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□ LD・発達障害等関連図書 → http://ldnews2000.web.fc2.com/books/  □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LD(学習障害)ニュース #1017 2010/09/08 発行 登録(配信)読者数 3050 ■ ■ LD = Learning Disabilities LDニュース編集人発行 1997/09/10創刊 ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第1回)議事録1 2010/07/20 ■ □ 編集後記 ------------------------------------ 19:25 2010/09/08 □ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□■ この LDニュース は「等幅」フォントでお読みください ■□■□■ ■ LDニュースへ講演会等のイベント情報の掲載を希望される方へ・・・ ■ ■ 詳細は下記サイトをご覧下さい。原稿は適宜編集する場合があります。 ■ ■□■□■□ http://shibuya.cool.ne.jp/ldnews/sample.html □■□■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 感覚統合を生かしてたのしく学習−読む力・書く力を育てる 佐藤 和美 (著) http://shibuya.cool.ne.jp/ldnews/books/00050.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第1回)議事録1 2010/07/20 ■ ------------------------------------------------------------------------ http://ldnews2000.web.fc2.com/pdf/20100906_5.pdf  3ページ目から 中央教育審議会初等中等教育分科会 特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第1回)議事録(抜粋) 1.日 時 平成22年7月20日(火)15:30〜17:30 2.場 所 三田共用会議所 第4特別会議室 3.議 題 (1)委員長の選任等について (2)特別委員会における検討事項について  ○1インクルーシブ教育システムの構築という権利条約の理念を踏まえた就学   相談・就学先決定の在り方及び必要な制度改革  ○2○1の制度改革の実施に伴う体制・環境の整備  ○3障害のある幼児児童生徒の特性・ニーズに応じた教育・支援の実施のため   の教職員等の確保及び専門性の向上のための方策 (3)その他 4.議事録 −略− 【安彦委員】 「障がい者制度改革推進会議」の内容に私たちはどれぐらい縛ら れるのか、閣議決定のほうに縛られるのか。もちろん、推進会議の議論の方向性 というのは私たちは踏まえなければならないんですけれども、基本的にはその辺、 推進会議の位置付けを私たちはどう認識したらいいのかということを伺います。 【宮崎委員長】 それでは事務局お願いいたします。 【斎藤特別支援教育課長】 まず、「障がい者制度改革推進会議」の位置付けで ございますが、昨年12月の閣議決定に基づいて設置をされております。メンバー については、障がい者制度改革推進本部長の指名という形になっております。こ の推進会議の意見とその閣藷決定、今回の審議検討の関係ですけれども、事務局 の理解で申し上げますと、あくまで閣議決定された本年6月29日の基本的な方向 が政府の公式のポジションといいますか、コミットした方針ということになって おります。閣議決定の資料5の1枚めくっていただきまして縦長の最初のページ、 1ページを御覧いただきますと、政府は、「障がい者制度改革推進会議」の「障 害者制度改革のための基本的な方向(第一次意見)」(平成22年6月7日)を最大 限に尊重し、下記のとおり、障害者の権利に関する条約(仮称)の締結に必要な 国内法の整備を始めとする我が国の障害者に係る制度の集中的な改革の推進を図 るものとするとあります。