措置が受けられるような仕組みを整備する必要がある。 【説明】  就労系事業、特例子会社、重度障害者多数雇用事業所等での合理的配慮の実 践例を企業に示すことで、企業の理解を求める。合理的配慮の類型化や事例の ガイドブックの整備等も企業の取組みを進める上で有効と思われる。それにあ わせ、合理的配慮に係る費用負担のあり方も整理する必要がある。  また、合理的配慮が提供されない場合、障害者が苦情を申し立て、救済措置 が受けられるような第三者性を確保した仕組みについては、職場内および労働 審判制度の整備を含めて平成24年度内を目途に得られる差別禁止部会および労 働政策審議会の検討結果等を踏まえ、適切な措置を講じる必要がある。 2.障害者雇用促進法以外の法律にも関わる事項 【表題】就労系事業に関する試行事業(パイロット・スタディ)の実施 【結論】 ○安定した雇用・就労に結びついていない障害者に適切な就業の機会を確保す  るため、試行事業(パイロット・スタディ)として賃金補填等の他、多様な  働き方の就業系事業を実施する。 【説明】  全国で80ヵ所程度を指定し、賃金補填(使途に規制がなく、障害従業員の賃 金補填にも充当しうる、柔軟な助成措置を含む。)および官公需や民需の優先発 注等を伴う、多様な就業系事業(社会的雇用・社会的事業所・社会支援雇用な どを指す。詳細は就労合同作業チーム報告参照。)が障害者就業施策にもたらす 効果を実証的に検証することにより、同制度化に向けた課題を整理する。対象 とするのは、[1]最低賃金の減額特例を受けている就労継続支援A型事業所、 [2]最低賃金の1/4以上の工賃を支払っている就労継続支援B型事業所、 [3]箕面市や滋賀県など、地方公共団体独自の制度として賃金補填を実施して いる事業所の他、新たに起業する事業所等。これらに対し、障害従業員への賃金 補填を含む事業所への運営費補助及び官公需や民需の優先発注などによる仕事を 確保するための支援を行う。  検証事項は、主に[1]障害者自身の働く意欲への影響や、ともに働く障害の ない者の意識の変化、[2]対象とすべき障害者や事業所の要件、[3]事業者が 提示する賃金への影響、[4]障害従業員の心身・労働能力の変化の状況、 [5]収益の配分とその決定の仕組み、[6]事業者の生産性・付加価値引き上げ の取組み、[7]民間企業と就労系事業が連携する取組み、[8]総合的アセスメ ントの仕組みなど、新たな就労系事業の制度化にあたって予想される課題の整理 である。 現在の国の制度では、一般就労と福祉的就労しか選択肢がなく、しか も賃金(工賃)や位置づけ(労働者か利用者か)についても大きな乖離がある。 そのため、両者の間に第三の選択肢をつくることや福祉的就労に労働法規を適用 すること、さらには多様な働き方を保障することなど、種々の検討すべき課題が ある。 【表題】賃金補填と所得保障制度(障害基礎年金等)の調整 【結論】 ○就労系事業に従事する障害者が賃金補填を受ける場合、原則として年金支給  は一部ないし全額停止することで、年金財源を賃金補填に振り替えうる仕組  みをつくる。そのためには、賃金補填と所得保障の関係について、障害基礎  年金の支給調整ラインの検討が必要である。また、賃金補填の対象となる障  害者の認定の仕組みを検討する必要がある。賃金補填を行う場合の事業者の  モラルハザードをどうするかについても検討が必要という意見もある。 【説明】  障害基礎年金における所得制限は、20歳前に障害者となった人の場合につい て、所得が398万円4,000円を超えると半額支給停止、500万1,000円を超える と全額支給停止となる。しかし、最低賃金(時給)で働いた場合の年間の所得 は100数十万円程度であり、到底、現行の支給調整ラインには届かない。よっ て、賃金補填を受けない障害者との公平性を担保するには、支給調整ラインを さらに低い金額で設定することを検討する必要がある。また、20歳前に障害者 となった人以外の場合は、障害厚生年金や稼働所得と賃金補填との調整をどう するか等の検討課題がある。 なお、賃金補填の導入によって事業者がモラル ハザードを起こさないよう、生産性や付加価値を高めるとともに、障害従業員 の能力開発により賃金補填額の縮小、あるいは賃金補填がなくとも最低賃金以 上の賃金を支払うことを目指すような制度設計とすることについても検討する 必要がある。 