LD(学習障害)ニュース登録は こちら から。

前号 | 目次 | 次号

□ LD・発達障害等関連図書 → http://ldnews2000.web.fc2.com/books/  □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LD(学習障害)ニュース #1070 2011/04/30 発行 登録(配信)読者数 3010 ■ ■ LD = Learning Disabilities LDニュース編集人発行 1997/09/10創刊 ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LD親の会「けやき」 2011年5月活動/多摩社会教育会館 2011/05/28 ■ ■ シリーズ親講座(2011/03/27〜06/19)社会に出るための準備-就労・自立 ■ ■ 【新刊】発達障害 母たちの奮闘記 (平凡社新書) 山下 成司(著) ■ ■ 門眞一郎先生による自閉症スペクトラム連続講座  2011/05/22-09/04 ■ ■ 文部科学省 「教育の情報化ビジョン」の公表について  2011/04/28 ■ ■ 教育の情報化ビジョン 第4章特別支援教育における情報通信技術の活用 ■ ■ DiTT 第一次提言書(抜粋)デジタル教科書教材協議会  2011/04/25 ■ ■ 防災とバリアフリーを経済コストで測るな 福島 智 東大先端研教授 ■ ■ 学校の放射線量年20ミリシーベルト基準策定のプロセス 2011/04/29 ■ ■ 内閣官房参与 小佐古敏荘氏 辞任記者会見 資料全文掲載 2011/04/29 ■ □ 編集後記 ------------------------------------ 22:37 2011/04/30 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□■ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください ■□■□■ ■ LDニュースへ講演会等のイベント情報の掲載を希望される方へ・・・ ■ ■ 詳細は下記サイトをご覧下さい。原稿は適宜編集する場合があります。 ■ ■□■□■□ http://ldnews2000.web.fc2.com/sample.html □■□■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ことばの発達に遅れのある子のための言語指導プログラム111 −サインを逃さずタイミングよく話しかける技術− 長澤正樹 (著) http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00027.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LD親の会「けやき」 2011年5月活動/多摩社会教育会館 2011/05/28 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/KEYAKI/20110528.pdf 2011年5月活動日のお知らせ 4月総会において今年度の活動計画を承認頂きましたので、早速5月の例会から 「会員交流」をスタートいたします。先の震災依頼、私たちの生活も変化しまし た。平常に戻るにはまだまだ時間がかかると思われますが、これからの一年間は、 「親の会としてできること」を見つめ直す機会となればと思っています。ご都合 をつけて、ぜひご参加ください。 日 時 2011年5月28日(土) 14:00〜16:30   ○ 受付は、13:30から開始します。 場 所 東京都多摩社会教育会館 201研修室   駅から少し距離がありますので、時間に余裕を持ってお出かけください。 内 容 ○ 会員継続・新規入会手続き   入会申込書・子どもの状況アンケートを忘れずに提出してください。 ○ 活動報告・連絡・係補助の相談 ○ 会員交流  自己紹介(お子さんの様子)やテーマにわかれてのグループ交        流等を考えています。 【 備 考 】 ※ 午前中の10時〜12時で、役員会を開催します。(302研修室) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ LDを活かして生きよう−LD教授のチャレンジ 上野 一彦 (著) 価格:¥ 1575 http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00025.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ シリーズ親講座(2011/03/27〜06/19)社会に出るための準備-就労・自立 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.ne.jp/asahi/hp/keyaki/HTML/KEYAKI/NEWS.html#110327 シリーズ 親講座 (2011/03/27〜06/19)社会に出るための準備 〜就労・自立〜 学齢期に発達障害と診断された子供達は学習ばかりに気をとられ就職活動を機に 社会性が大きく欠けて育っていることに気がつくことが多いようです。 この度、キャリア教育講座Wingではそのような困り感に応え、就労に関する 講座を行うことになりました。 就労自立に必要なスキル、就労に関するプロセス、制度を基本から一緒に学びま せんか。 第3回 5月 8日(日) 『就労事例・プロセス・判断基準』  講師 就労支援センター コーディネーター ボーバル聡美 氏 第4回 6月19日(日) 『大切なスキル』 『まとめ』  講師 松為 信雄 氏 (神奈川県立保健福祉大学教授) 受講料 非会員 4000円 (全4回) けやき会員 2000円 (全4回) ★ 初回に受付にて受講料をお支払いください。(欠席されても返金はされませ  んのでご了承ください) 会 場 南大沢文化会館 第1会議室 (京王相模原線・南大沢下車) 時 間 13時30分〜15時30分(13時受付開始) 申込み 先着20名 メールまたはFAXで 連絡先 新堀 和子 TEL・FAX 042−637−1451      Eメール caco.n@utopia.ocn.ne.jp ★親講座終了後 親子講座(中学3年生〜高校3年生)の開講にあたり5名の追  加募集をします。 問合せ先 042−637−1451 (新堀) 主 催 LD親の会「けやき」 自主グループキャリア教育講座「Wing」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 特別支援教育におけるATを活用したコミュニケーション支援 http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00061.