要は、推進会議の意見を最大限に尊重するというのが 政府全体としての方針になってございます。この点については、いろいろ御議論、 文部科学省からもいろいろ御意見は申し上げた経緯はございますけれども、最終 的には、最大限にこの意見を尊重し、障害者制度改革の推進を図る。ただ、その 具体的な政府のアクションとしては、先ほど来説明しておりますように、例えば 教育に関しては平成22年度内に基本的な方向性の結論を得るべく検討を行う。こ の部分が政府としての約束といいますか、方針を決めたところでございますので、 あくまで具体的に何をするかという部分については、各個別の記述の中に書いて あることが政府としての方針ということになります。ただこ「障がい者制度改革 推進会議」の意見も最大限に尊重するというのが政府全体としての方針になって ございます。以上でございます。 【宮崎委員長】 よろしいでしょうか。 【安彦委員】 ありがとうございました。 【宮崎委員長】 ありがとうございました。それでは、ほかにございますでしょ うか。 よろしいでしょうか。それでは一旦事実関係の確認の質問については、これで終 わりたいと思います。ありがとうございました。 なお、向山委員が途中退席を予定されていらっしゃるということで、ここで一言 御意見をいただければと思います。 【向山委員】 全国連合小学校長会の会長の向山行雄でございます。この「陣が い者制度改革推進会議」の議論の過程で教育関係者の意見を表明する梯会がなか ったので、私ども小学校、それから、中学校・高学校、それから、特別支援学校 の校長会で、高井大臣政務官を通じて政務三役に意見の申し入れをしました。ぜ ひ慎重な会議、それから、教育関係者の意見を表明する金銭を入れてほしいと。 とりわけ中央教育審蔑会で藩論ができたらそうしていただきたいということを申 し入れたんですが、早速、こういう形で部会をつくっていただいて、感謝を申し 上げます。 私から3点申し上げます。1つ目は、全国連合小学校長会はずっと特別支援教育の 委員会をつくっておりまして、経年的にいろんな調査をかけてきています。全国 の校長の中で現状はどうですかというところで、一番の学校での問題、いろんな 課題を3つ選んでくださいと問うてみましたら、通常の学級に在籍する発達障害 のある子どもさんの指導で大変苦慮していると。その子どもが原因となって授業 に支障が出るというようなことが62%、あるいは集団行動ができないで指導がで きないが52%、それから、友だちとのトラブルが絶えないが66%というように、 大変苦慮する実態があります。 あわせて、どういう人が実際に対応して指導しているのかということでは、担任 がほとんどでして、補助員が15%、別の教員が5%という程度で、まだまだ人的 な条件整備が進んでいないという親状があります。 それから、2点目ですけれども、障害のあるお子さんを最大限発達させるという のは、大変私たちもやっているわけですけれども、障害のあるお子さんの権利保 障と同時に健常児の子どもたちの権利保障もしなければならないと。この権利と 権利が往々にして、なかなか齢唐をきたすことがあって、そのことでトラブルが あるということがあります。従って、さまざまな条件整備、それから、現場での いろんな意級改革もあります。教員の指導力の向上等々、そういったことも総合 的にやっていかなければならないと思っています。 最後に3点目ですけれども、我々、特別支援教育を進めるに当たって、わりあい 校内の理解、教職員の理解等々は進むんですけれども、難しいのが保護者の理解、 それから、地域の住民の方々の理解なんですね。この辺は学校を通していろいろ な啓発を行ったりするし、あるいは行政のほうもやっていただくんですけれども、 まだまだ時間がかかる。ですから、こういった形でこれから統合教育、インクル ーシブ教育のことをやっていくためには、やはり相当の時間をかけていろんな方 々の御理解を得ていかないと、さまざまな問題でやっぱりトラブルが発生する。 それが現場の校長としては大変懸念をしているところであります。 以上であります。 −略− ※山岡修委員(日本発達障害ネットワーク副代表、全国LD親の会理事)は今回  欠席のため発言・意見発表はともになし。 【宮崎委員長】 お戻りいただきましたでしょうか。それでは、再開させていた だきます。先ほど事務局から説明のありました障害者権利条約の理念を踏まえた 特別支援教育の在り方について、本日は自由に意見交換を行いたいと思います。 