【表題】障害者雇用・就労にかかる労働施策と福祉施策を一体的に展開するた めの体制の整備 【結論】 ○障害者の雇用・就労にかかる労働施策と福祉施策を一体的に展開しうるよう、  関係行政組織を再編成するとともに、地方公共団体レベルで雇用・就労、福祉  および年金等に係る総合的な相談支援窓口(ワンストップサービス)を置く。 【説明】  現在、一般就労・自営は労働行政等、また福祉的就労は福祉行政の所管とな っているが、それらを一体的に展開するには、中央レベルの行政組織を再編成 するとともに、地域レベルで就労・生活支援にかかわる、ハローワーク、福祉 事務所、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターおよび地方 公共団体が設置する就労支援機関、地域自立支援協議会、発達障害者支援セン ターならびに特別支援学校などの関係機関のネットワークが有効に機能する仕 組みを整備する。 【表題】就労合同作業チームの検討課題についてフォローし、実現化をめざす ための検討体制の整備 【結論】 ○推進会議のもとに就労部会または就労検討チームを設置して、就労系事業に  かかる試行事業の検証を含む検討課題についての結論を得る。そのメンバー  は経済団体、労働団体、学識経験者(労働法、労働経済学、経営学、社会保  障論などの分野の専門家等)、事業者団体および地方公共団体等から構成す る。 【説明】  就労合同作業チームではきわめて広範囲にわたる、一般就労・自営および就 労系事業に係る課題について検討したが、構成員の専門領域が限られていたこ とや検討期間および時間が短かったため、結論を得るまでには至らなかった。 従って、推進会議のもとに新たにつくられる部会または検討チームには幅広い 専門領域の構成員を加え、十分議論を尽くし、結論をえる。 【表題】全国民のなかでの障害者の生活実態等を明らかにする基礎資料の整備 【結論】 ○障害の社会モデルを基礎として雇用・就労施策を検討する基礎資料をえるた  めに、国の基幹統計調査(全国消費実態調査や国民生活基礎調査等)におい  て障害の有無を尋ねる設問を入れた全国調査を実施する。 【説明】  厚生労働省では、身体・知的・精神、3障害の就業実態調査や障害者雇用実態 調査を行ってきているが、いずれも手帳所持者やすでに雇用されている人など、 限定された障害者集団の状況しか明らかにできない。障害ゆえに雇用・就労の 機会を得がたい者は、それらの障害者以外にも数多く存在する。いわゆる制度 の谷間で公的支援を受けることができない人びとを支援してこそ、障害者雇 用・就労の裾野を広げることができる。  また、障害の社会モデルを基礎とした雇用・就労施策を検討する基礎資料と して、全国民のなかでの障害者の経済活動や生活実態を明らかにすることが重 要である。そのためには、国の基幹統計調査(全国消費実態調査や国民生活基 礎調査等の全国民を対象とした大規模社会調査)において、少なくとも一時点 で病気や障害によって活動が一定期間以上制限されているかどうかを聞く設問 を追加し、その調査結果を分析する必要がある。 <以下次号> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『あたまと心で考えよう SSTワークシートー社会的行動編』 http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00059.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ------------------------------------ 23:47 2011/08/21 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 一気に涼しくなりました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュースの記載内容に関する質問には原則として回答いたしかねます ■ ■ 編集に際し正確を期していますが最終保証責任は免責とさせて頂きます ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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