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□ LD・発達障害等関連図書 → http://ldnews2000.web.fc2.com/books/  □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LD(学習障害)ニュース #1018 2010/09/08 発行 登録(配信)読者数 3050 ■ ■ LD = Learning Disabilities LDニュース編集人発行 1997/09/10創刊 ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第1回)議事録2 2010/07/20 ■ □ 編集後記 ------------------------------------ 19:27 2010/09/08 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□■ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください ■□■□■ ■ LDニュースへ講演会等のイベント情報の掲載を希望される方へ・・・ ■ ■ 詳細は下記サイトをご覧下さい。原稿は適宜編集する場合があります。 ■ ■□■□■□ http://shibuya.cool.ne.jp/ldnews/sample.html □■□■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 感覚統合を生かしてたのしく学習−読む力・書く力を育てる 佐藤 和美 (著) http://shibuya.cool.ne.jp/ldnews/books/00050.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第1回)議事録2 2010/07/20 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://ldnews2000.web.fc2.com/pdf/20100906_5.pdf  3ページ目から 中央教育審議会初等中等教育分科会 特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第1回)議事録(抜粋) 1.日 時 平成22年7月20日(火)15:30〜17:30 2.場 所 三田共用会議所 第4特別会議室 3.議 題 (1)委員長の選任等について (2)特別委員会における検討事項について  ○1インクルーシブ教育システムの構築という権利条約の理念を踏まえた就学   相談・就学先決定の在り方及び必要な制度改革  ○2○1の制度改革の実施に伴う体制・環境の整備  ○3障害のある幼児児童生徒の特性・ニーズに応じた教育・支援の実施のため   の教職員等の確保及び専門性の向上のための方策 (3)その他 4.議事録(つづき) 【宮崎委員長】 ありがとうございました。員谷委員、お願いいたします。 【貝谷委員】 こんにちは。私、社団法人日本筋ジストロフィー協会の貝谷と申 します。ことし40歳になる、寝たきりの全身介護の息子の父親でございます。プ ライベートなことを申し上げていいかどうかわかりませんが、息子はすべて通常 の学級でアメリカのカリフォルニア大学大学院まで通しました。現在は、NPO法 人日本バリアフリー協会ということで、毎年1回、障害者の音楽会、ゴールドコ ンサートをしております。というのが私の個人的な話でございます。また、私の 本業は精神科の医者でございます。42年間、精神科医として悔床をやってきまし た。今年5月に初めて、日本筋ジストロフィー協会の理事長ということになりま したが、まだ全くの素人でございます。 障害という言葉ですね、私、精神科医のときに、精神障害者の障害の認定医を10 年ほどやっておりました。そのときに、病気が固定した状態、機能が固定した状 態を障害というと。治った日はいつかと、書く欄がございます。これにいつも疑 問を抱いておりまして、治った日はといってもなと。精神障害者の場合はむしろ、 よくなることがあるんですね。そのことも書く欄はございます。しかし、筋ジス トロフィーは進行性の病気で、果たして障害と、障害が固定した状態と言ってい いのかどうか。ベシャム型は昔は20歳で亡くなると言われていました。今は15年 から20年、寿命は延びましたけれども。ですから、まず、障害という定義を考 え直す必要があるんではなかろうかというのが一つです。それから、我々会員、 約2,500名ですが、一口に筋ジストロフィーという病気といっても、いろいろな タイプがあります。過去20年間、遺伝子研究、日本を初めとする遺伝子研究が非 常に進みまして、遺伝子がわかったのがたくさんございます。今、治療に向かっ て非常に頑張っていただいている。たくさんの研究者に頑張っていただいていま す。ということで、私どもは非常にそちらのほうにむしろ、今大変、カを入れて おります。 何をやっておりますかと申しますと、遺伝子の変異の全単位の登録ということを 目標にして、やはりオーダーメードの治療になりますので、そのようなことを今 しております。ですから、私がここで申し上げたいのは、障害と一口に言っても いろいろあるし、筋ジストロフィーもいろいろなタイプがいて、いろいろな障害 があるということですから、やはり個別にきめ細かに考えていかなければならな いなということでございます。 以上であります。どうも失礼いたしました。 【宮崎委員長】 ありがとうございました。それでは河本委員、お願いいたしま す。 【河本軍員】 最初に自己紹介させていただきます。私は、全国特別支援学級設 置学校長協会の会長、中野区立桃園小学校で校長を務めております河本と申しま す。どうぞよろしくお願いします。この校庭学校長協会ですけれども、私たちの 会は昭和39年に創設されて、50年弱の歴史がある会でございます。全国の各都道 府県の公立小・中学校の数が、今、約3万3,000校ございますけれども、その中で 設置校が約2万2,500校ございます。ですから、割合で青いますと、約68%ぐらい の学校で特別支援学級が設置されているという状況でございます。 