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 【新刊】発達障害 母たちの奮闘記 (平凡社新書) 山下 成司(著) ■ ------------------------------------------------------------------------ http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00064.html 内容紹介 前著で、〈はざまの子〉の声に耳を傾けた著者が、今度は、お母さんたちに子育 てのことを聞いてみた。生まれたときのこと、学校、就職のこと──根ほり葉ほ りのノンフィクション。 新書: 246ページ 出版社: 平凡社 (2010/4/16) ISBN-10: 4582855822 ISBN-13: 978-4582855821 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発達障害 母たちの奮闘記 (平凡社新書) [新書] 山下 成司 (著) http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00064.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 門眞一郎先生による自閉症スペクトラム連続講座  2011/05/22-09/04 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.pure-higashiosaka.com/ ◆児童精神科医 門 眞一郎 先生による連続講座 ★日時★ 2011年5月22日 6月26日 8月7日 9月4日 ★内容★ 5月22日「コミュニケーション支援 その1:視覚的構造化」  自閉症の人へどう伝えるのか、コミュニケーションの理解を支える構造化を中 心にお話しします。 6月26日「コミュニケーション支援 その2:PECS」  自閉症の人からどう伝えてもらうのか、表現のコミュニケーションについて、 視覚的な手段を使ったPECSを中心にお話しします。 8月7日「ソーシャル・スキル支援」  ソーシャルストーリーやソーシャルスキル・アルバムについてお話します。 9月4日「問題行動の解決」  行動上の問題の理解と解決の方法についてお話します。 ★受付★ 午後1時〜 ★時間★ 午後1時半〜4時 ★参加費★ 会員外:各回2000円(2回目以降受講時1500円)       会員:各回1000円(2回目以降受講時500円) ★会場★ 東大阪ユトリート(〒577-0804 大阪府東大阪市中小阪5-14-30) ★定員★ 90名 ★申し込み★ 参加申込書にご記入の上、事務局までFAXでお申し込みください。 参加申込書・詳細はこちらからお願いします http://bit.ly/m2CBF4 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ インクルーシブ教育の実践−すべての子どものニーズにこたえる学級づくり− http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00052.html  学苑社 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 文部科学省 「教育の情報化ビジョン」の公表について  2011/04/28 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305484.htm 関係報道資料 ○「学校教育の情報化に関する懇談会」の開催 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/04/1292706.htm ○学校教育の情報化に関する懇談会(本懇談会の議事概要及び配布資料等) http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1292783.htm ○「教育の情報化ビジョン」(骨子)の公表 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/08/1297089.htm 公表資料 教育の情報化ビジョン (PDF:1123KB) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/__icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305484_01_1.pdf 教育の情報化ビジョン【概要】 (PDF:273KB) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/__icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305484_02_1.pdf 教育の情報化ビジョン 附属資料 (PDF:833KB) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/__icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305484_03_1.pdf 教育の情報化ビジョン 参考資料(はじめに、第一章、第二章) (PDF:822KB) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/__icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305484_04_1.pdf 教育の情報化ビジョン 参考資料(第三章、第五章、第六章) (PDF:1344KB) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/__icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305484_05_1.pdf 教育の情報化ビジョン 関連資料 (PDF:935KB) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/__icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305484_06_1.pdf お問い合わせ先 生涯学習政策局参事官(学習情報政策担当)付 情報政策室長 増子 則義、教育情報施策調整係 馬渡 寛子 電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2940、2085) メールアドレス:gakusyu@mext.go.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『あたまと心で考えようSSTワークシートー自己認知・コミュニケーションスキ ル編』 http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00060.