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==================================================================== LD(学習障害)ニュース #108 1999.05.31 発行 登録読者数 1,666 LD = Learning Disabilities LD親の会「けやき」編集 1997.9.10創刊 ==================================================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 「LDってなーに?」上野一彦先生講演会 横浜 1999/6/19【再掲】 ■ ■ 障害児の授業研究 1999年7月号 No.72 特集:LD児指導の実際 ■ ■ 朝日新聞 1999/5/27付け 夕刊記事 「学習障害児の疫学調査を」   ■ ■ 佐々木正美先生講演会 「ADHD児の理解と教育」報告 1999.5.3〜4 ■ □ 編集後記 ----------------------------------- 12:00 99/05/30 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください □■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 「LDってなーに?」上野一彦先生講演会 横浜 1999/6/19【再掲】 ■ -------------------------------------------------------------------- 主催者の親の会「昴」担当者様より、再掲載のご依頼がありました。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−− メールサーバー故障のため、ご迷惑をおかけいたしました。まだ若干余裕が ございます、ご希望の方はメールにてお申し込み下さい。 親の会「昴」企画 日 時:1999年6月19日(土) 14:00〜16:00 場 所:横浜ランドマークタワー13F フォーラム横浜 会議室1     TEL 045-224-2001 最寄り駅:桜木町 参加費:500円(会場費) 対 象:LD(学習障害)に関心のある方 後 援:横浜市緑区役所 申込み:氏名・住所・電話番号を記載して、下記メールアドレスまで。。。     h_inoue@che.zorro.co.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 障害児の授業研究 1999年7月号 No.72 特集:LD児指導の実際 ■ -------------------------------------------------------------------- 「もぐもぐ氏」からの情報提供です。感謝いたします。 ---------------------------------------   障害児の授業研究 1999年7月号 No.72  発行:明治図書 価格:857円   特集 学習障害児・個に応じた指導の実際 提言:* 指導のノウハウを積み重ねよう−−水野 薫    * WHOの考えに沿う学習障害児への指導−−篠原吉徳    * 指導についての基本的な考え方−−水野 薫 事例:* 学習障害児・個に応じた指導の実際−−笹森洋樹    「聞くこと」に困難を示す子の指導楽しい雰囲気の中で指導の工夫を    *「話すこと」に困難を示す子の指導−−宮澤 仁    成就感を味わわせることで    *「読むこと」に困難を示す子の指導 −−佐々木徳子     興味のあるものを課題にして    * 一人一人に合った学習プログラムを−−安藤壽子    *「書くこと」に困難を示す子の指導−−少徳 仁     字が乱雑で書くことが苦手なA君    * ラポート作りからスタートして必要感,有能感−−高野一志     成就感を大切に    * 視知覚認知に困難を示す子の指導−−小西喜朗    *「計算すること」に困難を示す子の指導−− 田中容子     指の使用や絵の活用等の独自の方法で    * 繰り下がりのある引き算を苦手とする子の指導−−五十嵐靖夫    *「身体の動き」に困難を示す子の指導 −−近藤智栄実    「粗大運動」を苦手とする子の指導    *「社会性」に問題のある子の指導−− 堀川淳子     情緒障害通級指導教室でのグループ指導を通して    * 集団に入れない二人の子の指導−−雨宮淑子    * 授業への集中や社会性に課題のある子へのかかわり−−斎藤亮一 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 朝日新聞 1999/5/27付け 夕刊記事 「学習障害児の疫学調査を」   ■ -------------------------------------------------------------------- 朝日新聞 1999/5/27付け 夕刊 「科学をよむ」欄に、東京都神経科学総合 研究所研究員・黒田洋一郎氏の「学習障害児の疫学調査を」と題する記事が 掲載されています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 佐々木正美先生講演会 「ADHD児の理解と教育」報告 1999.5.3〜4 ■ --------------------------------------------------------------------  佐々木正美先生 ADHD児の理解と教育 - 両親・教師・主治医を交えての 実践報告 - に参加された「小さなかぶ」さんからの報告です。  