先ほどの特別支援学校の校長先生のほうからありましたけれども、我々設置校と しても、インクルーシブ教育の制度のシステムの枠内で、今まで教育が行われて きたと自負しております。それぞれの障害がある子どもの障害の状況だとか、あ るいはニーズに対して彼らの将来的なことを見通した自立と社会参加を視野に入 れた、きめ細かな、そして、少人数による指導が各学級の中で行われてきました。 そのためには通常学級にはない敏育課程を編成して、例えば自立活動だとか、あ るいは日常生活の指導であるだとか、あるいは生活単元学習であるだとか、遊び の指導を通しながら、共生社会の中で子どもたちがどういう地位を築いていくか ということを視野に入れながら、小学校、中学校で指導を行ってきたということ が現状でございます。 インクルーシブ教育の枠内というお話を先ほどさせていただきましたけれども、 我々も、このインクルーシブ教育の理念に関しては何ら反対するものではござい ません。そういう社会を目指さなければならないと思っております。差別、ある いは偏見を払拭していくということは、いつの時代においても大きな課題でござ いました。これは別に障害だけではなくて、すべての差別、偏見に通じることで す。そういう観点でインクルーシブの社会の中で子どもたちが育っていくような、 そういう社会を目指していきたいと思っております。 平成10年度、今から12年前ですけれども、全国に約6万8,000名の特別支援学級に 在籍する子どもがいました。それが12年後に13万5,000名と増えました。約2倍に なりました。学級数で青いますと、12年前2万4,000学級だったのが12年後は 4万2,000学級と、これも約2倍になりました。今、設置校の大きな課題として、 教員の専門性をどう確保していくかということが非常に大きな課題となっており ます。児童数、生徒数が増え、そして、学級数が増え、それに見合うだけの教員 を配置しなきやならないといったときに、それぞれの学級の中で、冒頭で申し上 げました、そういう教育が成り立つために、教員の専門性をどう高めていくかと いうことが大きな課題になっているということでございます。通常学級の中に入 ってきたときに、子どもたちが通常学級の中ですべての子どもたちがその中で生 活したときに、果たして、今、彼らが学習する権利、学ぶ権利が、今以上にさら に充実したものとして保障されるかどうかということが、非常に大きな疑問点と して残っております。 これは時間をかけながら、ぜひ、合理的な配慮であるだとか、あるいは体制の整 備だとか、そして環境の整備ということをこれから頗序よく進めていかないと、 この実現というのはできないと考えております。ぜひまた皆さん方の御意見を聞 かせていただきながら、設置学校長協会としても更に充実した教育が展開できる よう頑張っていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思 います。 【宮崎委員長】 ありがとうございました。それでは木船委員、お願いいたしま す。 【木船委員】 はじめまして、木船と申します。今、大学において特別支援教育 に携わる教員養成に努めております。その経験からお話しさせていただきます。 特別支援教育の理念として、一人一人の教育的ニーズにきちんと対応するとい うものがございます。そのためにいろんな制度、体制、いろんなものが考えられ て、そして、少しずつ発展してきていると個人的には思っています。その一番の、 一人一人のニーズに対応するために子どもに直接かかわるのが教員であると。そ の教員養成という中で、あるいは先ほど出ました教員の専門性ということに関し ましては、まだまだいろんな面で、あるいは大きな課題があると考えております。 そういった教員の専門性をきちんと向上させるということがインクルーシブ教育、 あるいは特別支援教育の理念を実現することであろうと。そういう教員の専門性 を向上させる、これをじっくりと、時間がかかるわけですから、専門性の向上な しで体制、あるいはいろんな制度をつくったとしても、それはなかなか難しい課 題がまた生まれてくるのではないかと考えております。 以上です。 【宮崎委員長】 ありがとうございました。それでは清原委員、お願いいたしま す。 【清原委員】 こんにちは、東京都三鷹市長の清原慶子です。私は、市長になる 前、大学でメディア学や情報社会論などを専攻する研究者でございました。主と して情報教育や情報リテラシー、情報バリアフリーなどを研究しておりまして、 政府の障害者施策推進本部の参与なども務めさせていただいておりました。市長 になりましたのは平成15年でございますが、私としては何よりも物理的なバリア フリー、あるいは心のバリアフリーも含め、て、障害のある皆さんが地域社会で 相互に支え合い、自立し合える、そんな取組に力を入れてまいりました。特に障 害者の当事者の方を含めた「障がい者地域自立支援協議会」の活躍ですとか、あ るいは、学びだけではなくて就労につながる活動などを障害当事者の皆様で構成 されるNPO法人などにお願いをして、地域でできる限り私たちが障害者と出会 い合えるような、そんな取組を進めてまいりました。そんな私でございますので、 今回の特別支援教育の在り方に関する検討に際しましては、次のようなことを少 し注目しながら検討していただければと考えています。 資料11に大変重要な論点はすべてまとまっているのですけれども、私としては1 点目に、何よりも「子ども本位」で、障害のある子どもの教育ニーズというもの をできる限り謙虚に受けとめる、そんな制度設計ができたらと思っています。私 自身は大学教員時代、視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者、あるいは精神障 害者の学生と出会い、学び合う中で感じていたことも多々ございまして、ぜひ、 あくまでも子ども本位、児童生徒本位での設計ができればということが1点目で す。 2点目に総論として、私はこれまでの日本の特別支援教育というもののいい部分 が限りなく生かされなければならない、このように考えています。私自身、教育 委員会と一緒になりまして、特別支援学級の拡充にも努めてまいりました。