時間の関係上、本日はお一人御発言を原則2分以内でお願いできればと存じます。 どうぞよろしくお願いします。 本日は、御出席の委員は五十音順に御着席なさっておりますので、安彦委員から 順に御発音をお願いできればと思います。どうぞよろしくお願いします。それで は安彦先生、よろしくお願いいたします。 【安彦委員】 安彦でございます。早稲田大学で教育学を教えておりますが、専 門は初等中等教育のカリキュラム論です。この特別委員会の委員として、多分今 後、障害のある方、ない方一緒に学校で勉強する上でのカリキュラムづくりとい うのが問題になるかと思います。特に、その垣根を無くしていく、まず、無くす ためのカリキュラム、意識を変えていくカリキュラムを含めてカリキュラムづく りが必要になるかなと思っております。大変これは難しい問題でもありますので、 先生方と勉強させていただきたいと思います。 もう1つ、やはり一般的にこの方向、あるいは理念としてシステムをつくりまし ても、先ほども向山委員からお寺がありましたが、それを動かす人の意識の問題 というのは、変えることは大変難しいと患います。そういう意識を変えるために もまずいろいろな、財政的な、あるいは行政的な支援が必要でありまして、特に 今、現場の先生方の様子を伺うと、非常にいろんな仕事を背負っておりまして、 一部には本当に疲弊しているような状況が見られるという、そういう中で、さら にこういう課題を新たに引き受けることに対して、やっぱりリラクタントになる、 あまり前向きになれないという、そういう重い負担感を持たせた上で意識を変え させようというのは、かえってよくないだろうと思います。そういう意味でも格 段に、財政的、あるいは行政上の支援というのを要求しなければならないと思い ます。ぜひ、現場の先生方が本来の教育的な熱心といいますか、心からの熱情を 持って、こういう取組に前向きに取り組んでいただけるような、そういう方向で 結論が出せればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 【宮崎委員長】 ありがとうございました。続きまして、石川委員、お願いいた します。 【石川委員長代理】 石川です。私、社会学と支援工学を特に専門としておりま して、特にこの10年ぐらいは、情報アクセシビリティという分野で主として仕事 をしています。そこでは1つの原則といいますか鉄則がありまして、それは、ア クセシビリティというのはユニバーサルデザインと支援技術の連携によって、よ りよく実現できるということです。それとほぼ同型的ではないかというふうに感 じるんですけれども、インクルーシブ教育、インクルージョンと特別支援教育、 特別支援学校というのは、ちょうどUDとATの関係に当たるのではないかとい う感じがしています。どちらか一方だけで推し進めていくといっても、何かしら 問題が残ると。それよりも共同作業、連携ということが大事なのではないかと、 今のところ直感的にそのように感じています。それと同時に、私は、インクルー シブ教育というものを理念として支持しております。慎重論を聞かされれば聞か されるほど大いにそれを擁護したくなるんですけれども。それと同時に、3年間 だけですけれども、私、盲学校を体験しております。高等部3年間。大分昔にな りまして、1970年代のことですけれども、中途失明しまして2年間入院して、そ れから盲学校へ3年間。1年間寮におりまして、2年間は下宿から通いました。そ こで私は、随分とエンパワーされたという経験を持っております。何にエンパワ ーされたかというと、友人や先輩たちがきわめて元気がよくて、走ったり飛ん だり、また、雄弁であり力強かったんですね。高校に入ってから失明しましたの で母校に戻るという選択もあったんですけれども、母校で一人で勉学を、見えな くなってから継続していった場合、同じだけのエンパワーメントを得られただろ うかと考えると疑問があります。また、自分自身の点字であるとか歩行技術をど こで磨くことができたのかというと、やはりそれは盲学校の友だちや先輩たちか らでした。自分への自信というよりも、自分たちへの自借といったらいいでしょ うか、そういったものを与えてくれる場所として盲学校というのはそういう機能 を、かつては少なくとも果たしていたと音えると思います。仲間がいて、ロール モデルがあって、それから自分たちの存在を全面的に肯定してくれるような重要 な他者がいる場所というのは、子どもたちが育っていく上で非常に重要な環境だ と思います。