親の会「にんじん村」機関紙 STEP No.60 [1999.5.26発行] より、執筆者 の許諾を得て転載いたしました。感謝申し上げます。 なお、この講演会の概要については、以下のサイトを参照して下さい。 http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/NEW/990329.html ------------ 【スぺクトラムディスオーダーという連続性の提案について考える】 −「うちの子は出来るのに、どうして皆と同じようにやらせてくれないので すか」。と、通級をすすめたところ、あるADHDと思われる生徒の親が言 う。病院受診をすすめるが親は障害児あつかいされたと言って、いやがり決 して行こうとしない。今後どう指導すればいいのでしょうか− これは今回の講演会で会場に来ていた、ある先生の質問です。話は今回の講 演会とすこし離れてしまいますが、最近の講演会やシンポジウム等での、私 たち親の立場というか評判は、あまり芳しいものではありません。 当然のことながら、わが子と日常を過ごし最も長く子どもを見つめているは ずの親ですが、「親が子どもの状態を理解していない、障害だと認識できず 薬をすすめても拒否する。通級に反対する。等々・・・」。 現場の先生たちの悩みや質問がいつもその辺に集まることが多くて、どうし たらいいんだろうと、おろおろしてしまいます。親の認識が問われているこ とをひしひしと感じながらも、その親でない私、その子を知らない私、その 先生を知らない私に、答えを出すことは、もちろん出来ないことなのですか ら−− しかし、子どもの発達に疑問をもったり、他から指摘を受けて病院や相談所 で、診断してもらうことになったときの説明や診断名に、親として違和感を 感じることが多いということが、最近の「にんじん村」の会員に対する聞き 取り調査でも明らかになりました。 この結果をみて専門家の先生方は、親の客観性のなさ、親の愛情の間違った 盲目性に、もしかするとため息をつかれるのかも知れません。 でも、これらの例が必ずしもそのような親によるものばかりではないことを、 私たち会員たちの付き合いで知っています。私は、このような問題が起きる のは私たちの子どもたちのような、医療・教育・福祉のすべてに「はざま」 にある者へのインフォームド・コンセントの研究があまりなされていないこ とに、原因があるように感じています。 そして、親の知識と、専門家の知識のギッャプが思わぬ誤解を呼ぶこともあ るのではないかと心配しています。専門家が短い診療時間や短時間の面接で、 総てを伝えることは不可能です。多くの場合、今必要とされる対応に重きを 置き、子どもの障害の性質については詳しく話さないことが多いのではない かと、推察します。しかし、このことが親にとっては「もやもや」した、は っきりとしない不安と疑いの繰り返しの入り口となってしまうような気がし ます。 現に、あちらで「自閉症」と言われ、こちらで「LD」と診断され、あると ころで「家族の問題」だと言われ、結局今はADHDだったんじゃないかと 思っている。なんて言う親が一人や二人ではありません。 今回の佐々木先生の講演を聞かせていただいて、「スペクトラムディスオー ダー」(障害の連続性)という考え方を勉強し、今まで感じていたインフォ ームド・コンセントについての疑問に対する答えのヒントを得たように思い ました。 ADHD・LD・高機能自閉症を連続した一つのスペクトラムととらえるこ とにより、症状の重複と変化を矛盾とすることなく、一人のひとを診断する ことが出来る点で、この提案は会場に多く来られていた相談機関の先生方の 共感を得られていたようです。 佐々木先生は診断名を伝えないわけではなく、何をすべきかの出発点が「診 断」。とのお考えから、一番困難な部分を障害名としてあげ、ポジティブに 治療できるような環境に力を注がれているということです。 診断名のなかに、子どもの症状がなかなか収まってくれないというのが、私 たち親がぐすぐずしてしまう理由の一つなので、この考え方に今後も、注目 していきたいと思います。 先の質問への先生の答えは、「特別扱いは排除ではない。何でも同じにしよ うとする形式上の平等で、子どもをひどい状態にしている例が多いが、今は 両親が受け入れられる形を探っていくしかない。両親を傷つけては治療教育 は成り立たないから」。というものです。 佐々木先生は、「障害という名を拒否するあまりに、一般との共通部分ばか りを探して、異質な部分に目をつぶってはいけない」。と厳しく言われ、親 の正しい認識と対応を喚起されていました。親の間違った対応から、重い精 神分裂病になっつた例や、犯罪を犯すに至った例を挙げられて、子どもへの 過剰期待を戒められていました。 