東京 都の教育委員会、三鷹市の致育委員会、そして、市長部局の連携と地域の皆様の 御理解があって成り立つのが特別支援教育です。そうした取組をさまざまになさ れていらっしゃる方が、委員にもたくさんいらっしゃるので、ぜひそのことが生 かされれば望ましいというのが2点目です。 長くなるといけないので、最後に3点日です。各論についてですが、私は、構成 員として唯一の自治体関係者といいますか、行政担当者といたしましては、国、 そして都道府県、基礎的自治体の役割分担について随所に留意がされておりまし て、これは大変重要なことだと思っています。どんないい制度でありましても、 具体的に地域の現場で実現していくには、基礎自治体の取組が大きく影響します。 教育委員会だけではありません。首長部局、市長部局が重要です。高井大臣政務 官が、「体制面だけではなくて財政面もしっかり考えていく」とごあいさつされ たことはきわめて重要でございまして、財政を軽視してはいけません。文部科学 省におかれましては、ぜひ、よい制度を検討するとともに、財政獲得と確保に向 けて、私たちと.一丸となって進んでいただければと願っているところです。ど うもありがとうございました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発達が気になる子のサポート入門 発達障害は「オリジナル」発達 (新書) 阿部 利彦 (著) http://shibuya.cool.ne.jp/ldnews/books/00039.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【宮崎委員長】 ありがとうございました。それでは斎藤委員、お願いいたしま す。 【斎藤委員】 斎藤幸枝と申します。私は、この肩書のところに全国心臓病の子 どもを守る会会長と書いてあるんですが、実は、足立区の教育委員会の教育長を しておりまして、東京都23区の教育長会の代表をしております。そういう立場を 主にということでお話をさせていただきたいのですが、大前提としては心臓病の 子どもを持っているということですので、その子どもを育ててきた段階の中では、 学校教育にいろんな注文を持っておりましたし、今はそれを受けて立っている側 であるということで、二面性の面で、私はこの特別支援教育を考えていきたい、 このように考えております。 現状、今見てみますと、特別支援教育、スタートしてまだ間がないわけですけれ ども、非常に苦慮している。ですが、遅々として進まないではなく、若干ですが、 私は進んできたな、ある意味では、旧来のことを考えると随分進んできたなとい う思いがあります。でも、これについては、各学校の努力、特に情緒障害系の特 別支援については学校の努力、それから、先生たちの絶え間ない勤勉さ、このあ たりに頼っているところが多いなと考えております。まず、就学指導委員会、あ るいは就学支援委員会というような名前で、就学が適か不適か、あるいは困難か どうか、あるいは親に情報を与えるということで、この支援委員会の情報を親御 さんに与えます。ですが、親御さんの中には2つのタイプがありまして、非常に 真面目に御自分のお子さんの将来を考えてお話を聞くタイプと、それから、ネグ レクトに近いような、こういうタイプが実は私どもの区、それから、23区の中に は多うございます。そういうこともありまして、すべてを親にゆだねるというこ とは最終的にはお子さんのためにならないということも、このごろ重々感じてお ります。でも、基本的には私は、親御さんあるいは保護者が決定すべきものだろ うと思っておりまして、私どもは情報提供を最大限に行っているのですが、この 就学支援委員会に関与してくださる先生たちの質的な部分、それから、数の問題 というのにも多分、自治体では非常に苦慮しているだろうと思います。この辺も 第一にクリアしなくちゃいけないだろうと思っております。 それを受けて学校現場のほうでは、通級の学級、知的障害の特別支援学級、これ が一般的だろうというふうに思っておりますが、私どものところは小・中学校合 わせて109校ありますので、その中で知的障害と通級の学級があるわけですけれ ども、非常に数が多くございます。一人一人の教育的ニーズという建前論は非常 に理解しているつもりですが、なかなか丁寧にやり切れてないとい状況がありま すから、通級に通わせるというのは週のうちにたかだか1回、半日単位ぐらいし か通えません。そういうことを考えますと、学級でちょっと落ち着かなくなった お子さんを教室という形で、通級学級じゃなくて教室ですね、それを各学校につ くったらどうかという思いがありまして、昨年から1つの学校だけしかまだモデ ル的にはできませんけれども、これがわりあい効果を上げているんです。という のは、そこの校長がしっかりした人格者で、特別支援学級のほうに明るい校長先 生だったということと、規模が大きい学校でしたので、それなりの余剰の部分を 生み出すことができた。今のように小学校が小規模化してきますとかなり難しい かなというのがありますので、この辺も一つ課題だろうと思っています。それか ら、そうはいっても教師自体の専門性というのを身につけるのは非常に大変だろ うということと、今、小学校の教員のなり手が非常に少のうございます。特に東 京都は全体として悲惨な状態ですので、この中で優秀な、それから、専門性を持 たせてということをあまりにも押しつけますと、教員自体の育成にも影響しつぶ れていく方も出てくるのかなというのが本当に現場としては抱えていることです。 私は、理想論はやっぱりインクルーシブ教育密と思います。心臓病の自分の子ど もを育てたときに、もう少し先生たちに配慮があれば、プールのときに暑い最中 に見学させなくても済む、それから、ちょっとした心臓病であってもプールに入 れないなんていうことをしなくても済んだと思います。そういう経験を生かしな がら、今日のこの委員会にも参加させていただきたいということがあります。最 後になりましたけれども、私はコミュニケーション能力さえあればインクルーシ ブ教育って可能と思うんですが、じゃ、そのコミュニケーション能力をどう培う かというのも問題だろうと思っています。