今の盲学校にそれがあるかというと、残念ながら、いろんな意味で 劣化してきていると言わざるを得ないと思います。まず、集団教育が成り立たな くなってきているということ、それから、専門性を持った、そして、この道で自 分はずっとやっていくんだという、そういう気持ちで取り組んでいる先生たちも やっぱり減ってきているということが書えると思います。ローテーションの中で 特別支援教育に対しての専門性というのを持った人たちがなかなか育っていかな いということもあるかと思います。 もう一つ、私、全国視覚障害者情報提供施設協会という全国のいわゆる点字図書 館やボランティアグループが参加しております視覚障害者への情報提供サービス を行っているNPO法人の理事長をやっておりますこオンラインで翻訳図書です とか、デイジー図書を提供しているんですけれども、学習障害や発達障害の人た ちに対して視覚障害者情報提供施設というのは、サービスする資格といいますか、 有資格者では今のところ必ずしもないという問題があります。著作権法において は、視覚障害者等というふうに著作権の複製権の免除規定といいますか、それが 拡張されていますけれども、具体的に、誰がサービスを担うのかについての方向 性というのは文部科学省からも厚生労働省からも、私の理解する限りでは示され ていないと感じています。はっきりと、どういう枠組みで支援していくのかとい うことを決めていかないと、全裸情協等の視覚障害情報提供施設は、発達障害、 学習障害のある子どもたちを支えていくためのせっかくの資源を持ちながらも、 十分支援できないという問題があります。 差し当たり、以上です。 【宮崎委員長】 ありがとうございました。それでは大久保委員、お願いいたし ます。 【大久保委員】 全日本手をつなぐ育成会の大久保と申します。私どもの団体は、 知的障害のある子を持つ家族並びに本人の会です。私は、「障がい者制度改革推 進会議」においても構成員に就任しており、本日はこちらの会議にもお呼びがか かって出席しているわけですけれども、若干雰囲気が違うということで戸惑って おりますが、とりあえずは全体の感想というか、どんなことを考えているかとい うことを申し上げたいと思います。 インクルーシブ教育ということについては、方向性として私どもは賛成です。た だ、インクルーシブ教育というのはどういう概念、どういう考え方なのかという ところでは、必ずしも明確に皆さんの間で共有されているかどうかは、若干疑問 ではあります。当然、理念的には、地域で共に学び、共に育つという考え方に対 して特に反対される方はいらっしゃらないと思うのです。ただ、どこが大切かと いうことを障害者団体として申し上げるなら、やはり、地域に普段から障害を持 っている方がいるということが非常に重要ではないか。つまり、目に見えるとこ ろに、あるいは接するということも含めてですね。それが先ほどもちょっとあり ました地域の方の理解、あるいは保護者の方の理解につながっていくということ も含めて、非常に重要なのかなと思っています。 一方、インクルーシブ教育といっても、私は、同じクラス、通常の学級で常に一 緒に学ばなければならないとは思ってないです。知的障害の分野から見れば、お 子さん御本人にとって、それが苦痛であったり大変であったりということは当然 あるわけですし、一人一人のニーズに応じた教育という特別支援教育を行うに当 たって時臨機応変に通級指導とか特別支援学級とか、いろいろな形の対応という のは当然あってしかるべきと思っています。 そういうインクルーシブ教育を一応考えているのですけれども、議論していく中 で心配なところは、現状の教育現場の大変さというか、混乱というか、こういっ たところを、一方でどういうふうに考えるのかということなのです。というのは、 知的障害のあるお子さんの教育を受ける権利という最も基本的な部分、この辺を いわゆる保障していくということを抜きにインクルーシブ教育を語るというわけ にはいかないという感じもするのですね。 そういう現状のさまざまな課題をしっかり踏まえて、一定の方向性が皆さんとの 議論の中で出ていけばいいのかなと思っている次第です。ありがとうございまし た。 【宮崎委員長】 ありがとうございました。それでは続きまして太田委員、お願 いいたします。 【太田委員】 品川区立鈴ケ森小学校の校長の太田です。この3月までは東京都 教育委員会で特別支援教育にかかわる仕事を13年間しておりました。