【ADHDの治療教育】 二日目には、ADHDの治療と指導の実践報告ということで、ある小学生の ADHD児のご両親、通級学級の先生、校長先生が、主治医である佐々木先 生と連携を取りながら対応した経過を発表されました。 一人のADHDの子どものためにこのようなネットワークが出来たこと、ご 両親が、家庭の中のことまでオープンに話されたこと、学校側の姿勢が前向 きなこと、通級の指導内容が個人にあわせて良く計画されていること、ひと つひとつがとても勉強になりました。 こうして発表するためだけに出てきて下さるだけで、何と開かれた学校だろ う、何と素敵なご両親だろうと、すっかり私は感激してしまいました。この ような協力体制が取れる学校が、どんどん増えてくれたら素晴らしいと思い ました。 ADHDの対応で、もっとも注意しなければいけないこととして、佐々木先 生がまずあげられたことは、「叱って育ててはいけない」。ということでし た。多動の子どもを持つと、「しつけ」の問題だとばかりに叱ったり、怒鳴 ったりという子育てに陥りがちです。先生は、叱ると言うことは、「現状の あなたに満足していない」ということであり、否定された存在として子ども 自身が劣等感を持つようになり、他者に対する不信感を育ててしまうことに なるのだと、説かれていました。 これは、一般的な子育てでも、全く同じことが言えるということです。「子 どもは幼いときは、やすらぎ、くつろげる母からの愛情を、少し大きくなっ たら父から社会のルール(規則、責任、役割)を教えなければいけない。こ の母性と父性の与える順序が大切で、これを間違えるとアイデンティティー が育たない存在になってしまう」。と、社会の厳しい変化のなかで、育児が 嫌いだという母親が増えてきた心配など、多くの例をあげて詳しく説明して いただきました。 叱っても同じことをしてしまうのがADHDなのだから、効果もまったくな いので、危険なことや、他人にひどい迷惑になること以外は、行動を規制し ない。困った行動は、叱るより、どうしてその行動が起きたかをよく観察し て、別の行動に変容させる手だてを考え、実行することが大切なのだという ことです。 しかし、「言うは易く、行うは難し」。登場されたご両親も、叱らないため に相当なエネルギーを費やされているようにお見受けしました。 どうしても、行動がコントロール出来ないときは、薬の使用も考えに入れて いくべきとのことでしたが、「薬で落ち着いた後のことが大切で、問題を見 失わないように対応していくことが重要」。だと、通級の先生は言われてい ました。 私は、LD・ADHD・高機能自閉症のような、複雑な症状を示す子どもた ちの教育には、医学・心理・教育・両親、そして行政などの連携とチームに よるアプローチがどうしても必要ではないかと、改めて痛感しました。 佐々木先生は「連携にも訓練が必要なんですよね」。とおっしゃいましたが、 その通りだと思います。ひとりで問題を抱え込んでも、ほとんど何もできな いのだと、それぞれ認識し、訓練でもよいから連携の一歩を進めるために行 動し始めることが、今求められているのではないでしょうか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ----------------------------------- 12:00 99/05/30 □ ---------------------------------- 今回、ご厚意により佐々木正美先生講演会の参加報告を転載させていただき ました。 今後、このような講演会等への参加報告を掲載していきたいと思います。皆 様からの投稿をお待ちしています。匿名、もしくは「ニックネーム」での掲 載も可ですので、お知らせ下さい。 当方で、要旨を改変しない範囲内で、編集させていただくこともございます ので、ご了承下さい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュース記載内容を転載される場合は必ず下記までご連絡下さい ■ 連絡先 E-mail: keyaki@box.club.ne.jp [1999.03.12 更新] 「けやき」HP http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/ [1998.07.31 更新] LDニュースのバックナンバーの閲覧及び配信は以下のサイトからできます http://backnumber.to/list.asp?userid=10000592 [1999.01.11 更新] LDに関する情報交換・意見交流・質問は「LDフォーラム」をご利用下さい http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/LD-FRM/INDEX.html [LD-FRM] LDニュース読者用「掲示板」→ http://gb.jh.net/gb3/usr/keyaki.html ■ 編集者は掲載記事に関して最終保証責任を負うものではありません ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ LD NEWS は「まぐまぐ」http://www.mag2.com/ を利用して発行しています

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