この辺が、非常に私が悩みつつ、いつ も課題を抱えているところですので、ぜひ、ここでお知恵もいただければありが たいと患っています。 三鷹市長がおっしゃったように、やっぱり最後には、地方自治体の行政が実行し ていかなければならないと思いますし、私は区長部局と一緒になりまして、やっ ぱり教育委員会として子どもの教育を前面に押し出しながらやっていきたいと思 います。理想と現実をどう近づけるかを念頭に。以上でございます。 【宮崎委員長】 ありがとうございました。それでは佐竹委員、お願いします。 【佐竹委員】 佐竹京子と申します。全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会 の事務局長を、現在は務めております。平成13年に会長を務めまして、中央教育 審議会の「特殊教育免許の総合化に関するワーキンググループ」にも参加させて いただきまして、大変勉強させていただいた思いがあります。そのときに御一緒 だった木船先生、宮崎先生といった先生方に今回お会いできて、大変感激してお ります。 PTAの連合会ということで、私はもちろん障害のある子どもの親でございます が、「障がい者制度改革推進会議」の第一次意見、いろいろなものを拝見させて いただきまして、親御さんたちは、この推進会議の中で特別支援学校が廃止と、 席上でコメントが出ましたことで、大変驚いたというのが実態でございます。学 校がなくなってしまうのかということで、今でも私の事務局のほうに、「佐竹さ ん、どうなっているんですか」というようなメールが届くことがあります。中に は、学校がなくなってしまうという恐怖感さえ思い浮かべるという親御さんの切 実な声が届いております。そういう極端な議論にはもちろんならないようにと願 ってはおります。「障がい者制度改革推進会議」、また、本委員会で話されるこ とも親御さんたちは大変注目しているかと思っています。 子どもたちが特別支援教育、いろいろな場面でその子に応じたニーズの教育の保 障があるように、私たち保護者にも安心して子どもを通わせられる学校希境の保 障があるはずと思っています。また、PTAというものを通して親御さんたち同 士もエンパワーメントをもらっている、エンパワーメントをつくっていくとい う集まりなんですね。そこでエンパワーメントが高過ぎて、最近はPTAの枠を 越え、OBの保護者やボランティアまで巻き込んで、地域の小・中学校に人形劇 を見せて、私たちの子どもはこういう子どもなんです、理解してほしい、みんな と一緒だよ、と自前のインクルーシブ啓発をやっている集まりもあるほどで、私 たちも特別支援学校の中だけでいいと患っているわけではありません。そこのと ころは皆様にまず御理解いただき、また、現場の先生方の困難な状況もぜひ見て いただきたい。子どもたちの多様な障害もぜひ見ていただきたい、御理解いただ きたい、その上での議論を重ねていきたい。お話ししたいことはたくさんあるん ですが、お時間がということですので以上にさせていただきます。ありがとうご ざいます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ インクルーシブ教育の実践−すべての子どものニーズにこたえる学級づくり− http://shibuya.cool.ne.jp/ldnews/books/00052.html  学苑社 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【宮崎委員長】 ありがとうございました。それでは品川委員、お願いいたしま す。 【品川委員】 教育ジャーナリストの品川と申します。よろしくお願いいたしま す。私は、不登校や引きこもりなど非社会的活動を取る子どもたち、いじめや非 行などとといった反社会的行動を取る子どもたち、虐待やうつ、摂食障害、リス トカットなどに苦しむ子どもたち、LDやディスレクシア、ADHDやアスベル ガー症候群などといった発達障害を抱えている子どもたちというように、子ども の諸問題全般を20毎以上にわたって取材して執筆しております。 さて、本日は総論ということで承っております。教育の目的は子どもの社会化で あり、いかに社会の中で不適応を起こさず、もちうる能力を最大限生かしつつ社 会貢献したり自己実現したりしながら社会参加するスキルを育てることと考えて おります。そのときに、必要不可欠なのは、発達的な視点はすべての子ども理解 の土台にあるということを共通理解とする教育制度をつくることです。 発達的な視点というのを簡単に御説明いたしますと、人間には認知特性や学習ス タイル、記憶や情報処理のありように多様性があるということです。これには連 続性がございますので単純に発達障害の診断の有無だけでとらえないでいただき たいんですね。そういったことを踏まえまして、健全育成を目指して学校や学級 経営、あるいは個別及び集団指導していくことが必要だと患っております。 と申しますのも、例えば知的障害や視覚聴覚などの感覚障害、身体障害などがご ざいましても、諷知特性や情報処理に偏りがあったり短期記憶や注意集中、衝動 性などに困難があったり、あるいは音韻理解に課題があったりする場合は多々ご ざいます。自閉症圏との診断がついていなくても認知特性に偏りのある子は少な からずおります。そういった発達錬題に周囲の大人が気がつかないまま、ニーズ に応じた指導を受けられずに成長していきますと、学校で不適応を起こしやすく なりますし、また学校という枠組みから卒業して社会に出てからも不適応という 問題に直面するリスクが非常に高まります。実際、就労不安定な若者たちを取材 しておりますと、そういった不適応の問題を抱えて、途方に暮れている青年に多 々出会います。 ですので、インクルーシブ教育の制度設計を考えるときには、連続性がある発達 課題の実態を踏まえたうえで構築する必要があると考えております。このことを 実質的に踏まえるためには、医学的な障害診断があるかないかといった見方から 脱却しなければ無理であろうということを申し上げたいのです。 どう言うことかと申しますと、先ほど、どちらかの委員の方もおっしゃっておら れましたけれども、やはり通常学級内にいる一人一人の教育的ニーズを考えると きに、診断があればこっちでなければあっちというように捉えることを続けてい る限り、ニッチに落ち込んでしまう子どもたちはどうするのかという問題が必ず 浮上してまいります。