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 教育の情報化ビジョン 第4章特別支援教育における情報通信技術の活用 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/__icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305484_01_1.pdf 第四章 特別支援教育における情報通信技術の活用 (障害の状態、特性等に応じた留意点) ○ 特別な支援を必要とする子どもたちについては、それぞれの障害の状態や程 度、必要とされる特別な支援の内容などが一人一人異なっている。子どもたちの 障害としては、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、 言語障害、情緒障害、発達障害(学習障害、注意欠陥多動性障害、自閉症等)な どがある。 ○ 第一章で述べたように、情報通信技術は、特別な支援を必要とする子どもた ちにとって、障害の状態や特性等に応じて活用することにより、各教科や自立活 動等の指導において、その効果を高めることができる点で極めて有用である。特 別支援教育における情報通信技術の活用に当たっては、障害の状態や特性等に応 じて、例えば以下の点に留意することが重要である。 ○ 発達障害のある子どもたちについては、情報機器に強く興味・関心を示す者 もいる。 このような子どもたちには、学習意欲を引き出したり注意集中を高めたりするた めに情報通信技術を活用することが考えられる。例えば、学習障害のある子ども たちの中には認知処理の偏りのため文字を読むことが困難な者がいる。そのよう な場合、情報通信技術によりその偏りや苦手さを補ったり、得意な処理を伸ばし たりするなどの活用も考えられる。 ○ 視覚障害のある子どもたちについては、読みにくい画面の情報を文字の拡大 やレイアウトの変更、色調の調節等で補うとともに、視覚から得られない情報を 聴覚や触覚などの代替手段を使って補うなどの工夫を行うことが重要である。ま た、視覚障害のある子どもたちの学習を支援するために拡大教科書の発行が進め られているが51、一人一人の視覚障害の状態に応じて文字の拡大等の調整を行う ことができるデジタル教科書・教材等も活用することにより、その支援を充実し ていくことも重要である。 聴覚障害のある子どもたちについては、適切に聴覚活用を図りつつ、視覚等の他 の感覚器官の情報に置き換えて情報を伝達したりするなどの工夫を行うことが重 要である。知的障害のある子どもたちについては、使いやすい支援機器や理解の 程度に応じたコンテンツの選択を行うことが重要である。肢体不自由のある子ど もたちについては、適切な支援機器の適用ときめ細かなフィッティングの努力が 重要である52。 ○ また、病弱者である子どもたちについては、生活体験が不足しがちであった り、学校に通えなかったり、学校に通えても学習活動に制約を受けたりする場合 もある。このため、実際に行うことが難しい観察や実験の補助としてパソコン等 を使った擬似的体験を行ったり、インターネットや電子メール、テレビ会議シス テム、ウェブ会議システム等の活用を通じたコミュニケーションの維持・拡大等 を行ったりするようにすることも重要である53。 ---------------- 51 拡大教科書は、教科書発行者の努力により、平成23年3月時点で、小学校段階 で280点、中学校段階で99点、高等学校段階で38点が発行されている。高等学校 段階については特別支援学校(視覚障害)高等部において使用されている検定済 教科書のほとんどについて拡大教科書が発行されているが、高等学校において使 用されている検定済教科書は、点数が多く、1点当たりの需要が少ないため、拡 大教科書の発行が少ないことが課題となっている。 52 複数の障害を併せ有する子どもたちや重度の障害のある子どもたちについて は、意思の表出や外界の情報の収集が特に困難な場合がある。このため、障害の 特性に応じた支援技術を組み合わせたり個々に工夫したりするなど、他者とのコ ミュニケーションを豊かにするための支援が重要である。 ○ 以上のような情報通信技術の活用については、これまでの特別支援学校にお ける取組の実績・成果を踏まえつつ、デジタル教科書・教材等を活用した実証研 究を通じて、これを更に充実・発展させることにより、今後の小学校、中学校等 におけるこれらの障害のある子どもたちの学習にとっても、有効かつ重要なツー ルを提供しうるものと期待される。また、実証研究等の成果を生かして、関係者 への指導事例の提供とともに、条件整備の拡大を図っていくことも重要である。 ○ 文部科学省では、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普 及の促進等に関する法律」を踏まえ、発達障害を含む障害のある子どもたちのた めに、教科用特定図書等を作成するボランティア団体等に対して、教科書デジタ ルデータを提供するなどの支援を行っている。また、発達障害等の子どもたちの 障害の特性に応じた教材等の在り方やこれらを活用した効果的な指導方法や教育 効果等について実証研究に取り組んでいる54。これらの取組を通して、障害のあ る子どもたちの学びを一層支援することが必要である。さらに、今後、紙媒体の 教科書のテキストデータ等を提供することについても検討する必要がある。 ○ デジタル教科書・教材については、障害の状態や特性等に応じた様々な機能 のアプリケーションの開発が必要である。また、情報端末等については、特別な 支援を必要とする子どもたちにとっての基本的なアクセシビリティ55を保証でき ることが必要である。今後、デジタル教科書・教材や情報端末等を活用した実証 研究を行い、その整備を図る際には、障害の状態や特性等に応じて、例えば、図 表4に示すような配慮や工夫を行うことが期待される。 (関係機関との連携) ○ 特別支援教育においては、一人一人の学習の目標・状況等を教員間で共有す ることや、学校と家庭、地域や、医療、福祉、保健、労働等の関係機関との連携 を密にすることが求められ、その際には情報通信技術を活用することが有効であ る。こうした取組を充実することは、一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細か い指導・支援を行うための個別の指導計画及び教育支援計画のより効果的・効率 的な作成・活用にも寄与するものと期待される。また、国において特別支援教育 における情報通信技術の活用を検討するに当たっては、独立行政法人国立特別支 援教育総合研究所と密接に連携し、その研究成果を生かすことが重要である56。 ---------------- 53 このような情報通信技術の活用は、不登校の子どもたちの指導にも有効であ ると考えられる。 54 発達障害に対応した調査研究として、デジタル教科書の備えるべき機能、電 子ファイルのフォーマット、製作・流通・保管方法等について、国際規格である デジタル録音図書のDAISY(デイジー)を用いた研究、学校現場において読みに 困難のある児童生徒がパソコン等の支援技術(AT : Assistive Technology)を活 用するための具体的な方策についての研究、読み書き障害のある児童生徒が聴覚 から学習ができる音声合成ソフトウェアの開発・活用についての研究を実施して いる。 