私は、昭和 54年に都内の小学校の弱視学級の担任になったんですけれども、その当時がいわ ゆる視覚障害児の統合教育が大変盛んな時期で、私の弱視学級にも点字使用の児 童がおりました。その児童は弱視学級ではいわゆる点字や歩行の指導をしながら、 そして、教科の学習はすべて通常の学級で学んでいましたが、学習も学校生活も 大変順調でありまして、私の嘩験した中では、今でも理想の教育の形の一つだっ たかなと思っているところがあります。 その後、私は東京都教育委員会に入りました。行政の仕事では、私が統合教育的 な経験があるということで、平成14年に学校教育法施行令の一部改正にかかわる 委員をさせていただきました。これは、昭和37年からずっと変わらなかった、い わゆる特殊教育諸学校の就学基準の改定の委員会でした。そのときに、いわゆる 認定就学者制度というのもが導入されております。この認定就学者制度は現行の 教育制度に風穴をあけた、私は大変よいものだと思いましたけれども、現場では 「今までとあまり変わらない」というお話もあります。けれども、私は、視覚障 害に関しましてはこれを発端に、通常の学級に在籍する視覚障害のある児童生徒 の調査がきちんとできるようになり、あるいは視覚障害の児童生徒が通常の学級 でも点字や拡大教科書を使うことができるようになってきた、こういうことでは 大変意味のある制度改革だったと思っております。 また、あわせて東京都教育委員会の仕事では、都立高校に点字受験をしたいとい う盲学校や通常の学級からの生徒さんがおりまして、その都立高校の入試に係わ る仕事や、入学後の支援体制をつくるような仕事をしてまいりました。私が教育 委員会に在籍した間に4人の点字使用の生徒が都立高校に入学できまして、そし て4人とも大変よい形で卒業していくことができました。私はこうした経験から、 希望する視覚障害の児童生徒については、小学校や中学校、高等学校で教育を受 けることは、基本的には賛成の立場でおります。しかし、そうした子どもたちで すが、例えば皆さんも、ちょっと今、日を閉じていただけますか。目を閉じても 多分この会場の様子がわかるのは、視覚による情報が無意識のうちに皆さんの中 に取り込まれているからなんですね。視覚による情報が、情報の8割とか9割を占 めると言われており、こうした情報が無意識のうちに取り入れられない視覚障害 の、特に幼児児童については、ただ一緒にいるだけでは、かなり情報が取り入れ られないという負担が大きいと感じています。さらに、幼児期から児童期にかけ ては、幼児や児童の身体のさまざまな機能が発達していく時期です。無意識のう ちに、例えば、見て真似をすることができない視覚障害の幼児や児童にとっては、 やっぱり専門的な指導が欠かせません。そういったことをきちんと補償しながら、 この動きを進めていくということが大変重要だなと思っています。 私が接したケースでは、その生涯のどこかでは、盲学校や、あるいは弱視学級の ような専門機関としっかりつながっていました。ある一点だけでこのインクルー シブということを考えるのではなくて、長い子どもの育ちの中でインクルーシブ 的な時期が必要なときと、非常に専門的なことが、あるいは盲学校のようなとこ ろにいる時期が必要なときとがあることも考えていくことが必要なのではない かなと思っています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 一から始める特別支援教育「校内研修」ハンドブック http://astore.amazon.co.jp/keyaki-22/detail/4180790165 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【宮崎委員長】 ありがとうございました。それでは岡上委員、お願いします。 【岡上委員】  岡上でございます。私は、全国幼児教育研究協議会の副理事長 をしておりますけれども、同時に練馬区立光が丘さくら幼稚園の園長をしており ます。園長の立場から現状を皆さんに少しお話ししたいと思います。 私の幼稚園にもやはり障害のあるお手さんが数名入っていらっしゃいます。です けれども、その中でチビもたちは障害のある子もない子も一緒に活動し、生活を 楽しんでいることが多いんです。ときどき、昨年度の例ですと、私はこの子には 特別な語彙を増やしたほうがいいと思うようなこともありまして、そのときには ちょっと取り出しをして言葉を教えるというような機会もありました。