ニッチに落ち込む子というのはこ障害診断がボーダー線上 にあったり、あるいは虐待やいじめ、不登校などの課題があって不適応をおこし やすいリスクがそろっていたり、保護者の思いと子どもの教育的ニーズが合致し ていないようなケースのことです。 それから、発達障害について申し上げますと、言葉や概念は随分広まったと考え ておりますが、実は発達障害はスペクトラム、スペクトラムというのは連続性 という意味ですけれども、連続性で子どもの教育的ニーズをとらえなければ効果 のある実質的な指導にはつながっていきません。自閉症圏についてはスペクトラ ムでとらえられていることが少しずつ定着してきたかと考えておりますが、例え ば最新の英国のデイスレクシア研究で申し上げるならば、読み書き障害や意味理 解困難な子どもたちを連続性で捉えて指導していかなければ不利益を被る子が必 ず出てくるということがエビデンスペースでわかっております。インクルーシブ 教育というのは障害のある子もない子も同じ場で学ぶ、つまり、単に場を共有す るという意味ではないと考えますので、すべての子が将来の可能性を踏まえて個 々の教育的ニーズに応じて公平公正に指導を受ける権利を保障するためには、こ ういった発達の視点に基づくマネジメントと個別及び集団の指導を徹底すること が必須だと痛感しております。 長くなって申し訳ございませんが、あと一言だけ付け加えさせてください。先は どコミュニケーション教育、能力の向上が必要だとおっしゃられていた委員の方 がいらっしゃいました。文部科学省におかれましても参加型学習を増やして子ど もたちのコミュニケーション能力の向上を図ろうとしていると本日報道がござい ましたが、参加型学習はルールの徹底といった規律模範、つまり規範教育ですね、 と連携したうえではじめて効果をあげます。やみくもに参加型学習にしてしまう と、かえっていびつな集団ができてしまい、いじめなどが発生しやすくなります。 それに発達の視点を踏まえずに参加型学習にしてしまう、そもそも発達障害やそ の傾向のある子どもたちは参加ができません。規律のない、なれ合い型の学級経 営では、伸びる子は伸びますが、そうではない子はついてこられないという調査 結果もございます。すなわち教師が落ちこぼす子が増えるわけです。 実質的に効果のあるインクルーシブ教育を実践していくための制度設計を構築す るときには、こういったことを肝に銘じる必要があると考えております。 長くなりまして申し訳ございません。ありがとうございました。どうぞよろしく お願いいたします。 【宮崎委員長】 ありがとうございます。それでは新藤委員、お願いいたします。 【新藤委員】 新藤でございます。現在、全日本中学校長会の会長をしておりま す。中学校の立場から発言をさせていただきたいと思います。 特別支援教育がスタートして4年目ということで、やはり教員の意識、学校の中 でも随分変わってきているなと感じています。そういった中で、確実に成長を勝 ち取っている子どもたちもいるし、そのことによって多くを学んでいる子どもた ちがいることも事実です。中学校の場合、どうしても生徒指導、生活指導との関 係があって、これまでもやはり、発達障害なのか、いわゆる反社会的な行動、い わゆる非行問題なのかというあたりでの指導で苦慮してきた事実があります。 私は東村山市の教育委員会に一時期いたことがあるわけですが、そのとき、いわ ゆる児童自立支援施設の中の学校を通常の学校ということで変えていく、分校化 していくという形をとったんですが、そのときやはりいろいろと調べてみてわか ったことは、そういう児童自立支援施設に保護されている子どものかなりの部分 が、発達障害なり何らかの障害を持っていることが明らかになってきました。そ ういった中で、中学校という3年間の現場の中で、そういう子どもたちの発達の 状況ですとか教育的ニーズ等をどう正確にとらえて適切な指導をしていくかとい うことが、やっぱり大きく問われると思います。そのときにやはり一番大きな問 題になるのは教員の資質、能力の問題だと思います。 現在、中央教育審議会でも、教員養成とあわせて「教員の資質能力向上特別部会」 が開かれているわけですが、やはりこの教員の資質能力をどう高めていくかとい う部分と、とはいえ、教員には人数には限りがあるわけですから、今どちらかと いえば、大規模よりも規模がだんだん小さくなって1校の教員の数が減ってきて いる中においては、一人一人の教員にかかる負担というのはものすごく大きい。 そういった意味では、やはり専門性を持った教員ですとか、今、コーディネータ ーというものが配置されているわけですが、それも実は定数内であって、誰かに 研修を受けさせて、それをコーディネーターに指定をしてやってもらうというよ うな状態であって、通常の勤務している仕事との関係で、なかなかうまくいかな いという実態があります。こういったときにやはり、教員の数を増やすだけでは なくて、そういう専門性を持った教員が配置されることによってコーディネータ ー役をきちんとやっていくということが、教員の資質能力の向上だとか力の発揮 ということに大きくかかわるんではないかなと私は思っています。そういったこ とも含めて、今後議論をさせていただければなと思います。時間がありませんの で以上です。 【宮崎委員長】   ありがとうございました。それでは杉山委員、お願いいたします。 【杉山委員】   杉山と申します。私、子ども病院で働く児童精神科医です。児童精神科医とい うのは、一つは非常にたくさんの患者を診るということで、私、2001年に開院し た子ども病院で働いていますが、新患が2,000人を超えていると思います。そし て、長く診るんですね。つまり、幼児期から成人まで診ていきます。そうします と、教育がいかに重要かということは、下手すると学校の先生よりも身にしみて 感じるんじゃないかと恩うんです。成人後に、実はその教育の成果というのが明 らかになるわけです。ただ、それが当事者、あるいは保護者に十分に情報が行き 渡っているかというと、それはどうかなと思うんですね。そういう目で見ますと、 一人一人のニーズに合った教育というのは、これはやはり参加ができなければい けないわけで、参加ができるということがインクルージョンという具合に考えて います。 