55 障害者を含む誰もが、情報機器やソフトウェア等に支障なくアクセスでき利 用できること。 56 同研究所は、特別支援教育のナショナルセンターとして、主として実際的な 研究を総合的に実施するとともに、特別支援教育関係職員に対する専門的、技術 的な研修等を行っている。例えば、教育の情報化に関しては、情報化及び教育支 援機器に関する中長期的展望に立った研究を推進するとともに、障害のある子ど もたちの教育を担当する教職員に対して情報手段の活用等について研修を行って いる。 図表4:特別な支援を必要とする子どもたち向けのデジタル教科書・教材等にお いて付加することが期待される機能の例 ・速度調整が可能な読み上げ機能に加え、画面上で読み上げの位置をハイライト することにより示したり、必要な情報のみに制限したりする機能。(読み上げ機 能については、ソフトの高品質・高精度化を図り、誰もが利用できる形であるこ とが期待される。) ・背景色や文字色を調節する機能 ・文字の拡大、フォントの変更及びそれに伴い行間を拡大する機能 ・文字に振り仮名を付ける機能 ・文節や単語等で区切る機能 ・文字に動画や静止画、音声を関連付けられる機能 (留意点) ・ デジタル教科書・教材の機能は、複合的に使用できることが望ましい。 ・ 教員が子どもの読み方の特性を踏まえてレイアウトなどを簡単に調整できる ような工夫を施すなど、障害のある子どもの読みやすさにも配慮したコンテンツ の作成に努めることも重要である。障害種によってはその内容にイラストや写真、 キャラクターを取り入れることなどにより、学習意欲を喚起する効果も期待され る。 ・ 通常のキーボード入力が難しい場合に、特殊なキーボードやジョイスティッ ク、各種センサーを利用したスィッチ、手書き入力装置などの入力支援装置(ソ フトウェアにおいても機能するようにする必要がある)を活用できるようにする ことが期待される。 ・ 文字の拡大やフォントの変更、文字色の調節など文字表示に関する機能につ いては、教員が障害の状態等を的確に把握した上で、子どもたち個々にカスタマ イズを行い、そのカスタマイズ情報をもとに、必要に応じてあらゆるページの表 示を同様に変更できるようにすることも効率的である。 ・ 文字に動画や静止画、音声を関連付けられる機能については、障害により生 活体験等が不足している場合、関連する動画等を適宜参照できるようにすること で、子どもたちの学習の理解促進に効果が期待される。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ビジョントレーニング 学ぶことが大好きになる 北出 勝也 (著) ¥ 2520 http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00024.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ DiTT 第一次提言書(抜粋)デジタル教科書教材協議会  2011/04/25 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://ditt.jp/office/DITTVISION.pdf 3.5 学習に困難のある子どもに有効な機能と課題 デジタル教科書・教材を活用することは、学習に遅れがある子どもや、従来の方 法では学習に困難のあった子どもの学習を助けることができる点も、大きな利点 である。 子どもにとっての学習における困難にはどのようなものがあるか、デジタル教科 書・教材を活用することでどのように困難に対応することが可能になるのか、そ れぞれの困難別にみていくとともに、課題についてもみていく。 3.5.1 読み書きや行動に困難のある子どもに有効な機能 文部科学省が2002 年に行った全国の小中学校41,579 人を対象とした調査19によ ------- 19 「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全 国実態調査」, http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2002/021004c.htm ると、通常学級に在籍し、知的発達に遅れはないものの、読み書きなどの学習面 や行動面で著しい困難を持っていると担任教員が回答した子どもの割合は下記の ようになる。 ・ 学習面か行動面で著しい困難を示す 6.3% ・ 学習面で著しい困難を示す 4.5% ・ 行動面で著しい困難を示す 2.9% ・ 学習面と行動面ともに著しい困難を示す 1.2% 学級単位で考えると、学習面か行動面で著しい困難を示す子どもは一学級に2.5 人在籍することになる。 これらの困難がある子どもは、目が見えない、車椅子を利用しているといった目 に見えてわかる身体的障害ではないが、学習障害 (LD=Learning Disability)、 注意欠陥/多動性障害 (ADHD=Attention Deficit / Hyperactivity Disorder) と いった障害である可能性が高く、障害に応じた配慮や支援が必要である。ただ 「勉強ができない」「落ち着きがない」として、画一的な指導を行うのではなく、 デジタル教科書・教材を活用した柔軟な学習方法で効果をあげている例がある。 ◯学習における困難の例 ・ 読むことに時間がかかる ・ 文章を正しく読み取ることが難しい ・ 漢字の一部を間違える ◯デジタル教科書・教材の活用例 ・ 文字の拡大 ・ 単語ごとにスペースを空けたり行間を広げたりするなどのレイアウト変更 ・ 読んでいる部分の色を変えるなどの強調表示 ・ ルビふり ・ 書かれている文章の読み上げ ・ 文字の一部の色を変更したり、アニメーションをつけたりする 画面の拡大やレイアウト変更が自在なデジタル教科書・教材を用いることで、そ れぞれの子どもにとって読みやすい画面で学習し、理解を進めることができる例 が認められている。また視覚からの情報だけでなく、人の声であらかじめ録音さ れた音声や、音声合成エンジンを用いて読み上げられた音声を聞くことによって 文章の内容をより理解でき、学習効果をあげる例も認められている。間違いやす い部分の色を変えたりアニメーションをつけたりすることで注意をひくことも、 学習に有効であるとされる。 ◯学習における困難の例 ・ じっとしているのが難しい。気が散りやすい ◯デジタル教科書・教材の活用例 ・ 教室の前方でデジタル教科書・教材を大きく投影させ教室全体で共有 ・ グループに一台や子ども一人ずつ、動きのあるデジタル教科書・教材を持た  せて使用教室の前方でデジタル教科書・教材の一部を大きく投影して教室全体  で共有することで、多くの子どもの注意をひきやすくなる。グループごとや一  人一人がデジタル教科書・教材を持つ場合でも、アニメーションなど動きのあ  るコンテンツで注意を向かせることができる。 