しかしな がら、障害のあるお子さんもないお子さんも一緒に活動していることが多いのが 実態です。 幼稚園の教育活動の特性でもあるかと思いますけれども、時間の区切りも空間の 区切りも緩やかなんですね。小・中学校の教室での授業、あるいは先生がねらい を持って一つの方向に向かって学びを進める授業とは違いますので、子どもたち 同士が受け入れられやすい。で、一緒に学ぶ機会も多い。そして、障害のあるお 子さんとお互いが補い合いながら助け合うということも学ぶ機会にはなっていま す。しかし、例えば集団活動をするときに、集団の中から障害のあるお子さんが 抜けていく、そのときに、やはり抜けると、先生の注目を浴びたいから、「私も、 私も」と真似るお子さんもいらっしゃるわけで、そうしたときに集団での学びが 成り立たなくなる可能性もあります。ですから、そういった意味で幼稚園ではや りやすい部分がだんだん小学校、中学校と学習の集中度が深まっていくときに難 しくなる場合もあるのだなという実感をしております。そういう意味では、障 害のあるお子さんとないお子さんが一緒に学びつつも、場合に応じて先ほど来御 意見が出ておりますけれども、障害の種類や程度に応じて違う教育の方法という ことも一緒に考えつつ、やはり物事のバランスということが大事なのだなという 考えを持っております。 そして、今までの意見の中で現場の先生の意識を変えるという御意見もございま したけれども、同時に今申し上げたように、子どもの学びというのは、子どもの 学びの視点からもこの協議をしていただきたい。つまり、集団の中で何を学んで いるか。今申し上げたように、集団から外れることでそれを「自分もやりたい」 といって真似てしまう場合もあるわけで、そういう集団の中での学びの成立がど のようになっているかということにも視点を当てた議論が進められるといいなと 思います。以上です。 【宮崎委員長】  ありがとうございました。それでは尾崎委員、お顧いいたし ます。 【尾崎委員】 私は全国特別支援学校長会の会長でございます。全国に特別支援 学校が約1,000校ございます。このところ増えております。そして、児童・生徒 数は11万人を超えました。その中で今回一番発言したいのは、インクルーシブ教 育システムといったときに、特別支援学校はそのシステムの中で機能していると、 今、一応考えています。といいますのは、一人一人のニーズに応じたきめ細かい 教育をし、最大限能力を発達させること、そして、共生社会への実現に向けて進 路指導、初等教育等も充実させて社会に送り出す、そういう教育を実践している わけですから、このインクルーシブ教育システムの中に特別支援学校はあるんだ と考えております。 ただ、課題もたくさんあります。それについてはまた御議論いただければと思い ますが、その一つの大きな課題は、やっぱり地域社会に対してどういう働きかけ をしているかということだと思います。今回の平成19年度の法律改正で、特別支 援学校は地域の小・中学校等に対してセンター的機能を発揮するということで、 地域の小・中学校等に在籍する障害のある児童・生徒への支援は特別支援学校の 役割として規定されております。その役割のために膨大な量の支援に取り組んで いるのが現状でございます。そしてまた各特別支援学級では、地域の社会の中で PTAや保護者の方も中心になって、交流活動とか地域祭りへの参加とか、そう いう積極的な動きもしておりますし、また、交流及び共同学習の実践も行われて いるところです。その在り方等についても、これから皆さんに御議論いただきな がら、よりよいものにしていきたいと考えているのが2点目です。 最後にですが、インクルーシブ教育システムの最終的な目的と、それから、特別 支援教育の最終的な目的である共生社会の実現というのは、私は同じ方向だと思 っております。 特別支援学校では職業教育、進路指導を充実させておりまして、特に高等部への 入学希望者が非常に増えているという現状があります。その中で特別支援学校が 共生社会の実現のためにどう貢献したらいいのか、そういうことまで含めて御議 論いただければ大変ありがたいなと思っております。以上です。 【宮崎委員長】 ありがとうございました。それでは乙武委員、お願いいたしま す。 【乙武委員】 改めましてこんにちは、乙武洋匿です。私は今年の3月まで杉並 区の公立小学校で、3年間、教諭として勤務しておりました。