それから、先ほど品川先生がちょっと言われましたけれども、最近、健常者って 何かわからなくなってきまして。自閉症圏の認知特性というのは、これは明らか に異文化です。 その延長線上に、従来の教育というのは言語聴覚優位型の人向けにつくられてい ます。ところが、かなり多くの子どもたちというのが視覚映像優位型の方がいて、 その場合、通常教育であっても、カリキュラムをちょっと別の視点で組む必要が あるわけですね。ちょっとこういうことも、実はインクルージョンの中に考えて いかなくてはいけないんだと思うんですね。 それから、ちょっと蛇足なんですが、この何年か、子ども虐待に向かい合ってい まして、日本の教育がこの子ども虐待というのとどういう具合に向かい合うかと いうことは大問題になるんじゃないかと思います。インクルージョンといった場 合に、これもやはり避けて通れないんではないかと。 補足を一つ。どなたに伝えればいいのかわかりませんが、「障がい者制度改革推 進会議」の中に発達障害の当事者が入ってないというのは、よろしくないと思い ます。人口比で一番多いグループだと思うんですね、5%とか10%になりなんと するグループの当事者がいないというのは、ちょっとこれ、会議そのものをゆが める可能性があります。以上です。 【宮崎委員長】 ありがとうございました。それでは高橋委員、お願いします。 【高橋委員】 今の杉山委員とは違う、行政の責任者として、学校の現場、教員 並びに保護者のほうに対応しています東海村教育委員会の高橋と申します。教育 長になって初めて、こうした特別支援教育で気がついたこと、それは就学指導委 員会、15人から20人ほどのメンバーでしっかり専門委員会もつくってやっている んですが、その判定の結果があまり機能していない。それはやはり、判断を求め るときの保護者が選択するための資料それから、時間的な経緯がない。いきなり、 入学、進級するときに、あなたのお子さんはこうですよといってはなかなか、こ れが納得できないのは当たり前なのかなという気ははしてきました。そこで東海村 のほうでは、発達支援センターを立ち上げました。幸いに病院を建て替えると いうことになりまして、その病院がそっくり残ったものですから、そこの2階の 約5分の1ほどの広さのところを発達支援センターとして立ち上げました。いわゆ る発達障害のお子さんを対象に相談業務を行っております。発達支援コーディネ ーターが大体常勤、それから、臨床心理士が1週間に1日、言語聴覚士も過1日、 臨床発達心理士は月1日。 そこでやっている業務としては、相談業務ともう一つは巡回相談ですね。公立、 私立を問わず、幼稚園、保育所、そして、小・中学校への巡回相談。非常にこれ が書ばれておりまして、いい結果を出しているようで喜んでいまして、そして私 も、東海村としましては多少はインクルージョン教育にも近づいているのかなと いうふうなことがあったんですが、実際に、比較的恵まれているだろうと思って いたんですが、いわゆる判断で特別支援学級、学校へ行かないで、多くが今も小 学校普通学級に入学しております。そのためには、幼稚園には介助員さん、今年 は12名の実寮です。現在、小・中学校には20数名の生活指導員さん。中には医療 的行為を伴うお子さんもいますので、看護師さんも、生活指導の中には入れてお ります。ただ、課題としまして、一つは、要するに小・中学校でもちろんいいん ですが、幼稚園、低学年の場合にはお互いに理解し合う、学び合う機会として非 常に効果があるんですが、実際、岡上委員もおっしゃっていましたように、いわ ゆる高学年になってくると、全体での学習機会がなかなかなくなってくる。やっ ぱり教育というのは将来の社会参加のための自立支援、これが教育だろうと思い ます。これは障害の有無に関係ないと思っております。 もう一つの課題は、先ほど三鷹市長さんがおっしゃっていました。やはり教育条 件の整備と財政というのは、裏腹の関係だろうと思っております。今、東海村が こういったことができるのも、財政的な裏付けがあって初めてできている。私が 代表しています町村教育長会の941町村の中で、これだけ条件がそろっていると ころはほとんどないと思っています。 そこでやはり、いい面の成果については多くの仲間たちに広めていきたいんです が、やはり今後の施策は、私ども村としましても財政的な裏付けというのは大き な問題になってくるかなと思っております。以上です。 【宮崎委員長】 ありがとうございました。それでは中澤委員、お願いいたしま す。 【中澤委員】 中澤惠江と申します。独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 で上席総括研究員をやっております。業務は国際担当でございまして、研究所に おける国際交流と国際情報の比較を担当しております。この席で私が発言できる 内容としては、インクルージョンを長年進めている国々の統計とか制度、それか ら、その歴史の中であらわれてきた成功の条件と失敗、これらを提供する中で、 日本の状況をもう少し相対的に見て、遅く始めた利点は、失敗を繰り返さない、 成功例を生かすことだと患います。また、国の制度、歴史によって、一見同じよ うに見えて非常に違うものがございます。そのあたりの情報提供をできたらうれ しく思っております。 方向としては、できるだけ皆様でも見られるような、各国政府が出している情報 をベースに、比較の情報を出したいと思います。 また、過去にOECDで行っておりました特別支援教育の各国の比較研究に日本 の政府も2004年ほどから参加しておりまして、その中でOECD諸国が逆に日本 をどう見ているのか、大変、皆さんとは想像している方向が逆な印象を持ってい るというところも含めて御提示したいと思っております。 また、私の業務以外では、障害児教育についての専門領域は盲ろうといいまして、 目と耳、両方の障害を持った子どもの研究に、約30年従事しております。これに ついては、この後発言されるろうの方々の教育とコミュニケーシヨンの困難さに おいて共通するところがあるかなと思っております。 以上でございます。