3.5.2 病気などにより登校が難しい子どもに有効な機能 病院で療養中の子どもが在籍する病院内の院内学級を含めて、特別支援学級には、 病弱・虚弱な子どもが下記の人数が在籍している。20 小学部:1282人、中学部:455人 これ以外にも、自宅などで療養し登校が難しい子どもは多数いると思われ、一人 で学習する、ベッド上で学習するなどの状況から下記のような困難が見られる。 ◯学習における困難の例 ・ 鉛筆での書字が難しい ・ ページをめくるのが難しい ・ 本を適切な位置に保つことが難しい ・ 長時間同じ姿勢での学習が困難 ・ 一人での学習が難しい、学習の進度が適切かわからない ◯デジタル教科書・教材の活用例 ・ 姿勢など応じた入力補助機器、ソフトウェアを利用しての文字入力や、任意  のページへの移動 ・ 位置を固定しやすい機器や設置器具の利用 ・ 書かれている文章の読み上げ ・ 学校での授業の様子を中継したり、録画したものを再生したりして学習する ・ 学校の授業で板書された内容、示された資料、行ったテスト等を、手元のデ  ジタル教科書・教材で表示させる ------- 20 「特別支援教育の現状」,   http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/002.htm 学習に適さない姿勢や、長時間同じ姿勢での学習を余儀なくされる場合は、姿勢 などに応じた入力補助機器やソフトウェア、設置器具を使い、文章を読んだり、 書き込み可能なデジタル教科書・教材に書き込んだりして学習を行うことができ る。長時間同じ姿勢で読むことが難しい場合は、録音された人の声や、合成音声 エンジンにより読み上げられた文章を聞くことで学習を行うことも有効になる。 一人離れて学習を行う場合も、インターネット回線を利用して、手元で授業の中 継や録画された授業を見たり、板書などの内容を共有してもらったりして、確認 することもできる。 3.5.3 肢体不自由の子どもに有効な機能 肢体に不自由のある子どもは下記の人数在籍している。 ・ 特別支援学級:小学部 3024人、中学部 893人 (一部は知的障害を合併していると思われる) ・ 特別支援学校:小学部7811人、中学部4455人 (重複障害を合併している子どもが多数いると思われる) ・ 通常学級:人数は不明だが、近年は多くの子どもが通常学級にも在籍してい  ると思われる これらの子どもにも、デジタル教科書・教材を使うことにより、学習効率を上げ ることができるケースが認められている。 ◯学習における困難の例 ・ 鉛筆での書字が難しい ・ ページをめくるのが難しい ・ 本を適切な位置に保つことができない ・ 長時間同じ姿勢での学習が困難 ・ 多くの教科書教材を持ち歩くことが難しい ◯デジタル教科書・教材の活用例 ・ それぞれの障害に応じた入力補助機器を利用しての文字入力や、任意のペー  ジへ移動 ・ 位置を固定しやすい機器や設置器具の利用 ・ 書かれている文章の読み上げ ・ 軽量のハードウェアに複数の教科書教材のデータを搭載 鉛筆を持ったり、鉛筆で上手に字を書くことが難しくても、子どもがそれぞれの 身体的困難に応じたスティックやトラックボールなどの入力機器やソフトウェア キーボードなどのソフトウェアを使い、書き込み可能なデジタル教科書・教材の 問題に回答したり、自身の考えを表すことができることも、デジタル教科書・教 材を使用する利点となる。紙の教科書教材では取り扱いが難しかった子どもも、 アクセシビリティに配慮されたデジタル教科書・教材と、それぞれの子どもの困 難に応じた機器などで、学習の効率をあげることができる。 長時間同じ姿勢で読むことが難しい場合は、録音された人の声や、合成音声エン ジンにより読み上げられた文章を聞くことで学習を行うことも有効になる。 3.5.4 聴覚に障害のある子どもに有効な機能 聴覚に障害のある子どもは下記の人数在籍している。 ・ 聾学校: 小学部 2210人、中学部 1279人 ・ 特別支援学級: 小学部 822人、中学部354人 ◯学習における困難の例 ・ 教員や他の子どもの発言を聞くことができない、聞くことが難しい ◯デジタル教科書・教材の活用例 ・ 教員が話す内容をあらかじめ文字や手話のデータで用意し、手元のデジタル  教科書・教材で確認 ・ ノートテイクや手話通訳、音声認識機能の活用 聴覚障害の子どもが、教員の説明を聞くことが難しい際に、あらかじめ教員が話 す内容のポイントを文字や手話のデータで用意し、手元のデジタル教科書・教材 で確認しながら授業に受けることで、理解を促進できる。また支援者が、教員や 他の子どもの発言内容を聞き取ってコンピューターなどに入力して聴覚障害のあ る子どもに見せるノートテイクや、インターネット回線を利用しての遠隔手話通 訳、発声された音声を認識して自動的に文字で表示させるコンピューターの音声 認識機能などと、デジタル教科書・教材を組みあわせての活用も考えられる。 3.5.5 全盲の子どもに有効な機能 全盲の子どもは下記の人数在籍している。 ・ 盲学校: 小学部 678人、中学部 448人 (重複障害のある子どもが多いと思われる) ・ 通常学級: 人数は不明だが、それほど多くないと思われる ◯学習における困難の例 ・ 紙に印刷された教科書教材を読むことができない ・ 板書された文字を読むことができない ・ 点字教科書が通常の検定教科書と同様に無償給与されるが、製造には時間と  費用がかかり、種類は全国で一種類のみ ・ 無償給与される点字教科書以外の教科書教材は、教職員などが作成する必要  がある ・ 点字の教科書教材は大変かさばる ・ 子どもが試験や課題に点字で回答をする場合、点字を理解できない教職員は  判読に時間がかかる ◯デジタル教科書・教材の活用例 ・ デジタル教科書・教材の内容を音声で聞く ・ デジタル教科書・教材の内容を点字で読む ・ デジタル教科書・教材にキーボードを使って入力することで、多くの人にす  ぐに理解できる手段で、問題の回答をしたり、自身の考えを表したりすること  ができる 視覚のない子どもにとって触覚で書籍を読んだり情報を入手したりすることがき る点字は非常に重要だが、全ての情報を点字で入手することは難しい。一方、文 字データを音声にするソフトウェアや、触ってわかる凹凸の点字に変換する機器 が存在し、それらとデジタル教科書・教材を組み合わせて使用することにより、 多くの情報を全盲の子どもも入手することができるようになる。 点字教科書は、点字を理解できる子どものみが対象になり製造費用が問題になる が、デジタルデータは障害がある子どもに限って有効なものではないため、デー タ作成費用は安価に抑えることができるはずである。点字は文字文化による学習 効果があると言われており、おろそかにしていいものではないが、必ずしも点字 の資料などが提供されるわけではない将来の就労環境などを考えると、点字以外 のコミュニケーションに長けることも重要であると考えられる。 3.5.6 弱視の子どもに有効な機能 弱視の子どもは下記の人数在籍している。 ・ 特別支援学級: 小学部:252人、中学部:83人 また、弱視等の小中学生 4990 人の子どものうち、学校としてのどのような教科 書を使用することが望ましいかの調査結果21は下記の通りである。 ・ 点字教科書が望ましい子ども: 295人 ・ 拡大教科書が望ましい子ども: 1525人 ・ 通常の検定教科書が望ましい子ども: 1636人 ◯学習における困難の例 ・ 紙に印刷された教科書教材や板書された文字が小さかったり、まぶしかった  り、一部が欠けるなどして、見ることが難しい ・ 拡大教科書が通常の教科書と同様に無償給与されるが、弱視の見え方は様々  なため制作が難しく、利用者数も少ないため製造費用が高額 ・ 拡大教科書は通常の教科書に比べかさばる ◯デジタル教科書・教材の活用例 ・ デジタル教科書・教材を自身の見やすい文字の大きさに変更して見る ・ デジタル教科書・教材を自身の見やすいコントラストに変更して見る ・ デジタル教科書・教材を自身の視野にあわせて文字などの場所を調整して見  る ・ 板書された内容をデジタル教科書・教材に同期して手元で確認する 弱視といっても、単に教科書教材を拡大すれば全ての子どもが見えやすくなるわ けではなく、見え方は様々である。アクセシビリティに配慮されたデジタル教科 書・教材ならば、子どもの見え方に応じて、個々に見やすいように調整すること ができる。拡大教科書は製造費用が問題になるが、デジタルデータは障害がある 子どもに限って有効なものではないため、データ作成費用は安価に抑えることが できるはずである。また板書など離れたところの文字や図を、手元のデジタル教 科書・教材に投影させて見ることで、学習効率を高めることもできる。 3.5.7 試験における課題 普段の学習ではデジタル機器を用いているが、入学試験をはじめとした試験では デジタル機器の使用が認められず回答に苦労し、実力通りの結果をだせないケー スがある。試験は本来の学力をはかるものであり、学習に困難のある子どもがデ ジタル機器等を用いて困難を克服することができるのであれば、デジタル機器等 の使用が制限されるのはおかしい。例えば鉛筆を持つのが難しく、情報端末にキ ーボードで文字を入力することで学習している子どもが、試験の際だけ情報端末 の使用が認められず鉛筆を持つように強要されるのは、おかしな話である。 学習時のみならず、試験においても合理的な配慮がなされるべきである。 ------- 21 「小・中・高等学校等に在籍する弱視等児童生徒に係る調査の結果について」   http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/12/1287566.htm 3.5.8 学習に困難のある子どもが使用するハードウェア、ソフトウェア、コンテ    ンツにおける課題 従来からある多くの情報端末は基本的なハードウェア、OSのレベルで、あらゆる 人にとって利用しやすいように、JIS で定められているアクセシビリティ要件を 満たしており、基本的なアクセシビリティが確保されている。しかし、電子ブッ クリーダーなど新しい情報端末においては、視覚障害や肢体不自由の人などに対 する配慮がなされていないものも多く、新規でハードウェアを製作する際は、 JIS で定められているハードウェアの該当部分に準拠する形での配慮や、それを 補う周辺機器の開発・提供が必要である。 例:麻痺ある子どもが電源スイッチに手が届かない、ボタン操作する力が弱い   不随意運動のある子どものタッチスクリーンの誤操作が多い また、画面の情報を任意の大きさに変更できる機能、画面上の文字などの情報を 音声で読み上げる機能、読み上げている箇所を強調表示する機能などがソフトウ ェアやコンテンツに備わっていることは、学習に困難のある子どもだけでなく、 多くの子どもに有効だと思われる。これらの機能の設定の仕方、ソフトウェアや コンテンツの配布のされ方や入手の用意さ、配布システム自体のアクセシビリテ ィも重要な問題であり、適切な配慮がされるべきである。 また、学習に困難のある子どもに向けてコンテンツを加工する必要があるケース も多いため、コンテンツの提供者には、データの加工や変換に際して、無駄な手 間やコストが発生しない形でのデジタルデータの提供が求められる。 一方で、全ての機能を搭載し、全ての困難や障害に対応するハードウェア、ソフ トウェア、コンテンツを目指すことは、多くの子どもにとって不必要に大きなシ ステムになり、開発に時間と費用がかかり、必要なタイミングで必要な子どもに 届けられない可能性が高くなってしまうと考えられる。最新のテクノロジー動向 を注視しつつ、全ての機能が確保されていなくても、柔軟で拡張性のある形を目 指すべきであると考えられる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発達が気になる子のサポート入門 発達障害は「オリジナル」発達 (新書) 阿部 利彦 (著) http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00039.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 防災とバリアフリーを経済コストで測るな 福島 智 東大先端研教授 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://mainichi.jp/select/opinion/iitai/news/20110428ddm004070030000c.html 「これが言いたい」は毎週木曜日に掲載します 毎日新聞朝刊10面 2011年4月28日 ○これが言いたい 防災とバリアフリーを経済コストで測るな 被災障害者の危機は人災だ 福島 智 東京大先端科学技術研究センター教授  空気ボンベを背負い海に潜るスキューバダイビングは、よく知られている。で は、地上で暮らしながら、常に「目に見えない海水」に潜った状態で生活してい る人たちのことをご存知だろうか。重い病のために、酸素吸入器や人工呼吸器を 常時使用している人たちのことだ。  仙台市太白区の土屋雅史さんもその一人で、4年前、全身の筋力が徐々に衰え る筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した。人工呼吸器やたんの吸引器が命綱 だ。  53歳の今、全身で動くのは眼球だけだ。その目の動きでパソコンを操作し、一 文字ずつ言葉を刻み、この度の震災体験をつづった。 −中略−  ふくしま・さとし 9歳で失明、18歳で聴力も失い、盲ろう者となる。専攻は 障害学、バリアフリー論。博士(学術)。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発達障害 境界に立つ若者たち (平凡社新書) (新書) 山下 成司 (著) http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00023.