3年生と4年生の担 任をさせていただいておりました。3月で退職をいたしまして、現在は著述業の ほうを行っております。今回、本当に委員に選んでいただいてありがたいなと思 っているんですが、見識豊かな皆様とは違って、本当に専門性もありませんし、 知識にも乏しいかとは思うんですが、障害がありながら、障害のない子どもたち と一緒に育った当事者の一人として発言をさせていただければなと思っておりま す。どうぞよろしくお願いいたします。 僕自身は通常の学級で義務教育を受けてきまして、その中で、もちろんいろいろ ないい部分というのはあったとは思うんですけれども、一番の僕のよかったなと 思っている点は、やはりどうしても障害のある人間にとっては健常者に対してコ ンプレックスを抱きがちになるというところだと息うんですが、僕自身は小学校 1年生から、もちろん幼稚園もそうだったんですが、障害のないお子さんと一緒 に学び、遊び、友人関係を築く中で、言葉が適切かどうかはわかりませんが、対 等にやれたなという感覚を持ちながら育ってきたということがやはり大きかった のかなと思っております。もちろん僕自身が当時で言う養護学校に行って、そこ で専門的な教育を受けたとしても、これは本当に結果論で、もしかしたらもっと 自分自身の能力が伸びていたり、違った結果を生んでいたかもしれませんが、健 常者に対して今のように自然な形でつき合えるようになったかというと、そこは やはり疑問が残るのかな、通常の学級の中で育ったからこそ、障害のない人に対 しても特にコンプレックスを抱かず、自然に接することができるようになったの かなということが一番のメリットだったのではないかなととらえております。か といって、全部やはり統合教育がいいのではないかという結論を持っているわけ ではなく、先ほど石川委員のお話でもあったように、御自身は盲学校に3年間通 ったことで大変エンハワードされたというお話があったように、やはり障害の状 況、程度、それから、障害だけではなく、その子ども一人一人の性格によっても、 どういう適を選択するかということによって得られる結果は大きく変わってくる のかなと考えております。 一番、僕自身が念頭に置きたいのは、通常の学級なのか、それから、特別支援学 校なのか、特別支援学級なのかという、どういう道を通るのかという議論をする に当たっては、でも、出口は1つなんだということですね。どんな道を通っても、 やはり社会に出ればこちらは健常者用の社会、こちらは障害者用の社会と、社会 が分かれているわけではなくて、同じ社会で生きていくためにどういう道を通る のがその子にとってベストなのかということをしっかりと意識しながら、今後の 議論に参加させていただければと思っております。 どうぞよろしくお願いいたします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ LDを活かして生きよう−LD教授のチャレンジ 上野 一彦 (著) 価格:¥ 1575 http://shibuya.cool.ne.jp/ldnews/books/00025.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 編集後記 ------------------------------------ 19:25 2010/09/08 □ ------------------------------------------------------------------------ 台風が接近中です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 軽度発達障害のある子のライフサイクルに合わせた理解と対応─「仮に」理解し て、「実際に」支援するために (学研のヒューマンケアブックス) (単行本) http://shibuya.cool.ne.jp/ldnews/books/00010.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ LDニュースの記載内容に関する質問には原則として回答いたしかねます ■ ■ 編集に際し正確を期していますが最終保証責任は免責とさせて頂きます ■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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