よろしくお願いいたします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ビジョントレーニング 学ぶことが大好きになる 北出 勝也 (著) ¥ 2520 http://shibuya.cool.ne.jp/ldnews/books/00024.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【宮崎委員長】 ありがとうございました。中村委員、お願いします。 【中村委員】 八王子よりまいりました。NPO法人若駒ライフサポートで理事 を務めております中村と申します。当法人では、八王子市より委託を受けまして、 障害児の学齢期からの自立支援サポート事業というものを実施させていただいて おります。あわせまして、私自身、24歳、22歳の知的障害を伴う子どもの母親と いう立場です。その立場で平成15年度から20年度まで、全国知的障害特別支援学 校PTA連合会及び自閉症協会のほうにかかわらせていただきました。 会議のほうの論点の中で、私の立場で申し上げられることがあるとしたら、2つ ございます。まず1つ、自閉症の子どもということで、現在、教育課程の中で自 閉症の専門性ということは、この何年かの間、声が大きくなってきているなと感 じておりますが、明確な尺度としては法制度上、まだ整備されていない状況です。 そんな中で、知的の遅れだけではなく自閉症の部分で合理的配慮が必要とされる ような子どもたちは、実際にはたくさんいるのではないかと思っています。先ほ ど教室にいられない子どもの話がたくさん出ておりましたが、あれを聞くたびに、 私、少々胸が痛みました。多分、教室から出ていってしまう子どもたちの中には、 その環境に耐えられなかった子どもたちがたくさんいるのではないかと思います。 そうなると、その環境をどう、自閉の子どもたちにとって安心して教育を受ける 現場にするのかという合理的配慮は、大変難しい課題ではないかなと感じており ます。 あわせて、保護者の立場ということから申し上げさせていただきます。この第一 次意見の中では、保護者及び本人の思いに沿った教育の場の選択ということがう たわれております。私、特別支援教育の内容の中で、本人や保護者の思いをどう ニーズにつなげていくかという論点が何かに書かれたのを記憶に覚えております が、就学に関しまして、この思いをニーズにつなぐということの実現性が、その ままの形では難しい部分があるのかなと感じております。その部分で、保護者の 思いがその学校に人草ことなのか、そうではなくて、その地域の中で、いかに地 域の中の一人の子どもとして生きていくことなのか、そこの部分を明確にしてい くかということが、インクルーシブ教育の課程の中では大変重要ではないかと思 います。 あわせて、最初から障害受容がきっちりできた保護者など、私は世の中に一人も いないのではないかと思っております。私自身、子どもの学校選択の中では本当 に悩み、その中で迷いながら学校を嘩択したという経験がございます。思いだけ で学校を選択してしまったときの12年後の結果がどうなるかというのは、大変重 い課題であると思います。先ほど杉山先生のほうから、教育の重さというものを ひしひしと感じておられるという話がありましたが、効果が得られないだけでは なく、自閉の子どもの場合、二次的障害を生んでしまうという事例はたくさんご ざいます。この部分に関して、ぜひ、この会議の中でいい方向性を見出していけ ればいいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 【宮崎委員長】 ありがとうございました。それでは久松委員、お願いいたしま す。 【久松委員】 財団法人全日本ろうあ連盟の久松です。ろうあ連盟といいまして も、私どもは耳が聞こえない立場で、手話通訳を介して皆さんの議論に参加をし ています。この会議にお呼びいただきまして、本当にありがとうございます。ま た、皆様も障害を持つ子どもさんのために取り組まれるということに、感謝の気 持ちをあらわしたいと思います。 ろうあ連盟のことをご存じない方がたくさんいらっしゃると思いますので、簡単 にろうあ連盟は何をしているのかということを御紹介したいと思います。ろうあ 連盟は教育のテーマに関係するところで言えば、東南アジアを中心に、学校教育 を受けられない障害児、何百人という子どもたちに対して、学校教育を受けられ るような体制をつくるという支援をしています。今でも続いております。例えば ネパール、富士山よりも高いところに、ろう学校を2校つくることができました。 ほかに、全国のろう学校校長会とは定期的に懇談の場を設けています。仕事柄、 ヨーロッパやアメリカの教育、または大学の先生方とお合いする機会もあるので すが、向こうの大学には学長さんに障害を持った人が結構いらっしゃいます。と いうことも考えますとやはり、インクルーシブな社会というのは障害を持つ当事 者がどれだけ社会に参加できるかということ、それが問われるのだろうと思いま す。また、インクルーシブな社会の在り方、インクルーシブ教育をつくるにはど うしたらいいかという議論をするときに基本になるのは、インクルーシブな社会 をつくる姿勢をこの会議という場から出発するということだろうと思います。 ゆくゆくは、私の望みですが、障害のある当事者が、例えば乙武さんが何年かし たら「学校長の乙武です」というふうに発音をされるようなこと、そういったこ とを大いに期待しているところです。障害のある当事者が、この教育の会議の分 野でも活躍できるようにバックアップできるような、そういった教育にしていき たいと思っています。 個人的なことで申しわけございませんが、私自身はろう学校に8年間、地域の学 校で6年間を過ごしました。ろう学校の経験と地域の学校の経験を持っています。 それを含めて議論に参加したいと患います。先ほど、石川先生が盲学校の数が減 っていると、大変残念だという発育がありましたように、ろう学校も今、数が減 っています。子どもの数も減っています。どうやって元気のあるろう学校にして いくか、活力のあ、るろう学校をつくっていくか、特別支援教育制度の中に埋没 されないような制度のつくり方を皆さんと一緒に議論できたらありがたいなと思 っています。 最後に一つ。