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 学校の放射線量年20ミリシーベルト基準策定のプロセス 2011/04/29 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://mizuhofukushima.blog83.fc2.com/blog-date-201104-1.html  内閣府原子力安全委員会事務局より、資料を頂きました。  正式な召集ではないので、議事録はないがメモとのことです。  「技術的助言の経緯について」  4月9日〜  ○文部科学省より、原子力安全委員会に対して、福島県内の学校などの校舎・   校庭の利用判断の考え方について、相談したい旨の依頼があった。  ○文部科学省の担当者が数回程度来訪し相談を行った。  ○この相談を踏まえ、原子力安全委員会関係者(安全委員、緊急技術調査委員   など)が数回程度議論を行い、その結果を文部科学省へ累次口頭で伝達した。  主な議論の内容:安全委員会からの意見  ●非常事態収束後の参考レベル1〜20ミリシーベルト/年の20ミリシーベ   ルト/年をとることは、あくまで出発点とすべきで、ALARA(合理的に   達成可能な限り低く)の観点から被ばくの低減化につとめることが必要。  ●種々のモニタリングを確実に実施し、そのモニタリング結果については、原   子力安全委員会に適宜提出してもらいたい。  ●モニタリング結果に基づき、減衰の効果(ヨウ素の物理的半減やウェザリン   グ)や子どもの行動を考慮し、実際に被ばくすると考えられる被ばく線量を   推定することが必要。その結果を基に、適宜、校舎・校庭の利用法を見直す   必要がある。  ●内部被ばくを考慮することが必要。  ●ヨウ素の物理的減衰、環境因子による減衰(ウェザリング)により、実際の   年間積算線量は、現在の線量率がそのまま継続すると仮定した場合にくらべ、   相当程度(概ね2分の1程度)減衰することも考えられる。  4月19日  14時頃  原子力災害対策本部より原子力安全委員会に対し助言要請  16時まで 原子力安全委員会で、助言案について検討し、決定  16時ごろ 原子力安全委員会より原子力災害対策本部に対し助言回答 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『あたまと心で考えよう SSTワークシートー社会的行動編』 http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00059.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 内閣官房参与 小佐古敏荘氏 辞任記者会見 資料全文掲載 2011/04/29 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://www.youtube.com/watch?v=t1tHrGS9nkU http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/80519.html   平成23年4月29日 内閣官房参与の辞任にあたって(辞意表明)                         内閣官房参与 小佐古敏荘  平成23年3月16日、私、小佐古敏荘は内閣官房参与に任ぜられ、原子力災 害の収束に向けての活動を当日から開始いたしました。そして災害後、一ヶ月半 以上が経過し、事態収束に向けての各種対策が講じられておりますので、4月3 0日付けで参与としての活動も一段落させて頂きたいと考え、本日、総理へ退任 の報告を行ってきたところです。  なお、この間の内閣官房参与としての活動は、報告書「福島第一発電所事故に 対する対策について」にまとめました。これらは総理他、関係の皆様方にお届け 致しました。  私の任務は「総理に情報提供や助言」を行うことでありました。政府の行って いる活動と重複することを避けるため、原子力災害対策本部、原子力安全委員会、 原子力安全・保安院、文部科学省他の活動を逐次レビューし、それらの活動の足 りざる部分、不適当と考えられる部分があれば、それに対して情報を提供し、さ らに提言という形で助言を行って参りました。  特に、原子力災害対策は「原子力プラントに係わる部分」、「環境、放射線、 住民に係わる部分」に分かれますので、私、小佐古は、主として「環境、放射線、 住民に係わる部分」といった『放射線防護』を中心とした部分を中心にカバーし て参りました。  ただ、プラントの状況と環境・住民への影響は相互に関連しあっておりますの で、原子炉システム工学および原子力安全工学の専門家とも連携しながら活動を 続けて参りました。  さらに、全体は官邸の判断、政治家の判断とも関連するので、福山哲郎内閣官 房副長官、細野豪志総理補佐官、総理から直命を受けている空本誠喜衆議院議員 とも連携して参りました。  この間、特に対応が急を要する問題が多くあり、またプラント収束および環境 影響・住民広報についての必要な対策が十分には講じられていなかったことから、 3月16日、原子力災害対策本部および対策統合本部の支援のための「助言チー ム(座長:空本誠喜衆議院議員)」を立ち上げていただきました。まとめた「提 言」は、逐次迅速に、官邸および対策本部に提出しました。それらの一部は現実 の対策として実現されました。  ただ、まだ対策が講じられていない提言もあります。とりわけ、次に述べる、 「法と正義に則り行われるべきこと」、「国際常識とヒューマニズムに則りやっ ていただくべきこと」の点では考えていることがいくつもあります。今後、政府 の対策の内のいくつかのものについては、迅速な見直しおよび正しい対策の実施 がなされるよう望むところです。 <1.原子力災害の対策は「法と正義」に則ってやっていただきたい>  この1ヶ月半、様々な「提言」をしてまいりましたが、その中でも、とりわけ 思いますのは、「原子力災害対策も他の災害対策と同様に、原子力災害対策に関 連する法律や原子力防災指針、原子力防災マニュアルにその手順、対策が定めら れており、それに則って進めるのが基本だ」ということです。  しかしながら、今回の原子力災害に対して、官邸および行政機関は、そのこと を軽視して、その場かぎりで「臨機応変な対応」を行い、事態収束を遅らせてい るように見えます。    とりわけ原子力安全委員会は、原子力災害対策において、技術的な指導・助言 の中核をなすべき組織ですが、法に基づく手順遂行、放射線防護の基本に基づく 判断に随分欠けた所があるように見受けました。例えば、住民の放射線被ばく線 量(既に被ばくしたもの、これから被曝すると予測されるもの)は、緊急時迅速 放射能予測ネットワークシステム(SPEEDI)によりなされるべきものであ りますが、それが法令等に定められている手順どおりに運用されていない。法令、 指針等には放射能放出の線源項の決定が困難であることを前提にした定めがある が、この手順はとられず、その計算結果は使用できる環境下にありながらきちん と活用されなかった。また、公衆の被ばくの状況もSPEEDIにより迅速に評 価できるようになっているが、その結果も迅速に公表されていない。  <初期のプリュームのサブマージョンに基づく甲状腺の被ばくによる等価線量、 とりわけ小児の甲状腺の等価線量については、その数値を20、30km圏の近 傍のみならず、福島県全域、茨城県、栃木県、群馬県、他の関東、東北の全域に わたって、隠さず迅速に公開すべきである。さらに、文部科学省所管の日本原子 力研究開発機構によるWSPEEDIシステム(数10kmから数1000km の広域をカバーできるシステム)のデータを隠さず開示し、福島県、茨城県、栃 木県、群馬県のみならず、関東、東北全域の、公衆の甲状腺等価線量、並びに実 効線量を隠さず国民に開示すべきである。>  また、文部科学省においても、放射線規制室および放射線審議会における判断 と指示には法手順を軽視しているのではと思わせるものがあります。例えば、放 射線業務従事者の緊急時被ばくの「限度」ですが、この件は既に放射線審議会で 国際放射線防護委員会(ICRP)2007年勧告の国内法令取り入れの議論が、 数年間にわたり行われ、審議終了事項として本年1月末に「放射線審議会基本部 会中間報告書」として取りまとめられ、500mSvあるいは1Svとすること が勧告されています。法の手順としては、この件につき見解を求められれば、そ う答えるべきであるが、立地指針等にしか現れない40−50年前の考え方に基 づく、250mSvの数値使用が妥当かとの経済産業大臣、文部科学大臣等の諮 問に対する放射線審議会の答申として、「それで妥当」としている。ところが、 福島現地での厳しい状況を反映して、今になり500mSvを限度へとの、再引 き上げの議論も始まっている状況である。まさに「モグラたたき」的、場当たり 的な政策決定のプロセスで官邸と行政機関がとっているように見える。放射線審 議会での決定事項をふまえないこの行政上の手続き無視は、根本からただす必要 があります。500mSvより低いからいい等の理由から極めて短時間にメール で審議、強引にものを決めるやり方には大きな疑問を感じます。重ねて、この種 の何年も議論になった重要事項をその決定事項とは違う趣旨で、「妥当」と判断 するのもおかしいと思います。<放射線審議会での決定事項をまったく無視した この決定方法は、誰がそのような方法をとりそのように決定したのかを含めて、 明らかにされるべきでありましょう。この点、強く進言いたします。> <2.「国際常識とヒューマニズム」に則ってやっていただきたい>  緊急時には様々な特例を設けざるを得ないし、そうすることができるわけです が、それにも国際的な常識があります。それを行政側の都合だけで国際的にも非 常識な数値で強引に決めていくのはよろしくないし、そのような決定は国際的に も非難されることになります。  今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を基礎 として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出 されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状 態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5m Sv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせ いぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの 間違いであります。警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月 間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考え ます。年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放 射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求 めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け 入れがたいものです。年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の 覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この 数値の使用は慎重であるべきであります。  <小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には 強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。>  また、今回の福島の原子力災害に関して国際原子力機関(IAEA)の調査団 が訪日し、4回の調査報告会等が行われているが、そのまとめの報告会開催の情 報は、外務省から官邸に連絡が入っていなかった。まさにこれは、国際関係軽視、 IAEA軽視ではなかったかと思います。また核物質計量管理、核査察や核物質 防護の観点からもIAEAと今回の事故に際して早期から、連携強化を図る必要 があるが、これについて、その時点では官邸および行政機関は気付いておらず、 原子力外交の機能不全ともいえる。国際常識ある原子力安全行政の復活を強く求 めるものである。                                   以上 *文中の下線は、原文のままです。(< >で囲み) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ぼくはうみがみたくなりました [DVD] ひとりの自閉症の青年と、その周囲の 人々が織り成す、心温まるヒューマン・ドラマ http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00062.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ------------------------------------ 22:37 2011/04/30 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 連休前半、如何お過ごしでしょうか? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 軽度発達障害のある子のライフサイクルに合わせた理解と対応─「仮に」理解し て、「実際に」支援するために (学研のヒューマンケアブックス) (単行本) http://ldnews2000.web.fc2.com/books/00010.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュースの記載内容に関する質問には原則として回答いたしかねます ■ ■ 編集に際し正確を期していますが最終保証責任は免責とさせて頂きます ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

目次


inserted by FC2 system