内閣府の「障がい者制度改革推進会議」のメンバーです。先ほどか ら、制度改革推進会議に対して非常に厳しい御意見をいただいています。私は耳 が聞こえませんから目が痛いですけれども、教育にかかわっている皆さんも、コ ミュニケーションはとても大切に思われていると思います。私もコミュニケーシ ョン障害で孤立することがありますので、コミュニケーションはとても大切にし たいと思っています。コミュニケーシのバリア、情報のバリアというものをなく すためこも、推進会議との間のコミュニケーションを十分にとることをお願いし たいと思います。推進会議の皆さんも、今、インクルーシブ社会をつくるために 一生懸命取り組んでいる方々ですので、その辺、お互いの情報交換、コミュニケ ーションをつくっていくということができればと思っています。 あと、言いたいことは山ほどあるのですけれども、次回の会議の場でお話しさせ ていただければと思います。ありがとうございました。以上です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ そうだったのか!発達障害 わざとじゃないモン─実録4コママンガ (単行本) 斗希 典裟 (著), 発達障害を考える会TRYアングル (編集) http://shibuya.cool.ne.jp/ldnews/books/00028.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【宮崎委員長】 ありがとうございました。大変お待たせいたしました。山口委 員、お願いいたします。 【山口委員】 長野県の教育委員会の教育長をやっています山口と申します。こ の障害者権利条約でうたわれたインクルーシブ教育でありますけれども、これは そういう方向であるとは思いますけれども、私はぜひ、今までの特別支援教育の 成果と、今どの辺に課題があるのかということを、発達障害を含めた形で、やは りきちんと踏まえたものでないと、なかなか制度設計というのは難しいんじゃな いかと、こんなふうにまず思っております。 そういった議論がどの程度されたかというのはちょっとうかがいしれない部分が ありまして、ちょっと危惧しているところであります。理念として正しいもので あっても、そこにどういう形でアプローチしていくのかというところの知恵とか、 あるいは、これは絶対繰り返してはいけないんだとか、これはぜひ強めていかな きやいけないということは今までの特別支援教育の実践の中にあるはずですので、 そのようなことを議論のベースにしていただければなと、これが1点でございま す。 それから、もう一つ、長野県でのことを若干申し上げますと、インクルーシブ教 育とは若干違うかもしれませんけれども、この間、特別支援教育の在り方として、 地域化ということを目指してまいりました。これはいろんな迫られた条件があっ て、そういうものを目指したわけでありますけれども、一つはやはりインクルー シブ教育につながるものだと思っております。それから、内容的には、先ほどど なたかの発言にもございましたけれども、とにかく基礎自治体の首長さんの、特 に保健、医療、福祉分野、それから、教育、あるいは労働関係、こういったもの がやはり一体となって、支援を必要としている一人一人の子どもさんに、早く適 切な診断と支援の体制を提供しなきやいけない。そういったことをやることによ って、やはり相当、発達段階の中で適応されていく子どもさんが多くいらっしゃ います。そんな点で、やはり一方で放置されたまま二次的な障害に至るようなケ ースもたくさんあるわけでありますけれども、何としても基礎自治体等を中心と した、生活の中での支援体制をどのようにつくっていくかと、こんなことも、や はり非常に大事じゃないかなと思っております。 その中で、最終的に私、県の立場でございまして、今回の議論の中で、国はどう なのかと。あるいは、私ども、特に今回の合理的な配慮という中で、市町村の役 割、そして、県の役割、それから、私どもは市町村、県、広域圏というのがござ いまして、この広域圏としての役割、こんなものをどういうふうにつくっていく か。従って、理念は非常にわかるんですけれとも、そこに至る克服すべき課題を 明らかにして、それに対する工程表と申しますか、財政的な裏付け、あるいは教 員の質的な課題など、さまざまな課題がありますので、そういったものをトータ ルとしてやはり議論していかないと、なかなか理念と実際がうまくかみ合って前 へ進んでいかないんじゃないかと、そんなふうな議論を期待しておるところでご ざいます。以上でございます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発達障害 境界に立つ若者たち (平凡社新書) (新書) 山下 成司 (著) http://shibuya.cool.ne.jp/ldnews/books/00023.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ------------------------------------ 19:27 2010/09/08 □ ------------------------------------------------------------------------ 長文のため、分割しました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 軽度発達障害のある子のライフサイクルに合わせた理解と対応─「仮に」理解し て、「実際に」支援するために (学研のヒューマンケアブックス) (単行本) http://shibuya.cool.ne.jp/ldnews/books/00010.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュースの記載内容に関する質問には原則として回答いたしかねます ■ ■ 編集に際し正確を期していますが最終保証責任は免責とさせて頂きます ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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